グランジャン博士のウェブサイト
Chemical Brain Drain - News 2015年4月27日
麻痺した政策策定者に警告する

情報源:Chemical Brain Drain Website - News
27 April 2015
Alerting anesthetized decision-makers
By Philippe Grandjean, MD
http://braindrain.dk/2015/04/alerting-anesthetized-decision-makers/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2015年4月29日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/CBD/
Alerting_anesthetized_decision-makers.html

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 【2015年4月27日】小さな子どもたちへの全身麻酔は脳の発達にダメージを引き起こすかもしれないと、JAMA (米国医師会誌)掲載記事の著者らは危惧している。同様な懸念は以前にも本サイトで提起2015年1月28日 脳汚染物質としての麻酔) されているが、その懸念は、一般的に産業化学物質との興味深いある類似点と相違点を明らかにしている。

 今回、三人の医師により提起された懸念が何かを警告しているかどうか見てみよう。彼らは、”麻酔の様々なタイプと持続時間に関連する”影響を評価するために、”神経精神医学的テストを含む大規模で高い品質の観察研究(observational studies)”を勧告している。そのことは適切であり合理的のようであるが、子どもの暴露の分類は、環境化学物質曝露より全身麻酔についての方がはるかに容易である。

 また可能性ある影響を明確にするために、著者らは異なる麻酔方法を比較するためのランダム化臨床試験を勧告している。しかし、環境化学物質については、神経毒性を疑われる物質に子どもたちを故意に暴露させるような研究設計は、倫理的に許容できないであろう。被験者に関する当然の懸念が、これらの化学物質へのまさしく暴露からの保護化するために必要であると一般的にみなされる研究を妨げるということは、本当に皮肉なことである。

 しかし、重大な障害がここにある。”そのような研究には抗しがたい臨床上及び公衆健康のための理論的根拠があるにもかかわらず、それらの研究のための明白なスポンサーはいない”。三人の医師は、次のものを除外した。米・食品医薬品局(リソース不足)、米・国立研究所(権限がない)、議会(患者援護なし、又は院外団体への疾病志向の基金なし)、又は製造者自身(麻酔薬はジェネリックであり、製造者に数百万ドルのコストがかかる研究を支援するよう求めることは、製造者に麻酔薬の製造を止めさせようとするもの)。

 一般的に産業化学物質に関する状況は、もっと悪いとは言わなくとも、似たようなものであり、神経毒性研究のための明白で組織的なスポンサーはいない。最も強調したいことは、ひどく時代遅れの米・有害物質規制法(1976年)は、化学物質のそのようなテストを何ら求めていないということである。EU における化学物質規制に関しては、状況はもう少しましであるが、神経毒性テスト(麻酔であろうと化学物質であろうと)の一般的な要求はない。

 かくして、今すぐの解決策はない。しかし、問題が医療にとって極めて重要な麻酔薬にまで及んだことは多分良いニュースである。緊急の行動が必要である。麻酔をかけられて麻痺したように見える人々を含んで、政策決定者にどの様に警告するのが最善であろうか?


化学物質問題市民研究会
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