FoE ナノ・ニュース 2008年10月
提案されたオーストラリア 食品基準では ナノ食品の有害リスクを管理できない 情報源:Friends of the Earth Australia FoE Nano News October 2008 Proposed new Australian food standards will not manage toxic risks of nanofoods http://nano.foe.org.au/node/271 Friends of the Earth (FoE) Nanotechnology Project 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2008年10月17日 このページへのリンク http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/FoE_au/FoE_au_food_standard.html 規制当局が提案している新たな食品基準が承認されれば、食品会社は、彼らの製品がナノテクノロジー成分、添加物、食品プロセス助剤又は新たな有害リスクを及ぼしうる汚染物質を含む場合には、食品基準オーストラリア及びニュージランド(FSANZ)に対してそれを言明しなくてはならなくなる。しかし、地球の友(FoE)オーストラリアは、新たな基準は、安全ではないナノ成分を食品から排除することも、人々がナノ食品を食べるかどうか選択するための表示も、求めないことを懸念する。 地球の友(FoE)報告書 『食品と農業におけるナノテクノロジー 研究室から食卓へ』(訳注1)は、極端に小さな”ナノスケール”成分を含む104種類以上の食品、食品容器包装、台所用品、農産物を世界中から見つけ出した。人の健康と環境に深刻な新たな有害リスクを及ぼすことを示す多くの証拠が出てきている。 現在までのところ、ナノ食品が既にオーストラリアのスーパーマーケットに出ているのかどうかを食品基準(FSANZ)が知る方法はない。したがって、食品会社が新たな有害リスクを及ぼす可能性のあるナノ成分を使用しているときには、食品会社は食品安全規制当局にそのことを告げなくてはならないということは重要な第一歩である。 しかし、食品基準(FSANZ)は、ナノ形状としてよく知られている物質が新たな有害リスクを及ぼしうるということを最後には認めているにもかかわらず、同基準はナノ粒子を製品に含めることが許可される前に新たな安全性テストを実施することを求めていない。 深刻なリスクがありうるので、英国王立協会はナノ物質は製品中で使用される前に新たな物質として評価され、新たな安全テストを受けるべきであると勧告した(訳注2)。しかし、食品基準(FSANZ)は、ナノ物質を新規物質として扱わず、また食品会社が新たなナノに特化したテストを実施することも求めていない。 王立協会はまた、ナノ製品を使用することについて人々が情報に基づく選択をすることができるよう、全てのナノ成分はラベル表示されるべきことを勧告している。新たな基準は、食品会社がナノ成分を使用している場合には食品基準(FSANZ)にそのことを告げるよう食品会社に求めているが、食品会社は公衆に告げることは求められていない。したがって人々はやはりナノ食品を食べるかどうかを選択する方法はない。 食品基準(FSANZ)は、これらの提案された新たな基準に対するコメントを公衆に望んでいると言っているが、これは”秘密の”パブリック・コンサルテーションであると考えることができる。食品基準(FSANZ)は、そのナノテクノロジー ホームページにも、ナノ食品に関心を持つことを食品基準(FSANZ)が知っている団体にも、この新たな基準について言及した記者発表を行っていない。 もし、食品基準(FSANZ)が遺伝子組み換え食品と同様な反動を避けたいと望むなら、不安全なナノ粒子を食品から排除し、食品会社にナノ食品の表示をさせ、ナノ食品に関する意思決定プロセスに公衆が真に参加することを支持しなくてはならない。 提案されている”適用ハンドブック”対する食品基準(FSANZ)の修正案は下記にて見つけることができる。
訳注1 地球の友 2008年4月 報告書 食品と農業におけるナノテクノロジー 研究室から食卓へ 訳注2 英国王立協会・王立工学アカデミー報告 2004年7月29日 ナノ科学、ナノ技術:機会と不確実性−要約と勧告 |