米疾病管理予防センター(CDC) Emerg Infect Dis. Volume 13, Number 2 - February 2007 ピレスロイド耐性蚊発生地域ベニンにおいて マラリア防除のための農薬蚊帳と屋内散布の効果が低減 エグゼクティブ・サマリー 情報源:Centers for Disease Control and Prevention Emerg Infect Dis. Volume 13, Number 2 - February 2007 Reduced Efficacy of Insecticide-treated Nets and Indoor Residual Spraying for Malaria Control in Pyrethroid Resistance Area, Benin Raphael N'Guessan,* Vincent Corbel,† Martin Akogbeto,‡§ and Mark Rowland¶ *London School of Hygiene and Tropical Medicine, Cotonou, Benin, West Africa; †Institut de Recherche pour le Developpement, Montpellier, France; ‡University of Abomey-Calavi, Cotonou, Benin; §Centre de Recherche Entomologique, Cotonou, Benin; and ¶London School of Hygiene and Tropical Medicine, London, United Kingdom http://www.cdc.gov/eid/content/13/2/199.htm?s_cid=eid199_e 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2009年3月16日 このページへのリンク http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/cdc/Reduced_Efficacy_of_ITN_and_IRS.html エグゼクティブ・サマリー ピレスロイド耐性遺伝子(pyrethroid knockdown resistance gene)をもったガンビアハマダラカ(Anopheles gambiae)が西アフリカで拡大している。農薬蚊帳(ITN)と屋内散布(IRS)の継続効果をテストするための試みがベニンの二ヶ所の実験小屋で実施された。第一の場所は耐性蚊(KDR)が高い割合でいるラジ(Ladji)、第二の場所はピレスロイドに感受性が高い蚊が多いマランビル(Malanville)である。 使い古した蚊帳を模して蚊帳に穴があけられた。 マランビルでは感受性の高い(訳注:耐性がない)ガンビアハマダラカの96%が吸血を抑制されたが、ラジでは農薬蚊帳では吸血は抑制されなかった。 農薬蚊帳(ITN)の実験小屋でのガンビアハマダラカの死亡率は、マランビルでは98%であったが、ラジではわずか30%であった。 屋内散布(IRS)の効果は等しく影響を受けた。ラジの蚊は、実験室の感受性の高い血統の蚊より高い酸化酵素(oxidase)とエステラーゼ(esterase)作用を持っていたが、この事実は耐性に寄与しているようにはみえなかった。 ガンビアハマダラカのピレスロイド耐性は、ベニンにおける農薬蚊帳(ITN)と屋内散布(IRS)の将来を脅かすように見える。 訳注:参考情報 ピレスロイド系農薬を練りこんだ農薬蚊帳がマラリア対策に有効であるとしてマラリア発生地域で配布されているが、この論文に示されているように農薬耐性蚊にはその有効性が失われる。 人の健康にも環境にも有害な農薬をわざわざ蚊帳に練りこまず、普通の蚊帳で十分効果があることを「特定非営利活動法人サパ=西アフリカの人達を支援する会」が2003年以来の普通蚊帳の配布実績で確認している。 訳注:マラリア対策としての殺虫剤使用に関する情報
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