グランジャン博士の
化学的脳汚染ニュース 2019年3月18日
有害な麻酔

情報源:Chemical Brain Drain - News, 18 March 2019
Toxic anesthesia
By Philippe Grandjean, MD
http://braindrain.dk/2019/03/toxic-anesthesia/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2019年8月9日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/CBD/Toxic_anesthesia.html


【2019年3月18日】多くの外科手術は痛みを伴い、全身麻酔はよくあるひとつの解決である。しかし、これは一時的な知覚と注意力の喪失を誘引する気化ガスの使用、実際には神経毒性物質の使用が必要である。実験的な研究が、回虫から非人類類人猿(サル類)まで様々な生物種中で、即時の神経解剖学的及び生物化学的影響、並びに少し長く続く機能遅延又は機能障害を示している。

 現状の懸念は、既にここで議論されたように訳注1)、麻酔の医療での使用が神経毒性学的影響を及ぼすかどうかということである。実験的研究のひとつの結果として、米国食品医薬品局(FDA)は、3歳以下の子どもに、又は 3時間以上の使用又は麻酔の繰り返し使用を受ける妊娠末期の妊婦に使用される全身麻酔及び鎮静剤は”子どもの脳の発達に影響を与えるかもしれない”という警告(訳注:リンク切れ)を発した。FDAのその警告は、麻酔を必要とする外科的手術や診断のための処置が結果として遅れ、子どもたちや妊婦に有害影響をもたらす可能性があるので、物議をかもした。医師と両親は外科手術を延期すべきかどうかを決定する時に、多くの要因を検討しなくてはならない。

 新たな複数サイト研究が発表された。その研究は、鼠径ヘルニアのために手術を必要とするほとんどが月齢 2〜3か月の幼児を募集した。ほとんどが男の子である幼児らは覚醒局所麻酔又は全身麻酔(吸入麻酔薬セボフルラン)のどちらかを割り当てられた。参加児童は 5歳の時に本格的なウェクスラー知能検査(WPPSI-III知能検査)が行われた。結果は局所麻酔グループの205人の児童と全身麻酔グループの242人の児童から得られた。IQ スコアーはそれぞれのグループで 99.08 及び 98.97 であり、結果には差異がないことを示唆していた。

 全身麻酔の時間は1時間弱であった。これらの発見は、幼少児の全身麻酔のための一般的な麻酔薬の使用は神経系発達に影響を及ぼさない、少なくとも感知できるほどではないことを示唆している。これらの楽観的な結果は過剰解釈されるべきではないが、とりあえず良いニュースである。今後なされるべきことは、医療介護界はもちろん、FDA 及び他の規制機関が、子どもたちの脳の発達を脅かし続ける全ての非医療での脳汚染にできるだけ多くの注意を払うことである。


訳注1


化学物質問題市民研究会
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