欧州環境庁(EEA)2013年1月 レイト・レッスンズ II
14. 気候変動:科学と予防原則 (概要編)
Hartmut Grassl and Bert Metz

情報源:European Environment Agency
EEA Report No 1/2013 Part B Summary
14 Climate change: science and the precautionary principle
Hartmut Grassl and Bert Metz
http://www.eea.europa.eu/publications/late-lessons-2/late-lessons-chapters/late-lessons-ii-chapter-14

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico
掲載日:2013年2月19日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/precautionary/LL_II/14_Climate_change_summary.html


 化石燃料の燃焼による二酸化炭素(CO2)の排出による気候変動の可能性ある危険についての最初の科学的に信頼性のある早期の警告は1897年にもたらされた。地球温暖化の基本的な物理的原理は簡単であるが、気候変動のもっと詳細な科学は極めて複雑である。最初の早期の警告以来、100年以上経過した現在でも、気候変動の多くの重要な詳細は確実性をもって予測することはできない。したがって、気候変動の科学と化石燃料の燃焼の真の意義についての疑問が、いつまでも続く科学的及び政治的論争を助長してきたことは驚くにあたらない。

 最初の『Late lessons from early warnings 訳注:日本語版(早期警告からの遅ればせの教訓)』が草稿されたときに、気候変動の問題を含めるべきかについての非常に多くの正当な議論があったようである。アスベスト、ポリ塩化ビフェニル(PCBs)、クロロフルオロカーボン(CFCs)とオゾンホール、X線、及び酸性雨のようなもっと確立された問題からの貴重で確固とした教訓から注意をそらしたひとつのケーススタディが議論に導入された。”認識できる地球の気候への人間の影響を証拠のバランスが示唆している”(Contribution of Working Group I to the Second Assessment Report of the Intergovernmental Panel on Climate Change, IPCC, 1995)ということが、当時、広く認められていたにもかかわらず、この決定がなされた。

 10年以上後に、そして気候変動に関する政府間パネル(IPCC))による気候変動科学のもっとボリュームのある二つのレビューの後に、気候変動を今回含めることは、ある議論は継続していたものの、適切であるように見えた。人間の活動が気候に危険な影響を持つという証拠は、1995年以来強化された。2007年までに、IPCCは、”1750年以来の人間の活動による地球の正味の影響は警告のひとつとなっていると、非常に自信をもって”結論付けることができた。人間が引き起こした気候変動の有害影響の多くの実情と不可逆性(人間の時間スケールで)を考えれば、二酸化炭素とその他の温室効果ガスの排出を削減する行動が緊急に必要である。しかし、著者らが描くように、いくつかの反対の意見も存続する。

 本章は、人間が引き起こした気候変動についての増大する知識の歴史と、それに伴う主要な行動、又は行動しなかったことの歴史を概観している。他の多くの章と同じように、人間が引き起こした気候変動の影響を理解し緩和しようとする試みへの二人の著者の生涯をかけた意気込みを反映している。それは、多くの他の環境・健康問題に関連するいくつかの教訓と識見をもって、話を結んでいる。

 第1回から第5回の評価レポートの間に不確実性に対するIPCCのアプローチがどのように進化したかを記述するパネルの文書も含んでいる。



化学物質問題市民研究会
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