ニュー・サイエンティスト・テク 2007年7月26日
FDA ナノテク製品の有害性の証拠はない
消費者団体はナノの予期せぬ健康影響を懸念

情報源:NewScientist.com news service, 26 July 2007
FDA finds no proof of harm with nanotech products
http://www.newscientisttech.com/article/dn12358-fda-finds-no-proof-of-harm-with-nanotech-products.html

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年7月28日


 米食品医薬品局(FDA)は、ますます増加するナノ技術を使用した化粧品、医薬品、及びその他の製品は特別の規制やラベル表示は必要ないと述べている。(訳注1:FDAタスクフォース報告書

 ウッドロー・ウイルソン国際センター(Woodrow Wilson International Center for Scholars)の報告によれば、アメリカでは、サンスクリーン、練り歯磨き、シャンプーなどを含む少なくとも300種の消費者製品が現在ナノ技術を使用している。

 この勧告はFDAが10億分の1メートル(1ナノメートル)という小さな粒子を用いた製品を監視する中で出されたものである。いくつかの消費者団体はそのような小さな粒子が予期せぬ健康影響を及ぼすことを懸念している。

 FDA内のタスクフォースは、ナノサイズ粒子は大きなサイズの粒子に比べて非常に異なる特性を持つが、それらが重大な安全リスクを及ぼすという証拠は現時点ではないと結論付けている。

 ”我々は、ナノサイズの物質が安全上の問題を及ぼしておりラベル上に表示しなくてはならないとする科学的な証拠を持っていない”とFDAの政策計画担当副長官ランドール・ルッターは述べた。

異なる特性

 FDAは、ナノ技術を用いて作られた製品を他の製品と同じやり方−会社に対し市場に出す前にその安全性と功能を証明することを求める−で扱っている。

 しかし、化粧品、食品、及び栄養補助食品(サプリメント)等いくつかの製品カテゴリーはそれらが市場に出される前のFDA監視対象になっておらず、そのことをすでに活動家らが懸念している。ナノ技術を用いてそれらを製造することはそれとは別の次元の懸念をもたらしている。

 非営利政策グループの技術評価国際センター(International Center for Technology Assessment)は、FDAをもっとナノ技術の監視をすることを求めて告訴している。

 ”ナノは単に小さいというだけのことではない。それはこれらの物質が劇的に異なる化学的及び物理的特性を示すという基本的に異なる物質になり得るということを意味する”と同センターのスタッフ弁護士、ジョージ・キンブレル」は述べている。”消費者はモルモットにされている。”

 同センターは、ある種のナノスケール粒子は動物に炎症と免疫系反応引き起こすことがあることを示す研究を引用した。

 しかしFDAは、薬品会社、医療機器メーカー及び消費者製品会社など含むナノ技術を使用する会社のためにガイダンス文書を発行すると述べている。


訳注1:FDA タスクフォースの報告書

論点:許容され必須のラベル表示
Issue: Permissible and Mandatory Labeling
検討のための勧告
Recommendations for Consideration
 現在の科学はナノスケール物質を用いた製品のクラスが必ずしもナノスケール物質を用いない製品のクラスよりも大きな安全性の懸念を示すという所見を支持しないので、タスクフォースは、一般論として、ナノスケール物質を含む製品はそのようにラベル表示されなくてはならないという根拠があるとは信じない。したがって、タスクフォースはFDAが現時点でそのようなラベル表示を要求することを勧告していない。その代わり、タスクフォースはFDAが次の措置をとることを勧告する。
  • ラベルがナノスケール物質の使用に関する情報を含まなくてはならない又は含んでもよいかどうかケースバイケースで扱うこと
訳注2:関連資料



化学物質問題市民研究会
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