2009年3月6〜7日 AJCEPA市民社会フォーラム
行動計画

情報源:"A CIVIL SOCIETY FORUM ON THE JAPANESE ECONOMIC PARTNERSHIP AGREEMENTS IN ASIA" SUMMARY OF RESULTS
March 6 and 7, 2009 - AMARI WATERGATE HOTEL, BANGKOK
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/CSF_AJCEPA/090307_AJEPA_CSF_Summary.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年3月13日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/CSF_AJCEPA/090307_AJCEPA_CSF_Summary.html

訳注

 2009年3月6日及び7日、タイのバンコクで、Ban Toxics!及びIDEALS主催による”AJCEPA市民社会フォーラム”が開催され、アジア5ヶ国から当研究会を含む市民社会グループ8団体が参加した。これはそのフォーラムで討議された内容の結論の概要である。
 本フォーラムの出席団体、発表資料(英語版パワーポイント)、写真、共同声明、及び経済連携協定の詳細については下記をご覧いただきたい。
2009年3月6-7日 AJCEPA市民社会フォーラム 概要/発表資料/写真
2009年3月6〜7日 AJCEPA市民社会フォーラム 行動計画(このページ)
2009年3月6-7日 AJCEPA市民社会フォーラム共同声明 日本の経済連携協定は危険な枠組み
経済連携協定(EPA)について


背景
 ASEAN−日本包括的経済連携協定(AJCEPA)のような日本の経済連携協定(JEPAs)は、欠陥あるWTOプロセスの結果である。富める国は、WTOにおける行き詰まりを回避し、第三世界の政府に甘言と圧力をもって二国間の貿易投資協定に署名させるために彼らの驚異的な経済力及び政治力を積極的に利用してきた。彼らはWTOにおいて富める国全体が失敗したことを今、二国間レベルで個別に追求し、世界の地域を好きなように分割している。JEPA と AJCEPA は東南アジア地域におけるこの現象の明白な事例である。

 東南アジア諸国は今、転換点に立っているが、それはもし彼らが JEPA 又は AJCEPA をひっくり返す又は拒絶することに失敗すれば、彼らの運命は他の先進国にもたれて固定されることになるからである。 同じ非民主的プロセスが続き、まったく同様な権利の放棄が存続し、JEPAs によってもたらされる他のすべての弊害が繰り替えされるであろう。これは、JEPA と AJCEPA は、他の国家も要求することができる締約国への拘束義務を生成する有効な国際法協定であるからである。さらに、彼らは各ASEAN加盟国のためのガバナンスとプロセス問題について有効な先例を作ることになる。

 同様に問題なのは、日本の二国間協定に反対する市民社会の反応は弱く、地域レベルで調整されていないことである。日本は、容易にアジア諸国を狙い撃ちすることができ、市民社会グループは分断され、日本の開発侵略に対して効果のある対応を起こすことができなかった。

 もしJEPAsに反対する調整の取れた地域行動を起こすことができず、同様な協定が増大するなら、東南アジアは残りの先進国の経済的な靴ぬぐいとなるであろう。

 ワークショップはバン・トクシックス/フィリピン(Ban Toxics)と代替司法サービスによる対話とエンパワーメントをはかるイニシアティブ/フィリピン(Initiatives for Dialogue and Empowerment through Alternative Legal Services, Inc. (IDEALS))によって主催された。次の組織が参加した。
  • バン・トクシックス/フィリピン(Ban Toxics)
  • 化学物質問題市民研究会/日本(CACP)
  • 代替産業キャンペーン・ネットワーク/タイ(Campaign for Alternative Industry Network (CAIN))
  • グリーンピース東南アジア/タイ(Greenpeace Southeast Asia)
  • 代替司法サービスによる対話とエンパワーメントをはかるイニシアティブ/フィリピン(IDEALS)
  • インドネシア・トクシックフリー・ネットワーク/インドネシア(Indonesia Toxics-Free Network)
  • 第三世界ネットワーク/フィリピン(Third World Network)
  • トクシック・リンク/インド(Toxics Link)

 ワークショップが機会として捉えようとしたこと
  1. 地域レベルでJEPAsの下に日本による有害廃棄物の移動を搾取的なJEPAsとその他の先進国を拒絶するアジア地域の運動のための出発点として利用する。
  2. 有害廃棄物問題は無党派であり、広範な分野を横断する中立的で包括的な問題である。
  3. この地域のNGOsの中で相乗効果を起こし、反JEPA問題を推進するために他のNGOの戦力を引き出す。
  4. 東南アジア市民社会グループとのより密接な関係を促進し開発する。

提案された行動計画
長期(3-5年)計画
  1. ASEAN諸国に対し下記の貿易課題を開発するよう説得すること
    1. 製品、廃棄物、及び技術を含んで有害物質をなくすこと(toxics-free)
    2. 人々の福祉を向上させながら経済的に強くすること
    3. 環境的に持続可能であり、順応性があり、気候変動、資源枯渇、遺伝資源の喪失など、しかしそれらに限らず最近の課題に対応すること
    4. 技術的能力と基盤を強化し開発すること
  2. 下記のような貿易協定政策の枠組みを開発すること
    1. 自国の経済的課題に基づき多様なパートナーとの持続可能で競争力のあるもの
    2. ASEANメンバーにとって公平で利益があり開発目的を支援するもの
    3. WTO(世界貿易機)やUNCTAD(国連貿易開発会議)などの多国間フォーラムの中で開発途上国にとって有利な既存のルールを最大限活用するもの
  3. 協調された取り組みを維持するためのツール、基盤、及び資金を提供することによって、市民社会の能力を強化すること

短期(1-3年以内)計画
  1. 付属書1に示されるような問題点を調査し、必要な基本文書や分析文書を作成する
  2. 他のグループ/利害関係者、またメディアを引き入れ、政府やNGO連合と連携する
  3. 例えばASEANに関して活動する既存のグループやプロセスと連携するなど、ASEANにおける唱道をよく調整する
  4. 有害物質に関しASEAN地域で認知されたグループを確立する
  5. 付属書1で提起された問題に関しASEANの組織、日本の政治家及びビジネスリーダーを巻き込む
  6. 様々なASEAN/AJCEPA手順の実施に関する対話に政策策定者を巻き込む

付属書1

問題/プログラム
可能性のある行動
1. 廃棄物に関して
  1. ASEANレベルでの有害物質貿易に関するNGO方針を主張する
  2. 有害物質貿易に関するAJCEPAのの実施を逆転する又は影響を及ぼす
  3. ASEAN地域での廃棄物貿易を監視する
  4. NGOsの取り組みを調整するために、ASEAN NGO 有害廃棄物”事務局”を創設する
1. 有害物質貿易問題に関わるASEANの協定/機関を特定する

2. ASEAN 地域の状況を監視する
  1. 国内法のギャップを調査する
  2. 有害廃棄物の日本の輸出/ASEAN諸国の輸入を特定する(データ/証拠を供給する)
  3. 各国の廃棄物管理を分析する

分析のための指針
  1. HSコードの下でどの製品が”廃棄物”とみなされるのか?
    • これらの廃棄物のどれがバーゼル条約の下で取引されてはならないのか?
    • これらの廃棄物のどれが例外として取引されるのか?
    • 例外の根拠は何か? バーゼル条約自身か? 輸入国の国内法か?
    • どのような会社がこれらの廃棄物を日本から/へ移動させているのか?
    • EPAsが発効した後、有害廃棄物貿易は増加しているか?
    • ”中古品”の輸出入量は増加しているか?
  2. このデータのAJCEPAへの影響及びASEAN又は国内法の下で可能性ある制裁は何か?
  3. 見直しオプション(AJCEPA 第67章 5年毎)のための基礎資料を準備する
2. グリーンジョブ/エコノミーの新たなパラダイムに目を向ける
  1. 廃棄物及び有害物質の観点からグリーンジョブ/エコノミーを定義する
  2. この問題を適当なフォーラムに持ち込む
  3. グリーンジョブ/エコノミーの問題を主導するNGOs/グループと調整する
3. 日本のような富める国によって使用される交渉の切り札としての政府開発援助(Official Development Assistance / ODA)
- ASEANはこれに対してどのように対処すべきか?
- ASEANにおけるODA依存を低減すること
  1. 開発協力の枠組みを分析する
    それは、長期的にみてASEANを強化するのか、又は日本の経済的目的を強化するのか?
    それはどのようにAJCEPAの実施能力を強化する又は弱めるのか?
  2. 日本のODAに関して活動しているネットワーク/グループを特定する
  3. ODAは、我々の問題にどのように影響を及ぼしているかを特定する
4. ASEAN及びその貿易パートナーの人権、市民の権利、政治的権利
  1. 様々な市民の権利及び政治的権利を調査する
    ASEANとその加盟国はAJCEPAの当事者であり、これらの権利に及ぼす影響を評価する
  2. ASEAN人権機関との可能性ある連携
  3. ”単焦点”グループであることの課題を克服
5. 貿易政策の意思決定と形成及びASEAN加盟諸国の約束に影響を与える
  1. AJCEPAにおける主要な実質的実施問題の徹底的で事実に基づく分析を提供するグループとしての信用を確立する
    • 学界を巻き込む(例えば、経済学、法学)
  2. AJCEPA及び二国間EPAによる便益と損失を評価するための他の手法として使用されるかもしれない(二国間又はASEANレベルでの)コスト−ベネフィット/経済性評価を展開する
  3. 分析には社会的経済的環境的コストを含める
  4. ASEAN地域及び日本における様々な貿易担当官へのアプローチを行う
  5. 憲法及び法に従ってASEAN加盟国における市民社会の関与のプロセス/ウィンドウに関する情報を共有/交換する
6. ASEAN加盟諸国は、低い技術レベルに留まっており、このことは貿易交渉における日本や他の先進国にとって強い優位性を与える
  • 我々は日本の技術的優位性にどのように立ち向かうか?
  • 技術移転の問題をどのように変え、影響を与えるか?
  1. ASEAN技術能力構築の議題が存在するかどうか、それがAJPEPAによって支援さえるのか又は弱められるのかどうかを特定する
  2. AJCEPAモードに取って代わる技術移転様式を調査する
    • 利益共有戦略がいかにASEAN加盟国の技術能力を強化できるのか調査すること
7. 生物多様性と農業
- 貿易責務の不利益を最小にするための既存の国際的協定の利用
  1. この問題に関する主導的NGOsを特定し懸念を喚起する
  2. 非貿易協定及びフォーラムが貿易の義務を負うASEANの能力を強化する又はその開発目的を弱体化しないかを分析する
8. 他のセクターを引き込む
  1. 引き込むべき主要なセクター/利害関係者を特定する
    • 学界
    • 基本的セクター:軽んじられているグループ・都市貧困者、労働者、女性、農民など
    • 政策策定者及びオピニオンリーダ
    • 労働組合、産業協会、宗教グループ、地方行政/政府
    • ビジネスグループ、中小企業
    • 専門家グループ、サービス業分野、先住民族、農民グループなど
  2. 誰が主要な政治的意思決定者か?政治的及び利害関係者の地図作成
注:全ての可能性ある活動は、他の分野、特に提起されている特定の問題や研究にすでに関わっているネットワークやグループに手を差し伸べることを含む



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