CBC News 2010年10月13日
ビスフェノールAは有毒であると
カナダが公式宣言


情報源: CBC News, October 13, 2010
BPA declared toxic by Canada
http://www.cbc.ca/health/story/2010/10/13/bpa-toxic.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2010年10月17日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_10/10_10/101013_BPA_declared_toxic_by_Canada.html


 プラスチック容器やおもちゃを作るために使用されている化学物質ビスフェノールA(BPA)は有毒物質であるとカナダ当局により公式に宣言された。
 連邦政府は12日(水)にカナダの有害物質リストにBPAを加えた。

 ”我々はこの問題に関しリーダーシップを取り続け、ビスフェノールAを監視し管理することに努力しているので、カナダ人は安心してよい”と環境大臣ジム・プレンティスはその声明の中で述べた。

 腐食を防ぐために食品缶詰の内面をコートする樹脂としても使用されているBPAは、女性ホルモン様に作用し、環境中では自然に発生することはない。
 BPAがどのくらい危険かを示す決定的な証拠はないが、その証拠は増大していると B.C.子ども病院の子どもと家族研究所の上席研究者ブルース・ランファーは述べた。

 動物モデルでの研究は”大きな懸念”をもたらし、前立腺疾患、乳がん、生殖問題、及び子どもの行動問題についての疑念を提起するものでるとランファーは述べた。

 8月にカナダ統計局は、6歳〜79歳のカナダ人の91%の尿中に即得地可能なレベルのBPAが含まれていたことを報告した(訳注1)。

 カナダ保健省は、ヒト健康に関連する十分な証拠が、ビスフェノールAはヒトの生命に有害であり、カナダ環境保護法(Canadian Environmental Protection Act)のスケジュール1に加えられるべきであるとカナダ・ガゼット(Canada Gazette)で連邦政府は報告した。

 政府は、リストに加えることでこの化学物質によって及ぼされるリスクを管理するための規制の策定に取り掛かることができると述べた。

 2008年、カナダは、生殖毒性及び発達毒性と環境への影響のためにBPAは有毒であると宣言することを提案した。しかし、その時にはBPAは有毒物質リストには加えられなかった。

様々な意見

 トロントの環境団体エンバイロンメンタル・ディフェンスのエグゼクティブ・ディレクターであるリック・スミスは、12日(水曜日)の発表を賞賛した。
 ”連邦政府はカナダ人の健康を守るよいしgとをするよう首相に手紙を送った全ての母親や父親の偉大な勝利である”とスミスは述べた。

 有毒リストは、どのような法的行動のためにも土台となるものであるとスミスは述べ、BPAは数年中に食品や飲料の容器から排除されるであろうと予測した。

 オタワの動きは、世界の他の規制当局とは異なるとワシントンを拠点とするプラスチック製造者を代表するアメリカ化学協議会のスティーブン・ヘントゲスは述べた。

 ”欧州食品安全期間(EFSA)が再度、BPAは食品接触に使用しても安全であると確認した(訳注2)数日後に出されたカナダ環境省の発表は、世界中の科学的証拠の重みに矛盾し、不当であり、不必要に公衆を惑わせ警告するものである”とヘントゲスはその声明の中で述べた(訳注3)。


訳注1
カナダ統計局 健康報告書 2010年8月 鉛とビスフェノールAのカナダ人の体内濃度 主な発見の概要

訳注2
欧州食品安全機関(EFSA) 2010年9月30日 欧州食品安全機関(EFSA) ビスフェノールAに関する勧告を更新

訳注3
ACC News Release October 13, 2010, Canada's Announcement Regarding BPA is Contrary to the Weight of Worldwide Scientific Evidence

訳注:関連情報


化学物質問題市民研究会
トップページに戻る