EPA ニュースリリース 2021年10月18日
EPA 長官リーガンが PFAS 汚染に向き合うための
包括的な国家戦略を発表

情報源:EPA News Releases October 18, 2021
EPA Administrator Regan Announces Comprehensive
National Strategy to Confront PFAS Pollution

https://www.epa.gov/newsreleases/epa-administrator-regan-
announces-comprehensive-national-strategy-confront-pfas


訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2021年10月25日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/usa/epa/211018_EPA_Administrator_Regan_
Announces_Comprehensive_National_Strategy_to_Confront_PFAS_Pollution.html



 ワシントン(2021年10月18日)本日、米国環境保護庁(EPA)長官マイケル S.リーガンは、全国の PFAS 汚染に立ち向かうための同庁の包括的な戦略的ロードマップを発表した。ロードマップは、リーガン長官が 2021年 4月に確立した PFAS に関する EPA 評議会によって実施された徹底的な分析の結果である。EPA のロードマップは、3つの指針戦略を中心に据えている。すなわち、研究への投資を増やし、環境に放出されている PFAS 化学物質を制限するための行動を今直ぐにとる権限を強化し、PFAS 汚染の浄化を加速することである。ノースカロライナ州知事のロイ・クーパーと選挙で選ばれた指導者らは、ノースカロライナ州ローリーにあるノースカロライナ州立大学でのリーガン長官の発表式典に参加するであろう。

 ”非常に長い間、アメリカ中の家族、特にサービスの行き届いていない地域社会の家族は、水、空気、または子どもたちが遊ぶ土地で PFAS に苦しんでいる”と EPA 長官マイケル S.リーガンは述べている。”この包括的で全国的な PFAS 戦略は、これらの化学物質のライフサイクル全体に対処する大胆かつ具体的な行動を進めることにより、傷ついている人々に保護を提供する。 EPA が耳を傾けていることは間違いない。あなた方には私がついており、汚染から人々を保護し、汚染者に責任を負わせることに集中し続ける。”

 ”このロードマップは、EPA が強制力のあるこれらの化学物質の飲料水制限基準を迅速に設定し、人々の健康と環境を保護するためのより強力なツールを地域社会に提供することを約束している”とノースカロライナ州知事ロイ・クーパーは述べている。 ”私たちはこの取り組みやその他の重要な取り組みについて EPA との提携を続けているので、超党派の基盤整備計画とより大きな予算決議は、PFAS 汚染に対処するために多大なリソースを費やすことによって重要な助けを提供するであろう。”

 戦略的ロードマップは、公衆の健康と環境を保護するという政府機関の使命を果たし、これらの難分解性で危険な化学物質に対する行動の呼びかけに応える。本日、このロードマップの発表と並行して、EPA は、PFAS 製造者に PFAS 化学物質の分類に関する毒性データと情報を EPA に提供することを要求する新しい国家試験戦略を発表している。テストする PFAS は、今日の多数の PFAS を類似の機能に基づいてより小さな分類に分割し、各分類で利用可能な既存のデータを検討するアプローチに基づいて選択される。数か月以内に予想される、EPA の PFAS の最初の一連のテスト命令は、20を超える異なる分類の PFAS から戦略的に選択される。この一連の命令により、これらの範疇に分類される 2,000 を超える他の同様の PFAS に関する重要な情報が EPA に提供されるであろう。

ロードマップは下記を提示する:
  • すべての地域社会で安全に水を飲めるようにするために、安全飲料水法の下に強制力のある飲料水制限を設定する積極的な行程表。
  • 汚染者が負うべき財政的責任の能力を強化するために、CERCLA(スーパーファンド法)に基づくく有害物質の指定
  • データ収集であろうとルール作成であろうと、9つの産業分類の水質浄化法の下に、排水ガイドラインの制限に関する行動のための行程表。
  • 保護が不十分な人々に対処するために有害物質規制法の下に取られた PFAS に関する過去の行動の見直し
  • EPA が必要なアクションとその実行時期を特定できるようにするために監視、データ収集及び調査の強化。
  • GenX (PFOA の代替物質)の最終毒性評価。これは、地域社会が人間の健康と生態系の健康をよりよく保護するための情報に基づいた決定を下すのに役立つ健康勧告を作成するために使用できる。
  • 大気浄化法に基づくに将来の行動を示すために、PFAS 大気排出に必要な技術的基盤を構築するための継続的な努力。
 ”EPAがこの緊急の公衆の健康の脅威にそれに値する注意と深刻さを与えていることに私は勇気づけられる”と上院議員トム・カーパーは述べた。”これは本当に終始一貫した計画である。私たちの環境で PFAS を浄化すると同時に、これらの永遠の化学物質の多くが私たちの生活に侵入するのを防ぐための保護を実施することを約束する計画である。前政権は PFAS 汚染に対処する計画を実行できなかったが、EPA の新しい指導部は行動を約束した。この約束を実現するために彼らと協力することを楽しみにしている。”

 ”これらの有害な永遠の化学物質によって汚染された地域社会は、行動を数十年も待っていた”と、エンバイロンメンタル・ワーキング・グループ(EWG)の代表ケン・クックは述べた。”したがって、リーガン長官が、水道水中の PFOA と PFOS を削減し、PFAS の大気と水中への工業的放出を制限し、汚染者らに責任を持たせるために、PFOA と PFOS を有害物質として指定するというバイデン大統領の誓約を履行することは朗報である。 EPA と EWG が、これらの有害な永遠の化学物質が私たちの血中に蓄積し、がんやその他の健康被害の可能性を高めていることを最初に知ってから 20年以上が経過した(訳注1:当研究会が紹介した EWG 2003年 レポート)。今こそ行動の時であり、もうこれ以上計画はいらない。これらの行動は重要であるが、長官が言ったように、PFAS から私たちを保護するために必要な多くの行動の第一歩であるにすぎない。”

 EPAの戦略的ロードマップは、PFAS 汚染に対処する上で重要な行程表である。地方、州、部族、連邦政府に至るまで、あらゆるレベルの政府が勢いを維持し、PFAS に関する取り組みを進展させるために、強化された持続的なリーダーシップを発揮する必要がある。バイデン大統領は、彼のビルド・バック・ベター・アジェンダ(よりよい復興のための課題)と超党派のインフラ投資計画を通じて PFAS 汚染に対処するために 100億ドル(約 1 兆円以上の資金を要求した。これらの重要な資源により、EPA 及びその他の連邦政府機関は、PFAS の課題の規模に対応できるように、研究と作業を拡大することができる。

 今後数週間にわたって、EPA は PFAS 問題の進展を求めて提携を求める活動をする予定である。EPAは、10月26日11月2日に開催される 2つの全国ウェビナーを含む PFAS 問題の共同解決を特定するために、幅広い利害関係者と協力する。リンクされた日付をクリックしてしてウェビナーへの出欠を確認していただきたい。

背景

 2021年4月、リーガン長官は PFAS 汚染の危険な影響に対処し、全米の EPA のパートナーと地域社会のニーズを満たすために PFAS に関する EPA 評議会を設立した。現在まで、バイデン−ハリス政権下で、EPA は次のことを行っている。
  • 全国的な PFAS テスト戦略を開始。
  • PFOA 及び PFOS を CERCLA (スーパーファンド法)有害物質として指定するための規則開発プロセスを再開。
  • PFOA 及び PFOS の国内一次飲料水基準の設定を加速。
  • 企業が PFAS をアメリカの水路に投棄するのを阻止するための行動を発表。
  • カテゴリとして PFAS を規制することを推進するための作業部会を結成。
  • PFAS に関するデータ収集の取り組みを拡大するための規則を提案。
  • 飲料水中の PFAS の全国的なモニタリングを拡大する計画を開始。
  • 新しい PFAS の堅牢な見直しプロセスを発表。
  • PFAS に関する予備的な毒性物質排出目録(Toxics Release Inventory)データを発表。
  • 厳密な科学的見直しの後、PFBS(訳注2 PFOS の代替物質)の毒性評価を更新。
  • パブリックコメントと外部ピアレビューのためのドラフト PFBA (訳注3)毒性評価を発表。
戦略的ロードマップに関する追加情報:www.epa.gov/pfas


訳注1
訳注2: PFBS
訳注3: PFBA
訳注:関連情報


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