「ナノチューブ」でがん
マウスに中皮腫 形状が誘発か
国立医薬品食品衛生研究所が確認


情報源:毎日新聞2008年3月7日 朝刊記事

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2008年3月7日


 ナノチューブの危険性については、既にいくつかの研究論文が発表されており、当研究会でも昨年、2編を紹介したが()、毎日新聞3月7日の記事【下桐実雅子 記者】によれば、電気製品などへの応用が期待される筒状の炭素ナノ材料「カーボンナノチューブ」を投与したマウスに中皮腫ができたことを、国立医薬品食品衛生研究所などが確認した。

 マウス(生後9〜11週)を4群に分け、粒径が平均的100ナノb(ナノは10債分の1)で長さの異なるカーボンナノチューブ、アスベスト(青石綿)、炭素ナノ材料で球形の「フラーレン」、何も含まない液体を注射。
 カーボンナノチューブ群では、腹腔内に中皮腫が16匹中14匹にできた。青石綿でも18匹申14匹で見つかったが、フラーレンと液体の群では腫瘍は見られなかった。腫瘍の近くにはカーボンナノチューブや青石綿が沈着。
 研究チームはカーボンナノチューブの細長い形状やマウス体内での分解しにくさなどが影響したと分析した。
 同研究所の菅野純・毒性部長は「今後の製品開発ではこうした性質を考慮し、労働者が工場内で吸い込まないよう大量生産前の現段階から予防策をとるべきだ。人での影響を予測するには体内でどのぐらい残留するのかが重要だ」と話す。
 カーボンナノチューブは、発がん物質のアスベストと形状が似ていると指摘されている。ただ、アスベストをマウスに吸入させる実験では中皮腰が発生しにくいため、研究チームは腹腔内に注射する方法を採用した。厚生労働省はナノ材料の安全対策や製造現場での予防策について報告書をまとめる方針。

(注):ナノチューブの危険性に関する関連記事


化学物質問題市民研究会
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