ケミカル・センシティビティ・ネットワーク(CSN) 2009年12月11日
ドイツの健康制度
もう一人のMCS患者も見捨てようとしている


情報源:CSN Environmental Medicine Matters
German Health System threatens to fail again for another MCS case
Author: BrunO for CSN ? Chemical Sensitivity Network, December 11, 2009
http://www.csn-deutschland.de/blog/en/
german-health-system-threatens-to-fail-again-for-another-mcs-case/


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
Translated by Takeshi Yasuma
Citizens Against Chemicals Pollution (CACP)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年12月14日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/sick_school/cs_kaigai/Germany/CSN_German_health_system_fails.html

 ドイツCSNのシルビア・ミューラーさんから次のようなメッセージとともに、この記事の紹介がありました。

2009年12月12日
皆さん
 ドイツでは多種化学物質過敏症が認定され、医師用のICD-10GMの T78.4に記載されているにも関わらず、適切な支援を見つけることの出来ないもう一人の緊急患者がいます。(訳注:CSN 2009年11月 化学物質過敏症患者アンゲリカ 最後の数ヶ月の生活 を参照ください。)
 私たちは公開書状を書きました。それは全ての環境医師へ、そして環境医学協会にも送付されました。
http://www.csn-deutschland.de/blog/2009/12/10/offentlicher-hilferuf-fur-eine-mcs-patientin/
 私たちにはわずか4通の回答しかありませんでした。そしてわずか一人の医師だけが支援を申し出ましたが、彼は500kmも離れたところに住んでいるのです。
 二人の環境医師は歯のチェックをしてもらうよう勧めました。
 他の医師は海外の療法士と働く仲間を勧めました。
 もしゲリが直ぐにでも支援を受けられなければ、彼女は死ぬでしょう。彼女は全ての耐性、水への耐性さえも失ったのです。
 みなさんに、お伝えするために記事を送ります。
German Health System threatens to fails again in another MCS-Case
(訳注:日本語訳/ドイツの健康制度もう一人のMCS患者も見捨てようとしている)
http://www.csn-deutschland.de/blog/en/german-health-system-threatens-to-fail-again-for-another-mcs-case
 このブログ記事をあなたのウェブサイトやニュースグループに転載していただくことを歓迎します。

ドイツから心を込めて
シルビア・ミューラー
(Silvia K. Muller)


 エッセン(ドイツのルール地方)のゲリ(44歳)は MCS重症患者です。この数週間、彼女と夫は必死になって医者を探しています。食物不耐性で食べられる食物がひとつしか残っていない妻ゲリの面倒を見るために、彼は職場を離れることを許されました。そのひとつの食物以外のどのようなものも彼女の喉を詰まらせ危険な状態にします。彼女は、めまい、窒息感、ひどい頭痛、胃けいれんに襲われます。たとえほんのわずかなものでも食べると、彼女の全身は赤くなり、息が出来なくなります。空気清浄機が昼夜を通して動いています。水を数口飲むだけであり、彼女は衰弱しています。きちんとした医療が受けられず、彼女は死に直面しています。

 彼女は化学物質に反応するので、本来は外出することができないのですが、絶望のあまり彼女は助けを求めて地域のある診療所に行きました。しかし彼女は入り口で、診療所の内部から漂ってくる消毒薬、香水、様々なにおい、そして入り口で喫煙する患者のたばこの煙にたちまち暴露しました。彼女の体は激しく反応し、夫は彼女を直ぐに家に連れ帰らなくてはなりませんでした。

 彼らはドイツ中のいくつかの病院に助けを求めました。最後の望みとして、近くにあるヴィッテン・ヘァデッケのアントロポゾフィー医学(訳注1)診療所に予約しました。他の病院からはそのような病気には責任をもてないと断られました。医師らは事態を改善できませんでした。一人の環境医学の医師は、近くに環境医学の病院はないので、助けることは出来ないと言いました。他の医師はベルリンにある、週に二回だけ開かれるホットラインを利用するよう勧めました。ドイツには緊急援助の必要性がないように見えます。

 一人の医師はよく知られているMCSの心因性理論によって全てをかたづけようとしました。彼はある大学病院を勧めました。ゲリは病理学的血液検査を受けており、彼女の免疫系は低下しています。この医師は、彼女の体をめちゃめちゃにした物質を使用しなくてはならないような精神療法を勧めました。そのような医師たちを訴える方法はないのでしょうか?

 ゲリは死の瀬戸際にいます。彼女はダラスにある環境健康センターまでの飛行に耐えることは出来ないでしょう。彼女は、直ぐにも特別な非アレルギー性の栄養補給点滴を必要としています。診断のために環境医学に理解のある有資格の医師が必要です。進んで協力してくれる一般開業医でも彼女の家で点滴をすることが出来るでしょう。

 もし、あなたがこの記事のイギリス人読者なら、医師らが慢性疲労症候群(ME/CFS)(訳注2)の有機的特性を受け入れることを拒否したために、精神病院で2005年に死んだソフィアのことを思い出してください。

 それが全ての環境病患者のための治療ですか?

著者:BrunO for CSN - Chemical Sensitivity Network, 2009年12月11日


訳注:関連情報
訳注1:アントロポゾフィー
訳注2:慢性疲労症候群


化学物質問題市民研究会
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