2.正しい黒猫の起こし方




ふたりの深い眠りを妨げたのは、サイドテーブルでの色気のない着信音だった。
「馬車、携帯鳴ってますよ」
「……おまえが上からどかんとよう起きんが」
「私が代わりに出てあげましょう」
「いらん(またどんなとぼけた応答をして仲介屋を困らせるか――)」
「さては女性ですね?」
「……あのな、」
「はい馬車です」
「あ、」
<……ジャッカル?>
「ほら、やっぱり女性ですよ馬車。隅に置けませんね」
「――その声は卑弥呼じゃき。一緒に仕事した相手の声ぐらい覚えとけ」
「覚えてますよ。卑弥呼さんだって女性でしょう。たぶん」
<……ちょっと……どういうこと? 馬車さんそこにいるの?>
「いますよ。代わりましょうか?」
<――いいわ、どうせあんたとも話つけなきゃいけなかったんだから。今回の仕事の件で仲介屋からクレーム来たわよ。そこにふたり揃ってんなら、あたしが出向いてもいいけど>
「……ここに、ですか? 卑弥呼さんのような若い女性がここに来るのは、ちょっと問題があると思いますよ」
<……なに、それ。その手の店にふたりで行ってるってこと? そこ、どこ?>
「おい待て、何を話し――」
「馬車の自宅のベッドの上ですが?」
<……>
「卑弥呼さん? どうしました? ……おや? 切れてしまいましたね」
「……………(脱力)」