IPEN 2020年8月3日
フィリピンは韓国のごみ
80コンテナーを送り返す


情報源:IPEN, 3 August 2020
Philippines Returns 80 Containers of South Korean Garbage
https://ipen.org/news/philippines-returns-
80-containers-south-korean-garbage


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/

掲載日:2020年8月8日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/news/200803_IPEN_
Philippines_Returns_80_Containers_of_South_Korean_Garbage.html



違法ゴミの強制送還で、全ての廃棄物の輸入禁止要求が再燃
【2020年8月3日 ケソン市、フィリピン】ミンダナオ島北部に 2年間留め置かれた韓国からの汚染プラスチック廃棄物のコンテナ合計251個が韓国に送り返され、残り80個の最終送還分がCOVID-19の大流行が続く中、今週、韓国に向けて出港する予定である。

 2018年7月と10月にミサミスオリエンタルのビジャヌエバとタゴロアンの港に到着した汚染プラスチック廃棄物は、「プラスチック・フレーク(訳注:再生用に粉砕されたプラスチック原料)」と偽って申告され、国内法及び”有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約”に違反して、未分類のプラスチック材料、使用済みブドウ糖チューブ、汚れたおむつ、廃棄電子機器及び家庭ゴミが含まれていることが当局によって明らかにされた。

 エコウェイスト連合(EcoWaste Coalition)が参加した税関局10 が率いる二国間交渉が成功して、違法廃棄物を収納したコンテナのうち、今年の7月18日に 53コンテナ、3月27日に 47コンテナ、2月16日に 50コンテナ、1月19日に 50コンテナ、そして昨年1月19日に 51コンテナ、合計251コンテナが韓国に送り返された。 残りの80コンテナは、8月4日と8日に送り返される予定であり、コンテナの総数は 331個になる。

 ”人々の生活を混乱させ、脅かし続けている COVID-19 危機の真っ只中に、複雑な強制送還手続きが完了したということは、これらの最も困難な時代において環境正義と法の支配を追求した我々の大きな勝利である”と、 エコウェイスト連合の国内コーディネーターであるアイリーン・ルセロは宣言した。

 「是正措置が講じられない限り、外国の廃棄物の我が国への投棄が続く可能性が高いため、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領に、いわゆるリサイクルを目的としたプラスチックを含む、すべての廃棄物の輸入を禁止する命令を通じて廃棄物投棄に対する彼の嫌悪を実行するよう要請する”と ルセロは強調し、環境天然資源省(DENR)は、有害物質を含むリサイクル可能な材料を含む廃棄物の輸入を許可する政策をまだ取り消していないと指摘した。

 国際汚染物質廃絶ネットワーク(IPEN)の上級科学・技術顧問であるジョー・ディガンギ博士は、次のように述べている。”違法に輸出された韓国の廃棄物の返還は、規制当局がコロナウィルス危機の間も継続できることを示している。現在、両国にとっての課題は、この悲しい歴史が繰り返されないようにバーゼル条約禁止改正令を批准することである”。

 ディガンギは、COVID-19の流行により、危険であり、個人用保護具(PPE)やその他の医療廃棄物、その他の使い捨てビニール袋、食品持ち帰り用容器など、リサイクルされないプラスチック廃棄物が大幅に増加したことに言及した。”各国は、2つのことを行うことにより、廃棄物危機に巻き込まれる可能性から自国を守る必要がある。短期的には、先進国が有害廃棄物を開発途上国に輸出することを禁止するバーゼル条約禁止改正令を批准するよう各国は迅速に行動する必要がある。中期的には、各国はすべての廃棄物の輸入を禁止すべきである”と述べた。

 グリーンピースのカントリーディレクター、リー・ゲレーロは同様に、”バーゼル条約禁止令の批准と廃棄物輸入の全面禁止の実施は、特に国家が医療廃棄物と家庭廃棄物の急増をもたらした世界的なパンデミックからの回復に取り組んでいるときに重要である”と指摘した。

 ”廃棄物輸入の禁止の欠如と既存の規制の不十分な実施のために、国は将来の違法廃棄物取引の発生を許すことになり、それはしばしば外国の廃棄物による健康と環境コストを受益国が負担することになる”と彼女は付け加えた。

 ダバオに拠点を置く”持続可能性のための開発介入インターフェース(IDIS)”の事務局長チンキー・ペリノゴールも、昨年2019年12月5日に発効したバーゼル条約禁止改正令を支持する国々の必要性を強調した。

 ”バーゼル条約の締約国として、私たちはフィリピンと韓国の政府に対し、環境の不正義を防止し、公衆衛生と環境を有害廃棄物やその他の廃棄物の世界貿易の悪影響から保護するための禁止改正令を承認するよう要請する”と 彼女は述べた。

 フィリピンでの廃棄物投棄と不正取引の再発を積極的に防止するためには、バーゼル条約禁止改正令の承認とすべての廃棄物輸入、特に電子、プラスチック、その他の有害で有毒な廃棄物に対する国の禁止の義務付けが絶対に必要であると、彼らは述べた。

Reference:
http://www.basel.int/
http://www.basel.int/Implementation/LegalMatters/BanAmendment/Overview/tabid/1484/Default.aspx


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