尾瀬沼テレマークツアー 2ページ目

4月28日 晴

早稲沢付近からの燧ヶ岳
早稲沢付近からの燧ヶ岳
小屋の朝食は6:30から。5:30に起床してすぐ出発の準備をする。食事中、イワツバメの大群が食堂の窓から見えた。小屋の軒下に巣をつくっているのだ。なんともやかましいような、かわいいような。
小屋のスタッフに、今日は大江山方面に行くことを告げ、コースのアドヴァイスを受ける。その後、8時ちょっと前からスキーを履いて散策。三平下方面へ向かう。すばらしい天気だ。途中、早稲沢あたりからの燧の眺めが美しかったので、写真を撮ったりしてしばらくいた(ぐるぐる写真)。ウォーミングアップにもちょうどよかった。

8:54 長蔵小屋発、登高開始(高度計:1550m, 温度計:13.7℃)

檜高山の斜面
檜高山の斜面
小屋に戻り、シールを貼って出発。まずは小淵沢田代を目指す。小屋のスタッフによれば、最初夏道をたどり、それから檜高山左手の鞍部を目指せばわかりやすいという。夏道は木に赤ペンキで印がしてあるが、すぐに赤ペンキは左に逸れていってしまった。コンパスどおりに南東へと単調な雪壁を登っていく。斜面を直登するとそのまま南に流れてしまうのでこまめにコンパスを確認する。
40分ほども登ると左側(北側)が谷のようになってきた。これはひょっとするとそのまま鞍部につながるかもしれないと思い、若干軌道を修正した。すると思ったとおり傾斜がゆるやかになってきた。

9:57 檜高山のコル(1710m, 10.5℃)

ほとんどなだらかになったところが鞍部だ。樹林帯で眺望はない。東側が明るかったので進んでみると、林が一部開け、日光白根山が見えた。

11:09 小淵沢田代(1765m, 19.8℃)

小淵沢田代から日光白根山
小淵沢田代から日光白根山
シールをはがして小淵沢田代方面へ滑る。しかし、トラバース気味に進まなければならないところをちょっと下ってしまった。おかげで谷に入り込みどツボにはまってしまったが、うねる斜面をどうにか乗り越えて、小淵沢田代に到着。
小淵沢田代にはまったくトレースが見当たらなかった。日差しが強いので木陰に入り、相棒は再びシールを貼る。これから兎田代まではわずかだが登りである。

兎田代

兎田代
兎田代
林間をわずか10分ほども登ると兎田代に到着。かつりんはシールなしでも登れた。意外にも広々とした雪原が広がっており、真ん中に出てみると、思いがけず燧が見えた。なかなか雰囲気のよいところだった。
相棒が今度はシールをはがし、北へ進む。最初はほとんどトラバース。きっちりと太陽を背にして歩く。木がこんでいて、なかなか歩きにくい。少しすると下り始める。鞍部が近くなった証拠だ。このあたりから巨木が多くなり、樹間は少しだけ広くなった。

12:06 大江山(1775m, 20.3℃)

大江山から至仏山
大江山から至仏山
鞍部からの登りはごく緩やかで、登りの苦手な相棒もシールなしで登ってきた。途中で林が開け、湿原ではないかと思わせるところが山火事跡。そこで進路を北東に変えるとわずかで大江山の山頂に着いた。
山頂は樹木が多くあまり眺望はないが、燧と至仏が両方とも見えた。
今日はここでゆっくりすることに最初から決めていたので、おでんなどを食べて大休憩。

12:56 大江山発(1755m, 13.7℃)

皇太子ゲレンデ下部
皇太子ゲレンデの下の方に出た
大江山を出発。鞍部に戻り、鞍部から西へ下り大江湿原を目指す。木が少々うるさいが、快適な滑りが続く。
が。ちょっと急になってきたなあと思ったところで耳をすますと、なんと沢の音が聞こえてきた。沢をそのまま下りればラクだと思っていたのに、これは予想外だった。地図とにらめっこして、そこから北に向けてトラバースすることに決定。しばらく進むとようやく斜面が緩やかになってきたので滑り降りると木が途切れた広い場所に出た。見上げるとスキー場の中上級くらいのオープンバーンがあった。皇太子ゲレンデの下の方に出てきたのだ。これで一安心。

13:49 大江湿原(1555m, 16.9℃)

大江湿原
大江湿原には誰もいなかった
皇太子ゲレンデから続くシュプールを追うとすぐに林を抜け出て、見渡す限りの雪原の端に出た。大江湿原だ。最盛期には観光客で行列のできるところだが、今は我々二人だけだ。なんとも贅沢な気分になって、湿原の真ん中でココアを淹れてゆっくり休んだ。

14:47 長蔵小屋着(1545m, 18.6℃)

大江湿原を行く
大江湿原を行く相棒K
大江湿原は細長く、うんざりするくらい歩いてようやく長蔵小屋に着いた。今日は一日誰にも会わなかった。
到着が思ったより早かったので、またしても早稲沢まで散策することにした。朝と違う光の燧を見たかったのだ。しかし小屋を出てすぐに雲が出てきた。これじゃあちょっとなあ。近くにいたカメラマンの舌打ちが聞こえた。

4月29日 晴

朝日を浴びる燧ヶ岳
朝日を浴びる燧ヶ岳
今日もすばらしい天気だ。イワツバメが6:45になると突然飛び回りだした。今日もすさまじい活動量だ。春なのだ。

7:26 長蔵小屋発(高度計:1530m, 温度計:14.6℃)

長蔵小屋
長蔵小屋
泊り客も少なく、今日は小屋前のにぎわいもそれほどではない。ちなみに長蔵小屋は8時までに部屋を空けなければならない。結構忙しいのである。

7:59 三平下着(1530m, 13.5℃)

三平峠への道
三平峠への道
三平下に到着。写真を撮ったりココアを飲んだりしてしばらくのんびりとする。やはりこの三平下からの燧ヶ岳の眺めはすばらしい。
峠の方を見上げるとかなりの急坂だ。相棒は板を担ぐことにした。シールをつければ登ることは容易いだろうが、今日は下山するので、なるべくならシールを濡らしたくないからだ。かつりんは行けるところまでそのまま登って、行き詰まったら板を外すことにした。

8:07 三平下発(1540m, 16.4℃)

尾瀬沼
登りの途中で尾瀬沼を俯瞰する
登り口は夏道でなはく、取水小屋からにするとラクだ。登りの途中で振り返ると尾瀬沼が美しかった。大江湿原の落葉松もくっきりと見えた。尾瀬沼との別れを惜しみ、何度も振り返りながら登っていく。
周りのツボ足の人たちは登りがたいへんそうだが、スキーは快適だった。春の湿雪をウロコが捉え、シールなしでもぐんぐん登っていけた。

8:30 三平峠(1625m, 11.3℃)

あっという間に峠に着いた。結局かつりんはシールなしのまま登りきることができた。時間が早いので、三平峠の上のピークに寄ることにした。相棒もここで再び板を履く。
頂上の方からシュプールがいくつか伸びてきていた。果たして展望はあるのだろうか。

8:43 三平峠上のピーク(1660m, 13.4℃)

燧ヶ岳と平ヶ岳
燧ヶ岳と平ヶ岳
わずか10分ほど登るとピークである。登りの途中から会津駒ヶ岳が木の間から見え、振り返ると小至仏が。残念ながら至仏山本峰は見えなかったが、山頂まで着くと思いがけず平ヶ岳が見えた。気分よく、ココアを飲んでしばし展望を楽しんだ。

8:52 三平峠(1630m, 13.3℃)

なだらかな斜面を気持ちよく滑って峠へ。

9:04 急坂上(1565m, 11.6℃)

峠からはそのままスキーで夏道沿いに行く。ツボ足で踏み固められたところはつるつるで怖いので、ちょっと脇の林を抜けていった。急坂の上でザックを下ろし、またまたココアを飲んで休む。
ここで板をザックにくくりつけ、急坂を下りる。

9:39 林道出合(1470m, 13.5℃)

急斜面のトラバース
急斜面のトラバース
急坂は難なくクリアできた。林道との出合で再びスキーを履く。雪の林道をスキーで下るのだ。
が。最初の急斜面のトラバースで相棒がちょっとびびってしまい、なかなか進まない。ついにはエッジを空回りさせてしまい2mほど滑落。まあ、落ちたところで道路脇でちゃんと止まるのだけど。

10:30 一ノ瀬(1335m, 20.5℃)

林道
日光白根山を眺めながら下る
恐怖のトラバースは意外に長く続いたが、そのあとは普通の閉鎖林道となった。正面に日光白根山を眺めながらのんびりと下る。途中雪が途切れているところが3ヶ所あった。板を担いだまま夏道を下りた方が圧倒的に早かったに違いない。
一ノ瀬には一般観光客も散策に来ており、スキーで滑り降りてきた我々を奇異の目で見ていた。

11:28 大清水(1145m, 26.6℃)

除雪された林道
日光白根山を眺めながら林道を歩く
スキーを脱いで担ぎ、大清水へ。一ノ瀬付近からは日光白根山も見えたがそれもちょっとの間で、道路脇の雪も徐々に少なくなってゆき、やがて完全になくなると大清水は近い。道中すれちがったのは、登山者よりも観光客が圧倒的に多く、春の到来を感じさせた。
そして大清水に着いてみると・・・やはり、大型観光バスのラッシュ。「東洋のナイアガラとミズバショウツアー」とかなんとか銘打って、そりゃまたすごいのなんの。Tシャツ姿も多いが、そんな中をスキーを担いで現れた我々はまったく場違いで浮き上がっていたのだった。
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