剱岳・立山縦走 2010年8月27日 - 31日 テント縦走

8月27日 晴れ

3月に定期運行が廃止となって臨時急行になった「能登」で、上野から富山に向かう。全席指定だが、席は半分埋まったくらいだった。
それにしても、座席の夜行列車なんて何年ぶりだろう。眠れなくて焦った。焦れば焦るほど眠れない。これならバスの方がよかったかもしれないと後悔。深夜の高崎を過ぎればもう途中から乗ってくる客もいないとみて、空いている席に移動して横になった。それでようやく眠れた。

8月28日 曇り一時雨

剱岳
「能登」車中から剱岳遠望(05:30)
熟睡できないままで富山の手前の黒部駅あたりですっかり目が覚めてもう眠れなくなってしまった。外はよく晴れていて、山並みがよく見えた。異様にギザギザしているのが目指す剱岳だ。他の山とは明らかに形が違って、こんな離れたところから見ても登れそうにないと思える。

アルペンルートで室堂へ

剱岳
室堂に着いたときは剱岳は雲の中(09:54)
室堂
賑わう室堂と雲をまとった立山(10:03)
急行能登から富山地鉄への乗り換え時間は2分しかない。富山駅は5年ぶりだが、駅の構図は覚えていた。ダッシュすれば間に合うかもしれない。と思って走り出したらなんだかようすが違う。なんと建て替え中で、ホームが改札からはるかかなたになっていた。改札口も以前と全く違う、地鉄からはるかに離れたところにできていた。というわけで、地鉄富山駅に着いたときには立山行き急行はとっくに出発していて、跡形もなかった。やれやれ。
次の立山行き電車は1時間後で、がらがらだった。しかし立山駅に着くと物凄い人ごみが。みんなここまで車で来ちゃうのだ。次のケーブルに乗るにはなんと1時間待ちだという。のっけから前途多難だ。
臨時の8:50の便に乗り、美女平に着くとその先はバスがばんばん出ていて、待たずに乗れた。冷房のきいたバスは快適で、夜行の疲れも出てちょっとうとうとした。マラソン大会が行われていて、バスの脇をへろへろのランナーが走っていた。立山は雲に包まれていた。

10:27 室堂発(高度計:2440m)

地獄谷
刺激臭のキツい地獄谷(10:48)
テント場
雷鳥沢キャンプ場が見えてきた(10:59)
本日は剱沢へ向かう。予報では夕方から雨なので、早めに着きたい。室堂は日陰こそ涼しかったが、さすがに日差しがあると暑かった。
観光客にまみれて石畳の歩きにくい道を地獄谷へ下りる。室堂を歩くのは14年ぶりだが、この石畳の道がツルツルでとても歩きにくかったことをよく憶えている。
地獄谷では有毒ガス注意のアナウンスが日本語と中国語で延々と流れていてうるさかった。しかし実際に硫黄臭がキツくて時々むせた。こんなとこにいたら死んじまう。

11:04 雷鳥沢(2300m)

橋
あの橋を渡る(11:05)
道
直登ルート中腹の長い折り返しのジグザグにかかる(12:14)
テント場を過ぎて橋を渡り、斜面を登る。この先は未知の領域だ。新室堂乗越を経由するとラクそうで、そちらに進むつもりだったが、橋を渡ったすぐの分岐点に「大日岳方面」とあったため、そのまま見過ごして直登ルートに進んでしまった。気づいたときは後の祭り。まあどうせコースタイムは同じなわけだしいいや。
そういえばここのテント場って「雷鳥沢」だったっけ? テント場にある看板には「雷鳥平」って書いてあるけど、地図やら標識やらはみんな「雷鳥沢」になっている・・・

12:53 別山乗越(剱御前小舎)(2755m)

道
道が階段状になれば乗越まであともう少しだ(12:41)
剱岳
乗越から剱岳遠望:やっぱり雲の中だった(13:06)
この登りはなかなかキツかった。室堂あたりからも途中で長い折り返しのあるジグザグの道がよく見えるが、いざ歩いてみると、この折り返しのところではいったん緩くなるものの、その下も上もキツい登りだった。特に上の方では、いったん緩くなったあとだけに精神的に堪らなかった。小屋がかなり近づかないと見えないのも辛いところだ。
かなりひーひー言いながら乗越に着いた。ここから剱岳が見えるはずだが、この日は完全に雲の中。とりあえず小屋の日陰に入って休んだ。それにしても疲れた。たかだか500mの登りでこんなにバテるとはオレももうトシだわい、と思いながら歩いていたが、よくよく考えたら夜行明けでロクに寝ていなかったことに気づいた。

13:10 別山乗越発(2755m)

道
テント場に向かって剱沢源頭部を下る(13:14)
道
ミヤマアキノキリンソウの咲く道(13:27)
もうあとはテント場まで40分ほど下るのみ。まだ雨の気配はないのでゆったりと下りていく。もう8月も終わりだというのに花のきれいな道だった。ミヤマアキノキリンソウやアオノツガザクラなどが咲いていた。
途中ですれ違った人と話をすると、今日も8時過ぎには雲が出たので、明日アタックするならそれまでに山頂に着くように、少なくとも4時には出発した方がよいだろうというアドヴァイスを受けた。

13:49 剱沢キャンプ場着(2550m)

剱岳
日が暮れてから剱岳が姿を現した(18:38)
かなりゆっくり歩いたはずだが、ちょうど40分でテント場に着いた。相変わらず剱は雲の中だった。
サイトはかなり余裕があったので、じっくり選んでテントを張った。ひと休みしてから受付へ。テント場の管理は富山県で、管理棟には県警山岳警備隊も入っていた。
15時過ぎには予報どおり雨が降ってきた。テントでひと眠りしたら雨があがったので、夕食は外で作って食べた。夕食後、18:30を過ぎたころに雷鳴が。稲妻もバッチリ見えた。豪雨に備えてテントの守りを固めたが、幸いにも雷はそのまま遠ざかっていった。
この日のテントは50張り以上あった。かなり暗くなったころ、ようやく剱岳がうっすらと姿を見せた。この夜は星もよく見えた。明日の山頂アタックは晴れに違いない。
本日の最大高度は2,755m、最低高度2,285m、積算上昇450m、積算下降335m。
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