紅葉の大雪山(銀泉台・白雲岳) 2ページ目

9月23日 快晴のち曇り

前半(銀泉台 - 赤岳)からの続き

10:55 赤岳発(2035m, 9.3℃)

道
赤岳(左)から続く道とニセイカウシュッペ
登山道中の小突起といった風情の赤岳から小泉岳へと向かう。この強風では樹木も育たず、草が点々としているだけの荒涼とした道になった。赤岳までのピストンで帰る人が多いらしく、さっきまでの行列はなくなってかなり寂しくなった。
振り返るとニセイカウシュッペについていた雲がようやくとれたところだった。

11:17 小泉岳(2105m, 9.4℃)

旭岳
旭岳が見えた
岩ごろごろの歩きにくい道をだらだらと登って小泉岳に到着。山頂標識があった。ここでようやくトムラウシ山が見える・・・と思ったら、ちょうど雲に隠れるところだった。慌ててカメラのスイッチを入れたが遅かった。一方、旭岳・白雲岳はよく見えた。
大雪湖まで車で来ている人はここから緑岳を経由して高原温泉に下りるパターンが多いようで、小泉岳を過ぎるとますます人が減ってきた。ここから先は以前に歩いたことのある道で、なんとなく安心感がある。

11:30 白雲分岐(2065m, 8.0℃)

白雲岳
白雲分岐付近からの白雲岳
岩ごろごろの歩きにくい道をだらだらと下って白雲分岐に到着。トムラウシは姿を見せそうでいて、出てこない。片や、白雲岳は目の前に堂々とそびえていた。
白雲岳が防風スクリーンになってくれているせいか、分岐付近はたいした風ではない。分岐では、すでに白雲登頂を終えた人たちがのんびりと食事などをしているところだった。よくよく観察すると、北海岳方面の道には人影は見当たらなかった。やはりここからも高原温泉に降りる人が多いようだ。
分岐は通過して一気に白雲岳山頂を目指す。

11:55 白雲岳登頂(2185m, 14.1℃)

トムラウシ
ついに姿を現したトムラウシ
分岐から30分かからずに白雲岳山頂に着いた。快晴ではあるが、日が上がりすぎて光線の具合はあまり良くなく、景色は色褪せて見えた。
が、それでも旭岳は美しかった。白雲からの旭岳といえばなんといっても残雪の縞々模様が有名だが、この紅黄の縞々もなかなかよいではないか。
また、もう一方の主役であるトムラウシだが、10分もすると雲の間からその姿を見ることができた。逆光なのは時間的に仕方ないが、こののびやかな高根が原の広がりがたまらない。トムラウシはその後は出たり隠れたりを繰り返した。
岩陰に入って温かいカフェオレを淹れ、羽田空港で買ってきた青山で一番人気というチョコレートケーキで登頂を祝福したのだった。

12:49 下山開始(2185m, 10.9℃)

白雲平
アースハンモックの美しい白雲平
12:30をリミットに下りようと思っていたが、やはり長居してしまった。まあいつものことだ。
白雲平にある構造土の一種アースハンモックは、色が付いていて夏よりも見やすかった。道中、昨年見かけて気に入っていたオブジェのようなチングルマがすっかり紅葉しているのに気づいた。次に来たときにもこうして元気な姿を見せてほしいものだ。

13:13 白雲分岐通過(2080m, 11.8℃)

苔
午後の陽射しを浴びた苔が美しい
白雲岳
ベンチ付近から白雲岳を振り返る
往路同様、分岐は通過する。当初の予定では白雲を登り終えて分岐を出るのが13時だったので、15分オーバーしていることになる。この先は夏なら花畑がきれいですぐに立ち止まってしまうところだが、この時期なら花もなくて通過にさほど時間はかからない見込みだ。
案の定、中間地点のベンチまで30分たらずで到着。夏ならいくつか残雪を越えていくが、さすがにもうそんなことはなかった。この道でもきれいな苔を見つけた。
徐々に雲が増えてきて、トムラウシはおろか、旭岳も見えなくなってしまった。

14:08 北海岳(2090m, 7.6℃)

北海岳
北海岳の花畑が紅葉していた
花
秋もきれいな北海岳の花畑
北海岳直下の花畑が紅葉していてきれいだった。これはノーマークだったので嬉しかった。北海岳までは誰にも会わないだろうと思っていたが、何人かの人とすれ違った。荷物の大きさからして、白雲小屋に泊まるのだろう。
北海岳に着いた頃にはあたりはすっかりガスに包まれ、白雲岳さえも見えなくなってしまった。ベンチに腰掛けてはみたもののなにしろ風が強くて寒く、ちっとも休めないのですぐに出発した。歩き始めるとぱっと陽が射してきて、御鉢の紅葉がきれいに見えた。なんだかへんな天気だ。

14:53 北海沢出合

黒岳
チングルマと黒岳・桂月岳
苔
北海沢出合の苔
北海沢への下りの道は、旭岳の方から縦走してきた人が何人かいただけで静かだった。道中はなかなかきれいだった。午前中に通過すれば楽しめるだろう。しかしこの日は寒く、プロトレックは一時6℃を指した。腕につけてこの温度だから、実際の気温はもっと低いはずだ。
白雲の山頂からほとんど休んでいなかったので、ここでベンチに座ってゆっくりと足を休めた。ザックの外ポケットに入れていたペットボトルの中身は冷え冷えになっていた。

15:10 北海沢出合発

紅葉
一面のチングルマの道を行く
沢
赤石川を渡りきってから振り返る
ベンチを出て10分ほど歩くと赤石川の渡渉点。ちょっと心配だったが難なく渡れた。渡渉点には蛇籠が詰まれているが一番黒岳寄りのところが手薄で、くるぶしくらいまで水にもぐる感じだった。布の靴だったら浸水していただろう。また、こういうときはストックがあると安心して渡れる。

15:43 黒岳石室通過(1850m, 11.1℃)

道
紅葉に囲まれた登山道
赤石川からは紅葉に囲まれた美しい道を登る。この道は以前はひどかったが、きちんと整備されていた。V型にえぐれていて歩きにくかった道はU型になっていて、土留めがうまい具合に階段になっていた。土砂の流出もなさそうだし、それになにより歩きやすくなった。
ロープウェイの最終時間が気になってきたので、石室には寄らずに通過。すぐさま黒岳への登りにかかる。

16:03 黒岳着(1940m, 10.7℃)

黒岳
黒岳山頂が見えてきた
白雲岳
黒岳山頂より白雲岳を望む
黒岳山頂はスニーカー+ジーンズ姿の観光客が何人かいる程度で静かだった。普通の登山者はこんな時間には登ってこないのだ。我々が山頂に着いてから少しすると北側の沢の方から突然雲が湧いてきてすっぽりと覆われてしまった。観光客たちが残念そうな声をあげた。
山頂近くはウラシマツツジの紅葉が有名だが、もうほとんどが終わっていた。

16:18 黒岳発(1940m, 11.3℃)

紅葉
マネキ岩と紅葉
紅葉
紅葉の斜面と駒草平
下り始めると、すぐ真下に紅黄葉の斜面が広がっていた。残念ながら今は夕方で黒岳自身の陰に入ってしまっていたが、それでもじゅうぶんきれいだ。こりゃ午前の光で見たらさぞや素晴らしいだろうと思った。6年前に歩いたときもきれいだった記憶があるが、あのときは雲が多くて、これほどとは思わなかった。

17:14 黒岳7合目着(1495m, 13.4℃)

道
紅葉の中の道を下る
道はよく整備されているが、あちこちで結構ぬかるんでいる。霜柱が融けたものだろう。どろどろがひどくなると7合目は近い。そしてコースタイムをちょっとオーバーして7合目リフト駅に到着。営業終了のわずか15分前だった。
当初はこのあとも5合目ロープウェイ駅まで歩いて下りるつもりだったが、ロープウェイの最終が18時と時間ぎりぎりな上に薄暗くなってきたので、リフトを使うことにした。リフトに掛けて寛ぎながら下っていくと、あたりは見る見るうちに暗くなってきた。リフトのあとロープウェイ駅まで数分歩くが、その遊歩道で照明が点いた。
こんな時間で暗くなっていてはロープウェイは貸切状態だろうと思っていたら、中国人らしき団体客がわんさか集まっていた。車内のアナウンスも日本語・中国語が交互で、いったいどこの国にいるんだかわからなくなってきた。
層雲峡に降り立ったのは17:50、ホテルに戻ったのは18時を過ぎて、すっかり暗くなっていた。

ホテル大雪2泊め

この日は前日と違うプランでの宿泊で、夕食は部屋食となった。食事には、ホテルの売店で買ったシャトーふらのというトゥルガウ系のワインと合わせて飲んだが、これがカニにぴったりで美味かった。
昨夜はあまりに寒かったので、この日は暖房のスイッチを入れて寝た。

9月24日 晴れ

黒岳
黒岳が見えた(左のぎざぎざがマネキ岩)
帰りの飛行機は午後一の旭川便が運良くとれたので、今日は半日かけて旭川空港へ行くだけだ。
のんびりと朝湯につかったりして朝食を済ませてからチェックアウト。バスターミナルに向かう途中で黒岳の山頂が見えた。マネキ岩もはっきりと分かる。遠目にも色づきがよくてきれいだった。
8:40のバスで旭川へ。旭川では空港行きのバス停が大混雑していておったまげたが、近づいてみるとその隣の乗り場の動物園行きの行列だった。動物園行きバスはまるで通勤ラッシュのようだった。空港行きは二人ばらばらだったが座れた。
空港に着いたのは11時。飛行機が出るまで2時間もある。寿司を食べたり、土産を買ったり。お気に入りの上ふらの地ビールにもありつけた。空港からは旭岳からトムラウシ・十勝連峰まで完璧に見え、感慨もひとしおだった。
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