廃電気電子機器指令(WEEE 指令)
2002/96/ECの紹介(抄訳)


情報源:DIRECTIVE 2002/96/EC
OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL
of 27 January 2003
on waste electrical and electronic equipment (WEEE)
http://europa.eu.int/eur-lex/pri/en/oj/dat/2003/l_037/l_03720030213en00240038.pdf

抄訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2005年7月9日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/eu/WEEE_Directive_Summary.html


前文(1)
 共同体の環境政策の目的は特に、環境を保全、保護、改善し、人間の健康を保護し、天然資源を慎重に合理的に利用することである。その政策は予防原則及び、防止措置、環境ダメージの発生源での修復及び汚染者支払の諸原則に基づいている。

前文(2)〜(27):省略

第1条 目的
 この指令の目的は、第一に廃電気電子機器(WEEE)発生の防止であり、さらに、廃棄物処理を削減するために廃棄物の再使用、リサイクリング、及び、その他の形で再生することである。また、WEEEのライフサイクルに関わる全ての人々、すなわち製造者、流通業者、消費者、及び特にWEEEの処理に直接関わる人々の作業環境を改善することである。

第2条 適用範囲
 この指令は 付属書 IAで示される10製品群の電気電子機器に適用される。付属書 IB は付属書 IA でカバーされる製品のリストである。
 加盟国の安全確保、兵器、軍需品、戦争に関連する機器は除外される。

第3条 定義
(項目のみ記し、訳は省略)
(a)電気電子機器(EEE)、(b) 廃電気電子機器(WEEE)、(c) 防止 (prevention)、(d)再使用(reuse)、(e)リサイクリング(recicling)、(f)再生(recovery)、(g)処分(disposal)、(h)処理(treatment)、(i)製造者(producer)、(j)流通業者(distributor)、(k)一般家庭からのWEEE、(l)危険物質又は調剤、(m)資金調達契約

第4条 製品設計
 加盟国はWEEE、部品及び材料の解体と再生、特に再使用とリサイクリングを考慮した電気電子機器の製品設計と製造を推進すること。

第5条 分別収集
 加盟国は、2005年8月13日までに、一般家庭からWEEEを分別収集すること。最終所有者、流通業者が少なくとも無償でWEEEを返却できるシステムを構築すること。流通業者が新製品販売時に旧製品を無償で引き取ることができるようにすること。
 加盟国は、2006年12月31日までに一般家庭からのWEEEを少なくとも一人平均4Kg、分別収集すること。この目標値は、2008年12月31日までに見直されるべきこと。

第6条 処理
 加盟国は、製造者又は第3者が個別及び/または共同で処理、再生、リサイクリングのための最良の技術をもって、WEEE処理システムを構築するようにすること。人間の健康と環境の保護を確実にするための処理技術を導入すること。
 全ての液体及び少なくとも 付属書U に示す物質と部品は、WEEEから取り出して分離処理すること。
 WEEEのEU域外への輸出はバーゼル条約の規制を受けるが、もし輸出者が再生、再使用、リサイクリングが理事会規制EEC/259/93の要求と同等の条件で行われることを証明できる場合にのみ、域外に輸出できる。

第7条 再生(回収)
 加盟国は、製造者又は第3者が個別及び/または共同でWEEEの再生システムを構築するようにすること。
 2006年12月31日までに規定の目標を達成すること(WEEEのカテゴリーにより異なる)。
 機器当りの平均重量再生率:70〜80%
 機器ごとの部品、材料等の平均重量再使用率:50〜75%

第8条 一般家庭からのWEEEに対する資金調達
 製造者は2005年8月13日以降に上市される自社の製品に関し、製造者又は第3者が個別または共同で一般家庭からのWEEEの収集、処理、再生、処分のためのコストを負担する責任がある。
 新製品には2005年8月13日以降の製品であることを示す規定のマークの表示が求められ、また、製品販売時にWEEEに関わるコストは内部化し、別額表示をしてはならない。
 2005年8月13日以前に上市された製品のWEEE管理のコストは、コスト発生時点で全ての製造者が市場での占有率に比例して共同負担すること。

第9条 一般家庭以外の使用者からのWEEEに対する資金調達
 下記指令にて修正されている。
DIRECTIVE 2003/108/EC OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 8 December 2003 amending Directive 2002/96/EC on waste electrical and electronic equipment (WEEE)
http://europa.eu.int/eur-lex/pri/en/oj/dat/2003/l_345/l_34520031231en01060107.pdf

第10条 使用者への情報
 加盟国は一般家庭における電気電子機器の使用者に、WEEEは分別収集されなくてはならないこと、返却・収集システムがあること、再使用、リサイクリング、再生の意義、電気電子機器に含まれる有害物質が環境と人間の健康に及ぼす潜在的影響、付属書 IV に示される表示の意味について周知徹底させること。
 分別収集を促進するために製造者は製品に付属書 IV に示されるマークを表示すること。

第11条 処理施設のための情報
 WEEEの再使用及び環境的に健全な処理のために、製造者は新たな電気電子機器のタイプ毎に再使用と処理に必要な情報を上市後1年以内に提供すること。
 この情報には電気電子機器に含まれる危険物質や危険調剤の場所とともに構成部品と材料などが含まれる。これらの情報は、再使用センターや処理・リサイクルイ施設に対し、マニュアル又は電子媒体の形で製造者が提供すること。

第12条 情報と報告
 加盟国は、加盟国内で上市され、全てのルートを通じて収集され、再使用、リサイクル、再生される、及び収集されて輸出される廃棄物に関し、全てのカテゴリーの電気電子機器の製造者登録とWEEE収集情報を年間ベースで作成すること。

第13条 科学・技術の進歩への適応
 科学・技術の進歩への適応に対する、第7条3項、付属書 IB、(特に家庭用照明器具、電球、太陽電池(ソーラパネル)を追加することの可能性)、付属書 II(特にWEEE処理に関する新技術開発を考慮)、付属書 III と IVの修正は第14条29項に従って行われること。
 付属書が修正される前に欧州委員会は特に、電子機器製造者、リサイクル業者、処理業者、環境団体、従業員団体、消費者団体と相談すること。

第14条 欧州委員会
第15条 罰則
第16条 検査と監視
第17条 各国法への展開
第18条 発効
第19条 アドレス


付属書 IA
 本指令でカバーされる電気電子機器のカテゴリー
1. 大型家庭用電気器具
2. 小型家庭用電気器具
3. ITおよび通信機器
4. 民生用機器
5. 照明器具
6. 電気・電子工具
7. 玩具、レジャー用機器
8. 医療器具
9. 監視・制御装置
10. 自動販売機

付属書 IB
 本指令の目的に照らして考慮されるべき、及び付属書 IAのカテゴリーに対応する製品
(略)

付属書 II
 第6条(1)に従いWEEEから除去して分離処理すべき物質と部品

1.最低限、下記の物質、調剤、及び部品は分別収集されたWEEEから除去されなくてはならない。
  • ポリ塩化ビフェニル(PCB) を含むコンデンサー
  • スイッチやバックライト用ランプなど水銀を含む部品
  • 電池
  • 携帯電話のプリント基板及び表面積が10cm2を超えるプリント基板
  • 液状又は粉末状トナー・カートリッジ、カラー・トナーも含む
  • 臭素系難燃剤を含むプラスチック
  • アスベスト廃棄物及びアスベストを含む部品
  • CRT
  • クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロカーボン(HC)
  • ガス放電型ランプ
  • 表面積が100cm2を超える液晶ディスプレイ(必要ならケーシングも含む)、及びガス放電ランプをバックライトとして使用しているものすべて
  • 外部電線
  • 指令97/69の定める耐火性セラミック・ファイバーを含む部品
  • 放射性物質を含むコンポーネント。ただし、理事会指令96/29/ECの第3条な及び付属書 Iに定める免除規準未満のものを除く
  • 電解コンデンサー(高さ25mm 以上、直径 25mm以上 相当)
 これらの物質、調剤、及び部品は理事会指令75/442/EEC.第4条にしたがって、処分又は回収されるべきこと

2. 分別収集されたWEEEの下記部品は下記に示すように処理されるべきこと
  • CRT: 蛍光コーティングは除去されるべきこと
  • オゾン層を破壊するガス、又は泡消化器や冷蔵庫に含まれるような地球温暖化係数(GWP)が15以上のガスは適切に除去し適切に処理すること
  • オゾン破壊ガスは欧州議会及び理事会による規制(EC) No 2037/2000により処理されるべきこと
  • ガス放電型ランプ: 水銀の除去
3. 環境に対する配慮及び再使用とリサイクリングの望ましさを考慮しつつ、上記1、2項は、部品又は機器全体の環境的に健全な再使用とリサイクリングを妨げない方法で適用されるべきこと

4. 第14条(2)で引用されている手続きの範囲内で、欧州委員会は下記項目について修正されるべきかどうか評価すること
  • 携帯電話のプリント基板
  • 液晶ディスプレイ
付属書 III
 第6条(3)に基づく技術的要求
1. 処理前のWEEEの(一時保管を含む)保管場所(理事会指令(1999/31/ECに抵触しない範囲で)
  • スピレッジ(漏れ液)の回収設備、及び適切ならば及び適切ならばデカンター(遠心分離機)や洗浄脱脂装置を有する適切な面積の不浸透性の地表
  • 適切な面積の耐候性カバー
2. WEEE処理現場
  • 処理廃棄物の重量を測定する秤
  • スピレッジ(漏れ液)の回収設備、及び適切ならば及び適切ならばデカンター(遠心分離機)や洗浄脱脂装置を有する適切な面積の不浸透性の地表、及び耐候性カバー
  • 分解した予備品の適切な保管場所
  • 電池、PCBs/PCTs含有コンデンサー及び放射性廃棄物のようなその他の有害廃棄物を保管するための適切な容器
  • 健康及び環境規制に準拠した水処理機器
付属書 IV
 電気電子機器への表示マーク
  • 電気電子機器の分別収集を示す車つき容器にクロス(X)をつけたマーク。
  • 分別収集されるべき電気電子機器に見やすく、読みやすく、わかりやすく表示されること

参考情報


化学物質問題市民研究会
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