FoE オーストラリア 2009年12月22日
安全な日焼け止めガイド
2009/2010夏


情報源:Friends of the Earth Australia, 22 December 2009
Safe Sunscreen Guide 2009-10
http://nano.foe.org.au/sites/default/files/2009-2010%20safe%20sunscreen%20guide.pdf

掲載日:2010年1月3日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/FoE_au/FoE_au_Safe_Noscreen_Guide_2009-10.html


あなたの日焼け止め、モイスチャライザー、ミネラルファンデーションの中のナノ粒子
 酸化亜鉛とニ酸化チタンは紫外線を反射する一般的な日焼け止め成分である。サイズの大きな粒子のほとんどは白色で不透明であり、皮膚上に白い膜を作るが、いくつかの会社はこれらのサイズの大きな粒子を透明にする方法を開発している。粒子はまた極めて小さな”ナノサイズ”にして、透明にすることが出来る。2006年、オーストラリア医薬品管理局(TGA)は、二酸化チタン日焼け止めの70%と亜鉛日焼け止めの30%はこれらの”ナノ粒子”形状の成分を含んでいると述べた[1]。


ナノ製品は新たな健康リスクを及ぼす

 ナノ粒子が吸入、摂取、又は皮膚から吸収されると健康問題を引き起こす。科学的研究は、ナノ粒子が特に紫外線に曝されるとフリーラディカルを生成しDNAを損傷することを示している[2]。ナノ日焼け止めが私たちの皮膚に吸収されると、これらの研究は太陽からの保護よりもむしろ、深刻なダメージを及ぼすことを示唆している。


私たちは、ナノ粒子が皮膚に吸収されるかどうかまだ分かっていない
 オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)とその他の機関は現在、日焼け止め中のナノ粒子が損なわれていない健康な成人の皮膚を浸透するかどうかの研究を実施中である。初期の結果は浸透しないようであるが、他の研究では、ナノ粒子は日焼け又は損傷した皮膚から、皮膚が運動などで曲げられた時には吸収されるらしいことを示している。


日焼け止めや化粧品の吸入又は摂取もまた懸念である
 日焼け止め、モイスチャライザー、ミネラルファンデーションはまた、吸入したり摂取すると危険である。研究は、二酸化チタンのナノ粒子はマウスの肺に炎症を引き起こすことを発見している。吸入された二酸化チタンナノ粒子は妊娠マウスの胎盤を通過し、赤ちゃんマウスに行動の変化を引き起こす。


ナノリスクに取り組む国際行動

 新たな欧州連合の法律は、日焼け止めと化粧品中のほとんどのナノ粒子は製品中で使用される前にナノに特化した安全テストを受け、製品にはナノ粒子を含むことを示すよう要求するであろう。


オーストラリア政府は日焼け止めを安全にするために十分なことをしていない
 オーストラリア政府は、日焼け止め又は化粧品製造者にナノ成分の安全テストもナノ表示も要求していない。オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)はナノ日焼け止めの名前を公表することを拒否している。


あなたの日焼け止め、モイスチャライザー、ミネラルファンデーションの中の化学的紫外線吸収剤
 日焼け止め中で使用されるいくつかの紫外線(UV)吸収化学物質はそれ自身のリスクをもたらす。ある化学物質は皮膚過敏を引き起こす。他の化学物質は紫外線に曝されるとフリーラディカルを生成し、他の化学物質の皮膚吸収を促進し、又は内分泌かく乱物質として作用する。皮膚過敏の多くの人々はこのような化学物質を避けたいと望む。このガイドはあなたが情報に基づく選択をするのに役に立つ。

あなたの役割

  • ナノテクノロジーがいかに私たちの健康に影響を与えるかについて学び、公衆がその開発についての決定に影響力を持つことができるようにすること。
  • 保健大臣ニコラ・ロクソンと議会保健委員長マーク・ブトラーに連絡し、次のことを伝えること。
    • 日焼け止めと化粧品中に使用されるナノ粒子は新たな安全テストを受けること。
    • テストされていないナノ粒子は製品に使用してはならないこと。
    • ナノ成分は人々が情報に基づいた選択が出来るように表示すること。




 地球の友は、各社の一次及び二次日焼け止め製品中の太陽からの保護のための工業用ナノ物質の使用に関する私たちの質問書への各社の回答にしたがって評価を行った。
(訳注)一次日焼け止め:日焼け止め専用。二次日焼け止め:日焼け止め機能も持つ化粧品
 さらに、公衆は日焼け止めに用いられる化学物質に対しても強い関心を持っているので、地球の友オーストラリアはまた、化学的紫外線吸収剤と香料の使用についても質問に含めた。


Nano and chemical-Free
 これらのブランドは、積極的に工業用ナノ物質の使用を回避しているという情報と主張をもって回答してきた。さらに、これらのブランドは、紫外線吸収用化学物質(*)を使用していないひとつ又はそれ以上の製品を申し出た。
(訳注):
 ▼日焼け止め専用:全87中7ブランド(8%)
 ▼ナノ粒子を含む化粧品:全61中5ブランド(8%)


Nano-Free
 これらのブランドは、積極的に工業用ナノ物質の使用を回避しているという情報と主張を回答してきた。
(訳注):
 ▼日焼け止め専用:全87中18ブランド(21%)
 ▼ナノ粒子を含む化粧品:全61中11ブランド(18%)


May Use Nano
 これらのブランドは、工業用ナノ物質の使用に関する地球の友の質問表に回答することを無視、又は拒否した。
(訳注):
 ▼日焼け止め専用:全87中59ブランド(68%)
 ▼ナノ粒子を含む化粧品:全61中37ブランド(61%)


Use Nano
 これらのブランドは、
  • 工業用ナノ物質を使用していること、及び/又は
  • 粒子の1又はそれ以上の次元が100ナノメートル以下の工業用ナノ粒子を使用していることを伝えてきたか、及び/又は
  • 地球の友により委託されたテストを通じて工業用ナノ物質が使用されていることが発見されていた。
 あるいは、そのブランドが使用している製造者が、そのブランドに工業用ナノ粒子を含む成分を供給したと地球の共に連絡してきた。
(訳注):
 ▼日焼け止め専用:全87中3ブランド(3%)
 ▼ナノ粒子を含む化粧品:全61中8ブランド(13%)


(*)PABA (4-aminobenzoic acid), oxybenzone or dioxybenzone, benzophenone, benzophenone-2 or benzophenone-3, 4-methylbenzylidene camphor (4-MBC), octyl-methoxycinnamate (also called OMC or octinoxate), butyl methoxy dibenzoylmethane (avobenzone), padimate-O (octyl dimethyl PABA), homosalate, cinoxate and octyl salicylate (octisalate).


訳注;関連情報


化学物質問題市民研究会
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