船舶解体に関するNGOプラットフォーム 2009年4月27日
新たな IMO 船舶解体条約に対する懸念表明

情報源:NGO Platform on Shipbreaking April 27, 2009
STATEMENT of CONCERN on the NEW I.M.O. CONVENTION ON SHIPBREAKING
http://www.ban.org/Library/statement_of_concern_imo.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年4月30日
更新日:2009年5月9日(日本の署名者記入)
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/shipbreaking/NGO_Platform_090427_concern.html


 我々、下記に署名した人権、環境、労働者、健康の分野で活動する組織は、安全な船舶リサイクルに関する IMO 条約に対して重大な懸念を表明したい。
 寿命の尽きた船舶(廃船)に関し、世界の船舶産業による人間と環境の搾取に対して法的拘束力をもって対応するための市民社会 NGOs による長期にわたる何度も繰り返された努力にもかかわらず、2009年5月11〜15日の週に香港で採択されるべく準備されたIMO 条約案訳注)は、インド、バングラデシュ、パキスタンにおける船舶解体現場の現在の悲劇的な状況に真の変化を及ぼすような影響をほとんど与えることはないであろう。

訳注:シップリサイクル条約 和英対比表(国交省仮訳) 本文(平成20 年10 月14 日版)

 残念ながら、IMO 条約案は、国連環境計画の条約(訳注:バーゼル条約)加盟国によって求められていた”バーゼル条約と同等のレベル”ではなく、そのようなIMO 条約案は、アスベスト、PCB類、廃油などが途上国の最も貧しい人々の社会と必死に職を求める絶望的な労働者たちに向けて輸出されることを防ぐためには、ほとんど役に立たない。

 同様に、IMO 条約案は、現在、船舶が南アジア諸国の海岸の海中や干潟で解体されている”ビーチング方式”と呼ばれる下記に示す様な致命的な欠陥のあるリサイクル方法に追い込むという問題をはらんでいる。
  • 油や有毒汚染物質が海洋環境に流出することを防げない
  • 重い切断片を下ろす又は労働者を救出するためのクレーンを船側に設置することができない
  • 救急装置(救急車、消防車)を労働者や船に近付けることができない
  • 脆弱な干潟地域を船の有害廃棄物から守ることができない
 さらに、IMO 条約案は、長らく国際法及び政策の中ですでに確立している原則に関して”逆行”している。IMO 条約案によって無視された原則には下記のようなものがある。
  • 汚染者負担/製造者責任原則
  • 環境正義/有害非移動原則
  • 廃棄物防止/代替原則
  • 環境的に健全な管理原則
 上述の理由によって、香港会議において劇的に是正されない限り、IMO 条約案は船舶解体危機に対応するために世界が求めた条約ではない。
 IMO 条約案は、途上国が世界の船舶に含まれる有害廃棄物からの不公平な重荷を負わされることを効果的に防ぐことはできず、将来の船舶のグリーンな設計の実現とはならないであろう。むしろ、現在のIMO 条約案は船主が、真のコストと寿命の尽きた船舶に対する責任を外部化し続けることを許し、単に行動を起こしているように見せかけているだけである。

 したがって、我々署名した組織は、IMO 条約案にあるこのような重大な欠陥を正すために、2009年5月11〜15日の香港会議で必要なそして緊急の行動をとるよう IMO 加盟諸国政府に要求する。我々は持続可能な開発のための国際法の真の促進を誠心誠意、支持するが、我々は、国際的なガバナンス、及び人権と環境の保護に関して、残念な後退を示す現在の IMO 条約案を受け入れることはできない。

署名

Ingvild Jenssen, Executive Director,
NGO Platform on Shipbreaking,Belgium

Jim Puckett, Executive Director, Basel
Action Network, USA

・・・あなたの名前、組織、国をここに


日本の署名者
  • Takeshi YASUMA
    Chemicals Policy Analyst
    Citizens Against Chemicals Pollution (CACP)

  • Sugio FURUYA
    Secretary General
    Ban Asbestos Network Japan (BANJAN)

  • Ibe Masayuki
    Journalist

  • Mori Norifusa
    Chief Executive
    IKKIIKKI-ASIA-JAPAN (NINGEN-IKKIIKKI-KENKYUKAI

  • Fujiwara Toshihide
    Campaign for Future of Filipino Children (CFFC)

  • Watarida Masahiro
    Coordinator
    Globalization Watch Hiroshima

  • Yasue Arimitsu
    Shimonoseki Sogoshien School
    English teacher

  • Yumi Kashida
    Yamaguchi University
    Doctor Student

  • Susumu Fujikawa
    Yamaguchi University
    Doctor Student

  • Kyoko Ishida
    IKKI-IKKI-ASIA
    Secretary

訳注:参考情報


化学物質問題市民研究会
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