HEAL 2022年12月19日
環境健康擁護団体は、 内分泌かく乱物質に関するヨーロッパの調和のとれた 危険有害性クラスの導入を歓迎する 情報源:Health and Environment Alliance (HEAL), 19th October 2022 Environmental health groups welcome introduction of European harmonised hazard classes for endocrine disruptors https://www.env-health.org/environmental-health-groups-welcome-introduction-of- european-harmonized-hazard-classes-for-endocrine-disruptors/ 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2023年1月17日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/eu/ngo/221219_HEAL_ Environmental_health_groups_welcome_introduction_of_European _harmonised_hazard_classes_for_endocrine_disruptors.html 欧州委員会は本日、EU の化学物質の分類、表示、及び包装に関する法律 (CLP / classification, labelling and packaging of chemicals) (訳注1)の下に、内分泌かく乱化学物質(EDCs)専用の危険有害性クラス(hazard classes)を追加する提案を発表した。 このような危険有害性クラスの設定は、2020 年の持続可能性のための EU 化学物質戦略の下でなされた主要な約束のひとつであり、HEAL と EDC-Free Europe Coalition の会員からの長年の要求であった。 以下の HEALと EDC-Free Europeの反応をお読みください。 HEALの健康及び化学物質プログラムの責任者であるナターシャ・シンゴッティ(Natacha Cingotti)は、次のように述べている。 ”今日、CLP 規則の下で内分泌かく乱物質専用の危険有害性クラス(訳注2)の追加が発表されたことで、対象分野や用途全体にこれらの有害物質の調和された識別が導入されることになり、HEAL が長い間求めてきた重要な方向転換が示された。 物質の性質を特徴付けるために利用可能な様々なレベルの科学的証拠を反映するサブカテゴリー(既知の〈known〉、推定される〈presumed〉、疑いのある〈suspected〉)の確立(訳注3)は、健康にとって重要な勝利であり、今後、新しい基準の保護的な実施を可能にするために、ガイダンス文書の開発を注意深く監視する。 EDC-Free Europe は、内分泌かく乱化学物質 (EDCs) が私たちの健康と環境に与える影響に関心を持つ 70 以上の市民社会組織の連合体であり、欧州委員会が 有害な EDCs への暴露から人々と環境をより良く保護するための重要な一歩として、化学物質の分類、表示、包装に関する EU 規則を改善する提案を採択したことを歓迎する。 欧州委員会が本日提示した改革は、2020 年 10 月に採択された持続可能性のための欧州化学物質戦略(訳注4)を実施するための構成要素のひとつである。 EDC-Free Europe キャンペーンは、CLP 規則が私たちの日常生活のいたるところに存在する EDCs の影響に関する十分に確立された科学的証拠に追いつくことを長い間求めてきたが、これまで化学物質の分類に関するこの包括的な規則に見過ごされてきた。 EDCs に導入された新しい危険有害性クラスには、既知の(kmown)及び推定される(presumed)というカテゴリーに加えて、疑わしい(suspected)というカテゴリも含まれていることが特に重要である(訳注3)。 疑わしい EDCs の有害性カテゴリーは、既知の又は推定される EDC として分類するための十分な科学的証拠がまだ十分にない物質の分類を可能にする。発がん性、変異原性又は生殖毒性(CMR)を有する物質の分類に使われている現在の CLP アプローチ(訳注5)に沿った EDCs の分類のためのカテゴリーのシステムは、サプライチェーンの透明性を高め、労働者及び大衆により多くの情報を提供する。 EDC-Free Europe はまた、難分解性、生物蓄積性、及び毒性 (PBT) の特性、並びに極難分解及び極生物蓄積性 (vPvB) の特性を持つ化学物質の新しい危険有害性クラスを歓迎する。 難分解性、移動性、毒性 (PMT) 及び極難分解性、極移動性 (vPvM) 物質の新しいクラス(訳注6)は、特に飲料水資源を保護するために、もう ひとつ の重要な追加である。 ただし、新しい規定の実施のために設定された移行期間は非常に長い。 EDC-Free Europe はまた、物質を EDC の疑いとして実際に分類するために必要な証拠のレベルがまだ非常に高いことを遺憾に思っている。 その結果、多くの懸念物質は、規則によって提供される精査の範囲外のままになる可能性がある。 ”CLP 規則の附属書の変更により、最終的には EU 市場でこれらの有害な化学物質をより適切に管理できるようになるであろう。 しかし、健康と環境を真に保護するためには、暴露を最小限に抑えるための EU 法の他の重要な部分、特に REACH と、玩具、食品接触材料、又は化粧品に関する法律の緊急を要する調整を行う必要がある”と EDC-Free Europe のキャンペーン コーディネーターであるサンドラ・ジェン は述べている。 EDC-Free Europe は、EU が EDCs を国連の化学品の分類及び表示に関する世界調和システム (GHS) の危険有害性クラスとして含めるために講じた措置も歓迎する。 内分泌攪乱物質は、人間のホルモン系に干渉する化学物質であり、プラスチック、家具、化粧品、おもちゃ、食品接触材料、合成農薬、及び私たちが日常的に使用するその他の消費者製品に含まれている。 EDCs への暴露に関連する健康コストは、ヨーロッパだけで 1,630 億ユーロ(約22兆円)を超えると推定されている。 EDC-Free Europe の反応はこちら CLP 規則の改革に関する HEAL の取り組みの詳細はこちら 訳注1:化学物質の分類、表示、及び包装に関する法律(CLP) 訳注2:内分泌かく乱化学物質(EDCs)専用の危険有害性クラス
本件に関する欧州委員会のプレスリリース及びプロポーザルには、’既知の’、’推定される’、’疑いのある’というサブカテゴリーの確立という明示的な記述は見当たらない。 しかし現状の REACH/CLP の MCR(発がん性、変異原性 生殖毒性)物質には、1、1A、1B、2 などの区分がある。これらについては REACH 規則の SVHC (高懸念物質)について(化学物質と法規制研究所(2022/09/03))の SVHCの基準 を参照ください。
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