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 和平復興関連No18 


2003-09-14

平和回復のため,日本は力を尽くす

ー 明石特使、スリランカでの動向


 6日間の日程でスリランカを訪問した明石特使の動向に間する情報はタミルネットに詳しい。「スリランカの平和回復のため,日本は力を尽くす」と明石特使は13日、スリランカ東部地区のカルムナイでプレス・リリースしたが,明石氏が伝えたその意志は日本人の多くが共鳴する言葉であろう。
 今回の訪問の目的は、東京会議で取り交わされたスリランカ戦後復興と経済開発に供与される援助金の使途を明確に割り出す事と,援助金の交付に欠かせないLTTE側の協力を得ることだった。
 今回の明石氏によるタミル、モスリム代表らとの直接交渉でスリランカ戦後復興の抱える問題点が明るみに出たが,同時にタミル,モスリム問題が短期に解決できるものではないことも見えてきた。「まず,援助ありき」で出発した日本政府の外交はスリランカのマスコミが言う「戦争の分け前」をいち早く配る事で多忙である。しかし、スリランカの抱える問題を、あらためて真摯に,時間をかけて捉えなおさなければならないことは、タミルネットが伝える明石特使の6日間の行動が明確に示す結果となっている。
 出口のない日本の不況と、出口の見出せないスリランカの和平とが,期せずして共に求めたのが40億ドルとも45億ドルとも,またそれ以上ともされる援助金を和平交渉のテーブルに積み上げて終わった6月の東京平和会議だった。
 その赤坂プリンス・ホテルで取り交わされた援助供与の約束がスリランカ国内の事情で中に浮いている。多民族国家スリランカの国内不安は日本の外交が推し進める”金権和平”で解決しえるか。(『かしゃぐら通信』)

----シンハラ新聞の扱い-----
シンハラ新聞「ディワイナ」ではこの件に関する主だった記事はなく、9月17日付けに「キリノッチを視察に行った明石氏,孤立す」という記事が載った。英語版にも目立った記事はない。
 内容は、「昨日キリノッチへ視察に行った明石氏は出迎える者が誰もいなかったので顔色をなくした」「幾つかのビルを覗いたが大部分のドアは締め切られ閉ざされており明石氏には困難な事態が感じられた」「管理人もいないビルの中をあちこち行った明石氏は更に自ら確認しようと思って他の場所を幾つか探していたが再び外に出てきた」などで、この記事にはタミル・モスリム代表と会談が持たれた事が触れられていない。


*以下はタミルネットの明石氏関連記事

明石氏,木曜日にスリランカ訪問
[TamilNet, September 10, 2003 19:09 GMT]

 日本の対スリランカ特別平和使節・明石康氏はこの木曜日,6日間の日程でコロンボ入りする。明石氏は9月16日(火)までスリランカに滞在し政治指導者等と会談し、スリランカ政府とLTTEの間で膠着している平和交渉を打開するための会議を持つ。
 明石氏の訪問の主な目的はコロンボで12日(金)に開かれる会議の議長をすることで、6月に開かれた東京会議で約束された援助国からの資金の分配基準を決定する事にある。
 LTTEもこの会議への参加が望まれている。しかし、この日程ではLTTEによる連邦制度の提案がなされる以前にコロンボ会議に加わらなければならなくなる。
 LTTEの平和事務局へはコロンボの日本大使館から明石氏の主催する会議に出席するよう10日(水)に要請がされているが,LTTEは出席が困難であると回答した。また、東京会議に参加しなかったのはタミル人の良心に基づくものであり、東京会議の際の状況に変化はなく、「いかなる場合も補足会議に参加することは組織的に可能だ」としている。
 また、LTTEは「再定住・再建及び開発のための東京基金の受け払いを担うことのできる効率的な機構の欠如していることが暫定行政機構を設置することの唯一の理由だったし、その機構のみが平和交渉を効果的に推し進めることができる」としている。
 一方明石氏はコロンボで、チャンドラ・クマーラトゥンガ大統領,彼女の国際顧問ラクショマン・カディルカマール氏,G・S・ピーリス、ミリンダ・モロゴダ両大臣との交渉を行うであろうと関係筋は語った。
 明石氏はまた,スリランカ・モスリム会議議長、ラウフ・ハキーマン大臣を含む東部地区のモスリム指導者たちとの交渉を行うと関係筋は付け加えた。
 また、明石氏はLTTEの政治部門指導者とキリノッチ平和事務局で9月14日に交渉を持つ予定で、LTTEはその際に立場を明確にするとしている。
 スリランカを離れる際,明石氏は9月15日に記者会見を行うと報道機関は明らかにしている。


暫定政権提案に14日以内の回答を
スリランカ政府、LTTEに要請
[TamilNet, September 11, 2003 16:42 GMT]

 政府の官房長官ピーリス大臣は木曜日の記者説明会で、スリランカ政府はLTTEに対し暫定政権構想に対する反応を2週間以内に示すよう要望し,仲介役のノルウエーに対しLTTEとの交渉再開を進める次のステップを踏むよう求めたと語った。
 「LTTEは現在,スイスのベルンで連邦制度に対する綿密な調査を行っている。LTTEは連邦制度における政治解決へと至る組織を広く受け入れている。LTTEは平和会議の再開によって政府との間により突っ込んだ議論をすることを求めている」とピーリス氏は語った。
 また、ピーリス氏はインド外相ヤスワンタ・シンハ氏が10月中旬にスリランカを訪問する事,カナダ外相ビル・グラハム氏が10月14日にスリランカを訪ねると報じた。
 スリランカ滞在中の日本の平和特使・明石康氏は木曜日の夜にラニル・ウィクラマシンハ首相との会談を行い、政府とLTTEの間で膠着している和平会談の再開に向けて議論を交わす予定だとピーリス氏は付け加えた。.


明石氏,アンパライのタミル人を視察
[TamilNet, September 12, 2003 14:18 GMT]

 日本の特別平和使節明石康氏はこの土曜日、アンパライを訪問しタミル・モスリムの指導者と会談し東部地区の政治状況を査定する予定だと関係筋が明らかにした。
 アンパライ地区タミル国民同盟の議員チャンドラ・ネールに率いられる8人の派遣団はカルムナイ・メソジスト教会の講堂で土曜日の朝、明石氏と会い、政治的・社会的な面でアンパライのタミル人が直面している諸問題を伝える事になっている。また、代表団は明石氏に対し地区の開発に関する覚え書きを手渡す予定であるとネルー議員は語った。
 一方、日本の特別平和使節は金曜日の朝,コロンボのヒルトン・ホテルで話し合いを始め、スリランカ開発のために開かれた東京援助会議で約束された資金の適切な使い道を探し,その方法と手段を探る事となった。
 この話し合いには世界銀行,アジア開発銀行,国際通貨基金などの国際援助組織と13ヶ国の援助国が参加した。
 LTTEは話し合いへの参加を日本政府から要請されていたが出席を断り、北東部の復興と再定住を施行するには暫定政権の構造に欠陥があるとした。
 統一国民戦線(UNF)政府からはGL・ピーリス、ミリンダ・モロゴダ、ラウフ・ハキーマンが話し合いに参加した。スリランカ政府は既に東京会議で約束された45億USドルの一部を受け取ったと財務大臣筋は語った。


明石氏,アンパライのモスリム,タミル指導者等と協議入り
[TamilNet, September 13, 2003 14:10 GMT]

 日本の特別平和使節・明石康氏は13日(土)、東部地区のカルムナイでモスリム・タミルの代表団と個別に、また、共同の会合を持った。明石氏はカルムナイにスリランカ空軍特別ヘリで到着、スリランカ・モスリム会議議長のラウフ・ハキーマン大臣、SLMCのH・M・M・ハーリス、アンウェル・イスマイル両議員が同行した。
 明石氏はまず,カルムナイのモハメド女子学院でモスリムの代表団と会い、この席にはハキーマン大臣,ハーリス、イスマイル両議員が同席した。モスリムの代表団は明石氏に対し彼等の村が直面している安全,開発面の問題点を訴えた。
 こののち明石氏はタミル・モスリムを含む和平委員とカルムナイ地区事務局(モスリム地域)で会った。会合にはタミル側からアンパライ地区タミル国民同盟のアチャンドラ・ネール議員、ステファン・マシュー僧、S・I・A・マシュー博士、N・ムルガナンタン博士が加わり,ラウフ・ハキーム大臣,ハーリス、イスマイル両議員、その他2名のムスリム代表が参加した。
 タミルの代表団はアンパライ地区のタミル村の開発が急務であると指摘した。モスリム代表団は現在の平和がもたらされて尚強奪,誘拐がモスリム地区で起こっていると申し立てた。
 明石氏は11時30分、カルムナイ・メソジスト教会の講堂でチャンドラ・ネルー議員の率いる11人のタミル代表と会った。チャンドラ・ネルー氏はアンパライ地区の複数の村が戦争で破壊されており、その再建と家を失った人々の再定住が急務であると述べた。また、政府はアンパライ地区のライフ・ラインの整備を確約していながら何も行われていないと述べた。
 こののち,明石氏はアンパラ地区事務局で行われた会合に出席した。


spaceimageスリランカの平和回復のため,日本は力を尽くす
[TamilNet, September 13, 2003 14:16 GMT]

 日本がスリランカの側に立ち平和回復に努力しているのは、かつて第2次大戦の時、スリランカが日本に手を差し延べてくれた事への感謝からだと日本の特別平和使節・明石康氏は東部のカルムナイで13日(土)、記者団に対し語った。

 明石氏はまた,日本はスリランカ政府とLTTEとの間の行き詰まった和平交渉が再開される事を望んでいると、カルムナイ・メソジスト教会講堂で行われたタミル・モスリム代表との会合を終えて語った。
 「平和は人間の極近い友人だが、戦争は敵である。援助各国は6月の東京援助会議で約束した基金が適切に活用されるよう監視できる機構の確立される事を望んでいる」と明石氏は述べた。
 彼はまた,すべてのスリランカ人が平和の見張り役として国内で働くよう、また、国際社会は戦争で疲弊したスリランカ再建と経済復興に協力するよう呼びかけた。
 明石氏はまた、「いま、私は状況を個人的に把握している。この地区には三つのコミュニティがある。多くの開発事業がこの地区で展開されなければならない。最近,幾つかの事件が起こっていると聞いている。和平交渉を進展させなければならない今,こうした事件は起こるべきではない」と述べた。


トンダマン氏、コトマレー・ダム建設で明石氏に要望
[TamilNet, September 14, 2003 00:14 GMT]

 統一国民戦線(UNF)政府の主要な構成政党であるセイロン労働者会議(CWC)は明日15日(月)、日本の特別平和使節・明石康氏と会合を持ち,日本の援助で建設が予定されているコトマレー・ダム電力プロジェクトに関して話し合う。
 CWCは強くコトマレー・ダムの建設に反対しているが,それはダムがこの地区の生態系に対し取り返しのつかない被害を与える原因となること,また、コトマレー地区のタミル人の力を弱めることが危惧されるためだとしている。
 UNF政府内の政党からこうした反対が起こったため、ラニル・ウィクラマシンハ首相はCWCの指導者アルムガン・トンダマン大臣に対しこの問題を明石氏に持ち上げ解決を仰ごうと提案した。この結果,日本大使館は15日(月)に日程を組み、トンダマン氏と明石氏との会合を設定した。
 一方,UNP副党首のカヤ・ジャヤスーリヤ電力エネルギー大臣はトンダマン大臣が率いるCWC党の反対があっても実施されるだろうと述べた。
 「わたしは内閣の同意を得ており、すべては作業開始に向けて調整済みだ」とジャヤスーリヤ氏は述べた。
 これに対してトンダマン氏は次のように述べた。建設反対の人々を心にとどめることなく政府がコトマレー・ダムの建設を進めるならばヒル・カントリーのタミルはこれに反対するだろう。
 「北東部のタミルは武装闘争をしたが,それは政府が彼等の要望を踏みにじったからだ。もしUNF政府がヒル・カントリーのタミルの要望を無視すればそれと同じ事態が起きるかもしれない」


北東部のモスリム議員、明石氏に要望説明
[TamilNet, September 14, 2003 11:20 GMT]

 北東部モスリム議員同盟(NEMPA)のM・L・A・M・ヒスブッラ事務長官が述べたところに寄れば,議員同盟は13日(土)、日本の特別平和使節・明石康氏に対して、今後、和平交渉に参加するため、同盟の代表を会議に送りたいとし、それは政府がモスリムを独立した集団であると認め、参加団体に含めるまで続けられるとした。
 同盟の代表団は13日(土)夜、明石氏と会い,3時間にわたり現在の和平交渉におけるモスリムの立場について意見を交わした。
 現在,スリランカモスリム会議(SLMC)議長のラウフ・ハキーマン大臣がスリランカ政府代表として和平交渉に参加している。SLMCはUNF政府を構成する政党のひとつである。
 NEMPAはスリランカ・モスリム会議(SLMC),国民統一同盟(NUA),統一国民党(UNP)の全政党議員を含めて構成されている。
 代表団は提案されている北東部における暫定行政機構について、また、東部のモスリムが直面している安全、雇用、起業などの問題についての見解を提出した。
 代表団はまた,モスリムの代表が独立した集団として和平交渉に参加できないなら,交渉には有効な成果が何ら生まれないだろうと述べた。 
 これに対して明石氏は、提起された問題をスリランカ政府とLTTEの指導者に諮ると代表団に確約した。


明石氏,タミルチェルワン氏と会談
[TamilNet, September 14, 2003 12:05 GMT]
 日本の特別平和使節・明石康氏は14日(日)朝,キリノッチグランドにスリランカ空軍特別ヘリで降り立った。明石氏にはコロンボの大塚ソイエヒロ日本大使が同行し,ワンニのタミル・イーラム開放の虎(LTTE)平和事務局ビルで”開放の虎”政治部長タミルチェルワン氏と会談した。
 話し合いは基礎的状況の再検討に集中し、行き詰まった和平交渉の再開、東部のモスリムから提起された件が話し合われた。
 会議で明石氏は、援助国はLTTEが東京会議,続けて行われたコロンボ会議に参加しなかったことに失望している,と伝え、これに対しタミルチェルワン氏は不参加の理由を説明した。
 タミルセルワン氏は明石氏に対し和平交渉が正常な状態に進めないのはタミル人の経済的に恵まれない人々の日々の生活を正常にできないからで、それは和平の進行に欠陥があるからだと指摘した。また,タミルチェルワン氏は援助金が出きる限り効果的に,また,充分に役立てるよう分配されるべきで、そのためにできる限りの手段を尽くして最善の方法を追求しなければならず、それは官僚の弊害を有し、腐敗したスリランカ政府の行政機構に任せられるものではないと語った。 タミルチェルワン氏はまた,パリ会議における暫定政府への提案は国外在住のタミル人専門家とLTTEの職員によるもので、復興開発基金の収支、活用にはそれを監視する組織が必要だと語った。
 この会談には日本国大使・大塚ソイイエヒロ閣下,南西アジア課課長・山田タコ氏、外務省職員カモノ・リョウスケ氏、K・ヤギ二等書記官、M・ヤスダ二等書記官が同行し会議に加わった。
 明石氏の同行団がプレス・リリーフした内容全文は以下の通り。


 「タミルセルワン氏との会談は有意義なものであった。6月に東京会議で決定したスリランカの復興と開発に関して我々は彼に説明した。また、2日前の9月12日にコロンボで行われた会議についても説明をしたが,これは東京会議の内容を再確認して援助各国・各機関がスリランカ援助に対して,この困難な時局においても全体的にコミットするという事であった」
 また,同公団は次のようにも述べた。和平交渉の当事者は迅速に、かつ、実質的な和平の進展を図るべきであり、援助は和平交渉と関連付けられるものである。この関連付けは国際社会に大きな関心事として位置付けられている。我々は北東部の人々に対する援助を希望しており、早急に人道主義に基づいた復興のニーズを把握しなければならないことを承知している。そうした点から行政機構の移行に関しての話し合いがなされ、タミルチェルワン氏は近いうちに政府に対し彼等の提案を提出すると確約したが,これはこの困難な問題に関してLTTEと政府との同意が得られるという期待が見こめる内容である。

 私は強調したいが,いわゆる”平和の分け前”を人々がいち早く享受できるようにするために我々はこの地でそれぞれの要求を確認している。また,我々はその他の件に関しても協議を重ねており,世界中の援助国から重大な関心を寄せられている事に関しても,私はタミルチェルワン氏から山積するそれらの諸問題に関して説明を受けた。会議の結果は私には満足の行くもので,昼食後にも会議を続行し、更に別の問題に関して話し合う予定だ。

 私は首相との会談に満足しているし,ピーリス、モラホダ、ハキーマン各大臣との会談にも満足している。今夕には首相と更に会談を予定しているし,明日には大統領との楽しみな会合が待っている。


 明石氏はアンパライ地区を訪問した13日(土)、地区事務局でシンハラの代表団とも会った。代表団は統一国民党(UNP)と人民同盟(UP)で構成され聖職者と住民の代表がメンバーとなった。代表団は明石氏に対し彼等の要望を伝えた。こののち明石氏はアンパライ地区の議員、P・ダヤラトナ大臣と会合を持った。
 日本の平和使節はダヤラトネ氏に対し、私はアンパライの地域住民から基本的な状況に関して直接に情報を得ることができたと語った。


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