Atlantic 2012年1月20日
食品業界 EPAの厳しいダイオキシン報告書発表を予測して 激しいロビーイング活動 情報源:Atlantic January 20, 2012 Food Industry Prepares for a Tough Report on Dioxins From the EPA http://www.theatlantic.com/health/archive/2012/01/ food-industry-prepares-for-a-tough-report-on-dioxins-from-the-epa/251569/ 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2012年2月15日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/usa/articles/Atlantic_120120_Food_Industry_Dioxins_EPA.html 食品産業と化学産業は、環境保護庁(EPA)から厳しい報告書が出されることを予測して、それに反対する激しいロビーイング活動を行なっている。その報告書は、ダイオキシン類の安全な摂取量についての上限を設定しようとしている。 ほとんどのアメリカ人はこの基準値より高いレベルで、大部分は食物から摂取している。ダイオキシン類の約90%は食品、特に高脂肪の動物肉製品から摂取している。 ダイオキシン類は主に、産業プロセスの副産物として食物連鎖に入り込む。少量は火山や森林火災のような天然事象にも由来する。ダイオキシン類は陸地や海を汚染し、餌を通じて動物や魚類に摂取され、動物の肉、乳製品、魚介類の脂肪部に蓄積する。 ダイオキシン類は脂質肪組織に蓄積し、他のどのような工業化学物質よりヒトのがんリスクを増大させる。 EPAは、1日の摂取制限を体重1キログラム当り0.7ピコグラクとして勧告することが予測されている。ピコグラムは1グラムの1兆分の1である。世界保健機関と欧州連合はもっと高い規制値であり、1日の摂取量は体重1キログラム当り1〜4ピコグラムである(訳注1:日本の耐容一日摂取量(TDI)4pg-TEQ/体重kg/日)。 食品産業及び化学産業はEPAが提案する基準値は低すぎると主張している。 EPAは低い方がよいと考えている。ダイオキシン類は有毒であり、アメリカ人は典型的にはヨーロッパの基準量を摂取している。1個のホットドッグは2歳児の基準値以上のダイオキシンを含むことがあり得る。 アメリカのダイオキシン濃度は、人間に由来する発生源での減少のために過去30年間、減少し続けている。しかし、ダイオキシン類の分解は遅く、環境中に長期間残留する。 どのようにしてそれらを回避するか?最善の方法は高脂質の肉、乳製品、魚介類の摂取を減らすことである。 食品業界が不安を感じても不思議はない。 国際乳製品協会、米冷凍食品協会、全国チキン協議会のような産業団体の”食品産業ダイオキシン作業部会”は、ホワイトハウスに請願書を出した。
これらの業界団体は、特にメディアを非難した。
誰でもが、もっと果物や野菜を食べろということか? 議員のエド・マーキー(民主党/マサチューセッツ)はEPAに対して、早く仕事に取りかかり、報告書を発表するよう促した。
EPAが産業界の圧力に屈することなく、約束とおり、今月中に報告書を発表することを希望しよう。 [技術的注解] ”ダイオキシン類”は、ある化学的構造と生物学的な特性を持つ数百の化学物質を集合的に指している。それらは密接な関係にある3つのグループ:塩化ジベンゾパラダイオキシン(CDDs)、塩化ジベンゾフュラン(CDFs)、及びある種のポリ塩化ビフェニル(BCBs)に分けることができる。最も研究されているのが 2,3,7,8 - テトラクロロジベンゾパラダイオキシンである(TCDD)。PCB類は、最早アメリカ国内では製造されていない。 訳注1 ダイオキシン類対策特別措置法に基づく基準等 (環境省) 1.耐容一日摂取量(TDI)4pg-TEQ/体重kg/日 (現在の日本人の平均的な摂取量は1.5pg-TEQ/kg/日程度) 2.環境基準等 (1) 大気 年平均値 0.6pg-TEQ/m3以下 (2) 水質 年平均値 1pg-TEQ/l以下 (3) 底質 150pg-TEQ/g以下 (4) 土壌 1000pg-TEQ/g以下 3.排出基準 (1)排ガス 特定施設及び排出基準値:上記環境省文書参照 (2)排出水 特定施設及び排出基準値:上記環境省文書参照 訳注:ダイオキシン
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