エアロトクシック協会 FAQ
エアロトクシック症候群とは何か?

情報源: Aerotoxi Association Webpage
Frequently asked questions
What is Aerotoxic syndrome?
http://www.aerotoxic.org/faq.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年6月12日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_07/07_06/070612_Aertoxic_FAQ.html


1.エアロトクシック症候群とは何か?

 エアロトクシック症候群(Aerotoxic Syndrome)という言葉は、航空機のエンジンを汚染源とする有機リン化合物及びその他の化学物質で汚染された航空機内の空気(ブリード・エアー)への暴露を原因とする様々な神経学的及生理学的症状を記述するために1999年に作られた新語である。これらの症状と湾岸戦争症候群にかかった兵士らの症状や、洗羊液(訳注:寄生虫駆除のために羊を浸す消毒液)や農薬の有機リン化合物に暴露して影響を受けた農民らの症状と非常に似通ったところがある。

2.ブリード・エアーとは何か?

 高い高度で飛行する航空機は機内を加圧状態に保ち機内の人々が十分に呼吸できるようにするために加圧空気の供給を必要とする。エンジンは加圧空気の供給源として都合がよい。エンジンには加圧空気が必要であり燃料と混合されて燃焼チャンバーに送り込まれる。”ブリード・エアー”はエンジン燃焼チャンバーに到達する前に抜き出されて(bled)、機内に供給するため使用されるところから命名された。

3.ブリード・エアーはどのようにして汚染されるのか?

 ブリード・エアー・システムは何事もなければうまく機能する。しかし、劣化したエンジンのオイルシールがエンジン中のコンプレッサーに入り込み、そこからブリード・エアーを汚染するという小さな問題がある。ジェットエンジン・オイルは高い毒性のある有機リン化合物を含むが、それらは耐劣化剤(anti-wear additive)として必要である。健康に有害であるにもかかわらず、ブリード・エアーはフィルターにかけられていない。

4.誰がエアロトクシック症候群になるのか?
 飛行機に多く乗る人ほど多くの暴露を受けるが、誰でもエアロトクシック症候群に罹り得る。パイロット、乗務員、頻繁に飛行機を利用する乗客が最も影響を受けやすいが、たった一度の暴露でひどい症状になる人もいる。リスク要素は機内空気の有害物質への暴露の頻度と強度、及びこれらの有害物質への遺伝的感受性を含むように見える。

5.エアロトクシック症候群はどの程度広がっているのか?

 現状のデータによれば、航空機のある機種では乗務員の約30%がエアロトクシック症候の症状を示している。最もひどいケースでは仕事と生活を失うが、しばしば病気の原因を全く知らないままでいる。また、決してどのような症状も出ない人々がいることも事実である。

6.エアロトクシック症候群の症状はどのようなものか?

 エアロトクシック症候群には広範で様々な神経学的及び生理学的症状がある。これらの多くは複雑な作業環境において乗客の生命に責任がある乗務員に深刻な影響を与える。

 症状はしばしば下記の組み合わせである。
  • 認識障害、例えば記憶障害や単一思考
  • めまい
  • 慢性疲労(しばしば仕事量、roster disruption などのせいにされる)
  • 眠気(睡眠過多)
  • 睡眠障害(不眠)
  • 頭痛または頭の鈍痛感
  • ボーッとする感じ、素面なの酔っ払った感じ
  • 頭が重い感じ('Brain fog' or 'thick head')
  • 熱汗、冷や汗
  • ぞくぞくする、震える
  • 筋力の衰え
  • 皮膚の発疹
  • 言語障害
  • 胃腸障害(機内食のせいではない!)
  • うつ状態
7.エアロトクシック症候群の対処の第一歩は何か?

 第一歩は暴露源を取り除くことである。航空機はブリード・エアーのフィルターを装備していないので、このことは飛行を止めることを意味する。現在は、エアロトクシック症候群の治療法は分っていない。しかし、ある人々は時間の経過と共に健康状態に復帰したという報告もある。

8.エアロトクシック症候群かも知れないと私の医師に告げると、どのような助けを期待できるか?

 あなたの医師にある種の化学物質中毒の疑いがると伝えなさい。この症状は30年前から知られており、少なくともこの8年間でよく知られるようになったにもかかわらず、残念ながらほとんどの開業医やある専門家らはこの症状について全く知らない。症状は一般的に躁うつ病と誤診されることが多い。他の合成医薬品を投与して体内に既に存在する毒物負荷に加えることは役に立たないかもしれない。我々は早急にこの分野の経験または関心を持つことが知られている医師の詳細を掲載する予定である。


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化学物質問題市民研究会
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