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『かしゃぐら通信』  和平復興関連No10 



2003-06
 東京会議はスリランカで,どう報道されたか

6月9,10の両日,東京の赤坂プリンス・ホテルで行われた「スリランカの復興と回復を図るための東京会議」は、スリランカに対し”期待以上の”援助額を提示して幕を閉じた。昨年11月の段階でスリランカは五億ドルの援助を期待していたが、その額はどんどん膨らみ、結局、スリランカ支援各国・各国際機関からの援助額は40億ドルを越え,日本からは3年間で30億ドルの援助が表明された。こうした状況から,スリランカは膨大な援助額に見合った新たな復興プロジェクトを更に創り出し、その業務を遂行する省を新たに創設するという事態になった。
                    *参考→ラニル・ウィクラマシンハ首相の会議冒頭演説

 一方、PAのチャンドリカ・クマーラ・トゥンガは、「援助額は大きいがその90パーセントは条件付の貸し付けであり,その利子もさまざまで受け入れられるものではない」と表明し,タミル・ネットは、「援助が行われればスリランカ国内の貧富の差を広げるばかり」との記事を掲載した。
                  ※参考→大統領が言及  日本からの援助金の一部を戦争未亡人へ

 「東京会議」に対するスリランカでの評価は一様ではない。以下に代表的な「東京会議」紹介の記事を順次、紹介する。もっとも早く「東京会議」を報道したのはデイリー・ニュースとタミルネットだった。
                  タミルネットが報じた東京会議

*日本での報道 一般的ではないが,日本スリランカ協会の会報(528号/2003/06/20)に東京宣言の抄訳が掲載されている。


デイリー・ニュース(2003‐06‐10)が報じた東京会議

政府の期待を超える
スリランカ再建に援助各国、四十億ドルを約束


東京支援会議は,来る4年間にスリランカ復興に対し40億ドルの援助を支援国が約束して、完全な成功を収めた。

再建と回復に関する東京会議は昨日,赤坂プリンスホテルで開かれ,51ヶ国、12の援助機関を含める21の国際機関が参加した。

スリランカの復興と回復に対しては当初,1年間10億ドル,計30億ドルの援助が見こまれていた。

会議は日本の特別和平使節明石康氏が議長となり,日本の首相小泉純一郎氏が開会演説をおこない,それを受けてスリランカ首相ラニル・ウィクラマシンハ氏がスリランカ政府の和平実績の状況,経済改革などの状況を説明した。K・N・チョクシィ蔵相は昨夜、ディリー・ニュースに対して、供与国による3年間を期間とする援助総額はスリランカ政府が期待していた額を超えるものだったと語った。

また、蔵相は、援助がスリランカ全体の開発計画に使われると言明した。日本政府の援助額は毎年10億円が3年間に渡って供与され、この額はアジア開発銀行の供与に次ぐもので、日本の供与は直ちに実施されその金利もごくわずかなものであると付け加えた。

世界銀行はスリランカに対し8億ドルの供与を約束した。

チョクシィ蔵相は世界銀行との話し合いで、追加の処置として洪水被害に対し世界銀行が1500万ドルの供与を約束したとも語った。

また,蔵相は日本の塩川財務大臣がスリランカを訪問し,日本の援助が開発復興に対してどのように使われているかを監督し,日本がスリランカ援助に対しどのような分野で活躍できるか確認したいとしていると述べた。

政府の上級スポークスマンによると,政府は予想以上の援助金をどのように使うか,新しいプロジェクトを策定する容易を始めると述べた。北東部のプロジェクトに関してはLTTEの参加を待って始められる。

援助国会議ではEUが3年間で2億9300万ドルの供与を約束し、米国は5400万ドルを供与するとしたが、その時期は明示されていない。32カ国と20の多国間の機関が参加した2日間の会議では、政府とLTTEが速やかに和平構築を深め,宣言草稿に従って”明確なる目標の下に双方が同意できる最終的な政治的決着”を得られるよう求めている。

「私が切に希望するのは東京会議がスリランカ和平に対する国際的なコミュニティの一部として,協力で統一的な関わりを表す絶好の機会となることです」と日本の小泉純一郎首相は開会の挨拶で語っり、LTTEに対し、直ちに交渉のテーブルに戻るよう呼びかけた。

「スリランカの和平交渉をサポートする上で日本は最大限の援助を差し延べている」と日本の川口より子外務大臣は会議に向けて語った。アジア開発銀行のチノタダオ頭取は「開発と復興に必要な資源は莫大である」と語り,「我々の援助の大きさと時期とは平和交渉の再開と国内闘争の正式な終焉が前庭となっている」と加えた。

ラニル・ウィクラマシンハ首相は基調公演で、北東部における”革新的な暫定政権構想”を提案し,「その政権に至るまでのロードマップを作ることが重要である」と述べ,「北東部の復興と開発は過渡的な過程においては暫定政権がその任にあたるであろう」とした。

米国のリチャード・アーミテージ国務副長官はLTTEに対し交渉のテーブルに戻るよう促し,次ぎのように語った。「個人的にLTTEに対して言いたい事だが,LTTEの人々に対し,そしてスリランカの人々に対し,私は援助を差し延べたい,あなたたちは解決交渉に関わっているのだ」

 また、「和平交渉が長引いている事は驚くに価しない」として、「今がスリランカにとって困難な時である事は承知している。LTTEは不満を表明しているが,私はそれが理解できる。彼等の地域への援助物資は彼らが和平を信じている限り、彼等の地域へも送られなければならない」と述べた。

 彼はまた、国際的な後押しがあれば、物心両面の援助の注入は彼等を動かし、交渉を進めることができるとし、「このような機会は他には二度とない」と強調した。また、スリランカ政府もこの困難な状況を解決するよう努力すべきであると述べた。「複数政党による民主主義は外部者から誇張と誤解とを受け勝ちである。であるが故に,大統領と首相とがLTTEに対し確固とした意志表示をするのなら,与党政党間に不一致があったにしても、統一に向けての解決が開け、共通の目的が生まれる」と語った。


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