EurActiv 2008年7月1日
労働組合 ナノ物質をカバーするために
REACH修正を要求


情報源:EurActiv, 1 July 2008
Trade Unions call for REACH amendment to cover nanomaterials
http://www.euractiv.com/en/science/trade-unions-call
-reach-amendment-cover-nanomaterials/article-173791


訳:安間 武 /化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2008年7月3日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/reach/euractiv/080701_REACH_Nano_ETC.html


 ヨーロッパの労働組合は、ナノ物質のライフサイクルを通じて、それらから労働者をさらによく保護するために、欧州委員会に対して化学物質に関する規制REACHを修正するよう求めた。この要求は、EU執行部がナノテクは既に現在のEU規制によってカバーされている言明した直後に発表された。

 ”労働者は、研究室から製造、輸送、店頭、クリーニング、保守、及び廃棄物管理に到るまで、全ての製品チェーンにおいて、人の健康と環境に与える潜在的な影響について真の知識なしに製造され市場に出されているナノ物質に暴露している”と欧州労働組合連合(欧州労連/ETUC)が6月25日に採択した決議は述べている。

 欧州労連は、欧州委員会に対して、域内化学物質規制(REACH)が年間1トン以下で製造又は輸入されるナノ物質をカバーすることができるようにREACHを修正するよう要求している。欧州労連によれば、ナノ物質、恐らく低製造重量のために、現行の化学物質登録手続きの対象とならないことになる。

 欧州労連はREACH修正に賛同した上で、もうひとつの主張、すなわち、化学物質製造者は年間製造量が10トン以上のものについてのみ化学物質安全性報告書を提出するという現在の登録要求は、”多くの製造者又は輸入者がナノ物質を市場に出す前にリスク評価することを回避することを許すことになる”という事実を述べている。したがって、欧州労連は、”REACHの下に登録されるナノスケール用途が特定された全ての物質に対して”化学物質安全性報告書を必須とすることを望んでいる。

 二週間前に、欧州委員会はナノ物質の規制面に関するコミュニケーションを採択した。関連する部署におけるEU法令の規制見直しに基づき欧州委員会は、ナノ物質に関連する潜在的な健康、安全、及び環境のリスクは”原則として(in principle)”、化学物質、労働者の健康と安全、異なる製品安全要求、及び環境に関するEUの法律の下にカバーされていると結論付けた。
 しかし、EU執行部は、現状の法律は、”例えば、ある法律で用いられている閾値に関して”REACH修正の可能性にドアを開けつつ、修正されなくてはならないかもしれないと述べた。

 全体として、欧州労連は、ナノ技術に対して予防原則が適用されるべきこと及び、少なくとも公共のナノテク研究開発(R&D)費用の15%は安全性研究に割り当てられるべきであることを要求している。”アスベスト問題の後、欧州労連は、人の健康と環境に与える潜在的な影響がわからないのに製品が製造されることを許容することはできない”と欧州労連事務局長ジョーエル・デカリロンは述べた。

 平行した展開として、欧州化学工業連盟(Cefic)は6月24日に、ナノ技術の責任ある開発に関するステークホールダー対話を立ち上げた。ブリュッセルで開催されたイベントには、欧州委員会高官、労働組合代表、ビジネス、及びNGOsは、この問題に関し信頼に基づく枠組みを確立するためにどのような点に活動が必要かに関して合意することを目指した。

 欧州化学工業連盟(Cefic)によれば、議論の中心は、リスクのない責任ある革新を確実にすることと、潜在的なリスクについての懸念と潜在的な便益の確信の間の適切なバランスを取ることの必要性についてである。

リンク:

欧州連合
ビジネス及び産業界
産業労働組合


化学物質問題市民研究会
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