IPEN 2023年5月23日
グリーンピースの新しい報告書が リサイクル・プラスチックの有害危険性を指摘 情報源:IPEN, 23 May 2023 New Greenpeace Report Calls Out Toxic Hazards of Recycled Plastic https://ipen.org/news/new-greenpeace-report- calls-out-toxic-hazards-recycled-plastic 訳:安間 武化学物質問題市民研究会 http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 更新 2023年5月29日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/plastic/IPEN/230523_IPEN_ New_Greenpeace_Report_Calls_Out_Toxic_Hazards_of_Recycled_Plastic.html 世界的なプラスチック条約交渉がパリで再開される中、科学的証拠は、社会正義、健康、及び環境上の要請を満たすために、プラスチックの生産と使用を削減する緊急の必要性を圧倒的に示している。 【ワシントン (2023 年 5 月 24 日)】グリーンピース USA の新しい報告書は、リサイクルが実際にプラスチックの毒性を増加させると結論づける査読済みの研究と国際研究を列挙している。 これは、リサイクル・プラスチックが消費者、最前線の地域社会、リサイクル部門の労働者の健康に及ぼす脅威を浮き彫りにしている。 そもそもリサイクル施設に到達するプラスチックはごくわずかであり、国連環境計画(UNEP)によると(訳注:Plastic Treaty progress puts spotlight on circular economy / UNEP 27 JAN 2023)世界全体の 9% 未満であることを示すこれまでの研究と併せて、この報告書は、パリでの世界プラスチック条約交渉(5月29日から 6月2日まで)は、プラスチック生産の上限を設け、段階的に削減することに重点を置かなければならないと結論付けている。 グリーンピースの報告書「永遠に有害:プラスチック・リサイクルによる健康への脅威の科学(Forever Toxic: The science of health threats from plastic recycling)」は、 UNEP によればプラスチックには 13,000 以上の化学物質が含まれており、そのうち 3,200以上が人間の健康に有害であることが知られていると記述している(訳注:Chemicals in Plastics - A Technical Report / UNEP 03 May 2023)。 さらに、プラスチックに含まれる他の化学物質の多くは評価されておらず、有害である可能性もある。 リサイクルされたプラスチックには、有害な難燃剤、ベンゼンやその他の発がん性物質、塩素系/臭素系ダイオキシン類などの環境汚染物質、体内の自然ホルモンのレベルに変化を引き起こす可能性のある多数の内分泌かく乱物質など、人を害したり地域社会を汚染したりする可能性のある高レベルの化学物質類が含まれていることがよくある。 グリーンピース USA のグローバル・プラスチック・キャンペーン・リーダー、グラハム・フォーブスは次のように述べている。”化石燃料、石油化学、消費者製品の企業を含むプラスチック業界は、プラスチック汚染危機の解決策としてプラスチック・リサイクルを推進し続けている。 しかし、この報告書は、プラスチックの有害性はリサイクルに伴って実際に増加することを示している。 循環経済にプラスチックの居場所は存在せず、プラスチック汚染をなくすための唯一の本当の解決策は、プラスチックの生産を大幅に削減することであることは明らかである。” 正式には”世界プラスチック条約に関する第2回政府間交渉委員会(INC)会議”として知られるパリ会議で、グリーンピースの世界ネットワークは、プラスチック材料への依存からの公正な移行(訳注:Just Transition(公正な移行)とは?:気候変動や生物多様性などの環境問題の解決に取り組むにあたり、すべてのステークホルダーにとって公正かつ平等な方法により持続可能な社会への移行を目指す概念である。IDEAS FOR GOOD)を加速し、プラスチック中の有害化学物質を規制するための世界的な管理を確立する法的拘束力のある野心的な協定を提唱している。 交渉に至るまでに、100人以上の科学者や市民社会組織が国連に対し、化石燃料産業が交渉を損なうことを防ぐよう求める書簡を発表した。 ジェーン・フォンダなどの著名人はバイデン政権に対し、プラスチック生産に上限を設ける法的拘束力のある条約を支持するよう求めた。 プラスチックの生産、廃棄、焼却施設は、世界中の低所得の社会的に疎外された地域社会に設置されていることがほとんどで、これらの地域社会では、有害化学物質への暴露に関連したがん、肺疾患、有害な出産転帰(adverse birth outcomes)の発生率が高くなる。 この条約は、労働者が汚染と有害な産業を離れ、再利用ベースの経済におけるより健全な仕事に就く機会を生み出す必要がある。 ルイジアナ州のミシシッピ川流域に拠点を置くディセンダント・プロジェクトのジョー・バナーは、”プラスチックの生産は健全で繁栄した地域社会と矛盾しており、この報告書はプラスチックのリサイクルがそれらの害を永続させるだけであることを示している”と述べた。 私の地域は現在、プラスチック生産産業からの汚染によるガンと死亡の極度のリスクのため”ガン・アレイ(Cancer Alley)”として知られている。 私たちは世界の指導者に対し、プラスチック生産を終わらせ、我々のような地域社会を保護し、プラスチックのサプライチェーン全体にわたる労働者の公正な移行を支援する世界的なプラスチック協定を交渉するよう呼びかけている”。 この報告書は、リサイクルされたプラスチック材料が有害化学物質を蓄積するための 3 つの「経路」を強調している。
拡大するプラスチックの過剰生産による壊滅的な影響により、プラスチックのリサイクルをせず、詰め替え及び再利用に基づくシステムを加速する必要性が高まっている。報告書は、再生プラスチックの使用に伴う健康上の懸念に加え、プラスチックのリサイクルの増加は、リサイクルの流れ全体を通じて健康と環境への有害な脅威を拡大することを意味し、最も脆弱な地域社会に不平等な影響を与える脅威であると指摘している。 パリでの会議でグリーンピースは、世界プラスチック条約がすべき次の 7項目を提唱している。
訳注:プラスチック・リサイクルの有害性に関する情報
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