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『かしゃぐら通信』  和平復興関連No09 



2003-04-17
アーミテージ、大いに語る

なんとなく、でないクリスタル


「アメリカの姿勢はクリスタルのように明確だ。
LTTEがテロを名実共に止めるのならばテロ集団の指定を取り消す」


 スリランカの英字新聞(電子版)「アイランド」は15日にワシントンで開かれたスリランカ平和交渉でのアーミテージ国務副長官の冒頭演説を全文掲載した。
「はっきりとして透明なクリスタル」という言葉を繰り返してアメリカの立場は鮮明であることをを説き、屹然とLTTEにテロ行為の破棄を迫るアーミテージ氏だが、この席にLTTEは参加していなかった。
 冒頭演説は「透明なクリスタル」そのものだが、演説には「サムシングsomething」 という単語が頻出した。「重要なもの」を意味する「サムシング」だが、言葉で表せない「茫漠とした何か」も「サムシング」。アーミテージの格調高い演説には「透明なクリスタル」ではなく「何となくクリスタル」が感じ取れる。以下は、会議冒頭の挨拶から抄訳。
*全文はThe Island http://www.island.lk/2003/04/16/news01.html
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この会議にはすべての大陸の国々、国際金融機関、様様な団体の代表が参加している。すべてが共に行動する事で平和を勝ち取る事ができるだろう。スリランカの平和が勝ち取れるだろう。

スリランカは魅惑に溢れ、教育程度の高い国民が住み、活力のある経済を持ち、強固なデモクラシーを持っていた。ところが今はその姿が阻害されている。戦争のために人々は疲れ果て、軍事費を負担させられ、国土は月面写真のように荒れ果てている。
 
昨年のスリランカ訪問で私は、この国が多民族国家として再び成功し繁栄を得る姿を見た。スリランカの国を作るのは最終的にはモスリム、仏教徒、キリスト教徒、ヒンドゥ教徒、そしてシンハラとタミルの人々で、すべてが集まり互いに繁栄を享受する姿が見えた。

スリランカはそういう国だから、合衆国はスリランカの平和構築に努力をする。多くの人の手で共に平和を作るとこが大切だと考える。

ノルウェーからは私の友人で、敵対する両者を交渉のテーブルにつけたノルウェーのヘルゲッセン長官(副外相)が参加され、日本からは6月に開かれるドナー諸国の会議を主催される明石特別顧問が参加されている。ドナー諸国会議では参加したすべての団体に莫大な利益が与えられるし、もちろん、これが肝心なのだが、スリランカの国民にもその莫大な利益が分け与えられる。

6月会議には紛争の当事者が参加し、当事者間で解決の道をさぐらなければならない。スリランカ政府とLTTEは停戦して1年を超える。私の次にはスリランカ政府代表ミリンダ・モラゴダ大臣(経済改革)がお話しになるが、スリランカ政府はLTTEと6回の平和交渉を重ねている。重要な協定もいくつも結ばれているが、それは両者の譲歩によるところが大きい。

三十万人を超える避難民が戦争で荒れ果てた北部東部の故郷ヘ戻っている。コロンボとジャフナを結ぶ航空便は再開された。通常の経済活動は国中で再開されている。この会議でスリランカ、ノルウェー、日本の代表から平和交渉の経過と次の交渉ステップに関する話を聴くことができるが、今日は平和交渉の当事者の一方が参加していない。それはLTTEである。

合衆国はLTTEの最近の停戦活動を評価しているが、彼等をアメリカが指定するテロリスト組織から外す理論的根拠を我々は持っていない。我々の立場はクリスタルのように明快だ。LTTEが明確にテロを放棄すれば、我々は彼等をテロリストの名簿から外す用意がある。LTTEを合法的政治集団と我々が認めるか否かは彼等の態度如何による。

タイガーが会議に排除された事へ不満をいだいていることは私も知っている。だが、彼らが欠席しているわけを説明させていただければ、LTTEは1997年にさかのぼってテロリスト組織とわが国が指定しており、テロリストには合衆国への入国ビザ発行が禁止されているからだ。

スリランカ政府とLTTEのあいだには解決しなければならない事案がまだまだある。そうした事があっても、なにより経済の再建は重要課題だ。それゆえ国際的な支援が必要であり、それは精神的、物質的の両面にわたるものだ。 


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