Nano Technology 2012年1月30日
医学分野におけるナノ
情報源:Nano Technology, January 30th, 2012
Nano in medicine
Author: admin
http://www.neno-tech-views.com/?p=4482

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年2月10日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/NanoTech/NT_120130_nano_in_medicine.html


医学分野におけるナノ

 医学分野は、ナノテクノロジーに大きな期待を寄せている。2006には、すでに100以上のナノテクノロジー関連の医薬品が市場に出ていたが、この技術を使用する医療機器や診断手法もすでに使用されていた。しかし、ナノテクノロジーはまた、倫理的な問題も提起している。人間の能力を強化するためにナノテクノロジーを使用すれば、例えば人間の重圧に対する最適化を行なうことができるかもしれないが、その結果は人間を精神的及び身体的に壊すことにつながる。さらに、ナノテクノロジーの利用が不平等になり、いわゆる医療システムの二重構造をもたらす。

ドラッグ・デリバリー・システム

 この分野におけるナノテクノロジーの特別な長所は、薬剤の有効性、投薬量、薬剤の目標点への搬送で発揮される。いわゆるカーボン・ナノカプセルとナノ球体(訳注)の狙いは、その活性成分を引き金となるある分子の組み合せ条件の下でのみ放出させることである。従来の薬剤とは異なり、ナノ粒子は血液脳関門を通過することができ、パーキンソン病やアルツハイマー病のような脳神経系障害の治療に驚異的な進展をもたらす可能性がある。
訳注:ナノ球体(」nanospheres) ナノスケールの球状粒子。生物分解性と自己集合性があり、薬剤搬送や化学的画像媒体としての可能性を持つ。

ナノ洗浄

 ナノコーティングは、撥水効果(ロータス効果)により表面を保護し異物を除去するので、多くの分野で使用されている。医学分野では、特に病院でバクテリアを抑制するのに非常に有用である。将来、機器、壁、家具、床のコーティングにナノ銀が用いられるであろう。

ナノ技術による診断

 診断において、ナノ粒子は体内で影響を受けている組織や病変を検出するのに特別の能力を発揮する。ナノ粒子によるこの作用は、腫瘍のような体内の病変部の表面に付着するように意図され、MRIを用いて正確に位置を特定することで実現することができる。

ナノ治療

 がん研究で数年前にナノテクノロジーの長所がテストされた。酸化鉄ナノ粒子は、がん細胞を検出するだけでなく、電磁発振でそれらを殺すことができる。将来、これは一般的ながん治療法になる可能性がある。糖尿病研究では、ナノカプセルがすい臓への搬送され、体が必要とするとき血液中にインスリンを選択的に放出することができることを示している。すでに市場に出ているものとして、歯のエナメル質を保護するナノ粒子ベースの歯科用ペーストがあり、これにより治療時の歯の痛みを最小にすることができる。

ナノ移植(インプラント)

 インプラントは体の拒絶反応により大きなリスクを伴なうが、それは心臓ペースメーカのように人の命にかかわるものである。ナノ構造の表面は、生物学的物質と人工物質とのより良い結合をもたらす。さらに、ナノ・コーティングのインプラントは、従来のインプラントより安定で、硬く、頑丈である。

ナノ臓器

 近い将来、合成生物学的活性ナノ構造がより大きな構造となり、例えば人工臓器として使用される可能性がある。


訳注:参考資料


化学物質問題市民研究会
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