中央沿線・百蔵山 2005年2月26日 日帰り

2月26日 晴れのち曇り

中央線を乗り継いで猿橋へ。この時期の早朝の中央線は車内がムチャクチャ寒い。猿橋駅では我々以外に電車を降りたのはわずかに2人だけだった。
とにかく寒かった。気温はおそらく0℃に近かったのではないだろうか。この日は上半身はブレスサーモのアンダーシャツ、ウールのシャツ、ゴア・ウィンド・ストッパーのジャンパーで、下半身はアンダーパンツとジャージタイプのパンツという格好で、ちょっと止まっていると寒いくらいだった。

7:02 猿橋駅

百蔵山
早朝の百蔵山
岩殿山
白く染まった岩殿山
駅を出てまっすぐに歩き国道に出ると、すぐ右にセブン・イレブンがある。ここで行動食のチョコ類と、カップラーメンを購入。トイレを借りたりして、出発は7:28になった。ちなみにこの先、トイレはなかった(と思う)。
セブン・イレブンの角から左(北)に曲がり中央高速に向かって橋を渡る。目の前には百蔵山が標高1,000mの低山らしからぬ堂々とした風貌で構えている。我々の100mくらい前を単独の登山者が写真を撮りまくりながら歩いていた。

7:54 市営総合グラウンド

富士山
今日初の富士山
舗装路をひたすら登る。意外に車が多く通る。
この登りがなかなかキツい。それもそのはず、舗装区間の標高差は実は300mもあるのだ。山道ならばゆっくり歩くところだが、舗装路だとついつい足が速くなってしまい、余計に疲れる。
あえぎながら総合グラウンド着。ふりかえると富士山が見えた。夏の間はこのあたりまでバスが運行されているようだ。ジュースの自販機があり、買い忘れたらここで補充も可能。ちなみに自販機はこのあと、町工場の敷地にも1台発見した。

8:22 登山口(高度計:565m, 温度計:-0.2℃)

梅の花
梅の花に雪が積もっている
登山口
ひっそりとした登山口
道端の、すでに花を咲かせている梅にも雪が積もっていた。登山道にも雪が積もっているに違いない。
浄水場のトンネルをくぐりぬけ、カーブを曲がるとひっそりと登山口の標識が立っていた。ここから山道へと入る。振り向くと浄水場越しに富士山が見えた。そしてこれがこの日最後の富士山となったのだった。
靴紐をしめなおし、スパッツをつけて雪道に踏み出す。足跡はなかった。我々が今日最初の訪問者のようだ。

8:42 撤退(640m, 1.1℃)

登山道
雪の登山道
撤退地点
撤退地点のようす
雪はくるぶしまで埋まる程度だった。ふっかふかの極上パウダーだ。道は一直線に登っていく。15分ほど登ると右にゆるくカーブするが、その先に倒木が。誰も乗り越えた形跡はない。倒木上の雪を払いのけてなおも進んだが、両脇の木が道に垂れかかり、行き先は不明瞭だ。誰も歩いていないのも不安をあおる。
ということで、撤退することに決めた。
登山口に近くなった頃、男性がひとりやってきた。道の状況を説明すると「とりあえず行ってみる」ということで、別れた。

8:51 再び登山口(560m, 1.7℃)

登山口から車道を西に向かい、西側のコースから登ることにした。往復で30分程度のロス。早く決断してよかった。
すぐに公園のようなところがあった。「使用禁止」の張り紙のある遊具ばかりだ。ここにトイレがあるかも知れないと思ったが、ちらっと見た限りでは確認できなかった。
いつの間にか空は曇っており、富士山は胴体だけになっていた。まあ全体はさっき見たし、新雪歩きも楽しめたのでよしとしよう。

9:04 西側登山道入り口(610m, 3.1℃)

登山道
林の中の道
和田美術館・大山祇神社を過ぎ、再び和田美術館の裏手に来ると西側の登山道の入り口。すぐに、ちょっと緊張する崩壊気味の斜面があって、そこを過ぎると林の中の斜面をジグザグに登るようになる。足跡が一人分だけついていた。おそらくセブン・イレブンのあたりで見かけた単独の登山者のものだろう。
道は小石が転がっているような道で、その小石がちょうど隠れる程度の積雪があるためちょっと神経を使った。融けているのか、それとも風のせいか、木に積もった雪が時折はらはらと落ちてくる。それが服に積もるが、気温が低くて融けずに積もったままだ。

9:45 明るい尾根に出る(825m, 3.2℃)

尾根
尾根の道
唐突に支尾根に出た。木がまばらになり明るい。日が当たるためだろう、雪がない区間がしばらく続いた。残念ながら、やはり富士山の眺望はなかった。

10:00 葛野への分岐(920m, 3.2℃)

雪の道
山頂直下、雪の道を登る
分岐で明確に方向を東に変え、尾根上を進む。雪が吹き溜まるのだろうか、くるぶしから脛の中ほどまで埋まるようになった。先行者の足跡はいつの間にか4本爪くらいの軽アイゼンの跡がついていたが、我々はアイゼンの必要を感じなかった。ストックがあれば充分だ。
久々の山歩きで相棒が疲労しているようだったので、先行者の足跡を踏むのをやめ、ラッセルしながら進んだ。下から眺めたときは稜線はなだらかに感じたが、思ったよりは斜度があった。

10:22 百蔵山頂(1025m, 3.7℃)

山頂より
百蔵山山頂から富士山
山頂
山頂標識と桜の木
頂上には誰もいなかった。富士山は胴体の右半分だけが見えている感じで、頭は完全に雲の中だった。猿橋駅の裏の高台に開発された宅地が痛々しい。この距離からだとまるで公園墓地のようだ。
倒木に積もった雪を払ってその上に座り込み、カップラーメンを食べたりしながら富士山が再び全身をあらわすのを待った。
あまり人もやって来ず、のんびりできた。

11:25 下山開始(1045m, 10.3℃)

太陽は雲に隠れたり、出てきたりを繰り返した。富士山は、さっき山頂に到着したときよりもさらに雲の中に隠れていった。これ以上回復しないだろうと考えて、下山することにした。
下山には東側コースをとることも考えた。登山口で会った単独男性が登ってきていれば道は開けているはずだ。しかしこの山頂では彼の姿は見当たらなかった。それに、ロープを伝うような急斜面があるとも聞いている。そこで、危険は避けることにして往路をそのまま下りることにした。何人か登山者がやってきたが、皆この頂上は通過していった。扇山へ縦走するのだろう。

11:39 分岐(920m, 4.7℃)

登山道
アイゼン団子で雪が剥げた登山道
下ってみると、人がトレースしたところは雪が剥げて地面が露出していた。おそらくアイゼン団子で雪をひっぱがしてしまったのだろう。雪が地面まで剥がれるということは、根雪はないのだろうと思った。ということは、一晩でくるぶし上くらいの雪が積もったということか。
分岐から下っていくと、斜面の雪はとけはじめていた。ぬかるんで歩きにくい。

12:18 西側登山道入口(610m, 1.9℃)

岩殿山
朝とはまったく色が違う岩殿山
和田美術館の裏手からは舗装された道を下る。こちらの方が朝歩いた浄水場の道よりも急だ。当然、歩きにくい。
道の途中から見た岩殿山は、木に積もった雪が融けてしまったのだろう、朝の白いイメージとは全く違っていた。
まだ昼なので、日本三奇橋のひとつの猿橋を見に行く。名物の忠治そばも楽しみだ。

13:09 猿橋(335m, 8.1℃)

猿橋
日本三奇橋・猿橋(名勝)
猿橋は橋桁がなく、両岸から木を差し出すようにして組んであり、釘を一本も使っていないという。国の名勝に指定されている。付近の公衆トイレの洗面所の鏡にこの組物の図面がある。トイレの建物も橋がモチーフになっている。
さて、猿橋の目の前にある大黒屋。ここは国定忠治ゆかりの店ということで、名物は忠治そば。馬肉の竜田揚げがついている。この竜田揚げが激ウマ。それほど獣くさくなく、ほのかに香る程度。なんだか昔給食なんかで食べた鯨の竜田揚げを思い出した。そばは更科でさっぱりしていた。
ほかにそばがきと、馬肉の山椒串焼きを食べた。そばがきは普通の冷つゆと、揚げだしの温つゆ、味噌つきの3種類。揚げだしが美味い。味噌は辛かった。
ビールで気持ちよくなって、満足して店を出た。

15:01 猿橋駅

猿橋駅
猿橋駅
猿橋から駅までは国道20号線を歩いて帰った。川沿いに歩けそうな気もしたのだが、迷うのもイヤだったので、確実な道を選んだのだ。そして、国道沿いの長谷部酒店という酒屋で、レアものの山梨ワインを3本買った。若い熱血店主の酒屋だった(実はワインアドヴァイザー全国大会準優勝という経歴があるらしい)。店で話していてわかったのだが、この店主は、先ほどの大黒屋で我々のふたつ隣のテーブルでそばを食べていた人だった。川沿いに歩いていたり、バスを使ったりしていたら、この店・このワインを知ることはなかっただろう。縁は異なもの、という言葉を思った。
猿橋駅の駅舎は猿橋をモチーフにしている。駅前は閑散としていた。東京行きの電車もがらがらだった。
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