グランジャン博士のウェブサイト
Chemical Brain Drain - News 2013年6月10日
ワクチンのリスク ”チメロサール”

情報源:Chemical Brain Drain Website - News
Vaccine risks, 10 June 2013
By Philippe Grandjean, MD
http://braindrain.dk/2013/06/vaccine-risks/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2013年7月30日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/CBD/Vaccine_risks.html

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 あるワクチンは保存剤、チメロサールを含んでおり、それは体内でエチル水銀に分解する。この添加物は、ワクチン、特に複数回接種用ワクチンの保存容器(バイアル)内での微生物の成長を防ぐために使用される。最近、水俣条約(水銀条約)で水銀使用の禁止からチメロサールを免除するという決定がななされたが、それは賢明な決定であったろうか?

 主要な懸念の中で、チメロサールはワクチン接種から受ける用量で脳毒性と関連づけられている。 あるワクチンは妊娠中、あるいは非常に早い幼児期に接種を受けるので、暴露は非常にぜい弱な年令で起きる。 しかし、より安全な代替は利用可能なのか?

 チメロサールには長い歴史がある。臨床試験は1931年にまでさかのぼる。公的に利用可能な不完全な情報によれば、この物質は22人の髄膜炎患者に投与された。脳毒性の評価はなされず、それは患者たちは深刻な感染症におかされていたので、おそらく実際的ではなかったためであろう。彼らの何人かは死亡した。それにもかかわらず、まさにこの臨床試験こそが、米・食品医薬品局(FDA)が依存し続けているものである。臨床的な試みは最近は実施されていないが、それはまさにこの水銀成分の注射は非倫理的であるという理由からである。

 チメロサールは、0.01%までの見たところでは低濃度で使用されている。しかし、0.5 ml のワクチン用量は、 25 マイクログラムの水銀を含んでいる。対照的に、米EPAにより設定されたメチル水銀の曝露限界は、1日当たり体重1kgあたり水銀0.1マイクログラムである。幼児の体重が5kgであるとすれば、この制限値による1日あたりの許容値は、0.5マイクログラムであり、チメロサールの用量は50倍高い。ワクチン添加物はメチル水銀より毒性は低いようであるが、その差異は、1日50倍の投与に対して十分に大きいであろうか?

 チメロサールの発達中の脳への可能性ある影響に焦点を合わせた実験的な調査は、つい最近始まったばかりである。注目すべきは、体重1kg当たり10マイクログラムのチメロサール出生前暴露後のラットの脳の海馬における永続的な神経化学的影響に関する報告書(訳注:三重大学の研究者らによる報告書)が発表されたことである。わずかな他の実験的な調査が出生前又は出生後に焦点を当てているが、情報が欠如していることはチメロサールが安全であるということを意味するものではない。

 学童年齢においてメチル水銀の毒性に敏感であることが知られている神経心理学的テストを使用した時に幼児期のワクチンよるチメロサールに、より高く暴露した少女(少年ではない)はスコアが低いことを示した。同様な傾向が3歳前でも報告されている。他の調査は、統計的に有意な影響を報告していない。チメロサールが脳の化学的汚染(Chemical brain drain)を引き起こすという仮説に対して、証拠は限定的な支持しか与えていないが、安全であるとする記録は、チメロサールの継続的な使用を支持するのに十分であるのか?

 チメロサールの歴史は、水銀化合物が微生物の成長を抑制するために適用されて以来、非常に長い時間をさかのぼる。水銀は、梅毒やその他の感染症を治療するために使用されたが、重大な有害影響はすぐに発見された(グランジャン博士の著書 『Only one chance』の第4章を参照のこと)。チメロサールは副作用がは少ないことがわかっており、初期の応用例には、切り傷の治療のための防腐軟膏、鼻噴霧、眼科用液剤、殺精子剤、おむつかぶれ軟膏等があった。現在は、水銀を使用しない代替が利用可能なので、これらの用途は廃止されている。ワクチンには、2-フェノキシエタノール(2-phenoxyethanol)がよく確立された防腐剤であり、特に幼児の予防接種や妊娠期間中に使用される。FDAは現在、魚のメチル水銀の安全性を検討しているが、チメロサールとその可能性ある代替もまた検討される必要がある。



化学物質問題市民研究会
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