英食品基準庁(FAS)2010年3月
英上院科学技術委員会のナノテクノロジーと
食品に関する報告書への政府の回答

(勧告10:データベース開発勧告に対する回答)

情報源:Food Standards Agency, March 2010
Government Response to the Lord's Science & Technology Select Committee Report
into Nanotechnologies and Food
http://www.official-documents.gov.uk/document/cm78/7857/7857.pdf

訳:安間武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2010年4月2日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/uk/100325_FSA_response_to_nanotechnology_report.html

はじめに

 英上院科学技術委員会は2010年1月8日にナノテクノロジーと食品に関する報告書を発表した(訳注1)。このメモランダムはその報告書中の結論と勧告に対する英政府の回答を述べるものである。

 英食品基準庁(FAS)がこの回答を担当したが、ビジネス革新技術省と環境食糧農村地域省からの協力も得た。

 政府は委員会の報告書を歓迎する。同報告書は食品に関連するナノテクノロジーの適用に関する現在の状況を述べており、政府と他の利害関係者によって目を向けられる必要のある問題を特定している。報告書は、成分として直接的に、あるいは食品容器包装又は食品接触材料からの移動によって間接的に食品に添加されるナノ物質に主に焦点を当て、多くの重要な勧告をしている。政府はこの発展途上の分野の重要性を認め、この回答は委員会の報告書で提起された点に目を向けるために取られるべき行動を記述している。


訳注:政府は上院科学技術委員会の32項目の勧告について回答しているが、ここではデータベースベース作成と義務的なデータ収集に関する委員会の”勧告10”とそれへの政府の回答を勧告する。

勧告10
 我々は、食品基準庁(FAS)が食品産業界と協力して、適切なリスク評価手順の開発を知らせ、適切な研究の優先順位を決めるのを支援するために、食品産業分野内で研究されているナノ物質についての情報の機密データベース(confidential database)を開発することを勧告する。今までイギリスやその他の国で行なわれた同様な自主的スキームが失敗しているので(paragraph 4.72)、このデータベースへの産業界の参加は義務的であるべきである。

 食品基準庁(FAS)は、現在及び将来の技術的開発についての水平監視(horizon scanning)と情報は、報告書に記述されている理由のために、重要である。産業界が彼らの研究についての情報が商売上デリケートであり彼らの競争相手に価値がある場合には、たとえ政府省庁に対してであっても公表することには慎重になることは避けられない。しかし、食品関連研究の義務的な報告要求は情報が提供されることを確実にする一方で、もし会社やその他の研究所がその仕事を他の国に移転することによって報告義務を回避することがんできるなら、彼らがイギリス国内で研究開発を実施すること抑止するように働くことにる。

 既存の司法権がイギリスの食品会社に彼らの研究活動又は将来の製品発売計画についての情報を提供させるのに使用することができるかどうか疑わしく見える。義務的な報告システムの導入は新たな立法を要求することになるであろう。

 食品基準庁(FAS)は食品分野における将来の開発について、新たに出現しているリスクを特定し対応するために、人知を集めることの重要性を認めている。近年、同庁は、(食品と食品接触材中での)ナノテクノロジーの使用における開発の様子、及びもっと一般的には食品の革新について調べるプロジェクトを委託している。2009年12月に、同庁は2010−2015年戦略計画を発表したが、それは、戦略的優先として世界的供給への水平監視と人知を増大する必要性を特定している。同庁は現在、適切なデータベースの開発を含んで、この分野における作業プログラムを開発中である。

 食品基準庁はしたがって、ありそうな開発についての情報を得るための知識収集と産業専門家の関与を通じて、規制とリスク評価アプローチが将来の製品を適切に扱うことができるようにするために、新規に出現しているリスクに関する作業の中にナノテクノロジーの適用を含めるつもりである。

に  イギリスのナノテクノロジー戦略(Actions 4.8 and 4.9)で述べられているように、同庁は、一般的にナノ物質に関する情報収集のスキームを開発するために他の政府省庁及びナノテクノロジー連携グループと協力するであろう。


訳注1
訳注:参考情報


化学物質問題市民研究会
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