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COP8での約束を守れ!

IPEN 2017年4月
ストックホルム条約 COP8
IPEN の見解

情報源:IPEN Views of Stockholm Convention COP8, April 2017
http://ipen.org/sites/default/files/documents/
IPEN%20Views%20of%20Stockholm%20Convention%20COP8%2014%20Apr%202017_EN.pdf


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2017年4月22日 (前半部)
更新日:2017年4月24日 (後半部

このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/POPs/IPEN/April_2017_IPEN_Views_SC_COP8.html

 下記は、COP8(ストックホルム条約第8回締約国会議)が対応するよう求める課題に関するIPEN の見解声明の概要である。

技術支援と地域センター
  • COP8 は、海洋漂着プラスチックごみ及びマイクロプラスチックごみに関する地域センターによる勧告を歓迎すべきであり、Annex VI of UNEP/CHW.13/INF/29 - UNEP/POPS/COP.8/INF/26 に概要が示されているように、将来にわたって活動を継続するために彼らを招聘すべきである。

  • まだ残っている大量のPCB類保管を考慮すれば、条約の要求に合致する非焼却の処理方法の技術移転が優先事項である。これに関する地域協力が推奨されるべきである。

  • 国家報告と在庫データの収集に関する訓練は条約実施にとって非常に重要である。

  • ワークショップではなく、直接的な”実地訓練”アプローチの方が効率的であり、特定の問題のための技術的支援を得るにあたり、そして将来同じような問題に対してどの様に対処するかを学ぶにあたり、持続可能である。

  • 地域センターは、プロジェクトの設計と実施への直接的参加を通じて公益 NGOs 及び市民社会組織の活動への関与を増やすべきである。この基準は彼らの評価と報告書に含まれるべきである。
財源
  • COP8 の GEF-7 (期間 2018年〜2022年)のために必要とされる正味資金の見積り金額は約44億ドルであるとしている[原注1](訳注1:GEF)。しかしこの金額は、実際の必要を過小見積りしている。それは条約の初期の12物質からなるリストに加えられた14の新たな POPs (COP7 2015年現在)に関連するコストを含んでいないからである。加えて、その見積りは、ある場合にはPCB在庫のわずか20%又はそれ以下だけが知られているものとして報告されているということに言及しており、PCB 処理コストはもっと高いであろうことを示唆している。最後に、所与のある国又は国々のデータは、国の大きさや事情にかかわらず、それぞれの地域における全ての国を代表していると仮定している。

  • GEF-7 プログラミング文書案は、POPs、水銀、SAICM、及び ODS (オゾン層破壊物質)を含む化学物質と廃棄物の合焦領域(focal area)のために 8億5,000万ドルを割当ているが、その割当は必要な見積り額より 5倍低い[原注2]。化学物質活動のための追加的な資金調達が GEF-7 インパクト・プログラムを通じて、あるかもしれない。しかし、ストックホルム条約実施のための財政的必要性は GEF を通じての利用可能な資金をはるかに超えている。

  • 必要と定められた国の目標に資金が実際に合致することを確実にするために、特に時間的制限があるので、特別プログラムは必要性評価を設計に含めるべきである。

  • COPは、条約実施及びNGO活動のために、ある資金を確保できるよう制度を強化することに対する公益 NGO の貢献の重要な役割を検討するために、特別プログラムの執行役員会を招聘すべきである。

  • 第13条に概要が示される新規及び追加的資金調達の必要と義務はまだ実現していないので、 POPs を生成した会社及び/又はその会社が拠点とする国からコストを回収するための経済的手段を含んで、他の財源が調査されるべきである。
遵守
  • 第17条は、”可能な限り速やかに” COP が遵守システムを開発することを求めている。 COP8 は、不遵守をはっきりさせ、決定するための手続きとメカニズムを承認することにより、合意を完成させて第17条 の要求に応じるべきである。

  • 不遵守メカニズムは、技術的及び資金的支援の優先的必要性を特定するのに役立つであろうし、全ての条約義務を考慮すべきである。遵守メカニズムは、タイムリーに最も効率的な方法で問題を明らかにし諸国を支援するとともに、条約の実施の効果を評価するためのツールである。

  • バーゼル条約は、様々なトリガーを含んで、ストックホルム条約のための有用なモデルを提供する遵守メカニズムを持っている[原注3]。

  • 報告要求についての不遵守を含んで、条約義務の不遵守は、その目的を達成するための条約の能力を損なうものである。例えば締約国の78%が、2009年にリストされた9種の POPs の更新を国家実施計画(NIP)の中に織り込んでいない。ほとんどの国にとって更新期限は2012年8月26日であった[原注4]。
POPs 廃棄物
  • COP8 は次の低 POP 含有レベルを採用すべきである。
    • PCDDs 及び PCDFs: 1 ug TEQ/kg (1 ppb)[原注5]。
    • HBCD: 100 mg/kg (100 ppm)
    • HexaBDE, HeptaBDE TetraBDE, PentaBDE 合計: 50 mg/kg (50 ppm)
    • Polychlorinated naphthalenes (PCNs): 10 mg/kg (10 ppm)
    • PCBs: 10 mg/kg (10 ppm)
    • Pentachlorophenol (PCP): 1 mg/kg (1 ppm)
    • Hexachlorobutadiene (HCBD): 10 mg/kg (10 ppm)

  • POPs を含む製品は、その廃棄物の経路及び在庫目録を効果的に管理するためにラベル表示されるべきである。これは、現在容認されている例外の下にリサイクルされている製品を含むべきである。

  • PCP 技術ガイドライン[原注6]第96節は括弧中の文言を削除して、次の様に読むべきである。”PCP 、その塩、及びエステルを 1-100 mg/kg 以上含む廃棄物の環境的に適切な処分のための破壊と不可逆的変換方法は、一般的技術ガイドラインのサブセクション IV.G.2 で利用可能である。”

  • 新たにリストされた POPs についての分解のレベル、低POPs 含有量、及びその他の POPs 廃棄物問題を確立するための作業は、 POPs 検討委員会(POPRC)、ツールキット(訳注:Toolkit)、及び BAT/BEP 専門家グループを含んで、バーゼル条約及びストックホルム条約の両方の適切な組織により協力して実施されるべきであり、単にバーゼル条約組織に引き渡されるべきではない。

  • COP は、締約国が BAT/BEP ガイドラインを、条約の 附属書 C (非意図的生成物)にリストされている発生源分類、特にバーゼル技術ガイドライン中のESM(環境的に適切な管理)技術の中にリストされているものに適用するするよう促すべきである。

  • 技術ガイドラインの中で、POPs 廃棄物分解オプションは単に焼却とセメントキルン同時焼却技術をリストするだけでなく、ガス相化学的還元法(Gas Phase Chemical Reduction (GPCR))及び/又はアルカリ触媒分解法(Base Catalysed Decomposition (BCD))のような非焼却技術もリストすべきである。

  • 銅触媒分解(Copper Mediated Destruction)のような新たな非焼却技術が、更新された POPs 廃棄物に関する一般技術ガイドラインに追加されるべきである。

  • 非意図的に生成される POPs により汚染される廃棄物を生成する技術を推進して条約の目的を損なうことがないよう、POPs の分解のために非焼却技術が優先されるべきである。
手続きの規則
  • 締約国は、合意のための全ての努力が失敗した場合には投票で決定することができるよう、規則 45.1 中の括弧を外すことによって、条約の効果的な運用をはかるべきである。
新規 POPs のリスティング原注7

検討委員会 は、3つの新たな POPs 候補のそれぞれは長距離環境移動を行うので、世界的な行動が正当化されるような人の健康と環境に著しい有害影響をもたらすらしいと決定した。

1) デカブロモジフェニルエーテル(DecaBDE)を付属書A(意図的な製造及び使用を原則禁止)に
  • デカブロモジフェニルエーテル(DecaBDE)は適用除外なしで付属書Aにリストされるべきである。

  • DecaBDE は、電子廃棄物の主要素であるコンピュータやテレビのプラスチック筐体中で難燃化学物質として主に使用されている。それはまた、織物、布張り家具、及びマットレスなどにも使用される。

  • DecaBDE は、地球環境中で最もいたる所にある難燃化学物質のひとつであり、北極の大気中及び堆積物サンプル中で検出される主なポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)難燃化学物質のひとつである。

  • DecaBDE は水生及び陸生の生物種中で生体蓄積し、食物連鎖最上位生物中で高濃度で見いだされる。それは先住民の伝統的食物である野生生物を汚染する。

  • 毒性研究が、発達、神経、及び生殖に有害影響をもたらす可能性を示しており、DecaBDE 又はその分解生成物もまた内分泌かく乱物質として作用するかもしれない。

  • 提案されている自動車部品のための適用除外は曖昧であり、800種ほどの部品を含む。

  • 航空機及び自動車産業は新規部品の中で DecaBDE を代替することができる。予備品のためには、自動車産業は DecaBDE を含有しない新規追加及び一般的予備品を使用すべきである(例えば、電線、ホース、ケーブル、パイプ、及び布)。

  • 曖昧な自動車部品適用除外はまた、古い自動車を受け取る開発途上国に潜在的な影響をもたらす。 検討委員会 決議 POPRC-12/4 は、” DecaBDE を含有する予備品が供給され続ける古い自動車による開発途上国の増大する廃棄物汚染が懸念される” と述べている。EU 自動車産業は予備品を DecaBDE を含まないものに代替することを望んでいないのだから、開発途上国は増大する DecaBDE 廃棄物汚染を解決しようとする必要はない。

  • COP8 は DecaBDE を含有する物質のリサイクルの適用除外を生み出すどのような提案にも抵抗すべきである。検討委員会 は COP5 におけるこの種の適用除外の影響を検証し、それに反対する勧告をし、政府は”可能な限り速やかにリサイクルの流れから臭化ジフェニルエーテル類(BDEs)を廃絶する”よう促した。委員会(POPRC)は、 POPs を含有する物質のリサイクルは、”人間と環境の幅広い汚染を必然的にもたらし”、”リサイクルの長期的な信頼性を失う”ことになるであろうと言及した。

  • リストされた臭化ジフェニルエーテル類の検討は、ヨーロッパ、北アメリカ、日本、オーストラリア、及びアメリカに源を発する電気電子機器廃棄物(Waste Electrical and Electronic Equipment/WEEE)の違法な出荷は、アジア(中国、香港、インド、パキスタン、ベトナムを含む)及びアフリカ(ガーナ、ナイジェリア、ベニンを含む)を共通の輸出先としていることに言及している。WEEE と廃自動車(End-of Life Vehicles/ ELV)の環境的に適切な管理を確実にするために必要な構成要素は開発途上国の大分部には存在しない。

  • 26か国から集めたプラスチック製の子どものおもちゃに関する最近の IPEN の調査は、それらの製品の90%に OctaBDE と DecaBDE を見つけた[原注8](訳注2)。電子廃棄物(e-waste)中に見いだされる有害化学物質は子どものおもちゃに”リサイクルされる”べきではない。

  • もし適用除外が与えられるなら、それらは特定の部品用であり、条約へのリスト登録は、締約国が第6条の下に要求を満たすことができるよう DecaBDE を含有する新規製品に対してラベル表示を求めるべきである。これは HBCD のリスト時に合意されたものと同様である(SC-6/13)。
2) 短鎖塩素化パラフィン(SCCP)を付属書Aに
  • 短鎖塩素化パラフィン(SCCP)は、他の塩素化パラフィン混合物中における SCCPs の制限を求める付属書A、備考 “i” の追加的意見と共に、 検討委員会 により勧告された様に、適用除外なしで付属書Aにリストされるべきである。

  • SCCPs は、金属切削の潤滑油として、及び PVC プラスチック、ゴム、及び絨毯中の難燃剤として、主に使用される。

  • SCCPs は、おもちゃ、ステッカー、衣類、スポーツ用品、子ども介護用品のような子ども用製品中で、及び台所用品中で、許容レベル以上、あるものは濃度11%で、見いだされている。子どもの食事を作るのに用いられる手動混合器は通常の使用で SCCPs が食物中に漏れる。最近の IPEN の調査は、あるおもちゃに異常に高いレベル 、最高 19,808 ppm の SCCPs を発見した。

  • 最近の科学論文によれば、” SCCPs ほど大量に製造されている人工の残留性化学物質は他にない”とし、その製造は上昇していることを示す兆候があるとしている。

  • SCCPs は水生食物連鎖及び鳥類中で生体蓄積する。それらは、(魚、海鳥、アザラシ、セイウチ、クジラのような)北方の先住民の伝統的食物である北極の生物相中に既知の POPs と同等なレベルで見いだされる。SCCPs はまた、北極の先住民女性の母乳中にも見いだされる。

  • それらは、低濃度でも水生生物に有毒であり、内分泌機能をかく乱し、人間にがんを引き起こすことが疑われている。

  • 金属切削における SCCPs の使用は、植物油ベースの調剤により代替することができる。これらは広く入手可能であり、熱放散が良く、加工中の煙の生成が少ない。

  • SCCPs を使用しなくても同じ機能をもつ代替の可塑剤と密閉剤がある。
3) ヘキサクロロブタジエン (HCBD)を付属書C(非意図的生成物の排出を削減)に
  • ヘキサクロロブタジエン (HCBD)はすでに付属書Aにリストされており、今回は 検討委員会 により勧告されているように付属書Cにもリストされるべきである。

  • 現在行われている意図的な使用は知られておらず、ダイオキシン類やフラン類のような非意図的に生成される POPs を削減する措置もまた HCBD のために効果的であろう。加えて、非意図的な放出は、代替の製造プロセス、改善されたプロセス制御、排出管理措置、並びにパークロロエチレン及びトリクロロエチレンのための現在入手可能でより安全な代替物質の実施により、最小化にすることができる。

  • HCBD は、大気中に残留し、北極の水生生物種中で生体蓄積する。北極の生物種の監視はモデル研究により予測される長距離移動を示している。

  • 実験室での調査は腎臓毒性及び遺伝毒性(変異原性)を示している。HCBD はヒトに対する発がん性が疑われると分類されている。
有効性の評価
  • 国家報告と国家実施計画(NIP)の更新の欠如は、強固な有効性の評価にとって深刻な障害である。例えば、締約国の39%は、ひとつの報告書も提出していない。既存の報告書の質も評価されるべきである。

  • PentaBDE、OctaBDE、HBCD、PFOS、及びエンドスルファンのレベル上昇を示す監視結果は、新規 POPs の廃絶の有効性についての懸念を提起する。

  • POPs 候補物質を含んで、 POPs の残念な代替を防ぐために、第3条3項及び4項の実施において、より大きな有効性が促されるべきである。

  • 条約は DDT を効果的に削減及び廃絶していない。報告書は、2010年から2014年の間に 3,268 トン/年の DDTが使用され、その97%は一か国で使用されているとのべている。

  • 第5条実施の有効性は、大幅な改善が必要である。わずかな国しか BAT(利用可能な最良の技術)を定義し、在庫目録を作成しておらず、3分の1以下しか BAT/BEP (環境のための最良の慣行)を促進又は求める措置を持っていない。国家行動計画の質は調査されるべきである。

  • 少数の締約国は廃棄物と保管の管理に対処するための措置を適切に持っていることを示しつつ、特に何らかの修復をしたのは締約国の18%だけなので、BAT/BEP 専門家グループが POPs で汚染された場所の管理に関するガイダンス文書を作成する必要性を強調した。

  • PCB 類の廃絶に関しては効果が少ない。報告書は、実施期限が 2025年/2028年と迫っているのに、地球全体の量のわずか 17%しか廃絶されていないことを示している。COP は POPs を生成しない非焼却の PCB 分解方法の大きな進展と技術支援を促すべきである。

  • POP の莫大な量の製造、使用及び放出のために、北極先住民の健康と幸福は不均衡に害されている。先住民の健康と幸福、国土、及び支配領域を保護するために、国家による厳格で迅速な行動が求められている。先住民はストックホルム条約の専門委員会のメンバーとして完全に関与し、世界的監視計画と有効性の評価に参加する機会を与えられるべきである。
有効性評価の枠組み

 有効性の一般的指標は、新規 POPs をリストする付属書に批准していない国も、主要な製造者、使用者、輸入者、又はこれらの POPs の排出者であるかどうかを含めるべきである。
  • 使用、輸入、輸出及び排出を含んで製品中の POPs についてもっと多くの情報が必要である。

  • 第3条:措置をとっている締約国の日付と全体数を提供すれば、もっと有益になる;報告書は使用された POPs の量に関するデータを含めるべきである;評価スキームは POPs 基準を包含しているかどうかを問う; POPs に対する化学的及び非化学的代替に関する情報を含める。化学産業は、検討委員会 に概要が示されているように、 POPs 特性又はその他の有害な特性を有さない代替について第3条3項及び4項の代替ガイダンスを遵守する取り組みに関して報告すべきである。

  • 第4条:締約国は代替製品及び代替プロセスに移行しているかどうか、そしてもっと多くの適用除外を推奨していないかを決定する指標を含めることが重要である。

  • 第5条:7つ全ての指標を維持することは重要である。これは条約の中でほとんど実施されていない部分であり、特に、フレキシブルな低 POPs 含有レベルであることも一部起因して、在庫目録と管理が欠如している。

  • 第6条:重要な指標 6 のためのデータ収集を改善する;ある期間にわたって特定され、分解された廃棄物の量(POPs からなる又はそれで汚染された製品及び物品を含む);他の指標はより良く実施を評価するために修正されるべき;汚染サイトを特定するためにどの様な戦略が用いられるか;POPs を含む製品と廃棄物を特定するために用いられる戦略を記述;POPs を含むとして特定された製品と廃棄物の数

  • 第7条:女性団体及び子どもたちの健康に関与する団体との協議を含んで、国家利害関係者が国家実施計画(NIPs)に参加したかどうかを有効性は含むべきである;新規 POPs のリスティング含め、その結果、指標 3 の国家実施計画(NIPs)を修正する必要性;国家実施計画(NIPs)が現在どのように効果的に実施されているかに関するある定性的な情報を含める

  • 第9条:指標は POPs に対する代替に関して情報を交換した締約国の数を含めるべき;また、クリアリングハウス・メカニズムに参加した締約国の数

  • 第10条:指標は、条約の実施並びに女性、子ども及び最も教育が受けられない人々のための教育プログラムへの公衆の意見の反映を促進し容易にするために、第10条の義務を十分に考慮するよう修正されるべきである。有効性評価もまた、締約国が公的に利用可能な PRTR システムを実施したその程度を測定すべきである。

  • 第11条:研究、開発、管理、及び監視活動からのデータと情報を公的に入手できる様にする締約国の数の指標を含める。

  • 第12条及び13条:規制、BAT/BEP 、より安全な代替、並びに POPs 保管及び汚染サイトの取組みを強化しつつ、情報共有、データ収集、及び在庫目録を含んで、技術移転の種類についてのある定性的なを情報を含めることは有用である;財政メカニズムの評価は、必要性の評価並びに適切性、予測可能性、資金調達の時宜を得た流れ、及び負担共有の重要性を含む財政メカニズムのレビューからの情報を使用すべきである。

  • 第15条:報告書の質についての定性的な情報は有用であろう。

  • 第17条:ある指標は、適切な遵守メカニズムが確立されているかどうかを示すべきである、
以上前半部((17/04/22)

以下後半部(17/04/24)

世界的監視計画
  • 監視プログラムは、アフリカ、アジア、中央・東ヨーロッパ(CEE)、ラテンアメリカ・カリブ地域(GRULAC)、北極、及び南極大陸に、まだ著しいデータのギャップを残している。このことは、条約の有効性を適切に測定することができるよう、優先事項として対応され、取り組まれるべきである。

  • 新たにリストされたPOPsは、実験室的測定能力の改善を伴いながら前進しつつ、可能な限り速やかに監視計画に組み込まれるべきである。

  • 世界的監視は、 POPs を生成した国々と適用除外及び/又は許容される用途を要求している国々を含むべきである。

  • 高汚染場所は長距離移動によってより広い汚染をもたらすので、気候温暖化に起因する潜在的な加速された放出及び移動をを含んで、監視計画は高汚染場所を含むべきである。

  • 監視計画はまた、伝統的及び市場食物源、特に魚、海洋ほ乳類、精製脂肪、あぶら身、肝臓及びその他の臓器組織を含む北極圏先住民の伝統的食物中の POPs を含むよう更新されるべきである。

  • 放し飼いの家禽類の卵は、PCDD/Fs, PCBs, DDT, PBDEs 及び HBCD を含む POPs による全体的な環境汚染の良い指標となることが示されているので、監視されるべきである。

  • 先住民は地域に基づく研究から得られるデータと結果を共有することにより、世界的監視に貢献することができる。多くの世代によって引き継がれてきた科学的知識である先住民の伝統的な生態学的知識は、本条約の下に実施される世界的監視計画を補完し強化することができる。
適用除外と容認できる用途
  • 締約国は、特定の適用除外及び容認できる用途への依存を速やかになくし、可能な限り早急により安全な代替を導入すべきである。どの締約国にも
  • 第4条4項の解釈:5年という期間は COP の決議の発効日に開始すべきである。

  • 第4条7項の解釈:特定の適用除外は COP の決議によって、それを要求する締約国に対してのみ 5年間、1回だけ延長されるであろう。

  • 第4条9項の解釈:特定の適用除外がもはやどの締約国にも有効でなくなったなら、その適用除外の新たな登録はなされないであろう。
PBDE 評価とレビュー
  • COP8 は、付属書Aの IV 項及び V 項における臭素化ジフェニルエーテル類の有害なリサイクルの適用除外を止めるべきである。

  • 有害なリサイクルの適用除外は、電子廃棄物を含んで、 PBDEs を含むリサイクル製品又は廃棄物を受け取る開発途上国に追加的な負荷をかける[原注9]。

  • 付属書Aの IV 項及び V 項における有害なリサイクルの適用除外は、子ども用製品にリサイクルされる電子廃棄物の中に見いだされる PBDE 難燃剤となる[原注10]。

  • リサイクルの COP のための適用除外についての 検討委員会 の検証は、”可能な限り速やかにリサイクルの流れの中からる臭素化ジフェニルエーテル類を廃絶する”ことを勧告し、”それをしなければ必然的により広い臭素化ジフェニルエーテル類の人間と環境への汚染と拡散をもたらし、それらの回収が技術的に又は経済的に実行不可能で、リサイクルの長期的信頼性を失うことになると言及した[原注11]。

  • COP は、PBDEs 分解のための非焼却手法に関するガイダンスを作成し、臭素化ダイオキシンの発生源となるそれらの焼却又はセメントキルン同時焼却を止めさせるよう求めるべきである。
PFOS
  • COP は、COP9 で討議されるべき PFOS の許容できる用途の検討の後、可能性ある行動のためのオプションを支持すべきである。

  • COP8 は、 POPs の特性を持った物質は PFOS 又は 検討委員会 が評価中の POPs 候補物質の代替物とすべきではないということを締約国に思い起させるために、PFOS に関する決議の中の第3条3項及び4項を補強すべきである[原注12]、[原注13]。

  • 締約国は、附属書D基準に合致する又は合致する可能性があるとして検討委員会により特定された PFOSの2つの代替を推薦することを検討すべきである。:オクタメチルシクロテトラシロキサン (D4) 及びクロルピリホス。
ツールキットと BAT/BEP
  • 委託事項(TOR)は、非化学的代替に関する情報を提供することを含めるよう修正されるべきである。

  • BAT/BEP ガイドラインもまた、非焼却技術(例えば、ガス相化学的還元法(GPCR)やアルカリ触媒分解法(BCD法)など)を含んで、 POPs 廃棄物のための一般技術ガイドライン中にリストされている全ての環境的に適切な管理(ESM)のためのガイダンスを含めるべきである。

  • POPs により汚染されたサイトの目録と管理のためのガイダンス文書は、BAT/BEP 専門家グループにより策定されるべきである。

  • ツールキット(訳注:POPs Toolkit)は、 HCBD が付属書Cにリストされるなら、非意図的な HCBD 排出を加えるべきである。
報告
  • 締約国は、第15条で求められるように国家報告を遵守する必要がある。条約ウェブサイトによれば[原注14]、わずか24%の締約国しか2014年11月までに要求されていた報告書の提出をしていない。COP は、COP9 の前までに第4回報告を100%報告するという目標を確立すべきである。

  • 資格ある締約国は、国家実施計画を準備するための財政支援及び技術的支援を事務局及び地域センターから受けることができるべきである。モントリオール議定書、生物多様性条約(CBD)、及び気候変動枠組条約(UNFCCC)は、報告に財政的支援を提供しており、このことは高い報告書率に強く関連している[原注15]。

  • 締約国が、汚染物質排出、在庫、 PCBs 及び その他の POPs に関して開発した情報は編集され条約ウェブサイトで利用可能とされるべきである。
DDT
  • 条約は DDT を効果的に削減し廃絶していない。報告書は2010年から2014年の期間に最高 3,268 トン/年のDDTが使用された。一国でその97%である。

  • 締約国による DDT に関する報告は大幅に改善されるべきである。 2012年〜2014 年の質問票を提出しなかった DDT 登録の7 締約国は可能な限り速やかに提出すべきである。

  • DDTを使用したが DDT 登録していない締約国は、可能な限り速やかに報告すべきである[原注16]。

  • IVM(包括的ベクター管理)の規模拡大及び地域社会の参加への支援強化を含んで、非化学的手法のさらなる研究と実施、及び疾病ベクター・コントロールのための戦略が加速されるべきである。

  • 屋内残性留散布による DDT の使用は、より安全な代替を選び、疾病の影響と殺虫剤の耐性を考慮して、可能な限り制限されるべきである。

  • 技術的支援は、地域の言語で理解できる公的に利用可能な DDT の代替の開発に焦点を当てるべきである。

  • 疾病害虫管理のための DDT に対する代替として製品、手法及び戦略を開発しと配備するのための世界的連合(Global Alliance for the Development and Deployment of Products, Methods and Strategies as Alternatives to DDT for Disease Vector Control)からの、もっと公的に利用可能でタイムリーな更新及び報告が必要である。(訳注: Global Alliance for Alternatives to DDT 疾病害虫管理のためのDDTに対する代替として製品、手法、及び戦略を開発するための世界連合:2009年5月に開催された第4回会合でCOPが承認)

  • DDT ツールキットは、単にどの様に DDT を使用するかを記述するだけではなく、より安全な非化学的代替を含むべきである。
PCBs
  • 条約要求の下でのPCB類の標準化された在庫目録、販売と流通の禁止、そして廃絶は積極的に促進されるべきである。今日までに、 PCB を含む、又はそれで汚染された液体及び機器の総量のわずか20%だけしか除去されていない[原注17]。遺物を残さない源にも対応する必要がある。

  • COP は、COP9 での検討用に PCBs の廃絶に向けた進捗報告を作成するための小さな会期間作業グループを設立すべきである。

  • COP は、PCBs の分解のための非焼却手法に関するガイダンスの開発を要求し、PCBs の焼却は附属書C(非意図的生成物)の発生源になるので、その焼却又はセメントキルンでの同時焼却を思いとどませるべきである。この件に関する地域協力が推奨されるべきである。

  • 事務局、PEN(PCBs Elimination Network)、及び地域センターは、公益 NOGsとともに、PCB 在庫と廃絶に関する情報の拡大、及び PCBs の人の健康と環境への影響、在庫及び廃絶に関する意識向上キャンペーンを行うべきである。

  • 国家 PCB 在庫目録から優良な実施事例が収集され、情報と意識向上キャンペーンの一部となるべきである。
国家実施計画(NIP)
    締約国の78%が、2009年にリストされた9つの POPs 国家実施計画の更新を提出していない。ほとんどの国にとって更新の期限は2012年8月26日であった。これは可能な限り早急に完成させる必要がある。

  • 加盟国は、効果的で、包括的で、規則的な公衆の参加プロセスを可能とし、第7条及び10条の公約を遵守するために、国家実施計画の設計と実施において、多様な利害関係者との協議を強化すべきである。

  • 国家実施計画の更新に関するガイダンスは、PCBs の在庫と評価の開発に関する指示を含むよう修正されるべきである。

  • 事務局は、国家実施計画を開発する又は更新する時に、POPs の評価とレビューのためのデータを収集することを含んで、締約国が直面するかもしれない技術的問題を特定すべきである。
輸出認可
  • 第3回国家報告書にある情報は、許容される用途がいまだに効力を持つ付属書A又は付属書Bにリストされている化学物質の輸出及び輸入が、条約の意図に反して[原注18]、増加していることを示している。締約国は、条約の義務に沿って、リストされている POPs 輸入及び輸出を防止するための緊急の措置をとるべきである。

  • UNEP/POPS/COP.8/31/Add.1 に示されている輸出認可フォームは、輸出が行われる都度、このフォームが必要であるということを明示的に記述すべきである。

  • UNEP/POPS/COP.8/31/Add.1, Section 1 (1) に示されている輸出認可フォームは、もっと明示的になるよう修正されるべきである。”人間の健康と環境を保護するために、輸入された化学物質の放出を最小化にする又は防止するために必要な、例えば、立法、規制、又は行政的又は政策的ガイドラインのような措置について記述してください。どうぞ支援文書を提供してください”。
違法取引
  • COP8 は事務局に対して、修理、再利用、及び/又はリサイクルという抜け穴を含んで、有害化学物質と廃棄物の違法な取引と戦うために、最大限の努力を動員するための、3条約の相乗効果の利用に関する報告書の更新を要求すべきである。

原注
1 UNEP/POPS/COP.8/INF/32
2 https://www.thegef.org/council-meeting-documents/gef-7-programming-directions-and-policy-agenda
3 http://www.basel.int/TheConvention/ImplementationComplianceCommittee/Mandate/tabid/
2296/Default.aspx

4 http://chm.pops.int/Countries/Reporting/NationalReports/tabid/3668/Default.aspx
5 Includes dioxin-like PCBs
6 UNEP/CHW.13/6/Add.3
7 IPEN Guide to New POPs, April 2017: http://ipen.org/news/ipen-guide-listing-2017-pops-candidates
8 http://ipen.org/documents/pops-recycling-contaminates-childrens-toys-toxic-flame-retardants
9 Updated information presented in UNEP/POPS/COP.8/7 indicates that "developing countries also receive articles that may contain POP-BDEs in the form of second-hand/used goods or as wastes, originating mainly from developed countries…It is estimated that at least 50 % of WEEE is collected outside of the official take-back systems in the EU, part of which is then exported to developing countries as used equipment or illegally. Illegal shipments originate mainly from Europe, North America, Japan and Australia the USA with common destinations in Asia (including China, Hong Kong, India, Pakistan and Vietnam) and Africa (including Ghana, Nigeria, and Benin). In addition to WEEE, plastics from WEEE are also reported to be exported to developing countries in Asia."
10 http://ipen.org/documents/pops-recycling-contaminates-childrens-toys-toxic-flame-retardants
11 Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants (2011) Work programmes on new persistent organic pollutants, UNEP/POPS/COP.5/15
12 Article 3 para 3: "Each Party that has one or more regulatory and assessment schemes for new pesticides or new industrial chemicals shall take measures to regulate with the aim of preventing the production and use of new pesticides or new industrial chemicals which, taking into consideration the criteria in paragraph 1 of Annex D, exhibit the characteristics of persistent organic pollutants."
13 Article 3 para 4: "Each Party that has one or more regulatory and assessment schemes for pesticides or industrial chemicals shall, where appropriate, take into consideration within these schemes the criteria in paragraph 1 of Annex D when conducting assessments of pesticides or industrial chemicals currently in use."
14 http://chm.pops.int/Countries/Reporting/NationalReports/tabid/3668/Default.aspx
15 UNEP/POPS/COP.6/INF/28
16 UNEP/POPS/COP.8/INF/6
17 UNEP/POPS/COP.8/6 18 UNEP/POPS/COP.7/10


訳注1:GEF
訳注2


化学物質問題市民研究会
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