2013年1月13日(日)〜1月18日(金)ジュネーブ、スイス 水銀条約第5回政府間交渉会議(INC5) IISD 報告書 抄訳 内容 情報源:International Institute for Sustainable Development (IISD) Monday, 5 July 2012 SUMMARY OF THE FIFTH SESSION OF THE INTERGOVERNMENTAL NEGOTIATING COMMITTEE TO PREPARE A GLOBAL LEGALLY BINDING INSTRUMENT ON MERCURY 13-19 JANUARY 2013 PDF版|HTML版 Summary Highlights of the Meeting (写真) 紹介:安間武 (化学物質問題市民研究会) 掲載:2013年1月28日 更新:2013年2月14日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/INC5_CACP/INC5_IISD_Report.html INC5における本会議での討議を報告したIISDの報告書の一部を抜粋/抄訳して紹介します。 内容 ■INC5 報告 ◇オープニング・ステートメント ■水銀に関する国際的な法的拘束力のある条約交渉 ◇序文 ◇序文最終テキスト ◇第1条 目的 ◇第1条 最終テキスト ◇第2条 定義 ◇第2条 最終テキスト ◇第3条 水銀供給源と貿易 ◇第3条 最終テキスト ◇第6条 水銀添加製品 (13/01/30) ◇第6条 最終テキスト (13/01/30) ◇第7条 水銀が使用される製造プロセス (13/01/30) ◇第7条 最終テキスト (13/01/30) ◇第8条 要求に基づく締約国に利用可能な免除(13/01/30) ◇第8条 最終テキスト(13/01/30) ◇第9条 ASGM (13/02/03) ◇第9条 最終テキスト (13/02/03) ◇第10条 排出 (13/02/03) ◇第10条 最終テキスト (13/02/03) ◇第11条 放出 (13/02/03) ◇第11条 最終テキスト (13/02/03) ◇第12条 廃棄物水銀以外の水銀の環境的に適切な暫定的保管 (13/02/04) ◇第12条 最終テキスト (13/02/04) ◇第13条 水銀廃棄物 (13/02/04) ◇第13条 最終テキスト (13/02/04) ◇第14条 汚染サイト (13/02/04) ◇第14条 最終テキスト (13/02/04) ◇第15条 財源とメカニズム (13/02/10) ◇第15条 最終テキスト (13/02/10) ◇第16条技術的援助、能力構築、技術移転 (13/02/10) ◇第16条 最終テキスト (13/02/10) ◇第17条 実施及び遵守委員会 (13/02/11) ◇第17条 最終テキスト (13/02/11) ◇第18条 情報交換 (13/02/11) ◇第18条 最終テキスト (13/02/11) ◇第19条 広報、意識向上、教育 (13/02/11) ◇第19条 最終テキスト (13/02/11) ◇第20条 研究、開発、監視 (13/02/13) ◇第20条 最終テキスト (13/02/13) ◇第20条bis. 健康面 (13/02/13) ◇第20条bis 最終テキスト (13/02/13) ◇第21条 実施計画 (13/02/14) ◇第21条 最終テキスト (13/02/14) ◇第22条 報告 (13/02/14) ◇第22条 最終テキスト (13/02/14) ◇第23条 効果の評価 (13/02/14) ◇第23条 最終テキスト (13/02/14) ◇閉会 (13/02/14) (続く) 水銀の世界的な問題点の簡潔な歴史 (省略) INC5 報告 1月13日の日曜日、UNEPのINCチーム・コーディネータであるJacob Duerは、開会式を挙行した。INCルグリス議長は合意を見つけるための努力をさらにするよう参加者に要請した。UNEPアヒム・スタイナー事務局長の代理Bakary Kanteは、「2013年世界水銀評価」をハイライトした。スイスの国務長官で連邦環境庁長官のBruno Oberleは、資金調達メカニズムと技術支援及び監視と実施を含む法的に拘束力のある条約を確立するよう代表者等に要請した。次に代表者等は水俣病のビデオを観た。 代表者等は、会議議題を修正することなく採択した(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/1 and Add.1)。ルグリス議長は、下記をハイライトしつつ、会議の作業組織を示した。▼午前、午後、夕方の本会議計画 ▼2012年に中国の北京で開催されたビューロー会議の報告書中の作業組織に関する特定の指示 ▼コンタクト・グループ、ドラフティング・グループ、又は議長支援(Friends of the Chair)グループの設立の前に本会議で全ての条項を検討すること。 全ての地域グループは、INC5における交渉を完結するとの約束を表明し、交渉のベースとして議長提案テキスト(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/3)(訳注:UNEPオリジナル英語版|当研究会による日本語訳版)を支持し、欧州連合(EU)とアジア太平洋地域としての日本は付属文書も利用したいと望み、アメリカは議長テキスト中のある政策選択について及びINC4で既にリーガル・グループによりレビューされ、カッコ([ ])が外された文言を変更することについての懸念を提起した。 オープニン・ステートメント ラテンアメリカ・カリブ海グループ(GRULAC)を代表してメキシコは、▼オゾン層破壊物質に関するモントリオール議定書の多国間基金に類似した独立した基金▼人の健康に関する特定の条項、及び▼排出と放出に対する全体論的なバランスの取れたアプローチを要求した。 アフリカ・グループを代表してナイジェリアは下記を求めた。▼”全ての媒体”を規制するひとつの条項▼健康医療における水銀の廃止に向けた更なる取り組み▼アフリカに輸出される製品は水銀が使用されず、水銀を含有する製品の輸出は事前通報・同意手続(PIC)の対象であることの保証、及び▼暫定的な資金計画。 欧州委員会は、全水銀ライフサイクルを包含し、条約とその付属書のレビューと採択に関する動的な条項を望んだ。アジア太平洋グループは、▼大気への水銀及び化合物の排出源を特定するための明確で科学に基づく基準の必要性▼資金援助のための優先領域、及び▼遵守と実施計画を強調した。 アメリカは、水銀の大気排出に関する明確な義務の必要性を強調した。カナダは、大気排出に関する強い条項から導かれるであろう世界的な健康の便益を強調した。中国は、この段階での新たな提案に反対する警告を発した。 アルゼンチンとイラクは、水と陸地への放出に対応することの重要性を強調した。アルジェリアは、水銀製品をやめることに対する補償の必要性を強調した。本質的な削減を求めるノルウェーは、ドラフト中に描かれている措置は水銀の深刻な影響に適切に対応しないかもしれないと警告した。チリは、天然に発生する水銀化合物を明示的に除外することを求めた。ペルーはASGMの影響を強調した。 モロッコは、人と動物に用いられる全てのワクチンを含んで、全ての水銀添加製品のリストを開発する必要性を強調した。ナイジェリアは、化粧品と農薬中での水銀使用を禁止することを勧告した。バングラディシュは、水銀の全ての用途を、特に代替が同等のコストで入手できない場合、禁止することに反対する警告を発した。 日本は、資金及び技術援助の条項を最も難しいものとして特定した。サウジアラビアは、技術援助メカニズムの必要性を強調した。インドは、拘束力のある遵守規定には意味のある資金支援と技術移転を伴う必要性があることに言及した。ヨルダンは、GEFにより管理され、国家レベル単位に特化した、柔軟性のある専用の特別基金に賛同した。 WHOは、排出とASGMに対応することで最も大きな効果が得られるであろうことに言及しつつ、主要な排出源に対応する必要性を強調した。世界動物保健機関(OIE)は、動物用ワクチン中のチメロサールの重要性を強調した。アフリカ 連合委員会は能力と制度の構築の重要性を強調した。世界先住民評議会はテキスト中に先住民への言及が欠如していることについての懸念を表明し、適切な保護を求めた。ゼロ・マーキュリー・ワーキング・グループ(ZMWG)は、水銀曝露を防止することの社会的な利益を強調した。 水俣病被害者共同センターと国際POPs廃絶ネットワーク(IPEN)は、水俣病被害者の戦いを強調し、条約を水俣条約と命名することに反対した。 水銀を使用しない歯科医療世界連合は、2025年までに、そして赤ちゃんについては2018年までに、歯のアマルガム廃止を求めた。国際口腔医学毒性学会は、アマルガムの使用は、環境コストのために経済的に正当化できないと述べた。ヒューマンライツウォッチは、条約中に水銀に関する効果的な健康戦略を含めることを求めた。水銀フリー医薬品同盟(CoMeD)は、ワクチン中での水銀使用に反対した。 INCは、議長テキストを交渉のベースとして使用することを承認した。ルグリス議長は、議長テキスト中の未処理の問題解決のためを除いて、新たなテキストを導入せず、かっこ([ ])を外すことに注力するよう要請した。 水銀に関する国際的な法的拘束力のある条約交渉 代表者らは、本会議、ドラフティング・グループ、及び非公式審議会、及び次のコンタクト・グループの中で条約のドラフト条項の交渉に参画した。▼選択された技術的条項:共同議長は、前議長のDonald Hannah (New Zealand)から交替したKarel Blaha (Czech Republic)及び Abiola Olanipekun (Nigeria)。第3条(供給と貿易)、第6条(製品)、第7条(プロセス)、第8条(免除)、及び第9条(ASGM);▼財源、技術的援助と技術移転:共同議長はJohanna Lissinger Peitz (Sweden) 及び Gillian Guthrie (Jamaica);▼健康面と国家実施計画:共同議長はKaterina Sebkova (Czech Republic) 及び Luis Espinosa (Ecuador); ▼排出と放出:共同議長はJohn Roberts (UK) 及び Abdulkadir Jailani (Indonesia); ▼法的な条項:共同議長はAnne Daniels (Canada) 及び Jimena Nieto (Colombia)。第1条(目的)、第2条(定義)、第17条(遵守)、他の条約と関連する用語。 全ての条項は、Susan Biniaz (US)を議長とするリーガル・グループによりレビューされ、土曜日(19日)の早朝の本会議で採択された。下記に示す概要は、INC5で承認されたテキストに基き、審議の内容について記述し、条約の各条項をまとめたものである。 序文 本会議は、日曜日(13日)に序文に対応したが、ルグリス議長は多くの国がまだ提出していないことを認めた。日本は水俣病、汚染者負担原則、及び防止措置の重要性に関する記述を求めた。カナダは、この条項に生態系と先住民に関する記述を提案した。イラクはリオ原則を反映するよう提案した。 他の国際条約との関連の問題は、もともとは議長テキストの第1条bisの中で対応されていたが、その文言(テキスト)と条約中への配置(場所)の両方についての議論があり、GRULAC とイランは、最終的な条項のどこかに入れることを提案した。EUは、どのような既存の国際的合意に由来するどのような締約国の権利と義務にも影響を与えてはならないとする文言、及びその目的と矛盾しない他の関連する国際的協定と相互に支えあうやり方で実施されなくてはならないとする文言を削除し、相互に支えあうことの言及をこの序文中に挿入することを提案した。 アメリカは、▼どのような既存の国際的合意に由来するどのような締約国の権利と義務にも影響を与えてはならないとする文言の保持;▼貿易と環境の分野の他の国際条約と相互に支えあうとするストックホルム条約への信頼;▼締約国に追加的な要求を課すことを許す文言の削除を提案した。GRULACは、水銀曝露から人の健康と環境を守るための締約国の追加的な要求は、”適用可能な国際法の下に締約国の他の義務に従う”ということを明記するよう提案した。 この問題に関する議論は法的特性を持つ条項に関するコンタクト・グループで続けられ、一方序文の残りはルグリス議長により率いられた非公式審議会で、第15条(財源とメカニズム)及び第17条(実施及び遵守委員会)もまた関わる妥協案の一部として討議された。 水曜日(16日)、コンタクト・グループは、▼水銀条約の条項は、どのような既存の国際的合意に由来するどのような締約国の権利と義務にも影響を与えてはならない;▼締約国は、水銀条約と環境及び貿易分野の他の国際的な合意は相互に支えあうことを認める;及び▼水銀条約は、締約国が適用可能な国際法の下に締約国の他の義務に従い、人の健康と環境を水銀曝露から守るための取り組みにおいて水銀条約の条項と矛盾しない追加的な国内措置をとることをなんら妨げるものではない−と述べる文言に合意点を見出した。しかし代表者らはこの規定を置く場所を序文にするか他の関連ある条項にするかについては結論に達しなかった。 木曜日(17日)、コンタクト・グループは議論の後に、他の協定の権利と義務に関する合意された文言は、この条約と他の国際的文書の間に階層を生成することが意図されていないことを明確にする追加的な提案を最終的に受け入れた。同グループはまた、全ての同意された文言を序文にいれることを決定した。 金曜日(18日)、ルグリス議長は、本会議で非公式専門会議で合意された、共通ではあるが差異のある責任を含むリオ原則、及び国家のそれぞれの事情と能力に言及し、発展途上国の特定の事情と資金及び技術的援助の必要性に強く言及した序文を発表したが、その結果、議長の発展途上国の特別の事情に関する第8条bis(訳注:[開発途上国であるどのような締約国も、この条約の第3条〜14条に示される管理措置への遵守を10年遅らせる権利を与えられなくてはならない。])は削除された。 ボリビアは、先住民族の権利に関する国際連合宣言の中で述べられているように、”人々(peoples)”よりもむしろ、先住民の”コミュニティ”への言及を序文中に記すこと求めた。小島嶼開発途上国(SIDS)を代表してモーリシャスとパラグアイは、SIDSと内陸国のそれぞれに序文で言及するよう求めた。本会議はこの序文を修正なしに承認した。 土曜日(19日)午前2時40分に本会議は再開され、ルグリス議長は、▼序文(訳注:UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP53, 19 January 2013);▼能力構築と技術的援助を支援するための特定の国際的プログラムとともに、GEFを含む財政メカニズムを規定する第15条妥協案;及び▼実施と遵守委員会を規定する第17条を発表した。EU、アメリカ、カナダ、及びロシアはこの妥協提案の支持を表明した。中国は、この結果はバランスが取れた妥協であることを認めた。GRULAC は、序文中でリオ原則、特に共通であるが差異のある責任への言及を強調し、日本は水俣病の教訓を述べていること(訳注)について評価した。 訳注:Recognizing the substantial lessons of Minamata Disease, in particular the serious health and environmental effects resulting from the mercury pollution, and the need to ensure proper management of mercury and the prevention of such events in the future, ...(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP53 19 January 2013) 序文最終テキスト 序文(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.53) は、なかんずく下記の言及を含んでいる。
火曜日(15日)に本会議は目的について討議した。EUは、水銀と水銀化合物の人の活動に由来する放出から人の健康と環境を守ることを目的として定義している議長のドラフト中のテキストを受け入れる用意があると述べた。ブラジルは、放出に加えて排出への言及を要求した。チリは、この目的の承認は、定義に関する第2条中で、”人の活動に由来する全ての大気への排出と、水と土壌への放出”という、人の活動に由来する放出の定義次第であると条件付けた。 木曜日(17日)リーガル・グループ議長 Biniaz は、”排出”、”放出”、及び”排出と放出”という用語の一貫した使用に関する提案を導入し、目的の中で両方の用語を使用することを勧告した。 第1条 最終テキスト 第1条(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.15 and 20)によれば、この条約の目的は、人の活動に由来する水銀及び水銀化合物の排出と放出(emissions and releases )から人の健康と環境を守ることである。 第2条 定義 本会議は、火曜日(14日)にこの条項に対応した。チリは二つの提案をした。ひとつは、条約全体に適用することを要請しつつ、”水銀化合物”の定義を修正することを目指すものである。他のもうひとつは、人の活動から生じる又は由来する全ての排出と放出として、”人の活動に由来する放出”の定義を提案するものである。本会議はこの問題を法的特性の条項に関するコンタクト・グループに送付した。 INC4における残りの定義に関する合意に従い、コンタクト・グループの議論は、”水銀”、”水銀化合物”及び”許容される用途”の定義に焦点を合わせた。水曜日(16日)、コンタクト・グループは、”水銀化合物”の定義を討議した。議長のテキストは、水銀及びひとつ又はそれ以上の他の化学的元素の同一分子からなる全てのな物質として言及したが、チリの提案は、物理的な分離方法では要素に分離することができない一定の化学的成分の水銀原子と特性を含むどのような物質をも指す。 同グループは、”水銀化合物”は、水銀の原子と、化学反応によってのみ異なる成分に分離することができる他の化学元素のひとつ又はそれ以上の原子からなる全ての物質を意味するということに合意した。この定義は、一次水銀採鉱からのものを除く天然に発生する土壌、鉱物、鉱石及び鉱物産出物中に存在する多量の水銀化合物を含むと解釈されてはならないというチリの追加的な言い回しは、かっこ([ ])つきとなっており、他のコンタクト・グループで引き続き討議中であった。 木曜日(17日)、代表者等は、第13条の”水銀廃棄物”の定義は、締約国会議(COP)で定義される閾値以上の水銀又水銀化合物を含まないなら、一次水銀採鉱からのものを除いて、採鉱からの表土、廃棄岩石、及び尾鉱を除外することを明示して、水銀廃棄物に関する第13条中のチリの懸念を考慮することに同意した。 条約と矛盾しない一般的な参照だけを含めるのか、又は規定の包括的なリストを含めるのかに関する長い議論の後に、”許容される用途”の定義が、第3条、第6条、第7条、第8条、及び第9条と矛盾しない用途を含むが、それだけに限定されない、条約に矛盾しない締約国による水銀又は水銀化合物のどのような用途をも指すということに代表者等は合意した。 第2条 最終テキスト 第2条(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.15, 35 and 55)は、ASGM;利用可能な最良の技術(BAT);環境のための最良の慣行(BEP);水銀;水銀化合物;水銀添加製品;締約国;出席し、かつ投票する締約国;一次水銀採鉱;地域経済統合機関;及び許容される用途の定義を含む。それらの中でとりわけ:
この条項は、最初に月曜日(14日)に本会議で討議され、その後選択された技術的条項に関するコンタクト・グループに付託され、そこで一週間、しばしば小さなドラフティング・グループで徹底的に討議された。討議は、次の項目に焦点をあてた。▼”水銀”と”水銀化合物”の定義;▼貿易条項の下における水銀化合物の範囲;▼一次採鉱に関する廃止規定、及びそのような採鉱からの水銀の可能性ある用途;▼塩素アルカリ施設の解体からでる水銀;及び▼カバーされる水銀と水銀化合物の非締約国を含む貿易に先立つ書面による同意と証明。 定義に関して日本は、鉱物産出物中に天然に生じる微量のものに関する除外はまた、非意図的微量なもの及び化学製品をも含むと提案したが、一方チリは、非水銀鉱物及び金属中の微量は除外するよう求めた。 水銀化合物への貿易条項の適用に関してアメリカは、そのような化合物が関わる貿易問題の証拠はないので化合物は除外されるべきであると主張したが、多くの他の代表者等は制限のない免除とすることに躊躇した。小ドラフティング・グループが金曜日(18日)に解決案を出したが、それによれば化合物は貿易規制により当分カバーされず、締約国会議(COP)によるレビュー対象とすることになった。 一次採鉱に関しEUは、ノルウェーに支持されて廃止期限を提案した。アメリカは一次採鉱の廃止を要求した。中国は既存の鉱山を制限することに反対した。スイスは新規の鉱山の開設を禁止することを提案した。チリは、他の採鉱活動に関して先例を作ることに反対して警告を発した。IPENは一次採鉱は禁止されるべきであると述べた。 木曜日(17日)、コンタクト・グループは製品とプロセスに関する条約の付属書中のある条項の合意を前提に、各国の発効時点で新規の水銀一次採鉱を禁止し、既存の水銀一次採鉱を各国の発効後15年以内に廃止することを勧告した。 塩素アルカリ施設の解体からの水銀に関し、EUはノルウェーに支持されて、塩素アルカリ製造施設を含む供給源をカバーするひとつの付属書の提案を申し出たが、一方フィリピンは、そのような施設からの水銀が市場に入り込むことを防ぐ必要性を強調した。天然資源防衛協議会(NRDC)は、EUとアメリカの塩素アルカリ施設だけが海外に水銀が輸出されることを防止されていることに言及し、水銀の投棄について警告した。 コンタクト・グループと非公式審議会に続いて代表者らは金曜日(18日)に、そのような活動からの”余剰水銀”が生じたときに締約国が決定し、それが環境的に適切な管理(ESM)に関する水銀条約締約国会議(COP)によって採択されるべきバーゼル条約ガイドライン又はガイダンスにしたがって処分されることを確実にすることを締約国に任せることに決めた。 非締約国を含む貿易のための同意と証明は本会議とコンタクト・グループで討議された。アフリカ・グループは、事前の書面による同意のない貿易を禁止し、非締約国に対しては締約国よりもっと厳しい条件とするよう求めた。日本は、ストックホルム及びロッテルダム条約と類似の同意メカニズムを望んだ。スイスは、締約国と非締約国に一様な貿易体制とすることを支持した。アメリカは、公的に入手可能な登録簿に告示されるであろう、ある条件に合致する輸入への一般的同意の事務局への通知に関わる”代替の一般通知手続き”を要求した。IPENは、非締約国を含めて輸出禁止を支持し、事前通報・同意手続(PIC)を求めた。 土曜日(19日)に本会議でアメリカは、もし非締約国が水銀が許容される供給源からのものであることの証明書を供給しないなら、締約国は非締約国からの水銀の輸入禁止を適用しないと決めることができる期限付条件を規定する妥協案を提案した。代表者らは修正されたこの条項を採択した。 第3条 最終テキスト 第3条の目的のために(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.55)、”水銀”は、水銀合金を含んで、水銀濃度が少なくとも重量で95%以上の水銀濃度と他の物質の混合物を含めると定義されているが、一方、”水銀化合物”は、塩化水銀、酸化水銀、硫酸水銀、硝酸水銀、 辰砂鉱石及び硫化水銀を意味する。第3条は次のものに適用しない。▼水銀添加製品;▼実験室規模の研究又は参照標準のために使用される量の水銀又は水銀化合物;▼非水銀金属、鉱石、又は鉱物産物のような産出物中に存在する天然に生じる、及び石炭又はこれらの物質から生じる産出物、及び化学製品質中の非意図的な微量の水銀又は水銀化合物。 一次採鉱に関して第3条は、締約国にとっての条約発効前に実施されていなかった一次採鉱を禁止し、また締約国にとっての条約発効日にその領土内で実施されていたどのような一次採鉱も15年以内に廃止することを求めている。廃止にいたるまでの期間中に、そのような採鉱からの水銀は、第6条(製品)又は第7条(プロセス)に従う水銀添加製品の製造又は製造プロセスのみで使用、又は、回収、リサイクル、再生利用、直接再利用、又は代替用途をもたらさない操作を用いて、廃棄物に関する第13条に従い処分されなくてはならない。 在庫に関して第3条は、各締約国に次のことを求めている。
第3条は、輸出国は輸入締約国又は非締約国がその同意を与えるどのような条件をも規定しなくてはならない書面による同意として機能することができる輸入締約国又は非締約国による事務局への一般的通知に応答してもよいということを規定している。事務局により公開登録簿に保持されるべきそのような通知は、輸入締約国又は非締約国により、いつでも取り消すことができる。 輸入に関しては、非締約国が水銀は許容されない供給源からのものではないという証明書を提供しないなら、非締約国からの水銀輸入を許してはならない。事務局に一般的同意通知を提出する締約国は、水銀輸出に関する包括的な制限を維持し、輸入される水銀が環境的に適切な方法で管理されることを確実にする国内措置を適切に持っているなら、そして非締約国からの輸入される水銀の量とその原産国に関する情報とともに、その輸出制限と国内規制措置を記述する情報を一緒に事務局に、そのような決定を通知するなら、この要求を非締約国からの輸入のためには適用しないと決めてもよい。 事務局は、そのような通知の全てを公開登録簿に維持し、条約の実施/遵守委員会がそれら及び裏づけ情報をレビュー/評価しなくてはならず、適切ならば締約国会議(COP)に勧告をしてもよい。もしCOPが他に何かを決めなければ、この選択肢はCOP2まで利用可能である。 第3条はまた次のことを求めている。
この項目は日曜日(13日)に本会議に導入され、その週全てをかけて、コンタクト・グループが検討した。本会議において日本は、またEU及びジャマイカをも代表して、この問題に関してINC5までの作業に基いたひとつの提案を発表し、水銀添加製品に関する付属書Cは、この条項の規定の対象となる製品のリストとその製品の製造、輸入、又は輸出が許されなくなる期日を示すと共に、この付属書からの除外される製品をも規定することにより、ポジティブ・リスト及びネガティブ・リスト プローチの要素を組み合わせることを提案した。 中国はブラジル及びインドとともに、議長のテキストで採用されたアプローチを望み、特に発展途上国において廃止期日の実施可能性考慮する必要性を強調した。アメリカは、関連する付属書は最も多く水銀を使用する製品に焦点を合わせることを求めた。 フィリピンは、野心的なポジティブ・リスト アプローチを望み、PIC手続きの重要性を強調し、アフリカ・グループとともに、新たな水銀添加製品の製造を思いとどまらせる措置を求めた。日本は、第6条の目的のために、水銀添加製品は組み立て製品を含んではならないという説明を含めることを支持した。ジャマイカは、水銀添加製品のための統計品目番号(HSコード)を開発するために、世界税関機構と協力することを求めた。スイスは、新たな製品リストする前に、リスク評価を行なうことを提案した。ネパールは、儀式や象徴的偶像で使用されることに言及しつつ宗教儀式のための水銀使用の免除を求めた。スイスとノルウェーは、付属書C、パートT(廃止対象となる水銀添加製品)の下に歯科アマルガムを含めることを希望した。 世界歯科連盟は、歯科アマルガムの段階的縮小(phase-down)を支持し、WHOと共に予防的口腔健康プログラムを要求した。国際歯科研究学会は、歯科健康の促進、歯科材料の代替、アマルガムの安全な処分に関するさらなる研究を求めた。GAVIアライアンス(ワクチンと予防接種のための世界同盟)とWHOは、ワクチン中のチメロサールはまだ必要であることに言及し、WHOは関連作業をもたらすべきであると述べた。セーフマインドは、WHOよりもむしろUNEPの下にワクチン中の水銀使用を見直すよう求めた。 コンタクト・グループでは、参加者は、第6条の議長テキストと付属書Cに関する提案に基き作業することに合意し、特に、水銀添加製品とそれらの代替品に関する情報の収集、水銀添加製品の組み立て製品への導入を防止するための措置、新たな水銀添加製品の製造、及び締約国が水銀添加製品の製造、輸入、及び輸出を最低限のレベル(a de minimis level)に削減するための措置を実施するかもしれない提案される規定について討議した。 ドラフト・グループと非公式審議会は、テキストを最終化と、付属書C中の製品のリスト化と廃止期日目標の設定に関する広範な討議の作業をくり返しおこなった。 金曜日(18日)、ルグリス議長は、水銀添加製品に関する第6条と付属書Cの最終テキストを提案した。付属書C中で述べられている取替え部品(replacement parts)の除外に関し、日本は会議報告書が、置き換え部分は保守目的のためにこれらを含むということを反映するよう求めた。 第6条 最終テキスト 製造、輸入、及び輸出の制限に関し、第6条(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.54)は、各締約国は適切な措置をとることにより、付属書Cに除外が規定されているか、又は第8条(要求に基づく締約国に利用可能な免除)に従い締約国が免除を登録している場合を除いて、製品毎に規定される廃止期日後は、付属書CのパートTにリストされている水銀添加製品の製造、輸入、及び輸出を許さないよう求めている。 第6条はまた、前述の規定の代案として締約国が、付属書CのパートTにリストされている製品の大部分の製造、輸入、及び輸出を最低限のレベル(a de minimis level)に既に削減していることを実証することができるか、又は、付属書CのパートTにリストされていない追加的な製品中で水銀の使用を削減するための措置又は戦略を既に実施していることを実証することができるなら、締約国が付属書CのパートTにリストされている製品に対応するために異なる措置又は戦略を実施するであろうことを示すよう規定している。 第6章は、この代替を選択する締約国は次のことをしなくてはならない。▼達成された製品の数量を含んで、実施された措置又は戦略の記述を締約国会議(COP)に報告すること、▼些細な値がまだ得られていない付属書CのパートTにリストされているどのような製品中での水銀の使用を削減するための措置又は戦略を実施すること、▼更なる削減を達成するための追加的な措置を検討すること、▼この代替が選択されたどのような製品カテゴリーについても第8条に従う免除を主張する資格はないこと。 第6条はまた次のことを規定する。
新規製品に関して、第6条は、もし製品のリスクと便益の評価が環境又は人の健康の便益を実証しないなら、そして、そのような製品とその環境及び人のリスクと便益に関する情報を提供しないなら、締約国が条約の発効期日の前に水銀添加製品のどのような既知の用途によりカバーされない水銀添加製品の製造及び市場での流通を思いとどまらせることを求めている。 付属書Cに製品をリストすることに関し、第6条は、締約国は事務局に、非水銀代替品の利用可能性、技術的及び経済的実行可能性、及び環境と健康のリスクと便益に関連する情報を含んで、付属書Cの下に水銀添加製品をリストするための提案を事務局に提出してもよいと述べている。 第6条は、COPが付属書Cを発効後5年以内にレビューし、その修正を検討することを規定している。 水銀添加製品に関する付属書Cは、二つの部分に構造化されており、次の項目を除外している。▼国民保護(civil protection)及び軍事用途にとって必須の製品、▼研究、計器の校正、及び参照標準としての用途のための製品、▼置き換えのための水銀を使用しない実行可能な代替品がない場合、スイッチとリレー、電子表示のための冷陰極蛍光管(Cold Cathode Fluorescent Lamp (CCFL))、及び外部電極蛍光管(external electrode fluorescent lamps (EEFL) )、及び測定機器、▼伝統的又は宗教的儀式で使用される製品、▼保存剤としてのチメロサールを含むワクチン。 付属書CのパートTは、それ以降は製品の製造、輸入、輸出が許されない期日として2020年が設定されている廃止対象となる製品をリストしている。パートTにリストされている製品は特定のタイプとして次の製品を含む。▼バッテリー、スイッチとリレー、、コンパクト蛍光ランプ(CFL)、直管蛍光ランプ、高圧水銀ランプ、▼電子表示用の冷陰極蛍光管(CCFLs)及び外部電極蛍光管(EEFL)中の水銀、▼化粧品、▼殺虫剤、殺生物材、及び局所消毒薬。 パートTはまた、適切な水銀を使用しない代替が利用可能でない場合、大規模機器中に設置される非電子測定機器、又は高精度測定のために用いられるもの以外の非電子式気圧計、湿度計、圧力計、温度計、血圧計をリストしている。 付属書CのパートUは、段階的な縮小(phase-down)対象となる製品をリストしている。歯科アマルガムは、パートUにリスされている唯一の製品であり、この付属書は、歯科アマルガムの使用を段階的に縮小するために締約国によりとられる措置は締約国の国内事情及び関連する国際的なガイダンスを考慮しなくてはならず、次に示す措置の二つ又はそれ以上を含まなくてはならない。
この項目は日曜日(13日)に本会議に導入され、その週全てをかけて、コンタクト・グループが検討した。本会議において日本は、またEU及びジャマイカをも代表して、この問題に関してINC5までの作業に基いたひとつの提案を発表し、水銀または水銀化合物が使用される製造プロセスに関する付属書Dは、二つの部分からなり、第1は廃止されるべき水銀プロセスをリストし、異なる目標廃止期日を詳述しており、第2は段階的縮小のための規定が詳述されているプロセスをリストしている。 中国は議長のテキストで採用されたアプローチを望み、ブラジルとインドとともに、特に発展途上国での廃止期日の実行可能性を検討する必要を強調した。アメリカは、関連付属書が水銀を最も多く使用するプロセスに焦点を合わせることを要求し、塩化ビニルモノマー(VCM)製造が現在どのように行なわれているかについての懸念を提起し、国に特定した免除を求めた。フィリピンは、ネガティブ・リスト アプローチの採用を望んだ。日本は、電極又は触媒として水銀又は水銀化合物を使用するプロセスについて、必要なら免除をともなう一般的な禁止を支持した。 コンタクト・グループでは、参加者第7条の議長テキストと付属書Dに関する提案に基づいて作業することに合意した。ドラフティング・グループと非公式審議会は、くり返しテキストの最終化をはかった。 第7条 最終テキスト 第7条(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.55 and 43)は、その目的としてプロセスは水銀添加製品を使用するプロセス、水銀添加製品を製造するプロセス、又は水銀を含む廃棄物を処理すプロセスを含んではならないと規定している。 第7条は、締約国に次のことを求めている。
第7条は、どの締約国も、水銀又は水銀化合物が使用される製造プロセスをリストするために付属書Dを修正するための提案を、そのようなプロセスの水銀を使用しない代替の利用可能性、技術的及び経済的実行可能性、及び環境と健康のリスクと便益に関連する情報を含んで、提出してもよいことを規定している。 第7条は、締約国会議(COP)が条約発効後5年以内に付属書でをレビューし、その修正を検討することを求めている。 水銀又は水銀化合物が使用される製造プロセスに関する付属書Dは、二つの部分に構造化されている。パートTは、廃止の対象となるプロセス、すなわち2025年に廃止されるべき塩素アルカリ製造および2018年に廃止されるべき触媒として水銀又は水銀化合物が使用されるアセトアルデヒド製造をリストしている。パートUは、VCM製造、ナトリウム又はカリウムのメチル化又はエチル化、及び水銀を含む触媒を使用するポリエチレン製造を含む、制限対象となる水銀使用プロセス、及び締約国により取られるべき関連する措置をリストしている。 第8条 要求に基づく締約国に利用可能な免除 この問題は日曜日(13日)に本会議で討議され、その後その週全てをかけて、選択された技術的条項に関するコンタクト・グループが検討した。スイスは免除の登録に伴う説明の必要性の周囲のかっこ([ ])を外すよう提案し、ロシアとGRULACとともに5年免除の規定を支持した。 第8条 最終テキスト 第8条(NEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.55)によれば、条約への締約国になり次第、書面で事務局に通知することによって、又は、付属書Cの修正により加えられたどのような水銀添加製品又は水銀が使用されており付属書Dへの修正により加えられたどのような製造プロセスでも、その締約国に適用可能な修正が発効する前に、その締約国にとっての免除の必要性を説明する記述をもって、どの国でも付属書C及びDにリストされている廃止期日からのひとつ又はそれ以上の免除を登録してもよい。 第8条はまた、特に次のことを述べている。
月曜日(14日)、本会議は暫定的に、範囲、ASGMを削減し実行可能な場合には廃絶するための要求、締約国の領土内でASGMとその処理が”些細ではない(more than insignificant)”と締約国が決定した場合の締約国の取るべき措置、そしてASGMに関する国際的な協力について合意した。ほとんどの議論はASGMに関連する貿易に注力が向けられ、その問題は選択された技術的条項に関するコンタクト・グループによって引き受けられた。 アメリカは、EUに支持されて、輸入締約国又は非締約国の書面による合意、及びその輸入が締約国のASGM行動計画及び進捗報告に矛盾しないことを示す証明書、又は非締約国がASGM及び処理での、水銀の使用及び水銀の環境への放出を削減する措置をとっていることを示す証明書があれば、ASGMのための水銀の貿易を許すという提案を行なった。ノルウェー、ガイアナ、及びスイスはASGMのための水銀の貿易を徐々に減らし、締約国会議(COP)が、貿易はもはや許されないという時期をレビューし決定する事を提案した。ゼロ・マーキュリー・ワーキング・グループ(ZMWG)は、ASGM関連の貿易と使用は無期限に継続しないということを明確に示す必要性を強調した。IPENは、それ(ASGM関連の貿易と使用)を禁止することを求めた。 ドラフティング・グループによる議論に基き、コンタクト・グループは水曜日(16日)の夜遅く、ASGM関連の貿易に関する条項は不必要であると結論付け、それを削除する一方、ASGM国家行動計画(NAPs)が国外及び国内の水銀供給源の両方を考慮する貿易と転用防止戦略を含むことを関連する付属書で明確にすることを提案した。 第9条 最終テキスト 第9条(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/3 及び UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.7, 30 and 55)は、鉱石から金を抽出するために水銀アマルガムが使用される小規模金採鉱及び処理に適用する。 第9条によれば、その領土内にASGMと処理を持つ各締約国は、そのような採鉱と処理での水銀と水銀化合物の使用、及び環境への放出を削減し実行可能なら廃絶するための措置をとらなくてはならない。 各締約国は、領土内におけるASGMと処理が”些細なものではない(is more than insignificant)”と決定した時にはいつでも、事務局に通知しなくてはならず、もしそのように決めたなら、付属書Eに従い国家行動計画(NAP)を策定、実施し、締約国にとっての条約発効後3年以内に事務局にそれ提出し、その後3年毎に進捗状況の更新を提供しなくてはならない。 第9条はまた、締約国間、政府間組織(IGOs)及びその他の団体間の、下記を含む協力を推奨する。転用防止戦略;第9条の約束の実施を支援するためのパートナーシップ;情報交換;技術的及び資金的援助;教育;支援及び能力構築;及び持続可能な非水銀代替手法の研究。 付属書Eは、ASGM国家行動計画(NAPs)が次のことを含むよう求めている。
月曜日(14日)に本会議で、排出と放出に関するINC4コンタクト・グループ共同議長ジョーン・ロバーツ(UK)が施設の水銀大気排出閾値に関してINC4で求められていた文書を導入しつつ、第11条(放出)とともに、大気排出を討議した(UNEP(DTIE)Hg/INC.5/4)。この条項は引き続き、特に第10条と11条を統合するかどうかを決定することの任務をもって、コンタクト・グループにより引き受けられた。コンタクト・グループはまた、作業を完遂するのを支援するために技術グループとドラフティング・グループに任務を割り当てた。 いくつかの代表団は交渉のベースとして議長のテキストを支持した。イラクは排出と放出を二つの分離した条項のままにしておくことを提案し、排出のそれぞれの排出源カテゴリーのための制限値を提供した。アメリカは、INC4で開発されたBATの定義を補足するものとしてBATに関する一般的ガイダンスを提案した。 最初の議論は議長テキストの中で示された2つのオプションに焦点を当てた。オプション1は、締約国は、新規の排出源については排出を管理するためにBATとBEPの使用を、既存の排出源についてはリストされている3つの措置のうち少なくとも1つの実施による排出の管理を求めなくてはならないと規定している。 オプション2は、とられるべき措置と予測される標的、目標、及び結果を示す国家行動計画を策定しなくてはならないと規定し、計画は、そのうちのひとつは新規の排出源のためにBAT及びBEPの適用を規定することも含む、5つの措置のメニューの中からひとつ又はそれ以上措置を含めることを規定している。 アフリカ・グループ、EU、及び韓国はオプション1を望んだ。日本、コロンビア、ノルウェー、アメリカ、及びカナダもまた、オプション2のある要素を考慮する柔軟性を表明しつつ、また、ある期間内に特に既存施設について国家行動計画を策定することを提案するスイスと共に、オプション1を望んだ。 カナダは、オプション1は明確であり、新設と既設の両方の排出源に対する行動を求めており、柔軟性を提供していると述べた。ウルグアイは、条約の目的を達成するための野心的で効果的な削減措置を求めた。ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、ボリビア、ドミニカ、チリ、中国、ネパール、及びインドはオプション2を望んだ。フィリピンは柔軟性のある措置はやはり拘束力があると強調した。 ノルウェーは、▼第10条が必要な排出削減をもたらすことを確実にすること▼削減のための時間枠を議論すること、及び▼既存排出源からの排出削減のための目標を設定すること−の必要性を強調した。EUは、既存排出源のための時間枠を設定するよう勧告した。日本は、既存だけでなく新規の排出源のための排出制限値の実施は、BAT及びBEPと同等の効果があるとみなされるべきである述べ、排出源を選択するための明確で客観的な基準を策定することを勧告した。 アフリカ・グループとスイスは、BAT及びBEPは全ての新規施設に適用可能であり、既存排出源に段階的に導入することを勧告した。アメリカもまた、▼新規及び既存の排出源への義務的な要求の必要性▼最も著しい排出源のための閾値、及び▼リストされた水銀排出源からの排出削減に加えて継続的な経済成長−を強調した。 チリは、世界の水銀排出源の重要性を考慮せずに閾値を設定することに反対して警告した。インドネシアは世界的な閾値を設定することに反対して警告し、アルゼンチンとともに特定の分野のための閾値を設定することの困難さを強調した。中国は主要な排出源に焦点を合わせることを望んだ。カナダはIPENとともに、施設の規模は必ずしも水銀排出量の指標ではないと言及した。 北極が人間活動に由来する水銀の掃き溜めとなっていると言及しつつ、イヌイット北極協議会は、イヌイットの子どもたちへの測定可能な健康影響に注意を喚起し、ZMWGとともに、新規及び既存の排出及び放出の全ての源に対する義務的な行動と管理を促した。IPENは、排出に関する現在の条項は、世界の水銀汚染を削減しないであろうと警告した。 コンタクト・グループで、参加者は、いくつかの国とともに特定のBATガイダンスが後日作成されるべきであることに言及しつつ、アメリカの提案を検討し、またイラク提案、とりわけ関連する付属書中の排出カテゴリー毎に制限値を含めるとする提案を検討した。 参加者は閾値を議論し、閾値を設定するアプローチに関する合意が得られていないことを鑑み、リストされた排出源の閾値を設定するテーブルから、締約国会議(COP)が閾値の確立に関して開発するこの条項中のひとつの規定とともに排出源のリストに変更することに同意した。 コンタクト・グループは、付属書にリストされるべき排出源をレビューするときに最大の排出源に焦点をあわせることに同意し、▼これらは点源のカテゴリーであることを特定し、▼石油及びガス製造処理施設、マンガン製造施設、製造と処理関連施設、及び鉄鋼製造施設への参照を削除することに合意した。非公式審議会の後をうけて、コンタクト・グループは、鉛、亜鉛、銅、産業金生産施設への参照を、付属書の目的のために、非鉄金属は鉛、亜鉛、銅、産業金を参照するという備考をつけて、非鉄金属の生産で使用される精錬及び焼結プロセスへの単一の参照に置き換えることに同意した。 第10条に含められるべき規定の議論で、コンタクト・グループは、▼どの規定が義務的であり、どれが自由裁量か▼既存排出源にはもっと柔軟性を与えることを明らかにする合意をもって、新規及び既存の排出源を分離して対応すること、そして▼定義、とりわけ”排出制限値”と”新規排出源”について議論した。この条項を通じて、この条項の目的と描かれる野心のレベを設定する項目を含んで、排出は、”管理される”、”削減される”、又は、”管理され、実行可能な場合には削減される”べきなのかを規定するかどうかに関して意見の相違があった。 コンタクト・グループの作業の結果は、金曜日(18日)の本会議で、既存排出源のための管理措置のための選択肢のメニューが関連する排出源からの排出を”管理”又は”削減”するための代替措置を含むかどうかに関して、自由裁量計画を締約国会議(COP)に提出するための時間枠を含んで、いくつかのカッコが残されたまま、発表された。 土曜日(19日)の本会議で、コンタクト・グループ共同議長ロバーツは、計画がもし策定されるなら、発効後4年以内に締約国会議(COP)に提出されるべきことを提案し、既存排出源のための選択肢のメニューは関連排出源からの排出を削減するための代替措置を含むであろうとする合意を報告した。彼はさらに、”目的は、長い年月の間に排出の削減に合理的な進捗を達成するために締約国によって適用される措置のためである”とする妥協テキストを提案した。 この条項は、口頭修正として採択された。アフリカ・グループは開放廃棄物焼却からの大気への排出に関する追加的情報の必要性を強調し、この会議の議事録に反映されるべきことを要求した。 第10条 最終テキスト 第10条(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.35 and 55)は、この条項は水銀及び水銀化合物の排出を管理し、実行可能なら、削減することについてのものである規定する記述から始まり、付属書Fにリストされる排出源カテゴリーに入る点源からの排出を管理するための措置を通じて大気への”総水銀”として表現した(UNEP(DTIE)/HG/INC.5/CRP.35)。 第10条は次のように定義する。
第10条は、COPが適宜、下記を採択し更新することを規定している。
第11条 放出 本会議は月曜日(14日)に、第10条(排出)と関連して、陸と水への放出を検討し、コンタクト・グループは週を通じての会合で両方の条項に対応した。 月曜日(14日)に本会議で、排出と放出に関するINC4コンタクト・グループ共同議長ジョーン・ロバーツ(UK)が放出に関してINC4で求められていた文書を導入した。(UNEP(DTIE)Hg/INC.5/4)。 いくつかの代表団は交渉のベースとして議長のテキストを支持した。イラクは全ての放出源を検討し、関連する付属書Gを削除することを提案した。EUは、ASGMに関する第9条は最も明白な放出源に対応しており、第11条は、主要な懸念の他の放出源をカバーすべきであると言及した。アメリカとカナダは、主要な放出源は製品とプロセス、保管と廃棄物、及びASGMに関する条項でカバーされていると言及した。 コンタクト・グループでは、多くが排出と放出を分離した条項として扱うことを支持した。参加者等は彼等の作業が議長のテキストに示され、第10条(排出)の下に規定されている二つのオプションのうちのどちらに基づくべきかどうか検討し、彼等の作業はオプション2に基づくことに合意した。 参加者等はこの問題に対応するときに、放出のための規定は排出に関して同グループによって開発されたテキストから採用されるべきかどうか、特にコンタクト・グループが放出に関する付属書を削除することに合意していたので、二つの条項がお互いに反映する程度について議論した。 議論はまた、この範囲を、条約の他の条項によってカバーされない関連ある放出源からの陸と水への放出に限定する方法、及び”関連ある放出源”と”新規放出源”の定義に集中した。テクニカル・グループは、”放出制限値”の定義を策定する任務を与えられたが、コンタクト・グループは最終的に第10条の”排出制限値”の定義からのテキストを採用することを決定した。措置に関して同グループは放出を管理するための国家目標を採択することへの参照を削除することに同意した。 排出の検討を反映しつつ、コンタクト・グループは、どの条項が義務的であり、また自主的であるべきか、そして、排出は”管理される”、”削減される”、又は”管理され、実行可能なら削減される”よう規定されるのかどうかに関し、条項を通じてどのように一貫性を保つかを議論した。コンタクト・グループの作業の結果は、金曜日(18日)に本会議で発表されたが、管理措置のメニューが関連する放出源からの放出を”管理”又は”削減”するための代替措置を含むかどうかに関して、自由裁量計画を締約国会議(COP)に提出するための時間枠を含んで、いくつかのカッコが残されたままであった。 土曜日(19日)の本会議で、共同議長ロバーツは、もし策定されるなら計画は発効後4年以内にCOPに提出されるべきことを提案し、既存の放出源のための選択肢メニューは関連ある放出源からの放出を削減する代替措置を含むという合意を報告した。この条項は、口頭修正として採択された。 第11条 最終テキスト 第11条(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.55)は、この条項は水銀及び水銀化合物の放出を管理し、実行可能なら、削減することについてのものである規定する記述から始まり、本条約の他の条項では対応されていない関連ある点源からの陸及び水への”総水銀”として表現された。 この条項は次のように定義している。
第11条はまた、第22条の下に提出される国家報告書の一部として、締約国の実施に関する情報と、特に、採用される措置の効果に関する情報を規定している。 第12条 廃棄物水銀以外の水銀の環境的に適切な暫定的保管 この条項は、月曜日(14日)に本会議で、及び木曜日(17日)に選択された技術的条項に関するコンタクト・グループで議論された。EUは、COPが保管のための要求を採択することを、”許す”よりも、むしろ”要求する”ことを勧告した。ブラジルは、COPにより採択されるべきガイドラインは、発展途上国の多様な事情に対応できるよう柔軟性を持つべきであると提案した。IPENは、、COPが暫定的保管に関するガイダンス文書を採択し、環境的に適切な保管のために能力構築と技術移転を規定するよう提案した。ドラフト条項は、完成した後に選択された技術条項に関するコンタクト・グループに差し向けられた。議論は、水銀と水銀化合物の定義に焦点が当てられ、最終的に暫定的保管要求が採択された。 第12条 最終テキスト 採択されたように(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.35)、第12条は、第13条で規定されている水銀廃棄物の定義の意味に該当しない第3条(供給及び貿易)で定義されている水銀及び水銀化合物に適用する。第12条によれば、
この条項は、最初に月曜日(14日)に本会議で議論され、それから選択された技術的条項に関するコンタクト・グループに送られ、そこで木曜日(17日)に議論された。コンタクト・グループでの議論は、▼水銀廃棄物の国境を越える移動のためのバーゼル条約の規定の関連性、及び▼本条約の追加的な付属書の中での水銀廃棄物に関する要求の最終的な採択−の検討を含んでいた。 フィリピンは、水銀廃棄物の保管と環境的に適切な管理のための拘束力のある要求を求めた。スイスは、定義だけでなく、国境を越える移動に関する手続きにもバーゼル条約から参照し、バーゼル条約に従い、”処分”という用語を明確にすることを勧告した。レバノンは、水銀廃棄物の処分のための特定の基準を求めた。EUは、水銀条約の廃棄物規定の適用のトリガーとなるかもしれない水銀含有量のレベルを明確にするために、バーゼル条約と協力して、ガイダンスを開発する必要性を強調した。 スイス、ノルウェー、及びEUは、日本に反対されたが、COPが許すというよりもむしろ、廃棄物施設の場所、設計、運用、及び最終処分の前の適切な処理に関連するような要求をCOPが採択することを提案した。スイス、ノルウェー、コロンビア、及びアフリカ・グループは、バーゼル条約と同等な管理を本条約の非締約国に適用することに関する文言に関わるカッコを外すことを希望した。アメリカは、バーゼル条約の非締約国が水銀条約の締約国になることの困難を回避するために、環境的に適切な管理に関する技術的なガイダンスの開発に基づく柔軟性のあるアプローチを求めた。 第13条 最終テキスト 第13条(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.35)によれば、バーゼル条約の関連する定義は、本条約の下にカバーされる廃棄物のためにバーゼル条約締約国に適用されなくてはならず、一方、バーゼル条約非締約国はこれらの定義をガイダンスとして使用しなくてはならない。 第13条は、”水銀廃棄物”をバーゼル条約と協力して調和の取れた方法で、処分される、処分することが意図されている、又は国内法の規定又は水銀条約により処分することが求められている、COPにより定義される関連閾値以上の量の水銀又は水銀化合物からなる、それらを含む、又はそれらにより汚染されている物質又は物体として定義している。 廃棄物の定義は、COPにより定義される閾値以上の水銀又は水銀化合物を含んでいないなら、一次水銀採鉱を除く採鉱からの表土、廃棄岩及び尾鉱を除外する。 第13条は、水銀廃棄物が下記のように取り扱われるよう各締約国が適切な措置をとることを求めている。
第14条 汚染サイト この条項は、INC4においてリーガル・グループによりレビューされており、月曜日(14日)の本会議で日本は、ブラジル、イラン、モロッコに反対されたが、カッコ付の[汚染サイトを特定し、評価し、優先付け、管理し、適切な場合には修復するための、資金的及び技術的援助の規定を求める]というテキストを削除することを求めた。IPENは、締約国が汚染サイトを特定し浄化することについて、またそのことに関する資金援助について、義務的な文言とすることを求めた。土曜日(19日)の最終本会議で、カッコ付の文言は資金的及び技術的援助の全体パッケージの一部として削除された。 訳注:日本が削除を求めたカッコ付の文言: 4. 締約国は、[能力構築、財政的、及び技術的援助の規定に基づくことを含んで]、汚染サイトを特定し、評価し、優先付け、管理し、適切なら汚染サイトを修復するための戦略を開発し実施することに協力することが奨励される。 第14条 最終テキスト 第14条(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.55)は、各締約国が下記を行なうことを求めている。▼水銀又は水銀化合物で汚染されたサイトを特定し、評価するための適切な戦略を開発するよう努力する。▼そのようなサイトにより引き起こされるリスクを低減するためのどのような行動も、適切な場合には、サイトが含む水銀及び水銀化合物からの人の健康と環境へのリスクの評価を反映しつつ、環境的に適切な方法で行なう。▼締約国会議は、下記の方法とアプローチを含むかもしれない汚染サイト管理のガイダンスを採択しなくてはならない。▽汚染サイトの特定と特性化▽公衆の関与▽人の健康と環境リスク評価▽汚染サイトにより及ぼされるリスク管理のためのオプション▽便益とコストの評価▽結果の確認。 第14条は、締約国が、汚染サイトを特定し、評価し、優先付け、管理し、適切なら汚染サイトを修復するための戦略を開発し実施することに協力することを奨励している。 第15条 財源とメカニズム この問題は最初、日曜日(13日)に本会議で討議され、その後水曜日(16日)まで非公式諮問委員会で対応がなされ、次に財政的技術的援助及び技術移転に関するコンタクト・グループで議論された。暫定的な財政的合意もまたこの脈絡の中で討議されたが、これに関する結果は、(訳注:来るべき外交会議で採択されるべき)終幕決議案に反映されることが期待される。財源とメカニズムに関する合意は最終的妥協パッケージの一部として達した。 暫定的財政 水曜日(16日)、コンタクト・グループは、緊急の課題と各国特有の優先事項を考慮しつつ、批准及び可能性ある早期の行動のためを含んで、実行できる可能性のある活動に焦点を当てて、暫定的財政合意を議論した。午後の本会議で、スイス連邦副大統領兼 環境大臣ドリス・ロイタードは、100万スイス・フラン(約1億円)の提供を約束しつつ、水銀条約発効前の暫定的な援助の必要性を強調した。日本もまた少なくとも他の諸国が約束する貢献と同等の暫定的支援のための貢献と、外交会議に先立つ期間に条約の野心のレベルに呼応する追加的な貢献の可能性と発表した。 ノルウェーは、”地盤強化措置”のために100万米ドル(約1億円)を約束することにより、野心的な条約の決着と暫定期間の支援の約束を強調した。本会議のクロージングで、終幕決議案を更新し、INC5に置ける暫定的資金関連及びその他のことがらに関する議論を反映するようスイスが事務局に要求し、代表者らは同意した。 財源とメカニズム 多くの先進国は、ブラジル、キリバチ、アフリカ・グループに反対されたが、財政メカニズムとして GEF を使用することを支持した。日本は”南−南”間協力の参照を求め、コロンビア及びZMWGとともに、民間分野からの資金調達を求めた。イランとともにフィリピンは、COPの権限の下に特化した資金調達を求め、ZMWGとともに、汚染者負担原則の実施を求めた。IPENは、水銀含有製品について、拡大生産者責任を課すことを主張した。アメリカは広範な寄付ベースと国毎の能力の違いに関して一度削除した文言を再度、挿入することを求めた。IPENは、もしGEFがメカニズムなら、発展途上国の懸念が十分に反映されなくてはならないと述べた。 水曜日(16日)の本会議でブラジルは、いくつかの国は、第15条に関して非公式の審議に関与していたが、それらの立場は2分化したままであり、それはプロセスのためのものでもなければ、発展途上国のためのものでもなかったと報告した。中国に支持されて、彼は発展途上国からなるもっと大きなグループが会合する機会を求めた。GRULAC はスイスに支持されて、国家実施計画と一致した実施を可能にする包括的で、利用しやすく、効果的な財政メカニズムjを求めた。スイスは、資金は効果的な条約を望む全てのもののためにあるので、代表者らは”先進国−途上国”という見方を取り払うよう要請した。中国は、革新的な財政メカニズムを求め、遵守のあり方を検討する前にこの問題に対応する必要性を強調した。コロンビアは、既存のメカニズムの上に構築し、民間分野からの補完的な資源を求めることを提案した。 スイス連邦副大統領兼 環境済大臣ドリス・ロイタードは、条約の目的を達成するために効果的な資金・能力・技術援助;及び本質的ではあるがそれだけではない条約の財政メカニズムの要素としてのGEFを強調した。木曜日(17日)の本会議ではGEFのCEOであり議長であるナオコ・イシイは、第43回GEF管理理事会は、もしINCにより求められるなら、GEFが将来の水銀条約の財政メカニズムとなるこを受け入れる意志を表明する決議を採択したと報告した。彼女は、新たな追加的な財源を確保することを約束した。 木曜日(17日)、コンタクト・グループは第15条を検討した。効果的な実施のために援助関連要求を認めることに関し、代表者等はそのような文言と、その配置が必要かどうかを議論した。彼等はまた、ブラジル及びその他の発展途上国により提案された資金に関するノンペーパーによる代替文言を発表したが、それは次のようなものであった。▼GEFの役割;▼緊急用の追加的独立資金;▼条約を実施するために途上国の能力を強化するための国家組織;▼民間分野及び可能性あるその他の組織の参加。 そのノンペーパーは、ストックホルム条約の第13.4条を反映しつつ、途上国による重要な約束の実施の程度を、先進国による援助関連の約束の実施の程度に関連付けた。 ある代表者らは、広範な資金源の必要性を強調しつつ、実施のための財源に関する文言を歓迎した。他の代表者等は、財源源に関するストックホルム条約第13.2条の文言に注意を引きつつ、“mainstreaming” という用語の使用と極端に規範的な文言に関して懸念を示した。何人かの代表者等は、締約国による実施を支援するためのメカニズムを確立することの重要性を強調し、ある代表者等は、そのメカニズムが技術移転を含むのかどうかに関する彼等の立場を留保した。ある代表者等は、必要とされる財源と、そのメカニズムがもたらすであろう結果に関する追加的なテキストを要求した。 独立基金への参照に反対して、多くの先進国は財政メカニズムとして基金を運営し機能させるためにGEFを望んだ。いくつかの途上国は、GEF基金を得ることの困難さと制限的な手続きを指摘して反対した。いくつかの国は、可能性のある解決案として他の機関の関与を参照する”GEFプラス”オプションを指摘した。ある先進国地域グループは、”GEFプラス”は、既存のチャンネルを使用するであろうと説明した。途上国はGEFの役割は認めたが、緊急の必要性に合致するための追加的な配慮を求めた。多くの国はGEFと新たな基金を含むハイブリッド解決を指摘した。 いくつかの国は、先進国が提案する水銀削減を条件とする基金の資格を決定することはもちろん、全体的な方針と手続き及び基金の対象となる活動のカテゴリーの可能性あるリストをCOPが決定することを支持した。ある発展途上国は、COPガイダンスはGEFとその他の機関にそれぞれ対応されるべきであると強調した。 代表者らは、基金のレベルとメカニズムの効果に関するテキストに、原則的に同意した。ある先進国地域グループは先進国以外の締約国は、彼等の能力範囲内で自主的ベースで基金を提供”してもよい”ではなくて”すべきである”と提案した。 妥協案が金曜日(18日)の夜遅く、閉幕時の本会議で発表された。ヨルダンとスイスに支持されたアフリカ・グループは、その提案を受け入れ、能力構築と技術援助を支援する特定の国際的なプログラムが国家レベルで技術部隊を規定するであろうとする理解を共有した。ヨルダンとスイスは、その部隊の設立は次回のUNEP管理理事会会合において実施されるべきであると述べた。 第15条 最終テキスト 第15条(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.52)は次のように述べている。
土曜日(13日)、本会議は議長テキストに含まれるふたつの条文、第16条 技術的援助と能力構築、及び第16条 bis. 技術移転 を討議し、最終的に代表者らはひとつの条項に統合することに合意した。この課題は、財源、技術援助及び技術移転に関するコンタクト・グループにより月曜日(14日)から水曜日(16日)まで検討された。 ブラジルは、先進国とその他の諸国はその能力の範囲で技術援助を行なうことを勧告し、一方日本と米国は、発展途上国と民間分野もそのようにしてもよいと言及した。ノルウェーとカナダは、化学物質と廃棄物に関する他の条約と協力することを求めた。EUとカナダは技術移転に関して分離した条項にすることに反対し、いくつかの要素は第16条に統合することができると言及した。日本と韓国は第16条 bis. を削除することを支持した。多くの発展途上国は、技術移転に関して自立型条項を主張した。カナダとニュージランドは政府は技術移転を命じることはできないということを強調した。インドは技術移転は条約の重要な本質的要素であるとみなした。 技術移転に関して共同議長Guthrieは、技術移転の必要性と現状の評価、及び障害と最良の慣行の特定などCOPの任務に関する条項を設けることを提案した。代表者らはまた、全ての締約国に義務が向けられるべきかなのか、又は能力の範囲内の先進国及びその他の国に向けられるべきなのかについて議論した。代表者らはまた、技術移転は”提供”なのか”促進”なのか、また、”譲与的または特恵的”ベース又は”相互の合意”ベースで実施するのかについて議論した。ある代表者らは、相互に合意して、譲与的・特恵的条件を含む優遇条件で実施するリオ+20の結果の文言に妥協することができると示唆した。多くの先進国はこれに反対し、ストックホルム条約からの技術移転に関する文言を使用することを希望した。水曜日(16日)、共同議長 Guthrie は、技術援助、能力構築、COPの任務、及び技術移転に関する条項を含む第16条に関する妥協提案を示した。条項は、先進国と共に、”能力範囲内にあるその他の国”にも向けられるのか、及び後術移転を”促進する(promote)のか”、”容易にする(facilitate)のか”について議論が集中した。多くの発展途上国は先進国に焦点を当てた直接的な義務を望んだ。代表者等は妥協案を受け入れた。 第16条 最終テキスト 第16条(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.35)は、次のように規定している。
この問題は火曜日(15日)の本会議で議論され、それから法的条項に関するコンタクト・グループに送られた。交渉は議長テキスト中の二つのオプションに基づき行なわれた。第一のものは条約への遵守を見直すための利用しやすいメカニズムの確立を規定し、第二のものは、遵守委員会の構成と権限に関するもっと詳細な条件を含んでいる。議長のドラフトはまた、委員会の権限に関して実施をレビューするためのカッコ付参照を含んでいた。火曜日(15日)、本会議は最初の討議をし、EUは議長提案のオプション2を支持した。リーガル関連の条項に関するコンタクト・ブループは、ある発展途上国が、財政に関する交渉を残したまま、この問題を木曜日(17日)討議することに反対したので、主に金曜日(18日)にこの問題に対応した。金曜日(18日)の午前中、コンタクト・グループは最終的に共同議長のテキストをベースに討議し、いくつかのオプション2からの要素をオプション1に統合した。 遵守委員会という用語を詳細に記述する条文の前文に関し、代表者等は、”もしCOPにより決定されないなら”という文言は、簡単なCOP決議による、又は第27条に含まれる修正手順を通じての、条約テキストの修正を暗示するかどうかを議論し、この問題をリーガル・グループの検討対象とすることを決定した。その後、議論は委員会の委員の数に絞られ、あるものは共同議長により提案された10という数は少なすぎると言及した。結局、代表者らはバーゼル条約や生物多様性議定書遵守メカニズムのように15人の委員とし、公平な地理的代表という一般的な参照と5つの国連地域への特別な参照に合意した。 代表者等は委員会メンバーの要求される適正について長々と議論し、委員会の中心は水銀削減の技術面又は法的論点の面のどちらに置かれるべきなのか論争した。ある代表者は委員会メンバーは現場に行き条約の適用をチェックする技術的能力を持つべきであると強調し、他の代表は条約の下における義務を明確にするために法的専門家が必要であると力説した。ある代表者等は委員会は法律専門家と技術的専門家の協力を促進するのに有用であろうと示唆した。財政専門家もまた必要であると示唆されたが、それは財政的義務を含んで委員会は条約の条項への遵守を確実にすることが役目であるからである。代表者等は一般的な組織立案に関する最初の合意に達したが、しかし、委員会メンバーは水銀又はその他の関連する分野の能力をもち、更なる詳細仕様なしに、適切な専門性のバランスを反映すべきであるとする文言について最終的合意に達しなかった。これが引き金となり、代表者らはひとつの締約国は自国だけに関する提案をすることができるのか又は他の締約国に関してもできるのか、既存のメカニズムからの事例をもとに議論した。 ある発展途上国は、発展途上国の実施の困難さは、もし彼等が時宜を得た方法で適切な財源を十分に活用できないことが理由なら、不順守であるとみなされるべきではないということを記述する追加文言を提案した。長い議論の間、いくつかの発展途上国は実施の方法と実施/遵守との関連に光をあて、提案の背後にある原則はストックホルム条約の第13.4条に含まれていると強調した。先進諸国は遵守は先進国と発展途上国の間で相違があるべきではないと強調して反対した。 打開を図るために削除を提案して、代表者等は同様の文言が財政問題(第15条)に関するコンタクト・グループで次のように検討中であると示唆した。▼委員会はどのような場合でも締約国の不遵守の背後にある理由に目を向けること。▼委員会は、財政的義務を含んで条約の下に置ける全ての義務に目を向けること。 ある発展途上国は、委員会の任務の中に財政的義務への遵守とどの場合に提案された文言は要求されないのかを明示的に加えることを示唆した。先進国代表者らは、この問題を財政グループの検討に委ねることを希望した。そこで同コンタクト・グループは散会し財政問題に関する協議を延期し、この問題及びその他の問題を持ち越した。 最終的な同意は、金曜日(18日)の非公式審議会で、最終妥協案の一部としてなされた。その後の討議の間に、GRULAC は実施及び遵守メカニズムが各締約国の国家能力と国情に特別の注意を払うことを求める文言に注意を喚起した。 第17条 最終テキスト 第17条(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.51)によれば、COPのひとつの下部組織としての委員会を含んで、メカニズムは条約の全ての条項の実施と、遵守のレビューを促進するために確立される。そのメカニズムは利用しやすい特性をもち、締約国のそれぞれの国家能力と事情に特別の注意を払わなくてはならない。委員会は、実施と遵守の個別及び全体的問題の両方を検証し、COPに勧告をしなくてはならない。それは、条約の関連するひとつ分野における能力を持ち、専門性のバランスを反映する15人の委員からなり、締約国により推薦され、国連の5地域に基づく地理的公平性が十分に考慮されて、COPにより選出される。最初の委員はCOP1で選出されるであろう。 委員会は、締約国自身の遵守の問題、国家報告書、COPからの要求に関するどのような書面による提出に基づく問題を検討してもよい。その勧告を満場一致で採択するためのあらゆる努力を図り、最後の手段として、委員の3分の2を定足数として、出席者及び投票者の4分の3の多数決により、採択される。COPは、この委員会のために更なる委託事項を採択してもよい。 (続く) 第18条 情報交換 この条項は、火曜日(15日)の本会議で、簡単に議論され、ルグリス議長は、議長テキストは健康と人の安全に関する情報は機密とみなされるべきではないが国内法に従う−との記述周囲のカッコを外したと説明した。カナダは、機密要求は多国間環境協定(MEAs)の下で公衆の健康情報に決して適用されるべきではないと言及した。代表者らは国内法への参照を削除することに同意した。 第18条 最終テキスト 第18条(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.15 and 20)は、各締約国が下記の情報交換を促進することを求めている。
代表者らは、この条項を議長テキスト中のの文言のまま保持し、リーガル・グループによる”排出”と”放出”の用語の使用の一貫性を確実にするための修正に同意した。 第19条 最終テキスト 第19条(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.7)は各締約国に、その能力の範囲内で、公衆に利用可能な下記に関する情報を提供することを促進し容易にすることを求めている。
第19条はさらに、各締約国は、人の活動を通じて排出される又は処分される水銀及び水銀化合物の年間量の見積りに関する情報の収集と普及のために、適切な場合には、汚染物質排出移動登録(PRTR)のような既存のメカニズムを利用する又はメカニズムの開発を考慮することを求めている。 第20条 研究、開発、監視 この条項は火曜日(14日)に本会議で、ルグリス議長が締約国は研究、開発、監視に協力”すべき(should)”よりもむしろ”しなくてはならない(shall)”と、この条項は修正されていることを示して、簡単に討議された。アメリカは、ブラジル、コロンビア、マダガスカルに反対されたが、もっと早い組織の設立を望んだ。中国は、締約国は”協力するよう努力しなくてはならない”と提案し、ブラジルとともに、”それぞれの国の事情と能力を考慮する”ことをつけ加えた。協議の後、EUは、これらの修正に同意した。リーガル・グループは、”排出(missions”)と”放出(releases)”という用語の使用に一貫性を持たせるよう示唆した。 第20条 最終テキスト 第20条((UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.15 and 20)は、締約国がそれぞれの国の事情と能力を考慮しつつ、下記について開発し改善するために協力することを求めている。
第20条bis. 健康面 この条項は火曜日(15日)に本会議で討議され、実施計画と健康面に関するコンタクト・ブループによって対応された。事務局は第20条bisの内容がドラフト水銀条約の他の条項に反映されている程度の分析を本会議で発表した(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/5)(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/5 2012年10月17日 「ドラフト水銀文書の条項が健康に関する第20条bisの内容をどの程度反映しているかについての分析」(当研究会訳)。 議論は条約が健康に関する専用の条項を含むべきかどうかに絞られた。カナダ、オーストラリア、ニュージランドはそのような条項に反対し、EUは、議長のドラフト・テキスト中に含まれるような第20条bisは多国間環境条約(MEA)には不適切であり、他の国際組織による作業との重複に反対して警告した。スイスは、現実的な実行可能性とこの条項の規制の負担の懸念を表明した。 GRULAC、アフリカ・グループ、マーシャル諸島、ヨルダン、クック諸島、フィリピン、世界先住民幹部会(Global Indigenous Peoples' Caucus)、IPEN、ヒューマン・ライツ・ウォッチは健康面に関する分離した条項を保持することを支持した。エジプトは、第20条bis中の予防的措置を支持したが、WHOと国際労働機関(ILO)の権限との重複に反対して警告した。GRULAC は、次のような提案を行なった。▼水銀締約国会議、WHO、及びILOのそれぞれの能力を明確にすること▼高速要求の柔軟性を大すること▼医療介護へのアクセス及び化学的、技術的及び分析的能力に関する気鋭を保持すること。 アルゼンチンは国家実施計画に焦点を合わせることを求め、ホンジュラスと共に健康専門家の保護を求めた。 伝統的な食物によることも含んで先住民の水銀への曝露を指摘しつつ、世界先住民幹部会はテキスト中で先住民に対する特定の参照を求めた。ZMWGは、脆弱な集団を保護するためのプログラムに関する文言を求め、IPENは累積的な影響の評価及び水銀曝露との戦いへの財政的支援を求めた。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、研究、調査、及び監視の規定と、WHO及びその他の国連機関との協力を求めた。 実施計画と健康面に関するコンタクト・グループ及び、主に非公式な”健康の友達”グループの中で協議が続けられた。木曜日(17日)、本会議で、特にリスクと職業的曝露にさらされる集団に関する戦略とプログラムの開発と実施を促進するよう締約国を鼓舞するとともに、COPはWHO、ILO、及びその他の関連組織と協議し連携しつつ、適切な健康介護サービスすを促進するという合意テキストが示された。 第20条bis 最終テキスト 第20条bis(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.35)によれば、締約国は下記を実施することを推奨される。
第21条 実施計画 本会議は火曜日(15日)に第21条に対応した。交渉は、二つのオプションを含む議長のテキストに基づいて行なわれた。最初のオプションは、各締約国は国家実施計画(NIP)を開発及び実施”してもよい、又はしなくてはならない”と述べる多くのカッコ付のテキストを含んでおり、また締約国はNIPsを作成するに当りCOPにより開発されたメニュー・ベースのひな型を参照してもよいというカッコ付の規定を含んでいる。二番目のオプションは、NIPsを策定し更新するためのCOPが決定する基準により締約国がNIPを作成することを求めており、必要性と優先度についての締約国自身の評価にしたがい、財源と技術移転の動員を条件とする条項への遵守を規定している。GRULACはオプション2を望み、実施のためにもっと柔軟性を与えるよう主張した。EUは、自由裁量の一般的実施計画と、排出や目録に関するような締約国の義務との間の区別を強調した。 コンタクト・グループで、その後ドラフティング・グループで討議は続いた。論点の中でも特に、NIPの策定時機、事務局への可能性ある提出、実施結果の内容と焦点、財政問題との関連についてぐるぐると回った。合意された妥協案が本会議で示されるまで、協議は金曜日(18日)の夕方まで続いた。 第21条 最終テキスト 第21条(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.50)によれば、各締約国は:
第22条 報告 本会議はこの問題を火曜日(15日)に対応した。カナダは、ブラジルに反対されたが、実施の測定とその効果に関する報告への締約国の義務に関連する実施計画の内容を考慮することへの参照を削除することを提案した。中国は条約の目的を満たす可能性ある挑戦への参照を要求した。本会議は木曜日(17日)に、暫定的にこの条項を採択し、土曜日の朝、”国家実施計画”への参照を削除することに同意した。 第22条 最終テキスト 第22条(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.15)は、各締約国は条約の目的を満たすために条約とそれらの効果を実施するためにとられる措置に関してCOPに報告すること;及びCOP1は、他の関連する化学物質および廃棄物条約との報告と調整することの望ましさを勘案して、報告書の時機と様式について決定することを求めている。 第23条 効果の評価 本会議はこの問題を火曜日(15日)に討議した。EUは、議長のテキストにあるように、最初の評価は条約発効後6年以内というよりもむしろCOP3までに実施することを提案した。COP1で比較可能な監視データを得るための合意の確立をはかり、中国はカナダとモロッコに反対されたが、監視データのような”適切な方法論”への参照を提案した。アメリカは、ベースライン条件と傾向への参照を提案した。EUは日本の支持と中国、ブラジル、カナダの反対の下に、評価のベースとして財政及び技術移転関連の情報への参照を削除することを求めた。協議の後EUは、議長のテキストを残すことに合意した。 第23条 最終テキスト 第23条(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/CRP.26)は次のことを求めている。
土曜日、1月19日朝、本会議は会議報告書(UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/L.1 and Add.1-2)をわずかなコメント付きで採択した。代表者らは午前7時に条約を採択した。いつ条約の全テキストが入手可能となるかを日本が質問し、事務局は約2ヵ月かかると答えた。中国と GRULAC は、公式言語への正確で一貫性のある翻訳が重要であると強調した。 熊本県水俣市で水銀汚染により引き起された健康ダメージと環境悪化に関するビデオが上映され、日本は10月10〜11日に熊本市で開催される外交会議及び10月9日に水俣市で開催される開会式の準備に関して報告した。代表者等は条約を”水銀に関する水俣条約(Minamata Convention on Mercury)”と命名することに同意し、日本はそれを将来の水銀汚染と水俣病を回避するためのツールとしてその命名を歓迎した。”これらはUNEP職員が生きがいを感じる瞬間である”とシュタイナーUNEP事務局長は述べ、ルグリス議長に彼の職責と落ち着いた指導力をねぎらい、UNEP化学物質チームと全ての代表者らに感謝した。 GRULACは、人の健康と環境のための水銀と水銀化合物に関連する世界の挑戦に目を向けるひとつの手段としてこの条約を歓迎した。アメリカは水銀の有害性に対応する重要な第一歩であるとそれを呼んだ。EUは、同条約が翻訳されて、最大数の諸国により完全に署名され、批准され、実施されることを確実にするよう要求した。アフリカ・グループは、INC5を国際的な化学物質管理のための歴史的な会合であたっと呼んだ。 中国は、この交渉を”長征(he Long March)”に例えた。カナダはこの条約は、同国にとって北極圏及び先住民にとって重要となるであろうと述べた。多国間共同政策の成功であるとしてチリは、様々な国家の現実を反映し、人の健康と環境を保護するための堅固な約束を含んでいる条約であると称賛した。アルジェリアは、その採鉱活動を止めることの社会経済的影響を受けなくてはならない生産国としての懸念を表明し、その表明が会議報告書に記録されることを要求した。 キルギスタンは、その実施が他の条約と調和すること求めた。ブラジルは条約をリオ+20後の最初の多国間環境条約であるとして歓迎したが、”共通ではあるが差異のある責任”原則を再確認した。ロシアは、条約の採択にいたるプロセスを想起し全ての関係者に感謝した。
ZMWGは、条約を歓迎し、新たなそして将来の世代を保護するために、特にASGMと排出に関連して、実施の困難さを指摘した。ルグリス議長はUNEP化学物質チーム、NGOs、IGOs、民間分野、及び全ての代表者らに対して、現時点では期待し得る最良の条約の結論を可能にした建設的な作業を感謝した。スイスは、代表者らをトーストとシャンペンとケーキのお祝いに招待した。ルグリス議長は、クイーンズのフレディ・マーキュリーの”我々はチャンピオン”(“We are the Champions” by Queen's Freddie Mercury)のサウンドの下に、午前7時42分に閉会の木槌をたたいた。 |