デンマークNGOsのナノデータベース紹介
ナノはどこにあるか?


情報源:nano.taenk.dk The Nanodatabase, November 2012
Where's the nano?
http://nano.taenk.dk/wheres-the-nano

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年12月4日
このページへのリンク
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/Danish_NGOs/2012_Danish_Nanodatabase.html

 デンマーク消費者協議会(Danish Consumer Council)とデンマーク環境協議会(Danish Ecological Council)は、デンマーク工科大学(DTU Environment)環境工学部の協力を得て、ナノ物質を含むかもしれない1,200 以上の製品を消費者が特定するのを支援するデータベース(The Nanodatabase)を開発した。このナノデータベースは消費者に情報に基き選択することを可能にする。

ナノは毎日使用されている
 ナノ物質は、化粧品、衣料品、そして栄養補助食品のような通常の消費者製品で使用されているが、ナノ物質がどこで又はどのくらいの量使用されているのか、誰も明確に全貌を把握していない。
 ナノテクノロジーは、例えば、がん研究や汚染場所浄化のように明るい面と大きな可能性を持つものとして見られている。しかし残念ながら、ナノテクノロジーには暗い側面の兆候もある。動物実験は、ある種のナノ粒子の使用は我々の健康と環境に問題を引き起こすことがあることを示している。

ナノテクノロジーは海図にない水域である
 ナノテクノロジーは、まだ比較的新たな分野であり、ナノ物質は日常品中で使用されているが、我々はまだ、ナノテクノロジーを使用することの潜在的な有害影響について分かっていない。
 ”法令に欠陥があるということは、我々が人と環境への影響を完全に知る前に、多くのナノ物質が市場に出されしまうことを意味し、そのことを我々は懸念する”とデンマーク環境協議議会のロネ・ミケルソンは述べている。

ナノデータベースは消費者に役立つ
 現在、ナノ物質を含む製品の製造者は、彼等の製品を申告する義務がない。デンマーク消費者協議会とデンマーク環境協議議会の見解では、これは大問題である。
 ”ほとんどの消費者は、彼等が購入しようとしている商品中にナノ物質が含まれているのか、いないのかについて分からない。そして、もし彼等が潜在的に有害な影響について懸念しているなら、その製品を避けることができるようにするための方法を彼等は持っていない”とデンマーク消費者協議会の上席顧問であるクラウス・ヨルゲンセンは述べている。
 このことが、デンマーク消費者協議会とデンマーク環境協議議会がデンマーク工科大学(DTU)環境校の協力を得てナノデータベースを立ち上げることを決めた理由である。現在、消費者は、ある製品がナノ物質を含んでいるかどうか、または”ナノ”として市場に出されているかどうかを調べるためにこのデータベースを検索することができる。これなら消費者は、ナノ物質を望むか望まないかを選択することができる。
 このデータベースは、ナノ物質を含む、またはナノを含むと主張して市場に出ている1,200以上の製品を含んでいる。
 Findt product

ナノテクノロジーは可能性を秘めているが、有害影響があるかどうかは分からない
 ”我々は、消費者製品中でのナノテクノロジーの使用に関連する可能性ある健康影響についてまだ知らない。同時に、これは我々の社会が直面している、例えば、食品の安全性、医療、そしてエネルギーなどの課題について、潜在的な便益をもたらす技術であるということを認識している”とクラウス・ヨルゲンセンは述べている。
 ナノテクノロジーについてはそれに賛成する人と反対する人がいるが、表示義務がないので、消費者は情報に基く選択をすることができない。このことは、消費者の間に不確実性を生み出すかも知れず、そのことがさらにナノテクノロジーの評判を落とすかもしれない。

ナノ表示は義務的であるべきである
 デンマーク消費者協議会とデンマーク環境協議議会はナノ表示を義務付けるべきであると主張する。それは既に起きている。2013年の夏から、ナノ物質を含む全ての化粧品は、ナノ表示をしなくてはならない。そしてEUは、殺生物剤中で使用されているナノを表示することを決定している。このことは、ナノ物質がどこで使用されているかに関して、消費者にとって透明性が増すが、我々は一部の分野だけでなく、全分野で一律に表示することが必要である。
 ”我々がナノテクノロジーの使用は確かに安全であることを知り、法令が施行されるまで、我々は消費者が情報に基く選択を可能とするラベル表示を必要とする”と、ロネ・ミケルソンは述べている。
 この二つの組織は、データベースの英語版が他の国の消費者に役立つであろうことを希望している。この希望とは、消費者が”ナノ”を含む、またはナノ製品であるとの主張をこのデータベースに報告することである。
Report product

更なる情報については下記に連絡ください。
Lone Mikkelsen Chemicals expert, Danish Ecological Council
Tel: -45 3318 1934
lone@ecocouncil.dk

Claus Jorgensen
Senior Advisor, Danish Consumer Council
Tel: +45 7741 7722
cj@fbr.dk

ナノ物質の科学的評価と、NanoRiskCatのカラー分類に関する質問については下記に連絡ください。
Steffen Foss Hansen
Senior Researcher, PhD., DTU Environment
Tel: +45 4525 1593
sfha@env.dtu.dk


訳注:関連情報


化学物質問題市民研究会
トップページに戻る