EHN 2017年2月1日
フッ素化合物という面を持つファーストフード
マクドナルドやスターバックスのような人気店のファーストフード容器は、
食品に溶け出す潜在的に有害な化学物質を含む

ブライアン・ビエンコウスキー(EHN)

情報源:Environmental Health News, February 1, 2017
Fast food with a side of fluorinated chemicals
Fast food packaging from popular spots like McDonald's and Starbucks
contains a potentially harmful chemical that leaches into the food.
By Brian Bienkowski (EHN)
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/news/2017/feb/
fast-food-with-a-side-of-fluorinated-chemicals


訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2017年3月18日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/ehn/
ehn_170201_Fast_food_with_a_side_of_fluorinated_chemicals.html

Fast_food_packaging.jpg(8792 byte)
Jeremy Brooks/flickr
 何かお腹の足しになるものを探しているなら、ファーストフードの持ち帰りはやめた方が良い。本日発表された研究によれば、ファーストフードの容器、ラップ、ボックスの約3分の1はフッ素を含んでいるが、そのことは食品が有害な化学物質に曝露しているかもしれないことを示唆している。

 科学者らは、 PFAS (Perfluorinated alkylated substances )or PFCs (Perfluorinated Chemicals (PFCs) として知られる過フッ素化合物を含有することの指標となるフッ素について食品容器をテストした。そのような化学物質は油や汚れをはじくすばらしい特性を持つ。しかしそれらはまた容器から食品に移動することができ、がん、発達や免疫系の問題、出生時低体重、不妊に関連する。

 容器のサンプリングにより、あるものはアメリカの製造者が 2011年に廃止することを自主的に合意した有害な化学物質 PFOA を含んで、過フッ素化合物をまさに使用していたことが確認された。

 その研究は、朝働きに行く前のひとつかみのベーグル(ドーナツ型のパン)、昼食のクイック・バーガー、そして夕食のピザは、あなたと家族を有害な化学物質に曝露させるかもしれないという、ますます増大する証拠に加わるものである。

 ”過フッ素化合物は様々な消費者製品に由来し、明らかに食品容器包装材料はひとつの重要な発生源であるらしい”と、環境健康研究者であり、ハーバード大学公衆衛生 TH チャン・スクールの公衆健康学教授であるフィリップ・グランジャンはeメールの中で述べた。

 ”我々の現在の暴露を制限することは、公衆健康の優先事項であるとみなされるべきである”と、この研究には関与していないグランジャンは付け加えた。

 研究者らは、2014年と2015年に27のファーストフード店から約400の食品紙容器を収集してテストした。サンプルは、マクドナルド、バーガーキング、タコベル、チックフィレイ などの人気の店を含んでいた。彼らはまた、ジミー・ジョンズ、クイズノス、スターバックス、ダンキンドーナツなど、人々がファーストフード店とは考えないかもしれない店の容器をテストし、その化学物質を検出した。

 それらの店はボストン、シアトル、ワシントン DC、サンフランシスコ、及びグランドラピッズ(ミシガン州)の市内又はその周辺にあった。

 結論として、容器の33%がフッ素を含んでいた。フッ素の存在は、容器が懸念ある過フッ素化合物を含んでいるということを自動的に意味するわけではない。しかし、それは”最もありそうな理由である”と、サイレント・スプリング研究所の研究科学者であり、本日、 『Environmental Science & Technology Letters』 に発表された研究の主著者であるローレル・シュナイダーは述べた。

 ”通常、紙自体はフッ素を含まないので、これらの容器からフッ素が検出されたということは、容器に耐油性を持たせるために PFAS が存在することを示す強い指標である”と、シュナイダーは述べた。

 バーガーやペストリー(焼き菓子)などに用いられる紙包装の約半分と、ピザ用ボックスやフライドポテトなどに用いられる板紙容器の20%がフッ素を含んでいた。そのテストはフッ素に対して非常に感度が高いというわけではなかったとグランジャンは述べた。”だからサンプルの3分の1が検出可能レベルのフッ素化合物を含んでいたという事実は、過小評価のようである”。

 シュナイダーと同僚らは、それらがどのようなフッ素化合物を含んでいたのかもっと正確に検証するために、20サンプルをもっと詳細に調べた。もっと厳格にテストされた 20容器のうち 6容器は、ウェストバージニア州パーカーズバーグの近くにあるデュポンのワシントン工場の施設から排出され、人々を汚染していることで悪名高いC8として知られる PFOA を含んでいた。

 防汚コーティング及び添加物の主要製造者である3Mは、2008年に PFOA の製造を廃止したが、他国ではまだそれを製造しており、代替物質の多くは潜在的な健康影響について徹底的にはテストされていない。

 世界保健機関は PFOA をヒトに対する発がん性が疑われる(a possible carcinogen)とみなしており(訳注1: IARC Group 2B: Possibly carcinogenic to humans, 2016 online)、米国国家毒性計画は PFOA と PFOS を発達中の免疫系に毒性があるらしい(likely toxic to developing immune systems)と考えている。

 以前の研究は、過フッ素化合物は食品容器から食品に移動することができることを示唆している。”移動の程度は、食品の種類、脂っこさ、紙容器との接触時間、などに依存する”と、シュナイダーは述べた。

 過フッ素化合物はまた、室内装飾材料、ワックス、焦げ付き防止調理器具、カーペットのような製品中にも使用されている。それらは製品から外部に漏れ出し、非常にゆっくり分解し、大気、家屋内の埃、水、どろ、野生動物、そして人間の体内にあらわれる。

 アメリカ人のほとんどは、血液中にこれらの化学物質を持っており、それらのあるものは体内に数年間、留まることができる。

 非営利団体である Environmental Working Group の上席科学者であり、この研究の共著者であるデービッド・アンドリュースは、テストされた容器の半分以上はフッ素を含んでいなかったことを、もっと肯定的に指摘した。”代替物質が確かに存在することを示す強い証拠である”。

 この研究の著者らは持ち帰り食品を避けるか、ファーストフード店や州議会議員にその有害物質を容器から取り除くよう求めることを勧めている。

 ”我々はレストランにこれらの化学物質を評価し、除去することを望み、FDAにはその化学物質を健康影響について適切にテストすることを望む”と、アンドリューは述べた。
訳注1:発がん性分類
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