IPEN COP8 プレスリリース 2017年5月1日
POPs 条約 COP8 で政府は、 子どものおもちゃの中で見いだされた有害化学物質の 前代未聞の継続使用を承諾 情報源:IPEN COP8 Press Release, 1 May 2017 At UN meeting, governments grant unprecedented continued use of toxic chemicals found in children's toys http://ipen.org/news/press-release-un-meeting-governments-grant- unprecedented-continued-use-toxic-chemicals-found 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2017年5月3日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/POPs/IPEN/170501_IPEN_Press_At_UN_meeting_ governments_grant_unprecedented_continued_use_of_oxic_chemicals_found_in_childrens_toys.html ”代表者らは”毒のない未来”という会議のテーマをからかっている”とIPENの上席顧問マリアン・ロイドスミス博士は述べた。”本日の決定は、有害な労働者の暴露、有毒な子どものおもちゃ、汚染されたリサイクルの流れ、そしてもっと多くの廃棄物投棄を保証するようなものである。この会議の実際のテーマは、”毒のある未来”である”。 異常な適用除外期間 これらの物質の抜け穴のための適用除外期間は前代未聞である。例えば、 DecaBDE は、ほとんど20年間、2036年まで新車及び予備品での使用が許される。対照的に、この条約は特例の適用除外のために5年間を定めている。航空機での DecaBDE の使用を許す文言は、製造は2050年まで、そして使用は2100年まで継続するらしいという事実を上手に隠している。ボーイング社は、この適用除外は必要ないと明確に述べており、それはEUの航空産業のために押し通されたように見える。 数多くの抜け穴 同条約の専門家委員会はこれらの物質を注意深く評価し、自動車の予備品での DecaBDE の使用という唯ひとつの適用除外を提案した。しかし、 COP8 は、代替物質が利用可能という理由で(専門家委員会からは)勧告されなかった適用除外の抜け穴のロングリストを承諾した。幸いなことに、 DecaBDE の汚染リサイクルの適用除外を承諾するという二か国による提案は否決された。政府は SCCPs について数多くの抜け穴を承諾した。専門家委員会はそれらのどのひとつをも勧告していなかったにもかかわらずである。 ”この決定は私にとって、個人的な思いがある”と、IPEN の共同議長であり北極の研究者であるパム・ミラーは述べた。”私は、ある大きな SCCPs 製造会社の近くで育った。彼らはその地域全体を汚染し、その地域はがん部落になった”。 ラベル表示なし 開発途上国及び移行経済国は、少数の国のグループがこの物質を含有する新たな製品に少なくともラベル表示するという提案を拒否したので、廃棄物に関する同条約の要求に簡単に従うことはできないであろう。汚染された製品について懸念を持つ消費者らは、それらの内容物についての情報を持たないことになる。 ”国家と消費者の知る権利は、化学物質の安全の基本原則である”と、IPEN の共同議長オルガ・スペランスカヤ博士は述べた。”政府は産業がそれらにラベル表示をすることを強く求めないので、消費者は知らないで購入し、彼らの子どもたちをこれらの化学物質に暴露させる”。 有害リサイクルの継続 代表者らは、家具や電子機器廃棄物(e-waste)中に見いだされる有害難燃剤(PentaBDE と OctaBDE)を含有する材料のリサイクルを認めることに合意した。もしそれらの化学物質が除去されなければ、プラスチックがリサイクルされると、それらは新たな製品中に混入する。しこのような実施は、リスト上にある物質のリサイクルと再使用を明白に禁止しているストックホルム条約に違反する。 皮肉なことにこの決定は、有害難燃剤が、プラスチック製おもちゃを含んで使用されている多様な製品中で検出されていたということを白状した。新たな IPEN の調査[原注2](訳注1)は、有害リサイクルの継続政策は子ども用製品を広く汚染しているということを示している。 ”どの様にして諸国は潜在的に子どもを汚染する政策を継続することができるのか?”と、IPENの科学技術顧問であるジョー・ディガンギ博士は述べた。 ”有害化学物質を含有するリサイクル材料は、新たな製品を汚染し、暴露を継続し、リサイクルの信頼性を損なう”。 専門家委員会は有害リサイクルに対して警告 同条約専門家委員会は有害リサイクルの実施に対して警告し、これらの物質をリサイクルの流れから”可能な限り早急に”除去するよう明確に勧告しており、”それができなければ必然的により広範な人と環境の汚染を招き、リサイクルの長期的な信頼を失うことになる”と言及した。”提案されたリサイクル適用除外はまた、電子廃棄物(e-waste)の開発途上国への投棄を合法化するに等しく、そのことは皮肉にも”リサイクル”と表現されている。 電子廃棄物は世界で最も急速に成長している廃棄物の流れであり、政府はもっと多く投棄したいとすら望んでいるように見える”と、PAN エチオピアのタデッセ・アメラ博士は述べた。”我々はすでに膨大な量の電子廃棄物を受け取っており、彼らは我々の有害物質による苦しみをもっと増やそうとしているように見え、それは条約の目標と正反対のことである”。 ヘキサクロロブタジエン (HCBD)はリストされた 代表らは、ヘキサクロロブタジエン (HCBD)を非意図的に生成される物質を規定する条約の一部である付属書Cに加えることに同意した。このリスティングは、利用可能な最良の技術/環境のための最良の慣行(BAT/BET)に基づく勧告を通じて HCBD 放出への対応に道筋をつけるものである。 [原注]: 1 Decabromodiphenyl ether (DecaBDE) and short-chain chlorinated paraffins (SCCPs) 2 Please see the two reports here: http://ipen.org/news/press-release-recycling-contaminates-plastic-children%E2%80%99s-toys-toxic-chemicals-electronic-waste http://ipen.org/news/press-release-children%E2%80%99s-toys-contaminated-toxic-industrial-chemical-recommended-global For more information: Pam Miller pamela@akaction.org Dr. Mariann Lloyd-Smith biomap@oztoxics.org 訳注1: Arnika Association/IPEN 共同報告 POPS RECYCLING CONTAMINATES CHILDREN'S TOYS WITH TOXIC FLAME RETARDANTS / IPEN April 2017 2015年5月 Arnika Association/IPEN 共同報告 有害なおもちゃか、有害廃棄物か:新しいプラスチックに古い POPs−政策決定者のための概要 訳注:IPEN COP8 資料 IPEN 2017年4月 ストックホルム条約 COP8 IPEN の見解 |