EurActiv 2010年3月23日
EU環境委員会
REACH 化学物質法の修正を検討中


情報源:EurActiv 23/03/2010
EU Environment Commissioner considers changing REACH chemicals law
http://www.euractiv.com/en/sustainability/potocnik-considers-amending-reach-news-368775

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2010年4月3日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/reach/euractiv/100323_EU_changing_REACH.html


 1000ページに及ぶREACH化学物質規則のある部分は不明確であり、有害な化学物質のより安全なものへの代替をスピードアップするために修正が必要であると環境委員ヤネス・ポトチュニック(Janez Potocnik)は昨日(3月22日)述べた。

 REACHの実施状況は”悪く”、”持続的ではない”とポトチュニックは記者会見で述べた。

 彼のコメントは欧州化学物質庁(ECHA)の認可プロセスの開始に関わる一連の遅れについてなされたものである。

代替のスピードアップ

 REACHの実施と”代替の導入”はスピードアップする必要があるとポトチュニックは強調した。

 代替が検討されている高懸念物質(SVHC)の候補リストには現在、29物質が挙げられており(訳注1)、さらに7物質が優先リストに上げられている(訳注2)。しかし、代替物質の数は多くなければならないと示唆しつつ、現在代替リストには何も挙げれていないとポトチュニックは述べた(EurActiv 15/01/10)。

 高懸念物質は、がんや出生障害、その他の深刻な健康問題を引き起こす化学物質を含む。それらはまた、環境中に残留し、体内に蓄積する。

 現在の候補リスト上の29物質は、公益団体とNGOsによって共同で作成された 'REACH SIN List'(訳注3)上で示されている350余りの物質にはるかに及ばない(EurActiv 16/09/08)。現在のリストはまた、加盟国グループにより公式のREACH基準に合致するとして特定された400強をカバーしていない。

 欧州委員会への書簡の中でNGOsは、2009年5月に欧州化学物質庁(ECHA)によって勧告された7つの優先的高懸念物質(SVHCs)についてまだ何も措置をとっていないということは”許容できない”と述べた。

 いわゆる”認可リスト”に挙げられるべき物質は、特定の目的のために”認可”された場合にのみ、EU内で将来使用できる。

社会経済的基準は明確にする必要がある

 REACH規制は、十分に明確ではない言葉があるとポトチュニックは述べ、”必要ならば我々はREACH実施を改善するために文言を変えるであろう”と付け加えた。

 彼は、”社会経済的の基準が問題である”とし、REACHはこの点について明確にされる必要があると述べた。

 REACH規則の下では、たとえ、ある物質がヒト健康又は環境にリスクを示しても、もし社会経済的便益がその化学物質の使用から引き起こされれるリスクに勝り、かつ適切な代替がなければ、使用認可が与えられる。

 EurActivに対し、欧州化学物質庁(ECHA)の報道官は、”社会経済的基準には何も問題はない”とし、同庁は現時点ではこれ以上コメントする立場にないと付け加えた。

 欧州化学物質産業を代表するCeficの報道担当もまた、社会経済的基準は明確であるから論点にはなっていないと述べた。

 実際に、この基準の定義と使用に関する主な問題は、欧州委員会内部の環境当局と産業当局間にあるように見えるということをEurActivは知っている。

登録期限の延期はない

 欧州委員会委員長はまた、高生産量物質で最も有害な化学物質についてのREACH登録期限である2010年11月30日を延期することには反対であると再確認した。EU産業界はこの期限に間に合うことについて懸念を述べている。

 REACH規則によれば、この期限に登録しないということは、その物質は使用する又は市場に出すことができないことを意味する。

ポトクニックとタジャニがヘルシンキへ

 REACH実施は、ポトクニックと産業委員アントニオ・タジャニの3月25日ヘルシンキの欧州化学物質庁(ECHA)訪問における重要議題である。

 欧州化学物質庁(ECHA)は、化学物質の登録、評価、認可及び制限に関してREACH実施を管理する責任がある。

 欧州委員会と欧州化学物質庁(ECHA)の会談はまた、登録プロセスにおいて産業側が直面している多くの実際的問題とともに、高生産量化学物質の登録のための11月30日という期限に対する産業側の準備の程度を監視するためになされるべき努力に目を向けることが期待されている。

 立ち上げられて以来、欧州化学物質庁(ECHA)とそのオンライン登録システムREACH-ITは、会社によって提出された多くの事前登録の処理に困難があり、提出された書類の処理に遅れが生じていた。システムの新たな 改訂版が3月25日に立ち上げられる。

リンク:
European Union
  • European Chemicals Agency: European Chemicals Agency
  • Commission: REACH
    Industry federations and trade unions
  • European Chemical Industry Council (Cefic): Implementing REACH
    NGOs and Think-Tanks
  • NGOs' joint letter: to Commissioners Potocnik and Tajani (10 March 2010)


    訳注1 訳注2
    訳注3


  • 化学物質問題市民研究会
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