Nanotechnology Law Blog 2010年2月5日
EPA 多層カーボン・ナノチューブに対し
別の重要新規利用規則(SNUR)を提案

リン L. バーガソン

情報源:Nanotechnology Law Blog, February 5, 2010
EPA Proposes a Second SNUR for Multi-Walled Carbon Nanotubes
by Lynn L. Bergeson
http://nanotech.lawbc.com/2010/02/articles/united-states/federal/
epa-proposes-a-second-snur-for-multiwalled-carbon-nanotubes/


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2010年2月7日


 米環境保護庁(EPA)は、2010年2月3日、有害物質規制法(TSCA)第5条(a)(2)の下に、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)に対する重要新規利用規則(SNUR)提案を発表した(訳注1)。提案された規則は、この規則により重要新規利用として指定される行為のためにMWCNTを製造、輸入、叉は加工しようと意図する人に対して、その行為に着手する少なくとも90日前にEPAに届け出ることを求めるものである。EPAは、要求される届け出は意図される用途を評価し、もし必要ならその行為を行う前に禁止叉は制限する機会をEPAに与えるものであると述べている。本件に対するコメントの締め切りは2010年3月5日である。

 提案された規則は行為に対する根拠を次のように与えている。
 製造前届出(PMN)は、この物質(MWCNT)がポリマー化合物の添加物/充填材及び工業用触媒の担体として使用されるであろうと述べている。吸入する可能性があり溶解性しにくい類似した微粒子及び他のカーボン・ナノチューブ(CNTs)のテストデータに基づき、EPAは、この物質への暴露による肺への影響、免疫毒性、及び変異原性への懸念があることを特定した。この製造前届出で記述される用途については、労働者の吸入と皮膚暴露は適切な個人防護装置を使用することにより最小となる。したがって、EPAは、この物質の提案される製造、加工、叉は使用が不合理なリスクを呈するかもしれないという決定はしなかった。しかし、EPAは、皮膚暴露の可能性のある場合には手袋と防護服の使用なしにこの物質を使用すること;呼吸暴露の可能性のある場合には国立労働安全衛生研究所(NIOSH)承認のN-100カートリッジ付きフルフェイス呼吸器なしにこの物質を使用すること;叉は製造前届出(PMN)で述べられている用途以外で使用することは重大な健康影響を引き起こすかも知れないと結論づけた。この情報に基づけば、このPMN物質は、721.170(b)(3)(ii)(訳注2)の懸念基準に合致する。

 提案された重要新規利用規則(SNUR)は、製造前届出(PMN)P08-199で述べられている多層カーボン・ナノチューブ(MWCNT)にだけ適用される。EPAによれば、過去に何人かの利害関係者がこれらの重要新規利用規則(SNUR)が全てのカーボン・ナノチューブに適用されるのかどうか聞いてきた。EPAは次のように述べた:”それは正しくない”。提案された重要新規利用規則(SNUR)にリストされている化学物質の名前は”多層カーボン・ナノチューブ(generic)”であり、CAS番号は”利用できず”である。2009年11月6日、EPAは製造前届出(PMN)P08-177に記述されている多層カーボン・ナノチューブのための>重要新規利用規則(SNUR)提案を発表した(訳注3)。


訳注1
Federal Register: February 3, 2010 (Volume 75, Number 22)]

SUMMARY: EPA is proposing a significant new use rule (SNUR) under section 5(a)(2) of the Toxic Substances Control Act (TSCA) for the chemical substance identified generically as multi-walled carbon nanotubes (P-08-199). This action would require persons who intend to manufacture, import, or process the substance for an activity that is designated as a significant new use by this proposed rule to notify EPA at least 90 days before commencing that activity. The required notification would provide EPA with the opportunity to evaluate the intended use and, if necessary, to prohibit or limit that activity before it occurs.
DATES: Comments must be received on or before March 5, 2010.

訳注2
米国EPA 新規化学物質の製造前届出規則(PMN)のための手引き/40 CFR part 721―化学物質の重要新規利用
§ 721.170 製造前審査を完了した、選択された新規化学物質に対する届出要件
http://www.jetoc.or.jp/MOKUJI/M230.pdf

訳注3
訳注:関連情報





化学物質問題市民研究会
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