2009年11月30日欧州議会及び理事会
化粧品に関する規則(EC) No 1223/2009

ナノ関連抜粋
情報源:REGULATION (EC) No 1223/2009 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT
AND OF THE COUNCIL of 30 November 2009
on cosmetic products(recast) (Text with EEA relevance)
https://ec.europa.eu/health/sites/health/files/endocrine_disruptors/
docs/cosmetic_1223_2009_regulation_en.pdf


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2010年1月13日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/eu/EU_cosmetic_regulation_2009.html

ナノ関連抜粋
EUの化粧品に関する規則のうちナノ物質に関連する部分を抜粋したものです。この規則は2013年7月11日から発効します。
Whereas:

(29) 化粧品中のナノ物質の使用は技術の更なる開発とともに増加するかもしれない。消費者保護の高いレベル、商品の自由な移動、及び製造者の法的確実性を確保するために、国際レベルで統一されたナノ物質の定義を開発する必要がある。欧州共同体は適切な国際的フォーラムで定義に関する合意に達するよう努力する必要がある。そのような、合意に達したなら、この規則中におけるナノ物質の定義はその合意が採用されるべきである。

(30) 現在、ナノ物質に関するリスクに関し不適切な情報がある。それらの安全性をよりよく評価するために、消費者安全科学委員会(SCCS)は、関連する組織と協力してナノ物質の特定の特性を考慮に入れたテスト方法に関するガイダンスを作成すべきである。

(31) 欧州委員会は科学的進展に照らして、ナノ物質に関する規定を定期的に見直すべきである。

(35) 消費者安全科学委員会(SCCS)は、化粧品中でのナノ物質の使用の安全性に関して適切な場合には意見を述べるべきである。これらの意見は責任者により入手可能とされている完全な情報に基づくべきである。

(65) 緊急の理由があり規定の審査手続きのための通常の期限に従うことが出来ない場合は、欧州委員会は、CMRs、ナノ物質及び潜在的なヒト健康へのリスクに関連する措置の採用のための Decision 1999/468/EC 第5条a(6)に規定する緊急手続きを適用することが出来る。

第2条:定義

1. この規則の目的のために、次の定義を適用しなくてはならない。

(k) ”ナノ物質”とは、外部の1次元又はそれ以上の次元、又は内部構造が1〜100ナノメートルである非溶解性又は生物残留性があり意図的に製造された物質を意味する。

3. ナノテクノロジー分野における異なる組織や不断の技術的及び科学的開発に基づくナノ物質の様々な定義の観点から、欧州委員会は第1項(k) を技術的科学的進捗及びそれにより国際的なレベルで合意された定義に調整し修正しなくてはならない。その法令は、この規則の非本質的な要素を修正するよう設計され、第32条(3)に言及される審査に基づく規則手続きに従って採択されなくてはならない。

第13条:届出

1. 化粧品を市場に出す前に、責任者は、電子媒体で次の情報を欧州委員会に提出しなくてはならない。

(f) ナノ物質の形状で存在する物質:
 (i) 化学物質名(IUPAC)を含むナノ物質の身元(identification)と、「Annexes II to VIのPreamble(序文)(2)」に示されるdescriptors(訳注:CAS, EINECS, ELINCS など)
 (ii) 合理的に予知できる暴露条件

第14条:Annexes にリストされている物質の制限

1. 第3条(安全)を損なわず、化粧品は次のものを含んではならない。

(a) 禁止されている物質
 ・Annex II に「リストされている禁止物質

(b) 制限されている物質
 ・Annex III に規定されている制限にしたがって使用されていない制限物質

(c) 着色剤
 (i) Annex IV にリストされているもの以外の着色剤、及びリストされているが、そのAnnexで規定されている条件に従って使用されていない着色剤。ただし第2項で言及されている毛染め製品を除く。
 (ii) (b), (d)(i) 及び (e)(i) を損なわず、Annex IV にリストされているが、着色剤として使用されることが意図されておらず、また,そのAnnex で規定されている条件に従って使用されていない物質。

(d) 保存剤
 (i) Annex V にリストされているもの以外の保存剤、及びリストされているが、そのAnnexで規定されている条件に従って使用されていない保存剤。
 (ii) (b), (c)(i) 及び (e)(i)を損なわず、Annex V にリストされているが、保存剤として使用されることが意図されておらず、また,そのAnnex で規定されている条件に従って使用されていない物質。

(e) UV フィルター
 (i) Annex VI にリストされているもの以外のUV フィルター、及びリストされているが、そのAnnexで規定されている条件に従って使用されていないUV フィルター。
 (ii) (b), (c)(i) 及び (d)(i)を損なわず、 Annex VIにリストされているが、 UV フィルターとして使用されることが意図されておらず、また,そのAnnex で規定されている条件に従って使用されていない物質。

第16条:ナノ物質

1. ナノ物質を含むどのような化粧品も高いレベルのヒト健康の保護が確保されなくてはならない。

2. 本条の規定は、明示的に特定されない限り、第14条の下に規制されている(regulated)着色剤、UVフィルター、又は保存剤として使用されるナノ物質には適用しない。

3. 第13条の下における届出に加えて、ナノ物質を含む化粧品は上市6ヶ月前までに責任者により電子媒体で欧州委員会に届出なくてはならないが、2013年1月11日以前に同じ責任者により上市されている場合を除く。後者の場合、第13条に加えて、上市されているナノ物質を含んでいる化粧品は2013年1月11日から同年7月11日の間に電子媒体で責任者によって州委員会に届出なくてはならない。第1項及び第2項は、Annex III(訳注:制限)に規定される要求に従っているナノ物質を含む化粧品には適用されない。欧州委員会に届出る情報は少なくとも下記を含まなくてはならない。
(a) 化学物質名(IUPAC)を含むナノ物質の身元(identification)と、Annexes II to VIのPreamble(序文)(2)に示される記述

(b) 粒子のサイズ、物理的及び化学的特性を含むナノ物質の仕様

(c) 市場に出す意図のある化粧品中に含まれるナノ物質の年間当り見積もり量

(d) ナノ物質の毒性学的プロフィール

(e) 化粧品のカテゴリーに関連する製品中で使用されているナノ物質の安全性データ

(f) 合理的に予知できる暴露条件

 責任者は、ナノ物質の届出のために文書による負託により他の法人又は個人を任命してもよいが、欧州委員会にそのことを連絡しなくてはならない。欧州委員会は毒性学的プロフィールのための参照番号を提供しなくてはならず、それは上記(d)の下に届けられる情報を代用してもよい。

4. 欧州委員会がナノ物質の安全性に関する懸念を持った場合には、欧州委員会は遅れることなく消費者安全科学委員会(SCCS)に対し、化粧品の関連するカテゴリーでの使用についてのそのようなナノ物質安全性に関する意見及び合理的に予知できる暴露条件に関する意見を求めなくてはならない。欧州委員会はこの情報を公表しなくてはならない。消費者安全科学委員会(SCCS)は欧州委員会の要求後6ヶ月以内にその意見を出さなくてはならない。消費者安全科学委員会(SCCS)が必要なデータで不足なものがあることを見つけた場合には、欧州委員会は責任者に明示的に示された合理的な、延期することの出来ない期間内に、そのようなデータを提供するよう責任者に要求しなくてはならない。消費者安全科学委員会(SCCS)は、追加データ提出後6ヶ月以内にその最終意見を出さなくてはならない。消費者安全科学委員会(SCCS)の意見は、公表されなくてはならない。

5. 欧州委員会はいつでも、例えば第三者から提供された新たな情報により安全性に関する懸念を抱いた場合には、第4項に記述する手順を適用してもよい。

6. 消費者安全科学委員会(SCCS)の意見を考慮しつつ、またデータが不十分である場合を含みヒト健康に潜在的なリスクがある場合には、欧州委員会はAnnexes II and IIIを修正してもよい。

7. 欧州委員会は技術的及び科学的進捗を考慮しつつ、新たな要求事項を加えて第3項を修正してもよい。

8. この規則の非本質的な要素を修正するよう設計されており、第6項と7項で言及されている措置は第32条(3)に言及される審査に基づく規則手続きに従って採用されなくてはならない。

9. 緊急の理由がある場合には欧州委員会は第32条(3)に言及される手続きを用いてもよい。

10. 欧州委員会は次の情報を利用できるようにしなくてはならない。

(a) 2014年1月11日までに、欧州委員会は、市場にある着色剤、UVフィルター、及び保存剤として使用されているものを含んで化粧品中で使用されている全てのナノ物質のカタログを、化粧品のカテゴリーと合理的に予知できる暴露条件を示しつつ、利用できるようにしなくてはならない。このカタログはその後定期的に更新され公表されなくてはならない。

(b) 欧州委員会は欧州議会と理事会に年次報告書を提出しなくてはならず、それは欧州共同体内の化粧品中の、別セクションに着色剤、UVフィルター、及び保存剤としての使用を含めた、ナノ物質使用に開発に関する情報を与えるものである。最初の報告書は2014年7月11日までに提出されなくてはならない。報告書の更新は、特に化粧品の新たなカテゴリー中の新たなナノ物質、届出数、ナノに特有な評価手法と安全評価ガイドの開発における進捗状況、及び国際的な共同プログラムに関する情報を要約しなくてはならない。

11. 欧州委員会は、科学的進捗に照らしてナノ物質に関するこの規則の規定を定期的に見直し、必要な場合にはこれらの規定に対する適切な修正を提案しなくてはならない。

 最初の見直しは2018年7月11日までに実施されなくてはならない。

第19条: 表示(Labelling)


1. (g) ・・・(略)。

 成分のリスト。この情報は包装だけに表示されてもよい。このリストは”成分”という語で示されなくてはならない。

 ・・・(略)。

 ナノ物質の形状の全ての成分は成分リスト中に明確に示されなくてはならない。そのような成分の名前は、かっこの中に”ナノ”(nano)と示さなくてはならない。


訳注:関連情報
EurActiv 2009年11月24日 欧州連合:化粧品のナノ表示を求める新たな規制を採択 ドイツは化粧品の”ナノ”表示に反対



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