紅葉の大雪山(銀泉台・白雲岳) 2007年9月23日 一般旅館利用

9月22日 快晴

層雲峡へ

大雪
鈍行列車の車窓から大雪山を眺める
旭川行きの飛行機は満席だったので千歳便に乗った。動物園人気のせいか、旭川便は明らかに予約がとりにくくなっている。6年前はお盆の時期でもがらがらだったのに。千歳からは快速エアポート・特急スーパーホワイトアローで旭川へ。車窓には、北海道らしいでっかい空が広がっていた。
旭川駅で駅弁を買って上川行きの鈍行に乗り換え。たった1両のディーゼルカーは、右手に大雪山を眺めながらとことこと進んでいく。並行する国道を走る車の方が速いところに旅情を感じてしまう。上川始発のバスに乗り、層雲峡に着いたのは15:30。温泉街を流れる川は前日の豪雨のためか、カフェオレ色の濁流となっていた。今回のコースに組んでいる赤石川の渡渉地点は大丈夫だろうか、心配になってきた。
セイコーマートで翌日の山行のための飲み物と非常用にライターを買い、ビジターセンターに情報収集に向かった。センターで聞いた話では、なんでも前日に高原沼で熊が出たとかで、慌てて逃げようとした人がすっころんで骨折したのだそうだ。赤石川は明日には水は引くのではないか、ということだった。肝心の紅葉は、今年は18日がピークだったとかで、ちょっと葉が落ち始めているけれどもまだまだ楽しめるだろうと言われた。

ホテル大雪

宿泊はホテル大雪。ここに2泊して、中日に銀泉台から黒岳を日帰りで歩く。ここを選んだのには訳がある。銀泉台行きのバスの始発は層雲峡ターミナルではなくて、「ユースホステル前」。ホテル大雪はその目の前にあるのだ。バスは混むだろうが、始発からだったら座れるに違いない。
ホテルには3種類の風呂があり、どれも広くて気持ちよかった。紅葉が温泉街にまで降りてくれば、素晴らしい眺めになるだろう。
この夜の夕食は和洋創作懐石コースとかで、レストランでいただいた。和物のおかずの方が我々の口には合った。翌朝は早いので、朝食は弁当を頼んでおいた。

9月23日 快晴のち曇り

4時半起床。部屋の温度は19℃で、浴衣とふとん1枚ではちょっと寒かった。あとで知ったのだが、この朝の層雲峡の気温は1℃まで下がったそうだ。フロントで朝食弁当を受け取り、部屋で食す。弁当はおにぎり2個と、やきそばやらコロッケやらのおかずだった。油物があとで胃にもたれてきた。手早く済ませてから部屋を出る。宿の部屋には電気ポットがなかったので、フロントにお願いしてテルモスにお湯を詰めてもらってから、出発。
バスは予想以上に混んでいて、座席の半分以上は埋まっている感じだった。バスターミナルで空席は全て埋まり立ち客も出た。そして大雪湖レイクサイドから大勢の人が乗ってきてぎゅうぎゅうになった。それから30分で超快晴の銀泉台に到着。

7:37 銀泉台発(高度計:1465m, 温度計:16.8℃)

銀泉台
銀泉台登山口と紅葉
紅葉
天下の銀泉台の紅葉
閉鎖された銀泉台ヒュッテの脇が開いていて、登山指導所になっていた。きれいなトイレで用を足し(男性用も個室は行列だった)、ホースから出ている豊富な水をいっぱいに汲んでから歩きだす。ヒュッテの裏手から紅葉が見え、期待は否応なしに高まる。
ヒュッテを出てみんな真っ直ぐに林道を行くが、実は左手にショートカットの道がある。10分ほども行くと斜面に出て、素晴らしい紅葉を見渡すことができた。確かによく見ると落葉している枝も見えるが、気にならない程度だ。逆に、それまでは少なかったという黄色が増えたので、派手さが増している。赤だけの最盛期よりも、ちょっと落ち目でも黄色が混じっていた方が彩りもよくてきれいなのではないだろうか。と、いろいろ考えたが、なんにしてもこの天気が最大の立役者だろう。5年前に見た銀泉台の紅葉はどん曇りで、まったく引き立たなかった。

8:15 第一花園(1625m, 22.9℃)

道
紅葉の道を行く
第一花園
第一花園から紅葉の谷を見下ろす
道は融けた霜柱でぐちょぐちょで、そこに三脚を構えたカメラマンたちが行列を作っているもんだから歩きにくくてしかたない。広い谷状になっている斜面をトラバースして進み、向かいの尾根を回り込むと、第一花園の看板があった。ここもまた素晴らしかった。歩いている人たちはみんな口々に「きれい」を連発している。唯一残念なのは、これだけ晴れ上がっているのにどういうわけか正面のニセイカウシュッペにだけ雲がべったり張りついていることだった。

8:43 第二花園(1695m, 18.9℃)

第二花園
第二花園を行く
苔
見事なコントラストの苔と岩
トラバースが終わってちょっとだけ登ると樹間の小広場があって大勢の人たちが休憩していた。それから紅葉のトンネルの中の平坦な道を行き、開けたところが第二花園だ。ここでは紅葉よりもあざやかで肌理が細かい苔が印象深かった。
道が先まで見渡せて、大勢の人が先を歩いているのが見えた。緩やかな斜面に列をなして歩いていくさまは東北地方の巡礼の山を思わせた。

8:56 奥の平(1740m, 16.5℃)

奥の平
奥の平でちょっと休憩
道
紅葉の道を行く
その緩やかな斜面を登りきったところが奥の平。小さな窪地で、周囲の壁は紅葉に彩られ、その上に広がる空がすがすがしい。道はこの斜面を斜上していく。

9:14 駒草平(1785m, 12.9℃)

道
第三雪渓(左上)を目指して駒草平を行く
第三雪渓
鞍部から見た紅葉の第三雪渓
登りきって平らになると駒草平。ここでようやく第三雪渓が見えた。雪渓とは言ってもすでに雪は消え去っている。
そしてここで一気に風が強くなった。コマクサが好んで咲くというのだから、まあ当然と言える。これまで長袖のTシャツ1枚だったが、ここでウールのシャツを上に着た。
駒草平の先で道はほんのちょっぴり下り、また第三雪渓に向かって登りに転じる。この鞍部のあたりが紅葉のトンネルになっていて、近景と遠景両方が色づいているのできれいだった。道が人ひとり分くらいの幅しかなかったが、もうちょっと広かったらまたカメラマンが大勢陣どってしまうのだろうと思った。

9:47 第三雪渓取り付き(1830m, 16.7℃)

道
第三雪渓の登りを振り返る(左下の大岩あたりが水場)
第三雪渓はガレ場の登り。これまでの緩やかな道と違ってちょっと本格的な登りだ。途中で振り返ると、まるで北アルプスのような登山者の行列ができていた。

10:10 第四雪渓

紅葉
自然が作り上げた庭
紅葉
赤と黄が混じってまるで花畑のようだ
第三雪渓を登りきるとまたまた平らになって、その上あたりが第四雪渓なのだろう。ここの斜面は岩とハイマツと紅葉・黄葉がバランスよく混在して庭のようだった。

10:37 赤岳着(2040m, 10.9℃)

道
第四雪渓の斜面を見下ろす
道
もうすぐ赤岳だ(中央・北鎮岳、右・凌雲岳)
第四雪渓を登りきると稜線に出て、ザックが煽られるほどの強風に見舞われた。すぐそこに赤岳のゴツゴツした山頂が見えて、大勢の人が陰で風を避けながら休んでいるのが見えた。体感温度はもちろんだが気温じたいが明らかに下がった感じで、前日の雨の名残の水たまりもすっかり凍りついていた
我々も岩陰にザックを降ろして座り、カッパを羽織って耳宛てを着け、テルモスのお湯を飲んだら少しほっとした。風がなくて暑くなる可能性も考え短パンも用意してきたが、この日は登山ズボンでも寒いくらいだった。秋山はほんとうに難しい。
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