最終更新
00/2/6
佐藤氏
  佐藤功太郎氏



左の写真は第40回定期演奏会(1979年)プログラムより転載
第39回 79/1 ブラームス4番白鳥の湖 他
第40回 80/1 チャイコフスキー5番 エグモント
第60回 2000/1 マーラー 「巨人」
↓佐藤氏メッセージ

 
佐藤先生に一問一答(第40回定期演奏会プログラムより)
 今年もまた佐藤功太郎先生をお迎えし、第40回定演のはこびとなりました。昨年度のブラームス交響曲第4番の演奏が印象に残っているかたも多くいらっしゃるのでは。改めて私ども一同、プロ指揮と一緒に音楽をやれるということのすばらしさを知る思いでした。今回2度目ということで、佐藤先生についてスポットを当て、インタヴューに答えていただきました。折りしも10月13日、初めてチャイ5の練習をみて頂いた日のことでした。ちょうど、団員有志との宴の後でもあり、また、長旅でもあり、お疲れのところでしたが、快く引き受けてくださいました。尚、紙面の都合により一部しか載せられないのは残念なことです。

金大フィルは大変なところ?
 −棒を振っていただくのは今年が2回目なんですが、金大フィルについて、昨年と変わったというところは?
A. うーん(しばらく考える)・・・・・ないね。オーケストラのくせなんか去年と同じくせだしさ、どんなところで急ぐとか、どんなところでもたれるかとか・・・・・・やっぱり変わってないね。

 −そのくせというところですが、特にどんなくせがあるのでしょうか?
A. 全体的にrit.がうまくないね。逆にaccel.はやりやすいんだけど、それと曲の歌い方なんかも色気がほしいとこだな。

 −昨年の金大フィルについてどうおもわれましたか。
A. ま、最初に来たときは「わーっ。こりゃ大変なところにきちゃっと。」と、思ったけど、本番が良かったからね。ぼくなりには満足はした。アマチュアの若い人たちと一緒にやれたと言う意味でね。プロといっしょの仕事とは、また別の満足感ね。そしてことしも、それがあるであろうと・・・あるであろうと(念を押して)というわけで期待してるんだよ。(笑)


指揮者は一番かっこいい・・・・
 −音楽家になられた特別な動機などありませんか? 
A. ぼくは4才のときからヴァイオリンをやっていたし、物心ついた時にはもう音楽を始めていたからねえ、なんとなくきちゃったと言う感じだね。やっぱり自分が一番生かせると思ったからね。

 −ヴァイオリン、クラリネット、指揮者と変わられたのは理由でも?
A. 小学校の先生が面白かった人で、教室にいろんな楽器があってさ、僕はそれをいじるのが大好きでね、クラリネットに限らず全楽器をやったね。いまでも音階くらいは全部出来るよ。ある日突然変わったんじゃなくて、いろいろ平行してやってた。それで、音楽家になるには一番偉いものに、と言うわけでさ・・・・ほら、やっぱり一番かっこいいしさ。(笑)


音楽やるのにプロもアマチュアもない
 −アマチュアのオーケストラとプロのオーケストラと違う点は?
A. どちらも同じなんだよ、これは。お金を取って演奏会をやると言うことにプロもアマチュアもないと思うね。本質的に良い音楽を創ろうっていうことに変わりはないからさ。厳しい言い方だろうけど、たった10円でも払って聴きにきてくれる人がいるなら、それに応えなくっちゃ。君ら500円もとるんだろう、だったらそう言う意識をもたなきゃいけないよ。

 −学生のオーケストラというものについてどう思いますか?
A. 人間と言うもの、パンと水だけじゃ、これ生きていけないんだよ。どれだけ文明が発達しても文化というものは必要でね。大学生には学業と言うパンと水の部分があるわけで、それ以外の何かが絶対必要だと思う。心って言うかのかな。人間として大切な心ね。それとの対話を音楽を通してしようとすることが大切なんじゃないかな。大学の時代のなかで、オーケストラにいて、いい音楽をやってそういう経験を出来ると言うことはすばらしいことだと思うね。何に限らず学業だけに追われていたって意味がないよ。精神的に健康であってほしいよ。


ベートーヴェンのプラスアルファ
 −定演の3曲のうち一番難しいのは何だと思われますか?
A. やっぱりエグモントだね。大体ベートーヴェンというのはクラシックの中で、一番難しいと思う。彼の場合、音の密度がものすごく高い。いかにしてその密度を高められるかが勝負になる。演奏法の問題じゃなくてさ、精神的な厚みが要求されてくる。技術的にどんなにうまくても精神的プラスアルファがないとだめだよ。そのかわり、乗ってくると技術面を超えてしまう面がある。うまくいけばだよ、あくまでも、(笑)


20年経ってもわすれづにいてほしい
 −国内と海外の音楽事情の違いについて一番感じられたことはどんなことでしょうか?佐藤氏
A. 一番違うのは客層だね。日本じゃ大半が20代だけど向こうじゃ40代以上が多くてさ。ま、悲しいかな、日本じゃクラシック音楽と言うのはまだファッションでね。クラシックの演奏会行くのはどこかインテリめいた感じがするというポーズ的な所が多いわけ、20代の時にはよくデートの場になんかなるんだけど、結婚して子供なんか出来るとまず来なくなる。でも良く考えみるとこっともあっちもパターンが同じなんだな。年をとるにつれて、先祖伝来の音楽というものに惹かれていくわけ。向こうじゃクラシック音楽で、日本では民謡ってことになるのかな。
 そこでさ、僕が君たちに一番言いたいのは、後20年たっても昔はこんな音楽をやっていたと言うことを忘れないでほしい。そんな年まで続けろとは言わないけどさ、たまにはコンサートに来てほしいわけだ。(笑)忙しくてもね。何とか時間を見つけてきてもらいたいよ。日本人はそういうところが欠けているんだけど。

 − 本番中の面白いハプニングやエピソードなどお聞かせください。
A. ハプニングなんて起こってしまったものはしょうがないよ。それから、先をよくすることを考えるね。ま、いままでいろんなことがあったけど、振り出したら、自分の思っていた曲と全く違った曲だったってことがあったね。それからいつだったか、ラデッキーを振った時のことだけど、僕に内緒で団員が勝手に1小節付け加えててさ、こっちが終わってるのにザンなんて、余分にくっついていたりして面食らったよ。(笑)

第39回定期演奏家プログラムから

当時のプログラム構成は大胆、意欲的で、プロ指揮者招聘をした
団員の新鮮な気持ちと期待感がよく表れています。
近年のパターン化、平均化されたプログラムには見られない新鮮さがありました。
佐藤氏メッセージ