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Chemical Brain Drain - News 2014年4月14日 ワクチン中の水銀 情報源:Chemical Brain Drain Website - News Mercury in vaccines, 14 April 2014 By Philippe Grandjean, MD http://braindrain.dk/2014/04/mercury-in-vaccines/ 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2014年5月9日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/CBD/Mercury_in_vaccines.html
今日、ほとんどの先進国における子ども用ワクチンは、一般的に保存を必要としない単回用量容器(single-dose vials)に処方されている。アメリカの子ども用ワクチンの中で、あるタイプのインフルエンザ・ワクチンだけがチメロサール保存剤を含んでいる。しかし、単回用量容器のものは高価であり、世界中のほとんどで複数回用量容器が唯一の選択肢である。 ワクチンの安全性について懸念する理由はまだ存在するのか? いくつかの権威筋によれば、入手可能な証拠はチメロサール暴露と自閉症を含む脳毒性の因果関係を支持しない。この結論は、最近、世界保健機関(WHO)のワクチンの安全性に関する世界諮問委員会(Global Advisory Committee on Vaccine Safety)より確認された。しかし、現在までのところ報告されていないが、やはり小さなリスクは潜在的に存在するかもしれない。 複数回用量容器ワクチンがまだ使用されているところでは、完全な子どものワクチン投与計画に基づくチメロサールの累積容量はメチル水銀暴露の安全限界を超えるかもしれない。しかし、チメロサールは分解して速やかに排泄される点がメチル水銀とは異なる。このリスクの可能性ある大きさを調べるために、米食品医薬品局(FDA)は体内におけるチメロサールの運命を計算した (訳注2)。人間の研究からは限られたデータしか利用できないので、彼らはマカク属サル(macaque monkeys)の幼獣の実験データを利用した。FDAの研究者らは、17匹のマカク属サルに観察されたチメロサールの体内分布と分解の変動性を検討し、また彼らは計画的ワクチン接種時における幼児の体重の変動性を考慮した。 発表されたばかりのその結果は安心を与えるように見える。チメロサール入りのインフルエンザ・ワクチンの接種を毎年受けるアメリカの幼児は、メチル水銀の許容暴露レベルの1%以下しか受けない。短期間のピーク水銀濃度は米環境保護庁(EPA)のメチル水銀限界より低い。しかし、これで一件落着であろうか? いや、まだまだである。チメロサールは、まだ世界の他の場所で、もっと広く使用されている。累積容量はインフルエンザ・ワクチンだけから生じるものよりずっと多い。したがってまだ懸念がある。17匹のサルからのデータは、血液中の水銀濃度は少なくとも2倍の幅をもって変動することがあり得ることを示した。体重に加えてこの変動性は、ヒトの幼児に対してもその影響の受けやすさの全範囲をカバーするということに我々は確信をもてるか? FDAの研究者らが考慮しなかったひとつの懸念は、遺伝的素質である。カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(catechol-O-methyltransferase, COMT)(訳注3)中の突然変異は、子ども、特に男の子を無機水銀による脳毒性に対して、よりぜい弱にすることができるという証拠が築かれつつある。そして、他の一般的な遺伝子変異体はメチル水銀による脳汚染のリスクを著しく増大させるかもしれない。これらの問題ははっきりするまでに数年かかるかもしれない。一方、チメロサールに対する安全な代替物質を追究する必要がある。 訳注1 グランジャン博士のウェブサイト Chemical Brain Drain - News 2013年6月10日 ワクチンのリスク ”チメロサール” 訳注2 PubMed 2014年4月 チメロサールを含む不活化インフルエンザ・ワクチンへの毎年の暴露後の米国幼児の比較薬物動態の推定−アブストラクト 訳注3 カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ (ウイキペディア) |