Deutsche Welle (DW) 2022年11月2日
容器包装類がこれだけ増加しているのだから プラスチックリサイクルなど神話である 主要企業は、コカ・コーラが今年の気候会議を後援しているにもかかわらず、 化石燃料の副産物であるプラスチックをリサイクルして削減するという公約を達成できていない。 スチュアート・ブラウン 情報源:Deutsche Welle (DW), December 02, 2022 Plastic recycling a 'myth' as packaging explodes By Stuart Braun Major companies are falling short on their commitments to recycle and reduce plastic, a fossil fuel byproduct, even as Coca-Cola sponsors this year's climate conference. https://www.dw.com/en/plastic-recycling-a-myth-as-packaging-explodes/a-63622887 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2022年11月9日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_22/221102_DW_ Plastic_recycling_a_myth_as_packaging_explodes.html コカ・コーラが来週エジプトで始まる COP27 気候サミット(6-18 November 2022)の主要スポンサーになることが発表されたとき、気候運動家らや活動家らはすぐに同社をグリーンウォッシングだと非難した(訳注1)。 ”これはコカ・コーラの明白で単純なグリーンウォッシング(訳注2)であり、同社はプラスチック汚染で海を満たし、プラスチック包装の生産に石油を使用することで大量の炭素を排出している”と、英国を拠点とする海洋保護慈善団体(Surfers Against Sewage/汚水に反対するサーファーら)の活動及び政策の責任者であるエイミー・スラックは述べている。 反プラスチック運動団体(Break Free from Plastics)によると、コカ・コーラは年間約 1,200 億本の石油ベースのプラスチック・ボトルを生産している。それらのボトルの約 99%は化石燃料から製造され、これが気候変動を悪化させ、クリーン・エネルギーへの移行の中で大手石油会社のプラスチック分野への拡大を後押ししているとグリーンピースは言う。 2030 年までに排出量を 25% 削減するというコカ・コーラの約束にもかかわらず、その容器の大部分はリサイクルされていない。 Surfers Against Sewage は、英国全土のクリーンアップで収集された包装廃棄物の 5 分の 1 にコカ・コーラのブランドが含まれていると述べている。 世界経済フォーラムによると、毎年発生する 4 億トンのプラスチック廃棄物のリサイクルがほとんど行われていないため、コカ・コーラはより広範な問題の頂点に立っている。たとえば、米国では、プラスチック廃棄物の約 5%しかリサイクルされていないと、グリーンピースが先週発表したレポートで指摘し、”失敗した有害なプラスチック リサイクル神話”と呼んだ。 【動画:プラスチック廃棄物の汚い取引】 オリジナルページでご覧ください。 「再利用、リサイクル、堆肥化」への 2025 年の公約は達成されない プラスチック廃棄物は多様であるが、それを生産する企業は、自社の容器包装はまもなく大部分がリサイクル可能または生分解可能になると長い間主張してきた。 COP 27のスポンサーシップをめぐる騒動を受けて先月発表された声明の中で、コカ・コーラは「海から廃棄物をなくすという目標」を共有しており、「販売するたびにボトルまたは缶を回収してリサイクルする」ことを 2030年までに計画していると述べた。 ”COP 27への私たちの支持は、2030年までに絶対的な炭素排出量を25%削減するという科学に基づく目標と、2050年までに炭素排出量を正味ゼロにするという私たちの野心に沿ったものである”と声明は付け加えた。 しかし、運動家らはリサイクルの前提そのものに疑問を投げかけている。 ”コカ・コーラ、ペプシコ、ネスレ、ユニリーバなどの企業は、業界の最前線のグループと協力して、何十年にもわたってプラスチック廃棄物の解決策としてプラスチックのリサイクルを促進してきた”と、グリーンピース USA シニア プラスチック キャンペーン担当者であるリサ・ラムズデンは述べている。”しかし、データは明らかである。実際には、ほとんどのプラスチックはリサイクル可能ではない。 それにもかかわらず、コカ・コーラ、ペプシコ、ユニリーバは、プラスチック廃棄物をなくすか、持続可能な循環型経済の一部にすることを目的とした新しいプラスチック経済世界公約(New Plastics Economy Global Commitment)(訳注3)に署名した 80 以上の企業のうちの会社である。 2018 年にエレン・マッカーサー財団 (循環型経済の構築に取り組んでいる英国を拠点とする慈善団体) と国連環境計画 (UNEP) によって設立されたこのコ公約の主な目標は、署名者が 2025 年までに再利用可能、リサイクル可能、または堆肥化可能な容器包装のみを販売することである。
しかし、本日発表された進捗報告書は、目標が達成されないことを認めている。 「信頼できる道筋」がない 世界公約を共同管理する「新たなプラスチック経済の取り組み(New Plastics Economy initiative )」を率いるサンダー・デフルイトによると、世界のプラスチック容器包装市場の 20% 以上を占める署名企業の間で、重要な目標を達成できていないことが広範囲にわたっている。 デフルイトは、主にスナック、菓子、パーソナルケア製品で使用される軟包装への依存が続いていることに言及し、”信頼できる道筋が欠けている”と述べた。問題は、代替案を見つけることに関する”世界的なコンセンサスの欠如”である。 デフルイトによると、署名者の容器包装の約 16% は、商品の保存に”非常に効率的”な軟包装であるが、大規模なリサイクルはほとんどできない状態である。ポテトチップなどの菓子袋や使い捨てシャンプーの小袋などの柔軟な容器包装は、世界中のすべてのプラスチック容器包装の 40% を占めている。一部の西ヨーロッパ諸国ではリサイクル率が約30%に達していることに言及しつつ、”柔軟な容器包装対処するのは信じられないほど困難である”とデフルイトは付け加えた。 少なくともヨーロッパでは、使い捨てプラスチックの禁止により、この容器包装の一部は制限されるが、”その使用非常に広まっているため”柔軟包装を厳密に禁止することは難しいであろうとデフルイトは言及した。 2022 年の世界公約の進捗レポートで、使用済みプラスチック製品のリサイクル率が 2018 年の 4.8% から 2021 年の 10.0% に上昇したという良いニュースがあったとしても、未使用プラスチック原料(virgin plastic)の使用レベルは 2 年間の減少の後、2021 年に増加した。 この増加は、プラスチック容器包装が十分な速さでリサイクルできない製品の需要が急増していることを示唆している。 ”これは、企業が成長をプラスチック容器包装の使用から切り離す必要があることを強調するものである”と世界公約進捗報告書は述べている。 リサイクルと堆肥化は、廃棄物のより循環的な経済を生み出すのに役立つが、成長を抑えるには、製品の販売方法と包装方法を「根本的に再考」する必要がある。 経済協力開発機構 (OECD) による 6月の報告によると、世界のプラスチックの使用と廃棄は 2060 年までにほぼ3 倍になると予測されている。その間にプラスチックのリサイクルが増加したとしても、世界のプラスチック汚染は依然として 2倍になると予想されている。
国連環境計画 (UNEP) の事務局長であるインガー・アンダーセンは、”リサイクルでこの混乱から抜け出すことはできない。全体的なシステムの変更が必要である”と述べている。 リサ・ラムスデン(グリーンピース USA )は、米国ではリサイクル率が”劇的に低下している”と述べている。これは、中国が 2019年に北米のプラスチック廃棄物の受け入れ(年間約 700万トン)を停止したためである。 あまりにも多くのプラスチックが生産されているため、とにかく”収集するのは不可能”だと彼女は付け加えた。毎年生産される何千億もの PET プラスチック飲料ボトルは、理論的にはリサイクル可能であるが、多様でしばしば汚染されたプラスチック廃棄物から PET を選別することは、経済的に実行可能ではない。 ”本当の解決策は、再利用と補充のシステムに切り替えることである”とラムズデンは述べた。 しかし、コカ・コーラは 2030 年までにペットボトルの 25% を再利用することを約束しているが (ラテンアメリカのプログラムでは既に 16% のペットボトルの再利用を達成している)、ラムズデンは、これは再利用できないボトルの生産量の大幅な増加によって相殺されるのではないかと懸念している。 世界プラスチック条約 最終的な答えは、国連気候サミットに続いて11月に交渉される、法的拘束力のあるプラスチック汚染を終わらせるための世界条約(Global Treaty to End Plastic Pollution)にある可能性があると彼女は言う。 コカ・コーラ、ネッスル、ペプシなどの主要な汚染者によって支持されたこの条約の制定は、規制とプラスチック削減目標の世界的な体制を制定することを目的としている。ラムズデンは、この条約は”プラスチック廃棄物との戦いにおける重要な瞬間”になる可能性があると述べた。 デフルイトは、”拡大生産者責任”(訳注4)の原則を条約に盛り込むことができれば、重要なことに、企業の汚染者にリサイクルまたは再利用プログラムへの支払いと実施を強いることができると述べた。 Tim Schauenberg は、この記事のレポートに貢献した。 編集者:サラ・ステフェン 訳注1:コカ・コーラ COP27を後援
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