小学校訪問
 Homestead高校と同じ学区にある、Cherry Chase(チェリーチェイス)小学校を訪れました。アメリカの小学校は、kindergarten(日本で言う幼稚園)から、5年生までの6年制のところが多いようです。幼稚園が小学校と同じ場所にあるというのは日本と大きく違う点です。高校と同じく、教室の中は様々な民族的背景を持つ子どもたちでいっぱいです。
3月26日(水)
 いくつかの授業を見学させてもらいました。1年生では、英語の音声とつづりとの関係を学ぶ授業が行われており、単語の正しい発音の仕方が指導されるなど、日本の中学校で英語を導入する際にそのまま使えそうな授業でした。
 5年生の音楽の授業では、5月にミュージカルをするのだと言うことで、その歌の練習をしていました。本来、カリフォルニア州の小学校では音楽の授業はないのだそうですが、保護者のほうが、自分の子どもに音楽を学ばせたいという意向を持っており、音楽の先生を雇うお金を保護者が払っているのだそうです。
 コンピュータ・ラボでは幼稚園児が授業を受けていました。5歳児たちが立ち歩くこともなく、タイピングの練習もかねて手紙をタイプしていました。大文字や小文字、スペース等の間違いはあるものの、全員が文字を理解できていること、コンピュータを扱うことができていることに驚きました。コンピュータは各教室にも5台ずつ程度設置されており、低学年の生徒もレポートの作成等に取り組んでいました。コンピュータ教育を行うのは国の方針なのだそうですが、これだけパソコン環境が充実している状況(しかもOSは新しいものです)はシリコンバレーならではなのか、全米的なものなのか・・・。
 さらに驚いたことに、アメリカの子どもたちは、年3回国が実施する「学力到達度テスト」のようなものを受けなければなりません。その結果は、インターネット等を通じて全米に公表され、(金銭的に余裕のある)親はそのテストのスコアが良かった学校の学区内に、わざわざ引っ越してくるのだそうです。このチェリーチェース小学校は、そうしてわざわざ引っ越してくる家庭の子どもが多いそうです。実際、授業は全体的に落ち着いた雰囲気がありました。
3月26日(水)
 同じ学区内にあるEllis(エリス)小学校を訪れました。ここでは、日本語の話せるはるかちゃん(5年生)とエイミーちゃん(3年生)が私たちを案内するために待機してくれていました。はるかちゃんは2年前にお父さんの仕事の都合でこちらに来たそうです。最初は慣れない環境に随分とまどったようですが、今ではおしゃべり好きで(もちろん英語です)活発な女の子です。エイミーちゃんは3歳までしか日本にいなかったということで、英語のほうが話しやすいようでした。彼女は私たちがアメリカ滞在中にメモを取ることができるようにと、鉛筆と手作りのメモ帳をプレゼントしてくれました。
 はるかちゃんに、アメリカの学校についていろいろ聞いてみました。エリス小ではしつけの部分にも随分力を入れているらしく、各教室の外にベンチが置いてあります。「何に使うの?」と聞くと、宿題を忘れたり、先生の言うことを聞かなかったりすると、休憩時間に外で遊ぶことができず、そのベンチでひとり自習をしなければならないのだそうです。さらに先生の言いつけが守れない子どもは、別の教室で別メニューの授業を受けるのだそうです。
 
 また、この制度はチェリーチェイス小にもありましたが、教室に番号の書いた緑色のカードが生徒分貼ってありました。これは、決まりごとを守れなかったときにそのカードの裏に何が守れなかったかを書くためのものです。そして、1枚カードを取るとその下は黄色、さらにその下は赤いカードになっており、1日に3回そのカードを取ってこなければいけない状況になると、保護者が呼ばれたり、別教室に行くことになったりするようです。
 ここでもコンピュータを使った教育は熱心に行われていました。特に、2年生の子どもが受けていたリーディングのテストでは、図書館にある本や子どもに人気のある本がすべてデータベース化されて入力されており、自分の読んだ本を選ぶと、自動的に内容に関する問題が出てくるというもので、生徒はそれぞれ自分の読んだ好きな本についてのテストを受けていました。さらに、その正答率によって読解力の分析もしてくれるそうです。
3月26日(水)
 再び、チェリーチェイス小にお邪魔し、全校朝会に参加させていただきました。ここでは、毎月「今月の目標となる態度」があり、3月のテーマ「正直さ」で優れていたと担任の先生が考える生徒が各クラス3〜4名校長先生に表彰されます。表彰される子どもたちの顔の誇らしげなこと。さらに、彼らの中から2名、くじで校長先生と一緒に昼食を食べることができる子どもが選ばれます。校長先生が「私と一緒にご飯を食べたい人?」と呼びかけると、ほとんどすべての子どもが手をあげていたのには正直驚かされましたが、どうやら選ばれた2人はマクドナルドなどに連れて行ってもらえるようです。納得(?)。
 ちなみに4月のテーマはtolerance(忍耐)だそうです。
 高校でも言えることですが、がんばっている子どもは徹底して皆の前でほめる、ごほうびを与える、先生の指示に従えなかったり、宿題を忘れると厳しい罰が待っている・・・と、生徒に接する態度は一貫しています。生徒は何をどうがんばればよいのかがはっきり提示されているので、努力するかしないかは本人次第ということなのでしょう。この姿勢は、少なくとも私たちが訪れた2つの小学校ではうまく機能しているようでした。日本でも、もう少し「自己責任」を教えていく必要があるのかもしれません。

図書室にも、多くのコンピュータが設置されています。

各教室の外にあるベンチ

表彰させた生徒の写真は、校内に掲示されます。