S&S LLP 2012年2月9日
欧州議会 ナノ特定条項を含む 新・殺生物剤規則(BPR)を承認 情報源:Steptoe & Johnson LLp / Nanotechnologies News, February 9, 2012 European Parliament Approves Biocidal Products Regulation with Nano-specific Provisions by Laurel Berzanskis (Attorney Intern) http://www.steptoe.com/f-452.html 訳:安間 武(化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html 掲載日:2012年3月5日 更新日:2012年5月19日 (欧州連合理事会承認)(訳注) このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/120209_SS_EP_draft_Biocidal_Products_Regulation.html 2012年1月19日、欧州議会は、ナノ物質の使用のための特定条項を含むドラフト殺生物剤規則(BPR/Biocidal Products Regulation)を承認した。欧州理事会はまだ公式には承認していないが、その承認にあたり変更はないと思われる。理事会の評決は2012年の上半期になされ、この殺生物剤規則(BPR)は2013年9月1日に発効されると考えられている。 殺生物剤(BPR)は、ナノ物質の定義を確立し、活性成分の認可と殺生物剤の承認がどのようにナノ物質に適用されるのかを明確にし、殺生物剤及び処理製品中のナノ物質の表示のための規則を確立することによって、殺生物剤中のナノ物質の規制に対応している。 定義 殺生物剤規則(BPR)は、昨年10月8日のナノ物質に関する欧州委員会勧告 2011/696/EU のナノ物質の定義を初めて全面的に取り入れたEUの最初の法令である。第3条(z)はナノ物質を次のように定義している。
殺生物剤規則(BPR)での定義は、ナノスケール粒子を非意図的に含む物質を除外したという点だけが欧州委員会勧告と異なる。その他の文言は同じである。 ある物質がナノ物質であるかどうかについて不確実である場合には、殺生物剤(BPR)の第3条 3項は、欧州委員会はナノ物質の定義に関する勧告を重んじつつ、加盟国の要求があれば、ある決定をしてもよいと規定している。ナノ物質の定義に合致するということは、どの物質がさらなる規制管理の対象となるかを特定されたということである。 認可 殺生物剤規則(BPR)は、殺生物剤中で使用される活性物質は EU レベルで承認され、殺生物剤そのものはEU又は加盟国レベルで使用が認可されるべきことを求めている。 明示的に述べられている場合を除いて、ある活性物質の承認はナノ物質を含む同じ活性物質の承認とはならない(第4条 4項)。テストに関する文書は、ナノ物質にとっての科学的妥当性と、その物質の特性に対応するためになされた技術的適合と調整についての説明を含まなくてならない(Annex II、5項)。 同様に、ナノ物質は、環境へのリスクと健康へのリスクが分けて評価された場合にのみ、殺生物剤中での使用のために認可されるかもしれない(第19条1 (f)項)。活性成分と同じように、ナノ物質が用いられる殺生物剤の認可のために提出されるテストは、ナノ物質の科学的妥当性と、適用可能な場合には、その物質の特性に対応するためになされたの技術的適合と調整についての説明を提供しなくてならない(Annex III、5項)。 表示 殺生物剤規則(BPR)はナノ物質を含む殺生物剤とナノ物質を含む殺生物剤で処理された成形品は、それに応じて表示されなくてはならない。ラベル上に全てのナノ物質の名前をリストし、その後にカッコ中に”nano”と書かれた表記が求められる。しかし、ナノ物質を含む殺生物剤は、”どのような具体的な関連リスク”をも特定するさらなる義務、すなわちナノ物質のためのどのような他の表示要求よりもっと進める義務がある。 将来は? 殺生物剤中でのナノ物質の使用に目を向けた特定の条項があるが、ナノ物質の将来については決定されていない。例えば、ナノ物質の定義はさらなる改良のために開かれている。殺生物剤規則(BPR)の第3条5項は、欧州委員会は技術的及び科学的進展の観点からナノ物質の定義を改良するための権限を付与されなくてはならないことを規定している。技術的及び科学的進展の正確な測定に役立てるために、加盟国は、殺生物剤でのナノ物質の使用と潜在的なリスクに関する情報を含んで、5年毎に殺生物剤規則(BPR)の実施に関する報告書を提出する(第 65条3項d)。ナノ物質の健康と環境リスクに関する情報の開発は、これらの製造者のために法的な確実性を確立することに寄与するであろう。 訳注:関連情報
|