薬剤の分類 | 薬剤名(商品名) | 投与量/日 | 投与経路 | 投与時間・方法 | 特 徴 |
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抗鬱薬 | アミトリプチリン (トリプタノール) | 10〜75 mg | 経口 | 眠前(分3) | 皮膚表面の 違和感に効果 |
抗痙攣薬 | カルバマゼピン (テグレトール) | 100〜 800mg | 経口 | 眠前(毎食後) | 電気が走るような痛み、 刺すような痛みに効果 |
クロナゼパム (リボトリール) | 0.5〜1mg | 経口 | 眠前 | ミオクローヌスに著効 | |
ステロイド | ベタメタゾン (リンデロン) | 2〜4mg | 経口 静注,皮下注 | 朝・昼食後 点滴内 持続注入器内 | 食欲増進,倦怠感の 改善に効果あり |
ヒドロコルチゾン (ソル・コーテフ) | 500〜 1000 mg | 静注 | 点滴 | 神経圧迫に効果, 3〜5日投与し漸減 | |
抗不整脈薬 | メキシレチン (メキシチール) | 150〜300 mg | 経口 | 毎食後 | 副作用は少ない, 発疹に注意. 重篤な副作用に移行 |
リドカイン (キシロカイン) | 500〜 1000mg | 静注,皮下注 | 持続 | 副作用は少ない | |
NMDA受 容体拮抗薬 | ケタミン (ケタラール) | 50〜300mg | 静注,皮下注 | 持続 | 眠気、悪夢の副作用 に注意 |
治療対象 | 治療目的 | 対象(例) | 必要な対応 | 必要なケア |
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骨転移 | @疼痛・コントロール A骨折 B神経症状(麻痺) | 薬剤による疼痛緩和が困難な場合 荷重骨・溶骨性転移 脊髄圧迫 | 薬剤による疼痛対策 骨折.予防(装具など) 荷重軽減(歩行器・杖など) | 危険防止・転倒対策 荷重軽減のためのアドバイス 症状に合わせた介助の検討 |
脳転移 | @神経症状 A脳圧亢進 | 麻痺・歩行困難・感覚障害・複視・視野欠損・失調など 頭痛・吐気・複視・意識障害など | 痙攣対策 脳圧亢進対策 (ステロイト・浸透圧利尿薬) | 危険防止・転倒対策 症状に合わせた介助の検討 |
気道狭窄 | 咳嗽 呼吸困難 肺炎 | 気管 気管支 | 鎮咳剤・去痰剤 酸素 肺炎対策 | |
血管狭窄 | SVC症候群など | 上大静脈 | 酸素 浮腫対策 | |
疼痛 | 腫瘍増大 神経浸潤 | 薬剤による疼痛対策 | ||
通過障害 | 腫瘍増大・浸潤 | 食道の通過障害 尿路の通過障害 腸管の通過障害 | 食事の工夫・経管栄養 尿路の確保 ドレナージ | |
出血 | 腫瘍増大・浸潤 | 頭頚部の病巣よりの出血 食道・消化管よりの出血 気道よりの出血 尿路・膀胱よりの出血 子宮よりの出血 | 薬剤による出血対策(アドナ・トランサミンなど) 圧迫止血 |
副作用 | 症状 | 対策 | 必要なケア | 備考 |
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皮膚炎 | Grade 1 : 淡い紅斑または乾性落屑 Grade2 : 中等度または鮮明な紅斑、 または斑状の湿性落屑、 中等度の浮腫 Grade 3 : 直径≧1.5 cmで間擦部に 限局しない融合性の湿性 落屑、圧痕浮腫 Grade 4 : 真皮全層の皮膚壊死また は潰瘍、外傷や擦傷によ らず自然に生じた出血 | 照射部位の説明 (皮膚マークの位置 が照射部位とは 限らない) 軟膏処置 ステロイドの適切な 使用 | 皮膚の保護と刺激防止 清潔の確保 クーリング 間擦部の保護 | Radiation recall reaction 照射想起反応 (化学療法後、以前放射 線を照射した部位に、 追加照射がなくても 生じる) |
粘膜炎 | Grade 1 : 粘膜の紅斑 Grade 2 : 斑状の偽膜性反応 (一般に直径≦1.5cmで 融合しない斑状病変) Grade 3 : 融合した偽膜性反応 (一般に直径>1.5cmで 融合する斑状病変) Grade 4 : 壊死または深い潰瘍、小 さい外傷または擦傷に よらない出血 | 照射部位の説明 含嗽 粘膜保護剤 疼痛コントロール | 含嗽指導 清潔の確保 刺激を避ける工夫 食事の工夫 排泄の工夫 | |
血液への影響 | 白血球減少 血小板減少 貧血 | 適切な間隔での 血液検査 | 感染対策 出血対策 | 放射線治療のみでは、 高度な減少となること は少ない |
放射線宿酔 | 倦怠感 食欲低下 嘔気 | 静脈内輸液 経管栄養 経静脈栄養 | 適度な安静と気分転換 摂取しやすい食事の工夫 | 治療終了後長期に 持続することは 少ない |
副作用 | 症状 | 対策 | 必要なケア | 備考 |
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脱毛 | 照射部位の説明 | 清潔の確保 頭皮の保護 | 刺激の少ない洗髪は可能 | |
外耳炎 | 紅斑または乾性落屑 湿性落屑 耳漏や乳様突起炎の合併 | 照射部位の説明 ステロイドの適切 な使用 | 刺激を避けるように指導 清潔の確保 | 頻回の耳掻きは避ける |
中耳炎 | 聴力低下を伴わない中耳炎, 滲出性中耳炎 感染の合併,自覚的聴力低下 耳漏や乳様突起炎の合併 | 感染対策 耳鼻料受診 | 症状の早期発見 | 放射線治療のみでは, 高度な症状を生ずること は少ない |
結膜炎 | ステロイドの適切 な使用 (点眼・軟膏) | 刺激を避けるように指導 眼脂対策 清潔の確保 | ||
口内炎 | Grade 1 : 疼痛がない潰瘍,紅斑または 病変を特定できない軽度 の疼痛 Grade 2 : 疼痛がある紅斑、浮腫、潰瘍、 摂食・嚥下可能 Grade 3 : 疼痛がある紅斑、浮腫、潰瘍、 静脈内輸液を要する Grade 4 : 重症の潰瘍、経管栄養、経静 脈栄養または予防的挿管を 要する | 照射部位の説明 含嗽 粘膜保護剤 疼痛コントロール | 含嗽指導 清潔の確保 刺激を避ける工夫 食事の工夫 | 放射線治療のみでは, 高度な症状を生ずること は少ない |
口内乾燥 | 唾液の減少 味覚の変化 | 含嗽 | 含嗽指導 口内の清潔の確保 | う歯に注意する |
副作用 | 症状 | 対策 | 必要なケア | 備考 |
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食道炎 | Grade 1 : 通常の食事が摂れる軽い嚥下困 難 Grade 2 : 粥食や軟らかい食事または流動 食を要する嚥下困難 Grade 3 : 経管栄養や静脈内輸液または 高カロリー輸液を要する嚥下困難 Grade 4 : 完全閉塞(唾が飲み込めない)、 小損傷や穿孔によらない 出血性潰瘍 | 照射部位の説明 咀嚼の重要性の説明 粘膜保護剤 疼痛コントロール 経管栄養 静脈内輸液 高カロリー輸液 | 粥食や軟らかい食事 咀嚼の重要性の説明 | 放射線治療のみ では、高度な症状を 生ずることは少ない |
肺の 炎症 | Grade 1 : 症状がないまたは軽度の症状あ り(乾性咳)、軽度のX線異常陰影 Grade 2 : 中等度の症状(重症の咳)のある 肺線維症または肺臓炎、 軽度の発熱、斑状のX線異常陰影 Grade 3 : 重度の症状のある肺線維症また は肺臓炎、濃いX線異常陰影 Grade 4 : 重症の呼吸不全/持続的酸素 吸入/補助換気 | 適切なX線検査 ステロイドの適切な 使用 | 呼吸状態や発熱の確認 | 照射容積および 線量によりリスクが 異なる |
腋窩の 皮膚炎 | 上腕骨・肋骨や腋窩リンパ節の 照射時 | 照射部位の説明 (皮膚マークの位置 が照射部位とは限らない) 軟膏処置 ステロイドの適切な 使用 | 皮膚の保護と刺激防止 清潔の確保 クーリング 間擦部の保護 |
副作用 | 症状 | 対策 | 必要なケア | 備考 |
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下痢 | Grade 1 : 冶療前に比し<4回/日の排便回数 増加 Grade 2 : 治療前に比し4〜6回/日の排便回数 増加または夜間排便 Grade 3 : 治療前に比し≧7回/日の排便回数 増加または失禁または脱水に対する 静脈内輸液を要する Grade 4: 集中治療を要する病態または循環 動態の虚脱 | 適切な止痢剤の使用 補液 | 肛門の保護 清潔の確保 | |
膀胱炎 | 頻尿 排尿痛、残尿感 血尿 | 照射部位の説明 疼痛コントロール | 外陰の清潔の確保 刺激を避ける工夫 排泄の工夫 | 長期に導尿中の場 合は,粘膜の炎症に 特に注意する |
直腸炎 | Grade 1 : 時折の血液付着や直腸不快感を伴 う排便回数の増加(痔を含む): 薬物治療を要さない Grade 2 : 出血,粘液排泄,直腸不快感を伴 う排便回数の増加: 薬物治療を要する、肛門裂創 Grade 3 : 静脈内輸液を要する排便回数の増加 /下痢、輸血を要する直腸出血、 パッドを要する持続性粘液排泄 Grade 4: 外科的処置を要する穿孔、出血、 壊死(例、人工肛門造設) | 照射部位の説明 軟膏 疼痛コントロール | 肛門の清潔の確保 刺激を避ける工夫 排便コントロール 排泄の工夫 | 肛門の症状にも 注意が必要 |