CIEL, ECOS, Oeko 2016年4月13日 プレスリリース
宣言:ナノ物質を含有する廃棄物に重要な
予防的アプローチ


情報源:CIEL, ECOS, Oeko Institute Press Release, April 13, 2016
Declaration: Precautionary Approach Critical on Waste Containing Nanomaterials
http://www.ciel.org/news/declaration-precautionary-approach-
critical-on-waste-containing-nanomaterials/


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2016年4月13日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/CIEL/CIEL_ECOS_Oeko_160413_
Press_Release_Declaration_on_Waste_Containing_Nanomaterials.html


 【ジュネーブ】本日の”ナノ物質を含む廃棄物に関する宣言”(訳注1)の中で、国際環境法センター(CIEL)、 ECOS、及び Oeko-Institut は、廃棄物の流れの中の工業ナノ物質(MNMs)の可能性ある危険(ハザード)から人々と環境を保護するための予防的措置を採用し実施することの重要性を強調している。ナノ物質の毒性に関してはまだ多くのことが未知のままであるが、工業ナノ物質を含む廃棄物の厳格な管理が重要である。

 世界中の 80以上の市民社会組織及び研究組織が署名をもって、工業ナノ物質を含む廃棄物を有害廃棄物として分類することの要求を全面的に支持しつつ、その宣言を承認した。これは、工業ナノ物質への人と環境の暴露を制限するためにそのような廃棄物の廃棄経路をよりよく管理するために必要である。さらに、その宣言は発生源での廃棄物の削減、拡大生産者責任、及び公的ナノ製品登録制度の創設を求めている。

 ”製造から使用、廃棄まで、規制されていないナノ物質が市場にあふれているのに、あまりにも多くのことが未知のままである。廃棄物の流れの中含んで、ナノ物質への有害暴露を回避するために予防原則が直ちに適用されなくてはならない”と、CIEL の環境健康プログラムのディレクターであるデービッド・アゾレーは述べている。”それらのリスクは非常に大きいので、無視することはできない”。

 ”EU レベルでのナノ製品登録制度は、産業側と当局の両方が工業ナノ物質を含む製品の廃棄物の流れの発生源と行き先を特定するために必要である”と、Oeko-Institut の上席科学者 アンドレアス・ヘルマンは強調する。

 2016年2月に OECD により発表された報告書 『Nanomaterials in Waste Streams: Current Knowledge on Risks and Impacts (廃棄物の流れの中のナノ物質:リスクと影響に関する現状の知識)』(訳注2)は、廃棄物の流れの中のナノテクノロジーの潜在的な存在を制限するよう呼びかけるこの宣言を補強するものである。

 この宣言は、 欧州標準化委員会(Committee European Normalization, CEN)内で検討中のナノ物質のライフサイクルと廃棄物に関する標準化活動と時を同じくするものである。それはまた、中国における 3Rs 及び日本における循環型社会(Sound Material-Cycle Society)(訳注3)のような世界の他の同等なプロセスはもちろん、欧州連合内における循環型経済(Circular Economy)の議論という文脈において特に関連性がある。

 ”ナノ物質を含む廃棄物に関する宣言”は、ナノ物質の価値連鎖(value chain)のあらゆる場所における関連する全ての関係者、すなわち、政府、研究所、資金配分機関及び会社に向けたものである。

 ECOS の上席政策担当ドリーン・フェデリコ・ファシオは次のように強調した。”廃棄物に含まれるナノ物質は、廃棄物生成者によって考慮されなくてはならない。REACH 付属書改訂の長期にわたる遅れは、ナノ物質に目を向ける廃棄物政策の不在によって悪化し、困難が倍加している”。

 この宣言は、3年間にわたる ECOS, CIEL, 及び Oeko-Institut のナノ物質の理解を広げ、政策と科学の間のギャップを埋めることに向けた共同作業の結果のひとつである。それはナノ物質のライフサイクル面を精査した2015年12月のブリュッセルにおけるワークショップによって強化された。

 この宣言は、組織による追加署名のために現在開かれている。追加署名による宣言支援のリストは今後更新されるであろう。

CIEL Media Contact:
David Azoulay, Geneva Managing Attorney & Environmental Health Program Director.
Mobile +41 78 75 78 756, or dazoulay@ciel.org .

ECOS Media Contact:
Honey Kohan, ECOS Communications Officer
Tel: +32 2 893 08 64, honey.kohan@ecostandard.org

Oeko-Institut Media Contact:
Andreas Hermann, Senior Scientist.
Mobile +49 6151 8191 158, or a.hermann@oeko.de .


 国際環境法センター(CIEL)は、環境を保護し、人の健康を促進し、正義と持続可能な社会を確実にするために、国際法と制度を強化し利用することに注力している。CIEL は、法律相談、政策研究、分析、教育、訓練及び知識向上を含んで、世界の交易の分野における政策提言に専心している非営利組織である。

 標準化のための欧州環境市民組織(European Environmental Citizens' Organisation for Standardisation (ECOS))は、法的及び技術的専門性をもって標準開発又はプロセスの修正に貢献しつつ、欧州における環境利益及び国際標準化システムを弁護する。ECOS は、欧州で 40近くの環境 NGOs をメンバーとしており、標準化と技術的製品政策に特化した唯一の世界的環境組織である。

 エコ研究所(Oeko Institute e.V.)は、持続可能な未来のために働く主導的な欧州の研究及びコンサルタントを行う研究所であり、世界、国内、及び地域で持続可能な開発のビジョンを実現するための原則と戦略を開発している非営利の協会である。価値重視の研究に基づき、Oeko-Institute は、政治、産業及び市民社会における意思決定者のためのコンサルタントを提供している。


訳注1
CIEL, ECOS, Oeko 2016年4月13日 ナノ物質を含有する廃棄物に関する宣言
 英語版、スペイン語版、ポルトガル語版、フランス語版、及び日本語版が、IPEN のウェブページに掲載されています。

訳注2
OECD Press Release 2016年2月22日 家庭廃棄物中のナノ物質がもたらすリスクに緊急の研究が必要

訳注3


化学物質問題市民研究会
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