ミネソタ州健康局 2007年1月 環境健康情報
ミネソタ州首都圏東南地域で地下水中に
パーフルオロ酪酸(パーフルオロブタン酸)(PFBA)


情報源:Minnesota Department of Health January 2007
Environmental Health Information
PFBA in Groundwater in the South East Metro Area

http://www.health.state.mn.us/divs/eh/hazardous/
topics/pfbasemetro.pdf#search='PFBA'


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年1月6日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/
kaigai_07/07_01/0701_Minnesota_PFBA.html


PFBA とは何か?
 PFBA とはパーフルオロ酪酸(パーフルオロブタン酸)のことである。それは過フッ素化合物類(PFCs)として知られる化学物質族のひとつである。PFCsは、当地ミネソタ州コテージ・グルーブで3M社及び世界中のいくつの他の会社によって防汚材、潤滑材、難燃材、殺虫剤、界面活性剤、及び乳化剤などの家庭用及び産業用製品のために製造されている。PFBA は3M 社のコテージ・グルーブ工場でフィルム・コーティング用に製造されていると言われている。PFBA はまた、他の過フッ素化合物(PFCs)の分解物質かもしれない。

PFBA が地下水中に存在していることをどのようにして知ったか?
 地下水中の化学物質汚染については段階的なプロセスによって知見を得ている。ワシントン郡の地下水中の PFCs の発見は比較的新しいことであるが、過去2〜3年のテスト情報は地下水中のPFCsのレベルは一定しており、増加はしていないことを示している。これらの化学物質のためのテスト手法は、当初よりも改善されている。

 3M 社は、PFCsの廃棄物をワシントン郡の3か所に投棄していた。レイク・エルモ市のかつてのワシントン郡廃棄物処理場、オークデール市のかつてのアブレシュ処分場、そしてウッドベリーとコテージグルーブの境界にある処分場である。

 2004年、ミネソタ州健康局(MDH)のスタッフはレイク・エルモ市の個人用井戸から水のサンプルを収集し、2種類のPFCs、PFOSとPFOAの汚染を調べはじめた。かつてのワシントン郡廃棄物処理場の近くの個人の井戸のいくつかから、低レベルのPFOAが検出された。2005年のもっと多くのテストでレイク・エルモ市の多くの個人用井戸とオークデール市のいくつかの市の井戸注からPFOSとPFOAが検出された。コテージグルーブ、ウッドベリー、及びハスティングスを含む他の近くの自治体の水供給系のテストではPFOAまたはPFOSは検出されなかった。

 2006年春、ミネソタ州健康局(MDH)研究所はさらに5種類のPFCsを検出する手法を開発した。水のサンプルの分析により、それらのPFCsのひとつであるPFBAの汚染が広まっていることが明らかになった。PFBAは地下水中で、PFOSやPFOAよりもっと自由に移動するように見える。それは分解も劣化もしない。PFBAは二つの異なる地域で見いだされている。

 ひとつの地域の地下水汚染は、レイク・エルモ市のかつてのワシントン郡廃棄物処理場とオークデール市のかつてのアブレシュ処分場が汚染源であるように見える。この地域はウッドベリー市に広がっている。処分場近辺の飲料水中に、PFOA及びPFOSを含む複数のPFCsが見いだされている。PFBAだけがウッドベリー市の市営の井戸で検出された。

 もうひとつの地域の地下水汚染は、もっと南よりの場所で主にPFBAが検出され、PFOAとPFOSの検出はなかった。2005年のテスト結果を確認すると、これらの地域では、PFOAもPFOSも検出されていないが、、PFBAは、コテージグルーブ、セントパールパーク、及びニューポートの市営の井戸の全てから、そしてサウス・セントポール及びハスティングの市営井戸のいくつかから検出された。この地域の汚染は、ウッドベリーとコテージグルーブの境界にある処分場が汚染源かもしれない。この処分場が汚染源であることの確認のために調査が現在行われている。

飲料水中のPFCsが安全ではないレベルであるかどうかをMDHはどのようにして決定するのか?
 健康ベース値(HBV)は、人が生涯にわたり毎日飲んでも安全であるとミネソタ州健康局が考える飲料水中の化学物質の量である。2002年、MDHは、PFCsがミネソタ州の投棄場と埋め立て場で処分され地下水から検出されたので、PFOAとPFDSの健康ベース値(HBV)を開発した。健康ベース値(HBV)は勧告値であり、どのような措置がとられるべきか決定するためのひとつのツールとして州の健康と環境プログラムによって利用される。2002年以来、PFCsに関する新たな毒性研究が利用可能となった。MDHはこの新たな情報に照らして2002年HBVsを再評価中である。慎重な公衆健康アプローチとして再評価が完了するまで、MDHは下記の勧告値を指針として使用してきた。
 PFOS: 0.6 ppb
 PFOA: 1 ppb

 再度、慎重な公衆健康アプローチとして、MDHは、 PFOA の 1ppb を PFBAを含んで全てのPFCカルボン酸を評価するための勧告指針として使用している。同様にPFOSの0.6PPBを全てのPFCスルホン酸を評価するために勧告指針として使用している。これらの指針はMDHの飲料水勧告を決定するために用いられている。

 MDHが水中の化学物質を見るときに、人々が衣類を洗濯したりシャワーを浴びたりした時にその化学物質が水から蒸発して吸入することがあるかどうか、あるいはその化学物質が人の皮膚を通じて吸収されるかどうかを検討する。PFBAの化学的特性は簡単には水から蒸発しないことを示している。今回、最も懸念ある暴露は飲料水を通じての暴露であり、呼吸や皮膚を通じての吸収ではない。

 米EPAと3M社は現在PFBAに関してもっと多くの研究を行っている。我々は、PFBAの化学的特性及び予備的な動物実験に基づけば、PFBAはPFOAよりも人に対する毒性は小さいと予測している。 PFOA や PFOS とは違って PFBA は動物や人に蓄積するようには見えない。研究と見直しが完了すれば、MDHはPFOS及びPFOAとともにPFBAの勧告を修正するであろう。

状況を監視するために何がなされているのか?
 MDHは、人の健康が保護されるよう、首都圏東南地域の公共用及び個人用の井戸のPFBAレベルの監視を続け、その結果を市民、地方共同体、地方政府、郡政府及びミネソタ汚染管理局(MPCA)に報告するであろう。

PFBAへの暴露をどのようにすれば減らすことがきるのか?
 入手可能な情報によれば、飲料水について緊急の懸念はない。もし、もしPFBAが飲料水中から検出されたら、そして暴露を減らしたいと望むなら、簡単なやり方がある。それは飲料用及び料理用の水の一部または全部のためにボトル水を使用することである。しかし、ボトル水について広範なPFCsテストは実施されていない。

 粒状活性炭(GAC)を含むフィルターは PFBAを含んでPFCsを除去する。多くの一般的な水フィルターはGACを含んでいる。どのようなGACフィルターも適切に設置され保守されることを確実にしなくてはならない。GACは他のPFCsのように長い間PFBAを除去し保持することに効果的ではないので、推奨されている期間でGAC中の炭素を交換するよう特別の注意を払うことが必要である。

 水質軟化器や逆浸透器のような他の一般的な水処理システムはPFBAを除去しない。水を沸かしてもPFBAやその他のPFCsを除去できない。信用できない水処理販売人には気をつけなくてはならない。もし水処理設備を設置するつもりなら信頼の置ける業者を使うようにした方がよい。


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