UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/5 2012年10月17日
INC5 ドラフト水銀文書の条項が
健康に関する第20条bisの内容を
どの程度反映しているかについての分析

水銀に関する法的拘束力のある協定書に関する政府間交渉委員会第5回会合(INC5)
2013年1月13日(日)〜1月18日(金) ジュネーブ(スイス)

情報源:UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/5, 17 October 2012
Analysis of the extent to which the provisions of the draft mercury instrument
reflect the content of article 20 bis on health aspects
Intergovernmental negotiating committee to prepare a global legally binding instrument on mercury
Fifth session Geneva, 13 - 18 January 2013
Item 3 of the provisional agenda*
Preparation of a global legally binding instrument on mercury
http://new.unep.org/hazardoussubstances/Portals/9/Mercury/Documents/INC5/5_5_health.pdf

訳:安間武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載:2012年12月29日
このページへのリンク:
ttp://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/INC5/INC5_Analysis_of_article_20_bis.html

事務局による覚書

1. 第4回会合で、水銀に関する世界的な法的拘束力のある文書を準備するための政府間交渉委員会は、ドラフト水銀文書の条項が健康に関する第20条bisの内容をどの程度反映しているかについて世界保健機関(WHO)と協力して分析し、第5回会合での委員会の検討用に分析結果を記述する報告書を準備するよう事務局に要請した[1]。

2. 本覚書の付属書Tに記述されている報告書は、第4回会合の作業に関する委員会報告書の付属書Tに含まれる第4回会合の結果として修正されたドラフト・テキスト2](以降”第4回会合ドラフト・テキストと呼ぶ”)の条項が、健康の側面に関する第20条bisの内容をどの程度反映しているかに関して、WHOと協力して事務局が準備した分析である。
 第20条bisの各項目について、事務局は、分析によりその内容を最もよく反映している第4回会合ドラフト・テキスの主要な条項をリストした。いくつかの条項は、異なる政策オプションを含んでおり、事務局はこれらの相違を示すカッコをつけなかった。
 ある場合には、事務局は第20条bis又はその他のドラフト条項に規定されている措置の可能性ある結果を推測する必要があった。そのような解釈は分析の目的のためにだけなされ、第4回会合ドラフト・テキストの条項の法的解釈のための根拠を示すものであると主張するものではない。第20条bisの各項目を第4回会合ドラフト・テキスト中の関連する他の参照と関連付けるために、本報告書の末尾に表がつけられている。

3. 加えて、事務局は議長テキスト[3]を分析した結果、言い回しは改良されているかもしれないが、今回の分析中でハイライトされた第4回会合ドラフト・テキストの条項中に反映されている概念は、議長テキストの同等な条項にもまた反映されていると判断した[4]。

4. この分析から引き出すことができるであろう結論の中で、委員会は下記の点に留意したいと望むかもしれない。

(a) 第1項の(a), (b), (c) , (d)の要素を含んで、第20条bisのいくつかの規定は、第4回会合ドラフト・テキストの他の条項により直接カバーされるかも知れない。これらの規定は、水銀により人の健康と環境に及ぼされるリスクを削減することを目指す国連環境計画(UNEP)管理理事会の決議 25/5 に直接対応する条項を通じて扱われている。
(b) 第1項の(a), (b), (c) , (f)の要素を含んで、第20条bisのいくつかの規定は、第4回会合ドラフト・テキストの他の条項により間接的にカバーされるかも知れない。したがって、そのような規定の意図される結果は、第20条bisの下に見越されるもの以外の手段を通じて達成されることができる。

(c) 第20条bis第1項の(e)及び(f)の要素を含んで、第20条bisのいくつかの規定は、第2項の(a) 及び (b) とともに、第4回会合ドラフト・テキスト中の他のどの条項の下にも明確にはカバーされない、あるいは部分的にだけしかカバーされないかもしれない。

5. 本覚書の付属書Uは、組織の目的と機能及び、第20条bisの下に提案されている規定の目的への対応に貢献する水銀に関連する作業プログラムの要素の概要を提供しつつ、WHOによる貢献を示している。

脚注
* UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/1
1 UNEP(DTIE)/Hg/INC.4/8, para. 204
204. The committee also agreed that the secretariat, in cooperation with WHO, would analyse the extent to which the provisions of the draft mercury instrument reflected the content of article 20 bis of the draft text and to prepare a report setting out the results of its analysis for consideration by the committee at its fifth session.
2 UNEP(DTIE)/Hg/INC.4/8
3 UNEP(DTIE)/Hg/INC.5/3, annex II
4 例外は、第11条altであり、それは第4回会合ドラフト・テキスト中にのみ服舞えている。


付属書T
第4回会合の作業に関する委員会の報告書の付属書Tに含まれる修正されたドラフト文書の条項が、健康に関する第20条bisの内容をどの程度反映しているかについての分析


 第20条bis、第1項 (a) 項の下に、各締約国は、”脆弱な集団及び/又は水銀及びその化合物の曝露にリスクがある集団を特定するためのプログラムを確立し実施”しなくてはならない。

1. WHOと協力してUNEPにより開発された”水銀曝露によるリスクがある集団を特定するためのガイダンスa”に従い、”脆弱な集団及び/又は水銀及びその化合物の曝露にリスクがある集団”は二つの部分集団になると理解することができる。すなわち、胎児、新生児、子ども、妊婦らと既往症のある人々及び、平均レベルより高い水銀に曝露している人々である。後者のカテゴリーは、魚類や海産物の摂取により平均より高いレベルのメチル水銀に曝露している集団、歯科アマルガムを使用している個人、(人力小規模金採鉱で水銀を使用している採鉱者のような)高い職業的曝露をしている人々、(美白クリームや石けんのような)水銀を含有する様々な消費者製品を使用する個人、伝統的な民族特有の水銀を含む薬品、又は文化的及び宗教的目的で水銀を使用する人々を含むb

2. 脆弱な集団及び/又はリスクのある集団の特定は、ある場合には第4回会合ドラフト・テキストの条項の実施にとって必須条件である。例えば:

(a) 教育、訓練、及び公衆の意識向上に関連する第19条第1項 (b)項
(b) 脆弱な集団の水銀レベルのモデル化と地理的な代表の監視に関連する第20条(b)項 及び、特に脆弱な集団についての水銀及び水銀化合物の影響の評価に関する(c)項
(c) 人力小規模金採鉱に関する国家行動計画に関連する付属書E第1項(特に(g)項から(j)項)

3. さらに、脆弱な集団及び/又はリスクのある集団を特定するプロセスを支援するであろういくつかの条項がある。すなわち:

(a) 各加盟国による領土内にある水銀供給源の特定(第3条第5項(a)及び第5項alt(a))
(b) 使用されている水銀の推定年間量を含んで、使用されている水銀添加製品の特定(第6条)及び付属書Dにリストされている製造プロセス中で水銀又は水銀化合物を使用する施設(第7条第2項 (c))
(c) 人の活動を通じて放出又は処分される水銀及び水銀化合物の年間の推定量に関する情報の各締約国による収集と普及宣伝(第19条第2項)
(d) 潜在的な脆弱な集団及び/又はリスクある集団を特定するために締約国が決定することを必要とする特定の排出・放出源カテゴリーを目標とする排出と放出に関する第10条、11条及び11条altの下における可能性ある措置c

 第20条bis、第1項(b)項の下に、各締約国は、”特に水銀及び水銀化合物の曝露に関連する健康に関わるガイドラインの採択、水銀曝露削減のための目標設定、及び公衆と労働者の教育を含むかもしれない上述で特定されたリスクある集団を守るための戦略とプログラムを健康分野及びその他の関連分野の参加を得ながら開発し実施”しなくてはならない。

4. UNEP管理理事会決議 25/5 III、第25項と首尾一貫して、第4回会合ドラフト・テキストに含まれる条項は水銀と水銀化合物による人の健康へのリスクを削減することを目標にしている。これらの条項は下記を含む。

(a) 水銀供給源の限定と貿易の制限(第3条)
(b) 製品中(第6条)とプロセス中(第7条)の水銀の需要削減
(c) 人力小規模金採鉱での水銀と水銀化合物の使用と放出を削減し、実行可能な場合には廃絶する措置(第9条)
(d) 水銀の大気への排出と水及び陸への放出の削減(第10条、11条及び11条alt)
(e) 水銀の環境に適切な保管と処分(第12条及び13条)
(f) 汚染サイトにより引き起こされるリスクを削減するための行動(第14条)

 これらの条項のいくつかはまた、締約国が水銀曝露削減という観点から自国の目標を確立するための機会又はメカニズムを提供する。

5. 情報、教育及び公衆の意識向上は、曝露削減及び保護措置の効率に重要な役割を演じ、下記のようないくつかの条項の下で求められるであろう。

(a) 第19条は、締約国が、特に水銀と水銀化合物の影響、それらの用途と代替、人間の活動を通じて放出又は処分される水銀及び水銀化合物の年間推定量、水銀問題に対応するために実施されている安全情報と措置、に関する情報の公衆への提供を促進し役立てるための要求を確立するであろう。この情報のあるものは情報交換に関する第18条の第1項、又は研究、開発及び監視に関する第20条の実施から生じるかもしれない。
(b) 第19条はまた、水銀及び水銀化合物の曝露が人の健康と環境へ及ぼす影響に関連する教育と訓練及び公衆の意識向上の規定を求めるであろう。
(c) 付属書E、第1項(h)及び(j)は、第9条第3項に従い開発される公衆衛生戦略の下に、健康施設を通じての保健介護関連従事者の訓練と意識向上、及び採鉱者と影響を受ける地域社会への情報提供のための戦略を求めるであろう。

6. 水銀と水銀化合物への曝露に関連する健康ベースのガイドラインの採択は、第4回会合ドラフト・テキストには、第20条bis以外は明示的に描いていない。しかし、第1条bisは、この条約は、そのような健康ベースのガイドラインを開発するための権限を与えられているWHOのような、この条約の目的と矛盾しない他の関連する国際的協定と相互に支えあうやり方で実施されなくてはならないということを規定している。
 廃棄物に関連して第13条で同様な規定が提案されている。すなわち、水銀を廃棄物として管理する時には、各締約国は有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約の下に開発されるガイドラインを考慮しなくてはならない。

第20条bis第1項(c)の下に、各締約国は、”適切であり、実行可能な場合には、生物監視を通じて、リスクを監視し、レビューし、リスク防止と緩和措置が意図したとおりの結果をもたらしていることを確認するとともに、リスクについて人々に知らせ、理解しあうために、プログラム、勧告、ガイドラインを、国家レベルで適用”しなくてはならない。

7. リスクに関する情報とコミュニケーションは、ハザード特性(水銀の影響)と曝露経路の両方に関連する情報を包含し、それは特定の人々の行動及び/又は特定の活動の種類又は場所に関連付けることができる。

8. リスクに関する情報を提供し理解しあうことに関連して、第4回会合ドラフト・テキスト中の下記参照に関連性がある。

(a) 第19条は、水銀と水銀化合物への曝露に関連する健康影響に関する疫学的情報(第1項(a) (iv))、及び研究、開発、及び監視からの健康影響評価(第1項(a) (v))を含んで、締約国が水銀と水銀化合物の健康と環境への影響に関する情報(第1項(a) (i))を提供することを求めている。それはまた、曝露経路に言及している(第1項 (a) (iv))。
(b) 新たな製品に関する第6条第4項は、締約国がそのような製品の健康影響に関する、公的に入手可能とされるべき情報を事務局に提供することを求めている。
(c) 第18条第5項は、この条約の目的のために、人と環境の健康と安全に関する情報は機密であるとみなされてはならないと述べている。
(d) 第20条は、研究、開発、及び監視を通じて、水銀及び水銀化合物の使用、消費、及び人間活動に由来する大気への排出及び水と陸地への放出の目録、魚、海洋哺乳類、ウミガメ、鳥類のような生物媒体を含んで、脆弱な集団及び環境媒体中の水銀及び水銀化合物のレベルのモデル化と地理的な代表の監視に言及している。

9.締約国による水銀に関連するリスク防止と緩和措置の効果の監視、見直し及び確認に関して、いくつかの条項は特に関連性がある。

(a) 第9条第3項は、関連する締約国は3年毎に小規模金採鉱に関連する義務に合致する進捗を見直すことを求めるであろう。
(b) 第21条の下に、措置の効果の見直しは、実施計画の開発に関連する条項の下に求められるであろう。
(c) 第22条は、締約国が条約の条項を実施するためにとられた措置及びそれらの効果に関して、締約国会議に報告することを求めている。
(d) 第23条は、締約国会議により実施される効果の見直しのための指標と監視データを含んで、基礎と方法論を確立するであろう。

第20条bis第1項(d)の下に、各締約国は、”潜在的な曝露の懸念がある場合には、許容された用途に関連する職業曝露の防止に関するプログラム、勧告、及びガイドラインを実施”しなくてはならない。

10. 水銀の許容される用途に関連する職業曝露はいくつかのタイプの活動に関連している。

(a) 水銀又は水銀化合物を製造する人々
(b) 水銀含有製品を製造するために水銀を使用している人々
(c) 人力小規模金採鉱を含んでプロセス中で水銀を使用している人々
(d) 水銀を使用する製品とプロセスの使用に関わる人々
(e) 保管、輸送、最終処理のような水銀の管理と処理に関わる人々

11. そのような分野に雇用されている労働者は、水銀蒸気の吸入、皮膚の直接接触、又は偶発的摂取を通じての曝露のリスクに曝されるかもしれない(UNEP, WHO, 2008)。適切な作業環境と作業場所、及び、水銀の形状、量、頻度、取扱い、保管又は処分という観点を含んで、水銀が使用される方法は、潜在的な曝露レベルに重要な役割を演じる。

12. 水銀へのそのような職業曝露の防止は主に、プロセスからの排出と放出はもちろん、作業環境中の水銀削減を通じて、また製品中の水銀を含めてその使用の削減を通じて達成される。それはまた、特定の措置の実施を通じて達成される。潜在的な曝露に懸念がある許容される用途に関連する職業曝露を防止することに貢献するであろう条項:

(a) 第6条から第9条は、水銀の使用を削減し段階的に廃絶することを目指している。
(b) 第10条、11条及び11条altは、水銀の排出と放出に対応している。
(c) 第12条及び13条は、バーゼル条約の下に開発されるd”元素水銀及び水銀を含む又は水銀で汚染された廃棄物の環境的に適切な管理のための技術的なガイドライン”と矛盾することなく、水銀及び水銀化合物の保管及び水銀廃棄物の管理が環境的に適切な方法でなされるよう締約国に措置をとることを求めている。

 廃棄管理の様々な段階における水銀の排出と放出の削減を目指す措置に加えて、これらのガイドラインは、労働者を保護するための健康と安全、緊急事態対応計画、及び公衆の意識向上に関する勧告を含む。それらはまた、曝露の重要な経路である歯科アマルガム廃棄物からの放出の削減に関する有用な情報を含む。水銀廃棄物の輸送に関する勧告もまたバーゼル条約技術ガイドラインに含まれている。

(d) 水銀と曝露経路の健康影響に関連する特定の教育、訓練、及び意識向上を含む労働者に利用可能な情報は、彼等の曝露を防止するのに重要である。第19条は特に、この点に関連性がある。

(e) 労働者の水銀曝露が特に高い分野である人力小規模金採鉱に関する条項は、職業曝露を防止するための包括的な要求を提供している。それらは、水銀及び水銀化合物の使用(第9条第2項)労働者による最も高い曝露をもたらす実施(付属書E第1項(b))、水銀の排出と放出及び曝露(付属書E第1項(e))を削減し、実行可能なら廃絶することを目指している。締約国は、国家行動計画を開発し実施することを求めらる締約国はまた、そのような計画に採鉱者と彼等の地域社会の曝露に関する公衆衛生戦略、脆弱な集団の曝露を防止するための戦略、及び人力採鉱者と影響を受ける地域社会に情報を提供するための戦略を含めなくてはならない(付属書E第1項(h)〜(j))。

第20条bis第1項(e)項の下に、各締約国は、”水銀又は水銀化合物への曝露により影響を受ける集団が保健介護を容易に受けられよう促進し確保”しなくてはならない。

13. 保健介護へのアクセスからなる健康に関連する特定の条項は、水銀を使用する主要な活動のひとつであり、人の曝露のホットスポットである人力小規模金採鉱に関する条項中に含まれている(第9条)。第9条第3項の下に国家行動計画を開発し実施することを求められる締約国は、人力小規模金採鉱者及び彼等の地域社会の水銀への曝露に関する公衆衛生戦略を彼等の計画に含めなくてはならない。

第20条bis第1項(f)項の下に、各締約国は、”科学的、技術的、及び分析的能力及び、水銀及び水銀化合物への曝露の防止、診断、監視、及び治療のための保健専門家の能力強化を確立”しなくてはならない。

14. 第4回会合ドラフト・テキストのいくつかの条項は、下記を含んで、水銀及び水銀化合物への曝露の防止、診断、監視、及び治療のための科学的、技術的、及び分析的能力の締約国による確立に貢献するであろう。

(a) 水銀及び水銀化合物への曝露に関連する健康影響に関する疫学的情報はもちろん、毒性学、生態毒性学、及び安全情報を含んで、水銀及び水銀化合物に関する科学的、技術的、経済的及び法的情報の交換に関連する第18条。
(b) 水銀及び水銀化合物への曝露の人の健康への影響に関連する教育、訓練、及び公衆の意識向上に関する第19条。
(c) 脆弱な集団及び環境媒体中の水銀レベルのモデル化と地理的な代表の監視、及び水銀及び水銀化合物の人の健康に及ぼす影響評価を含んで、締約国による研究、開発、及び監視プログラムの開発と改善に関する第20条。

15. さらに、第13条で言及されているバーゼル条約技術ガイダンスもまた、これに関して関連性がある。それらは、歯科分野及び水銀含有製品が使用されている保健分野に関わる労働者の能力を強化するであろう情報はもちろん、元素水銀からなる廃棄物及び水銀を含有する又は水銀で汚染されている廃棄物のサンプリング、分析、及び監視に関するガイダンスを含む。

16. 第4回会合ドラフト・テキストの中には、これら以外に健康専門家の能力を強化するための一般的要求を課す他の条項はない。しかし付属書Eは、第9条の第3項に従い、締約国による国家行動計画中に含まれる公衆衛生戦略は、健康施設を通じて保健介護労働者のための訓練と意識向上を含むべきであることを求めている。

第20条bis第2項(a)の下に、締約国会議は、”第1項前で述べられている活動の実施のための決議、勧告、及びガイドラインを採択”しなくてはならない。これらの勧告とガイドラインは、もし必要なら、世界保健機関又は世界労働機関のような国際的な組織の支援を得て、締約国により作成されなくてはならない。”

17. 締約国会議は、決議を採択し、勧告し、他の条項(第66, 7, 8, 10, 11, 12, 13及び14条)に含まれる措置の多くに関連するガイドライン又はガイダンスを開発し、採択する権限を与えられるであろう。これらのあるものは、技術的であり、全く締約国会議の権限範囲内のものであろう。その他のものは、例えばバーゼル条約、WHO、ILOのような他の機関の責任に関わるであろう。後者の場合には、締約国会議は、第24条の下に、権威ある国際組織や政府間及び非政府組織と協力することが求められている。

第20条bis第2項(b)の下に、締約国会議は、”第1項前で述べられている活動を支援するために、この条約の下に、科学的、技術的、及び財源の流れを確保”しなくてはならない。

18. 第15条及び16条は、財源及び技術援助の条項に関して、締約国会議の責任を規定している。第16条bisの下に、締約国会議はまた、開発途上国に技術を移転することを目的とするメカニズムを作り出すことを求められている。

第20条bisの各項と第4回会合ドラフト・テキストの他の関連条項との関連

第20条bis 健康面 第4回会合ドラフト・テキストの関連条項
1.各締約国は下記をしなくてはならない。  
(a) 脆弱な集団及び/又は水銀及びその化合物の曝露によるリスクがある集団を特定するためのプログラムを確立し実施すること。 第3条, 6条, 7条, 9条, 10条, 11条, 11条 alt, 19条 及び 20条、及び付属書E
(b) 上述の特定された集団をリスクから保護するための戦略とプログラムを開発し実施すること。それは特に、健康及びその他の関係する分野の参加を得て、水銀と水銀化合物の曝露に関連する健康に基くガイドラインを採択すること、水銀曝露削減の目標を設定すること、及び公衆と労働者の教育を含むかもしれない。 第1条bis, 3条, 6条, 7条, 9条,10条, 11条, 11条alt, 12条, 13条, 14条, 18条, 19条 及び 20条、及び付属書E
(c) 適切であり、実行可能な場合には、生物監視を通じて、リスクを監視し、レビューし、リスク防止と緩和措置が意図したとおりの結果をもたらしていることを確認するとともに、リスクについて人々に知らせ、理解しあうために、プログラム、勧告、ガイドラインを、国家レベルで適用すること。 第6条, 9条, 18条, 19条,20条, 21条, 22条 及び 23条
(d) 潜在的な曝露の懸念がある場合には、許容された用途に関連する職業曝露の防止に関するプログラム、勧告、及びガイドラインを実施すること。 第6条, 7条, 8条, 9条, 10条,11条, 11条 alt, 12条, 13条, 19条、及び付属書E
(e) 水銀又は水銀化合物への曝露により影響を受ける集団が保健介護を容易に受けられよう促進し確保すること。 第9条、及び付属書E
(f) 科学的、技術的、及び分析的能力及び、水銀及び水銀化合物への曝露の防止、診断、監視、及び治療のための保健専門家の能力強化を確立すること。 第9条, 13条, 18条, 19条, 20条、及び付属書E
2. 締約国会議は下記をしなくてはならない。  
(a) 第1項前で述べられている活動の実施のための決議、勧告、及びガイドラインを採択すること。これらの勧告とガイドラインは、もし必要なら、世界保健機関又は世界労働機関のような国際的な組織の支援を得て、締約国により作成されなくてはならない。 第3条, 6条, 7条, 8条, 10条,11条, 11条 alt, 12条, 13条, 14条 及び 24条
(b) 第1項前で述べられている活動を支援するために、この条約の下に、科学的、技術的、及び財源の流れを確保すること。 第15条, 16条 及び 16条bis

a The guidance document was made available to the committee at its second session (see UNEP(DTIE)/Hg/INC.2/19 and UNEP(DTIE)/Hg/INC.2/INF.3)
b UNEP(DTIE)/Hg/INC.2/INF.3, annex, paras. 18.20
c Article 11 alt is contained in the fourth session draft text only.
d www.basel.int/Portals/4/download.aspx?d=UNEP-CHW-GUID-PUB-Mercury.English.pdf

付属書Uは世界保健機関の水銀に関わる活動の紹介であり、日本語紹介は省略。



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