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No.65 悪沢岳・赤石岳(2/3)
山行の2日目で、今回の山行のハイライトです。千枚小屋を出発して悪沢岳と赤石岳に登り、赤石岳避難小屋まで、3000m級の起伏の激しいコースを歩きました。眺望抜群の素晴らしいの一語に尽きる一日でした。

日時 2005年(平成17年)8月31日(水)〜9月2日(金)
天候 9月1日(木) 晴       8月31日の山行概要:悪沢岳・赤石岳(1/3)
同行 なし       9月2日の山行概要:悪沢岳・赤石岳(3/3)

9月1日 所要時間
千枚小屋(5.35) ←1時間→ (6.35)千枚岳(6.45) ←1時間→ (7.45)丸山(7.50) ←40分→ (8.30)悪沢岳(8.40) ←1時間15分→ (9.55)中岳(9.55) ←20分→ (10.15)前岳(10.20) ←55分→ (11.15)荒川小屋で昼食(12.00) ←50分→ (12.50)大聖寺平(12.55) ←1時間30分→ (14.25)小赤石岳(14.30) ←15分→ (14.45)赤石小屋分岐(14.45) ←25分→ (15.10)赤石岳(15.20) ←5分→ (15.25)赤石岳避難小屋(泊)

9月1日 山行概要

悪沢岳・赤石岳(1/3)より
悪沢岳頂上付近から見た赤石岳
悪沢岳頂上付近から見た赤石岳
昨日とはうって変わって今日は晴天です。日の出は5時15分頃で、丁度朝の食事中でした。何人かの人はカメラを持って外へ飛び出して行きましたが、私は食事をしながら、日の出を見ました。太陽は富士山のかなり左側、つまり北の方から顔を出します。朝食後昨夜頼んでおいたお湯を魔法瓶につめてもらい、千枚小屋を出発しました。

小屋から出てしばらくは樹林帯の中を歩きます。やがて左前方に赤石岳が見えるようになり、二軒小屋への分岐を過ぎると、樹林帯が終わり、千枚岳の頂上直下のハイマツ帯に出ます。ここは強い風が吹いていて、時折風にあおられ、体のバランスが崩れます。千枚岳は風の通り道で、強風が吹いていることが多いということを、後で知りました。吹きさらしの道を5分も歩くと千枚岳の頂上です。千枚岳の頂上からは、これから向かう悪沢岳や赤石岳が眺められます。反対方向には塩見岳とその向うに南アルプス北部の山々が遠望されました。それにしても、赤石岳はまだずいぶん遠くのほうに見えます。


赤石岳ルートマップ千枚岳から悪沢岳へは、両手が必要になる岩の多い尾根を下ります。左側の斜面はお花畑で、タカネマツムシソウやトリカブトなどの紫色の秋の花が沢山咲いており、目を楽しませてくれました。千枚岳を下りきると広い斜面の中の緩やかな登りが始まり、登りきったところが丸山で標高3032mの標識が立っています。ここも見晴らしの良いところなので、一息入れました。悪沢岳のほうを見ると、私より先を歩いている登山者がよく見えます。ここまで来ると悪沢岳までの標高差は約100mで、あと僅かです。一息入れながら写真を何枚か写し、時折雲に隠れる悪沢岳へ向かいました。丸山から歩き出すと程なく大きな岩が堆積している岩稜帯になり、頂上の標識が見えるとまもなく悪沢岳の頂上に着きました。

伊那側からは間断なく雲が沸きあがっていますが、頭の上には青空が広がっており、富士山が遠望されます。少し残念なことに、今しがたまで見えていた赤石岳が雲の中に入ってしまいました。悪沢岳は今回の山行の目的のピークの一つですから、しばらく、と言っても10分ほどですが、休みを取りました。今日はまだ先が長いので、名残惜しさを感じつつ次の目標の中岳へ向かいました。歩き出すと珍しく右の方にブロッケンのお化けが出ていました。中岳へは急坂を下ります。200mほどですが、ずいぶん下るような感じで、もったいないと思いながら下りました。鞍部に着くと今度は当然登りが始まりますが、これは緩やかな登りで、思ったより早く中岳避難小屋が目の前に現れました。ひっそりと静まり返っている小屋の脇を過ぎると、中岳(魚無河内岳)の頂上でした。

ここも見晴らしの良いピークです。前岳(奥西河内岳)は目の前ですが、赤石岳はまだずいぶん遠くに見えます。まだ先が長いので、写真を数枚写して、ここは素通りしました。前岳の分岐にザックを置いて駆け足で前岳を往復し、荒川小屋に向かいました。荒川小屋まで400mほどを一気に下ります。少し下るとそれまでの砂礫地から高山植物が目に付くようになります。9月ですがまだ、白や黄色の花が目に付きます。心は惹かれましたが、先を急ぐため目をつぶるようにして歩きました。それでも、結局立ち止まって何枚か花の写真を写しました。


荒川小屋には予定より少し遅れて着きましたが、予定通りここで昼食を頼みました。昼食は麺類にしたかったのですが、麺類はカップヌードルしかないというので、カレーライスを頼みました。カレーライスができる間に水を補給しましたが、水場までは、往復10分近くかかります。今日泊まる赤石岳避難小屋では自炊するつもりですので、水は2リットル追加しました。水を汲んで来たらカレーライスができており、魔法瓶のお湯で作ったインスタント味噌汁をスープ代わりにしてカレーライスを食べましたが、カレーライスはカレーの味が良く効いていて思ったより美味く感じました。

きりの良い12時に荒川小屋を出発しました。水を追加したためかザックが重く感じられます。小屋の前には赤石岳まで2時間30分の導標が立っていたので、順調なら3時前に赤石岳に着くかもしれないと考えました。小屋を出るとすぐ樹林帯の中へ入り、意外にきつい登りが待っていました。大聖寺平までは緩やかな登りのはずが?と思っているうちに道は緩やかになり、樹林帯を抜けます。更に少し歩くと大聖寺平まで緩い登りがまっすぐ続いているのが良くわかるようになります。大聖寺平は岩石だらけの殺風景なところです。大聖寺平に着くと、右手から雲が沸いてきて上空に雲がかかるようになりました。見晴らしはきかなくなり、午後の雷が気になりますが、直射日光をさえぎってくれるので助かります。大聖寺平からいよいよ赤石岳の登りが始まります。最初は比較的緩やかな道が続き、やがて小赤石岳から延びている稜線の肩の3030mのピークへ登るきつい登りになります。25分歩いて5分休憩のペースを守って登りました。

目の前の壁がなくなったと思ったら小赤石岳へ続く稜線へ出ました。大聖寺平から1時間ほどかかりました。3030mのピークです。小赤石岳の向うに赤石岳が時折雲の中から姿を現しますが、まだだいぶ先に見えます。取り敢えず小赤石岳までと思い、先を急ぎました。小赤石岳まで小さなアップダウンはありますが、歩き易い道が続きます。視界がよければ素晴らしい景観を楽しめると思いますが、周りには雲が沸いており、時折前方に小赤石岳のピークが見えるぐらいです。小赤石岳に着くと前方が開けました。赤石岳まで、また一旦下り、上り返します。頂上で一休みして歩き出したとたん、雷鳥に出くわしました。鳴き声がしませんでしたので、気がついたら目と鼻の先、2mほどのところで雷鳥が3羽餌をついばんでいました。今年雷鳥を見るのは、仙丈ケ岳に続いて2回目です。

小赤石岳から下ってくると赤石小屋への分岐が現れ、そこから少し先で赤石岳の最後の登りが始まります。疲労感は増していましたが、スタミナ切れを起こすことなく一息で上りきりました。頂上についてみると、すぐ下に赤石岳避難小屋が見えますが、周りは雲が沸いていて、眺望は得られません。3時を過ぎてしまっているので、何枚か写真を写し、すぐ赤石岳避難小屋に向かいました。

赤石岳避難小屋に先客が一人居り、私が二人目の宿泊者でした。小屋へ着いて注文した缶ビールを飲みながら、先客と小屋番の3人でしばらく雑談をしてすごしました。夕食は当初アルファ米で作るつもりでしたが、あまり食欲がありませんので、カップ麺とインスタント味噌汁を作りました。それでも、全部平らげるのにフーフー言いました。食後、小屋番と先客と私の3人で消灯時間近くまで、話をして過ごしました。小屋番の話の中には、最近の登山者や山小屋経営に対する辛らつな話しが含まれますが、感情を交えずに淡々と話してくれるので毒気を感じられず、素直に耳に入ります。しばし、楽しい会話に浸りました。話の終わりに、今年小屋の周辺は、異常に雲が多く、日の出を見ることができたのは数えるほどしかなかったが、明日は久しぶりに日の出が見られそうだと、小屋番が言ってお開きになりました。今日の宿泊者は二人だけでしたので、お互いに部屋の隅に陣取り、眠りにつきました。以下悪沢岳・赤石岳(3/3)

「山の花」に写真を収録した花:
タカネマツムシソウシロバナタカネビランジアカイシリンドウトウヤクリンドウウメバチソウイワインチン

二軒小屋分岐 二軒小屋分岐
ここまで来るとまもなく森林限界
千枚岳頂上付近から見た赤石岳 千枚岳頂上付近から見た赤石岳
昨日は雨のため、ここで初めて赤石岳が眺められた
頂上には西から東へ、水の流れのような雲がかかっていた
この日赤石岳はこの後、雲に隠れたり、全体を現したりを繰り返した
千枚岳頂上 千枚岳頂上
頂上は強風が吹いていた
見晴らしはまさに360度さえぎるものが無く、素晴らしい
千枚岳から見た丸山と悪沢岳 千枚岳頂上から見た丸山と悪沢岳
千枚岳の頂上からはこれから向かう、丸山と悪沢岳がよく見える
ここから悪沢岳までは比較的緩やかな登りである
丸山 丸山
標高3032mで悪沢岳まではあと約100mの登りが残るだけ
だだっ広い広場という感じの山頂で、ここも見晴らしは抜群
時間さえあれば、のんびり昼寝でもしたくなる
塩見岳 塩見岳
丸山からは塩見岳とその後方に南アルプス北部の山々がよく見える
悪沢岳頂上付近 悪沢岳頂上付近
頂上近くなると赤茶色の岩稜の中を歩くようになる
古いガイドブックには”ラジオラリヤ板岩の堆積帯をたどり悪沢岳の頂上を踏む”とあるが、この赤茶色の岩がラジオラリヤ板岩で、この岩の色から赤石岳の名前がついたとのことである
悪沢岳頂上 悪沢岳頂上
頂上は岩が積み重なってそう広くはない
南ア南部の最高峰なので、当然見晴らしは素晴らしい
この日は写真の富士山をはじめ南ア中北部の塩見岳、北岳などが良く見えた
ブロッケンのお化け ブロッケンのお化け(御来迎)
悪沢岳の頂上を下り始めたとき現れた
これを見るのは実に?十年ぶりである
デジカメで旨く写るかと思ったが、意外にはっきり写っていた
中岳 中岳
ここから大きく下ってまた上り返す
頂上付近にある中岳避難小屋が良く見える
中岳避難小屋 中岳避難小屋
中岳の頂上間近に建てられている
この辺りから見るこの小屋は、周りの風景によく溶け込んでいる
中岳頂上 中岳頂上
ピークはあまりはっきりしていない
中岳避難小屋からだらだら登って、前岳分岐までだらだら下る道の一番高いところといった感じである
中岳避難小屋と悪沢岳 中岳頂上から見た中岳避難小屋と悪沢岳
悪沢岳が意外に遠くに見える
ここから見ると中岳避難小屋は、”避難小屋”というのがぴったりする
中岳頂上から前岳 中岳頂上から前岳方向
前岳は目の前で、その向うに三伏峠へ続く峰が延々と続いている
中岳頂上から赤石岳 中岳頂上から赤石岳
この日赤石岳の全貌を眺められたのはこれが最後
この後山頂は雲に覆われた
赤石岳は山頂から写真左方向に延びている尾根を登るのではなく、右側に延びている尾根を登る
前岳分岐 前岳分岐
前方が前岳へ、手前方向が中岳、左方向が荒川小屋
ここから前岳まで登りはほとんど無い
前岳頂上 前岳頂上
ここも見晴らしは素晴らしい
頂上付近にはトウヤクリンドウが沢山咲いていた
荒川小屋 荒川小屋
新しく、平屋建てのためか大きく感じられる山小屋である
昼食に頼んだカレーライスは案外美味かった
大聖寺平 大聖寺平
殺風景な感じの石ころの広場
ここに着いたときは日が翳っていて、賽の河原、殺生河原といった感じだった
ここから、赤石岳の本格的な登りが始まる
周りは結構雲が湧いてきており、この先の雷を心配したが、幸いこれは杞憂に終わった
大聖寺平から眺めた悪沢岳 大聖寺平から悪沢岳
荒川小屋から登ってくる道の先に、今日越えてきた悪沢岳が聳えていた
3033mのピーク 3030mのピーク付近から見た小赤石岳と赤石岳
ここまで来ると急登は終わりだが、赤石岳はまだだいぶ先に見える
小赤石岳頂上 小赤石岳頂上
晴れていれば眺望は抜群と思われるが、この日周りは生憎雲の中
子赤石岳から見た赤石岳 小赤石岳から見た赤石岳
一度下ってまた登る
折角ここまで登ったのにまた下るのかと、この下りがなんとも恨めしかった
雷鳥 雷鳥
3羽いたうちの2羽はすぐハイマツの中に隠れてしまったが、この1羽だけはいつまでも私を見ていた
赤石小屋分岐 赤石小屋分岐
うかつにも、ここへ来るまでこの分岐のことをすっかり忘れていた
秋しこや分岐付近から見た赤石岳 赤石小屋分岐付近から見た赤石岳
手前の小さなピークの向こう側に聳えていて、未だかなり登らなければならないように見えたが、ここから頂上まで、思ったほどは時間がかからなかった
赤石岳頂上 赤石岳頂上
頂上に着いたとき、頭上は晴れていたが、残念、周りは白い雲だけ
時間も午後3時を過ぎていたので、明日に期待して、早々に頂上を後にした
赤石岳避難小屋 赤石岳避難小屋表示板赤石岳頂上から見た赤石岳避難小屋
赤石岳頂上からはまさに指呼の間
”県営”とあったのでその理由を小屋番に聞いたところ、小屋は静岡県が建て、その管理運営を東海フォレストが行っているためとのことだった
東海フォレストが営業している南ア地区の山小屋はすべて同じ方式とのこと

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